一般的にダイエットの効果を感じやすいとされるのは、ダイエットをはじめて約3ヶ月。3ヶ月継続することで、食事や運動が習慣化することに加え、運動によって筋肉がつき、痩せやすい身体へと変化していく。
3ヶ月で得た体型を維持していくためには、食事と運動を組み合わせておこなうことが大切。糖質や脂質制限など、極度な食事制限はリバウンドにつながる可能性もあるため要注意。
本記事では「3ヶ月ダイエット」の食事や運動の方法、効果を高めるためのコツや、リバウンドを防ぐポイントなどをご紹介。
この記事の監修者
中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
3ヶ月で何キロ痩せられる?10キロ痩せるのは可能?
3ヶ月で痩せられる体重は、個人差が大きいものの、健康的に痩せるための減量ペースは「1ヶ月に1〜2kg程度」が目安となるため、「3〜6kg程度」が適切。3ヶ月に10kgなどの大幅な減量は、健康を損なう可能性も高く、リバウンドのリスクも高まってしまう。
無理なダイエットはおこなわず、健康的な食事、運動をしながら目指せる現実的な目標を設定することが大切。
体脂肪率が低い人や筋肉量が多い人は、5kg程度の減量でも体型の変化を感じやすかったり、体脂肪率が高い人は10kg以上痩せないと変化を実感しにくかったりと、身体の変化を感じられるタイミングにも個人差がある。そのため、長期的な視点を持ち、自分に合ったペースで取り組もう。
ダイエットを3ヶ月続けたときの身体の変化
変化の程度には個人差があるが、ダイエットを3ヶ月続けるとさまざまな身体の変化があらわれる。
- 身体の見た目が引き締まる
- 痩せやすく太りにくい身体になる
- 日常生活の動作が楽に感じられる
- 生活リズムが整い、身体やメンタルによい影響を与える
まずは、体重が減少することで見た目がスッキリする。取り組んでいる運動メニューによって効果を感じやすい部位は異なるが、脂肪が燃焼することで、お腹周りや太もも周りなどが引き締まる効果が期待できる。ほかにも、運動によって筋肉量が増えることで、基礎代謝がアップする。
基礎代謝が向上すると消費エネルギーが増えるため、痩せやすく太りにくい身体になる。運動によって筋力や持久力も向上し、疲れにくくなったり、日常生活の動作が楽に感じられたりするのも嬉しい変化。
また、ダイエットのために規則正しい食事と運動を心がけることで、生活リズムが整うのも魅力。規則正しい生活を送ることは、身体だけでなくメンタル面にもいい影響が。理想の体型に近づくことで自信もつき、前向きな気持ちになれる。
ただし、ダイエット3ヶ月目では、そこまで大きな変化を期待するのは難しいのが現実。小さな変化を観察しながらコツコツと継続し、長期的な目標を立てて少しづつ身体を変えていこう。
さらに筋肉量が増加すると基礎代謝が上がり、体重維持がしやすくなり、多少の飲酒や間食をしても体重が増えにくくなります。このような効果を出すためには、ダイエットを習慣化することが大切です。
ダイエットは2週間くらいで習慣化でき、3ヶ月続けられれば、十分に持続可能なダイエットであるといえます。
【運動編】3ヶ月のダイエットで痩せる方法
ダイエットに欠かせない運動について、おすすめの頻度や取り組む順番など、意識したいポイントをご紹介。
- 有酸素運動を毎日おこなう
- 週に2〜3日、筋トレを取り入れる
- ストレッチを欠かさずにおこなう
- 疲れているときは無理に運動しない
有酸素運動を毎日おこなう
有酸素運動は脂肪燃焼に直接的に働きかけ、強度が高いものであれば基礎代謝を上げる効果がある。「ウォーキング」「ジョギング」「水泳」「サイクリング」など、自分に合った有酸素運動を選ぶのが大切。ウォーキングは脂肪燃焼効果が低いので、早歩きを心がけるといい。
運動の強度は、会話ができるくらいからスタートして、徐々にあげていくのがおすすめ。1日30分以上を目標にできるだけ毎日続けよう。有酸素運動を習慣化することで、効率的に体脂肪を減らせる。
筋トレをして、身体のエネルギー消費量が高まっているタイミングで、有酸素運動をおこなうことで、より効率的に脂肪を燃焼できます。また、踏み台を使った「踏み台昇降」であれば天気や運動経験の有無に関わらず、ランニング並みのエネルギー消費ができるので、トレーニング初心者にもおすすめです。
週に2〜3日、筋トレを取り入れる
