ダイエット経験者なら、「リバウンド」という言葉を一度は耳にしたことがあるはず。リバウンドとは、ダイエットで減らした体重がもとに戻ってしまったり、以前よりも増えてしまったりする現象。せっかくの努力を無駄にしないためには、リバウンドの根本的な原因を理解し、予防することが大切。
この記事では、リバウンドが起こる仕組みや原因、予防法、停滞期の乗り越え方などを紹介。正しい知識のもと、ダイエットを成功させよう。
この記事の監修者
中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
リバウンドとは?ダイエット後に起こる仕組み
ダイエットに成功し、ホッとしているときに起こるリバウンド。努力して体重を減らしたのに、ダイエット後にまた太ってしまっては意味がない。
リバウンドは身体の自然な反応であり、誰にでも起こる可能性がある。そもそもリバウンドとはどんなものなのか、まずはその仕組みを知っておこう。
- リバウンドとは「ダイエット後の体重増加する現象」のこと
- 体重が元に戻ろうとする「リポスターシス」のメカニズム
- 空腹感を促すホルモン「グレリン」の影響
- ダイエット終了後、1ヶ月間はリバウンドしやすい
リバウンドとは「ダイエット後の体重増加する現象」のこと
ダイエット後に体重が急激に増える現象をリバウンドと言う。リバウンドの原因は複数あり、複合的に影響している場合もある。一般的に、極端な食事制限や過度な運動によるダイエット後はリバウンドが起こりやすい。
リバウンドはダイエットをやめてから「数週間~数ヶ月」で起こるケースが多い。また、とくにストレスはリバウンドの大きな要因になる。
ダイエットの計画を立てるときは、自分にとって無理のない減量ペースを意識し、リバウンドを起こさないよう心がけることが大切。
体重増加やリバウンドには、ストレスが大きく関わっています。マウスを使った研究によると、ストレスを定期的に与えられたマウスはそうでないマウスに比べて太りやすく、同じ食事内容であっても体重が増えやすい傾向があります。
リバウンドを予防するには、無理のないダイエット計画を立てることが重要です。極端な食事制限は避け、ゆっくり時間をかけて減量しましょう。
体重が元に戻ろうとする「リポスターシス」のメカニズム
リバウンドが起こる仕組みには、「リポスターシス(脂肪定常説)」が関係している。リポスターシスとは、体脂肪量を一定に保つ仕組みのこと。ダイエットによって体重が減ると、縮小した脂肪を取り戻そうと代謝を調整する。
ホルモンの影響によって食欲が増す一方で、エネルギー消費量は減少する。
結果として元の体重に戻りやすくなり、リバウンドにつながる。とくに短期間で体重を大きく減らすと、リポスターシスが起きやすくなるため、ダイエット中は注意したい。
空腹感を促すホルモン「グレリン」の影響
食欲刺激ホルモン「グレリン」も、リバウンドの一因。グレリンは胃から分泌されるホルモンで、おもに食欲増進作用がある。
ダイエット中、とくに急激な減量時はグレリンの分泌量が増えるが、ダイエット中はなんとか我慢できる人も多い。しかし、グレリンの血中濃度は一度上がると落ちるまでに時間がかかるため、ダイエット終了後もしばらく空腹感と戦う必要がある。
「ダイエットも終わったし少しくらい大丈夫」とつい食べすぎると、リバウンドが起きかねない。「長期的な減量計画」「十分な睡眠」「規則正しい食習慣」を心がけよう。
ダイエット終了後、1ヶ月間はリバウンドしやすい
ダイエット後の1ヶ月間は、とくにリバウンドリスクが高い時期。
身体は急激な体重変化から回復しようとするため、通常より太りやすくなる。とくに過度な食事制限をしていた人は代謝や筋肉量が落ちているため、余ったエネルギーが脂肪として蓄積しやすくなっている。
また、好きなものを我慢していた反動で過食に走りやすいのも、この時期の特徴。
食事量は徐々に増やし、運動習慣も無理のない範囲で継続するのが、リバウンド防止のコツ。ダイエットに成功したからといって気を抜かず、引き続き健康的な生活を意識して。
リバウンドが起こる5つの原因
リバウンドが起こりやすくなる原因は複数ある。たとえば、ダイエットによって体質が変化したり、気のゆるみで生活習慣が崩れたりすると、リバウンドは起こりやすい。
ここでは、具体的にどのような行動がリバウンドにつながるのか詳しく見ていこう。
- 極端な食事制限による基礎代謝の低下
- 減量後の運動量の急激な減少
- ストレスの蓄積による過食
- 睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
- 目標達成後の生活習慣の乱れ・気のゆるみ
極端な食事制限による基礎代謝の低下
極端に食事量を減らしたり、偏った食生活をしたりすると、基礎代謝が低下する。
過度な食事制限は短い期間で体重を減らせる一方で、長期的にみると身体に悪影響を及ぼす。身体が飢餓状態になることでエネルギー消費が抑えられ、痩せにくく太りやすい体質になってしまう。
なお、無理なダイエットによる代謝の低下は、ダイエット終了後も続く。そのため、「もう減量できたから」と食事量を戻すと、消費しきれなかったエネルギーが脂肪分として蓄積される。
短期間で痩せようとするのは逆効果。適度なカロリー摂取と適切な栄養バランスを意識し、極端な食事制限は避けよう。
減量後の運動量の急激な減少
体重を効率よく減らすため、ダイエットに適度な運動を取り入れる人は多い。しかし、ダイエットが成功したからといって急激に運動量を減らしてしまうと、リバウンドのリスクが高まる。
急に運動をやめることで筋肉量が減り、基礎代謝が低下する。その結果、健康的な食事量でも体重が増えやすくなり、リバウンドを起こしやすくなる。
運動はリバウンド防止のほか、健康維持にも役立つ。ダイエット後も適度な運動は継続し、健康的な身体を目指したい。
ストレスの蓄積による過食
ストレスが溜まると食欲が過度に高まり、過食につながる。
ストレスホルモン「コルチゾール」によって、食欲抑制ホルモン「セロトニン」の働きが抑制されると、食欲のコントロールは難しくなる。とくに、ダイエット中に厳しい食事制限や過度な運動をしていた人は、身体的・精神的なストレスが蓄積しているので要注意。
また、コルチゾールには脂肪の蓄積を促進する作用もある。
自分に合ったストレス対策を持っておくことがダイエット成功の秘訣。毎日意識的にリラックスする時間を作り、読書やヨガなど趣味の時