筋トレによって筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、脂肪燃焼効果を高められる。基礎代謝が上がることで、リバウンドを防ぐ効果も期待できる。
スクワットや腕立て伏せ、プランクなど、自重トレーニングからはじめるのがおすすめ。身体の中でも大きな筋肉を中心に、徐々に負荷を上げながら全身の筋肉を鍛えていくことが効果的。筋肉は休息中に回復して成長していくため、筋トレの頻度は週に2〜3日がおすすめ。
有酸素運動と筋トレを組み合わせることで、よりダイエット効果を高められる。
ストレッチを欠かさずにおこなう
ダイエット期間中は、ストレッチを取り入れることも大切。筋トレや運動のあとに10分程度のストレッチをおこなうことを習慣づけよう。ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、ケガを防ぐ効果がある。
また、ストレッチにより柔軟性の高い身体になると疲れにくくなるので、たくさん運動できるようになり、結果的に脂肪燃焼にも役立つ。
疲れているときは無理に運動しない
ダイエット中は、体調管理にも気を配ろう。疲れているときや体調が優れないときは、無理に運動をしないことが賢明。過度な運動は身体に大きな負担をかけ、ケガや体調不良のリスクを高めてしまう。また、疲労が蓄積すると筋肉の回復が遅れ、ダイエット効果も低下してしまう。
身体の声に耳を傾け、休養が必要なときはしっかりと休むこと。十分な睡眠と、栄養バランスの取れた食事を取って、体調を整えることが効果的。健康を最優先に、無理のない範囲でダイエットを継続しよう。
ダイエットの効果があらわれない場合は?原因や対策を紹介
ダイエットをはじめても、なかなか変化があらわれない場合や、体重の減少ペースが落ちてくるとモチベーションも下がってしまいがち。効果があらわれない場合、以下の4つのポイントを確認してみよう。
- 停滞期に入ってしまった可能性がある
- ダイエットの効果があらわれるまでに時間がかかると理解する
- 体重以外の変化にも目を向ける
- カロリー計算が正しくなく、食事が過剰になっている
停滞期に入ってしまった可能性がある
ダイエットを長く続けていると、途中で体重が落ちにくくなる停滞期に陥ることがある。
停滞期のおもな原因には、同じ運動を続けていることで身体がその刺激に慣れてしまい、脂肪燃焼効果が下がってしまうことなどがあげられる。
筋トレの場合は、取り組むトレーニングの種類を変えたり、同じメニューでも強度を上げたりして、身体に新たな刺激を与えてみよう。有酸素運動の場合は、距離や速度を変えたり別の運動に変更してみるのが効果的。
1ヶ月ごとにトレーニング内容に変化をつけていた場合、ダイエットをはじめて3ヶ月程度の短期であれば、停滞期に陥ることは少ないです。ただし、1〜2年などの長期でダイエットを続けると停滞期を感じることがあります。
ダイエットの効果があらわれるまでに時間がかかると理解する
ダイエットの効果は個人差が大きく、まれに1ヶ月目から小さな変化を実感できる人もいるが、早くて2〜3ヶ月で効果を感じられるのが一般的。
効果が感じられないからといって諦めるのではなく、最初の1ヶ月は身体がダイエットに慣れる期間と捉えて、最低でも3ヶ月程度は継続していくことが重要。効果があらわれるまでに個人差があることを理解し、焦らずに取り組もう。日々の積み重ねが、ダイエットを成功させるカギになる。
体重以外の変化にも目を向ける
ダイエットの効果は体重だけでなく、体脂肪率や見た目、ウエスト・太もも周りのサイズ、洋服のサイズなどの変化でも判断できる。
体重の減少が感じられない場合でも、体脂肪率が下がっていればダイエットは成功している証拠。また、体重が同じでも、ウエストが細くなったり洋服がゆるくなったりしていれば、ダイエットの効果が十分にあらわれている。
体重に一喜一憂するのではなく、さまざまな面から身体の変化を総合的に捉えることが大切。体脂肪率を測定する、写真を撮って変化を記録するなど、体重以外の変化にも目を向けることで、モチベーションを維持しやすくなる。
日々の運動や食事の記録に、アプリを活用するのも効果的です。記録を忘れていると通知がくるものやカロリー計算を簡単におこなえるものなどもあり、アプリは継続率が高いとされています。
記録を残しておくことで、身体の変化にも気づきやすくなります。
カロリー計算が正しくなく食事が過剰になっている
ダイエットの効果があらわれない原因の1つとして、カロリー計算の誤りが考えられる。
カロリー計算を誤っていると、食事制限をしているつもりでも、実際には摂取カロリーが過剰になっている可能性も。とくに、外食や市販の加工食品は、想定以上にカロリーが高いことが多い。また、間食や飲み物のカロリーは見落しがちなので注意しよう。
カロリー計算はできるだけ正確におこない、適切な摂取量を心がけることが大切。食事日記を付けたり、カロリー計算アプリを活用したりするのもおすすめ。
3ヶ月でダイエットするときの注意点
3ヶ月間の目標を立ててダイエットをおこなう場合、以下の2つのポイントに注意しよう。
- 3ヶ月間のダイエット終了後も生活習慣を維持する
- 無理に痩せようとしない
3ヶ月間のダイエット終了後も生活習慣を維持する
ダイエット終了後にもとの生活に戻ってしまうと、リバウンドのリスクが高まる。3ヶ月間のダイエットで目標を達成しても、そのあとの生活習慣が大切。ダイエット中に身につけた健康的な食習慣や運動習慣を、できるだけ長く継続することが重要。
少し食事制限や運動のペースを緩める場合も、完全にもとの生活に戻すのではなく、ダイエット中のよい習慣を無理のない範囲で取り入れることがポイント。気を抜いてしまわないよう、体重の変化を定期的にチェックし、リバウンドの兆しを早めに察知することも大切。
無理に痩せようとしない
3ヶ月のダイエットで無理に痩せようとすることは、健康面でのリスクが高い。現実的でない目標を立ててしまうと、極端な食事制限や過度な運動をすることとなり、身体に大きな負担をかけてしまう。
また、無理なダイエットは、体力的にも精神的にも継続が難しく、しばらく取り組めたとしても、リバウンドにつながりやすい。自分の体質や生活スタイルに合った無理のない方法を選び、ゆっくりとしたペースで、継続できるダイエットを心がけることが肝心。
体重の数字にこだわるのではなく、健康的に痩せることを目標に楽しみながら取り組むことに重きを置こう。
3ヶ月以降も続けられるダイエット方法とは?
ダイエットは目標を達成したら終わりではなく、できるだけ長く健康的な食事や運動を続けていくことが重要。できるだけ長くダイエットを続けるために、以下のポイントを意識してみよう。
- 新たにダイエットの目標をつくる
- 食事管理と運動を組み合わせる
- 停滞期になってもやめずに継続する
- ダイエット後の楽しみをつくる
新たにダイエットの目標をつくる
何ヶ月後に◯kg痩せるという大きな目標を持つこともよいが、逆算して毎月の目標を細かく設定することで、モチベーションを維持しやすくなる。無理のない目標として、1ヶ月あたり2kg程度の減量を目指すのがおすすめ。
また、体重だけでなく、体脂肪率や見た目の変化もチェックすることも大切。体重は筋肉量によっても増減するため、体脂肪率などほかの指標を持つことで、より正確にダイエットの進捗を把握できる。体脂肪率は「女性で17~20%」、「男性で12〜13%」を維持するのが理想。
また、鏡を毎日見ているだけでは身体の変化に気づきにくいため、定期的に身体の写真を撮っておくこともおすすめ。1週間前、数週間前の自分の身体と見比べてみることで、小さな変化にも気づきやすい。
小さな目標を積み重ねながら、楽しみつつダイエットを進めよう。
運動は毎日おこなうのが望ましいですが、難しい場合はWHOが推奨する1週間に150分の運動を目安にしてみましょう(1日30分を週5日)。
出勤時に15分歩き、帰宅時にも15分歩くなど、日常生活の中で運動を習慣化することが効果的。日々の生活の中で、運動を楽に取り入れる方法を考えることがダイエットの成功につながります。
食事管理と運動を組み合わせる
食事は、カロリーを抑えすぎるのではなく、1日に必要なカロリーはきちんと摂るようにし、栄養バランスの取れた食事内容にすることが大切。タンパク質、脂質、炭水化物の比率は「2:3:5」になるのが理想的。また、間食やアルコールはできるだけ控えるようにしよう。
運動は前述した通り、「有酸素運動」と「筋トレ」を組み合わせるのがおすすめ。有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合ったものを選び、できれば毎日30分以上おこなうことが理想的。
強度が高めの筋トレは、休息日に筋肉が成長していくため、毎日ではなく週に2〜3日程度を目安に取り組もう。負荷をかければよいというものではなく、正しいフォームでおこなうことが重要。はじめは軽い負荷で正しいフォームを身につけ、徐々に強度を上げていくように。
食事と運動、両方を意識することで、3ヶ月以降も効率的にダイエットをおこなえる。
停滞期になってもやめずに継続する
ダイエットを続けていると、体重や体脂肪率の減少が止まり、なかなか結果が出ない停滞期を迎えることも。同じ運動メニューを続けていると身体が慣れてしまい、効果が出にくくなることも停滞期のおもな原因の1つ。
1ヶ月ごとを目安に、定期的に運動の種類を変えてみたり、強度を上げたりするなど、新しい刺激を与えるように意識するのがおすすめ。
また、体重がなかなか落ちなくなり停滞期に入ったと感じていても、筋トレの成果が出て筋肉量が増えたことによるもので、ダイエットは順調に進んでいる可能性も高い。体重の変化だけでなく、体脂肪率や見た目の変化などにも目を向けておくようにしよう。
ダイエット後の楽しみをつくる
モチベーションを保ちながら、前向きにダイエットを続けるためにも、目標達成後の楽しみをつくることがおすすめ。
目標を達成したら旅行をする、〇kgになったら新しい服を買うなど、終わったあとの楽しみがあると、ダイエットのモチベーションが上がる。自分なりのご褒美を設定することで、つらい時期も乗り越えられる。
ダイエット後も健康的な生活を続けられるよう、楽しみながら取り組むように心がけよう。
3ヶ月間のダイエットに関するQ&A
運動は毎日おこなうべき?
A.有酸素運動は出来れば毎日、筋トレは週2〜3回が理想。難しい場合はできるペースからはじめよう。
強度の高い筋トレの場合は、筋肉を休息させることが大切なので、週に2〜3回のペースがおすすめ。
脂肪燃焼効果のある有酸素運動は、できるだけ毎日、30分以上取り組みたいところ。ただし、毎日おこなうことが難しい場合は、まずは週3回からなど自分のペースではじめて、慣れてきたら徐々に頻度を増やしていくのがおすすめ。
長期的に続けることが大切なので、自分に合ったペースで、楽しみながら続けられるのが一番です。
ダイエット後のリバウンドを防ぐコツは?
A.ダイエット中に身につけた生活習慣を継続すること。
リバウンドを防ぐためには、ダイエット中に身につけた運動習慣と健康的な食事をできるだけ長く続けることが大切。目標を達成したからといって、運動をやめてもとの食生活に戻してしまうと、体型も元に戻ってしまいます。
また、リバウンドを恐れるあまり、過度な食事制限をしてしまうのも、痩せにくい身体になってしまうため逆効果。暴飲暴食を避けるだけでなく、適切なカロリーを摂取することも心がけましょう。
リバウンドしないためにも、ダイエット中は無理をせず、長く続けられる食事や運動法で痩せていくことが一番です。
ダイエット期間中のモチベーションの維持方法は?
A.数字や見た目の変化ではなく、目標の回数をこなせたかに意識を向ける。
ダイエットをはじめても、体重の減少や見た目の変化はすぐには実感できないものです。なかなか結果が出ないとモチベーションも下がってしまいます。
体重や理想の体型を目標とするだけでなく、毎日〇分運動する、この運動を〇セットおこなうなど、自分で決めた行動目標が達成できたかどうかに目を向けることが重要です。
手帳やカレンダーなどに予定を組んだり、アプリを活用したりするのもおすすめです。アプリは運動や食事の記録を残せるため、自分の頑張りを振り返られるだけではなく、同じような境遇の人と知り合えたり、ゲーム性・イベント性のある企画があったりと、運動の動機づけにもなりますよ。
産後ダイエットをする場合に、気をつけるべきポイントは?
A.身体にも授乳にも影響するため、無理は禁物。体型を戻すには骨盤トレーニングが効果的。
産後の身体は回復途中なので、無理なダイエットは避けるべき。極端な食事制限や過度な運動は、母乳の質を低下させてしまう可能性もあります。
産後の忙しさも考慮して、栄養バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、ゆっくりとしたペースで取り組むことが重要です。運動面では、産後は骨盤底筋が弱くなっているため、体型を戻すためには骨盤周りの筋力トレーニングが効果的です。
ジャンプ動作や腹圧が高まるようなトレーニングは骨盤底に負荷をかけ、回復を遅らせる可能性があるため避けるようにしましょう。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。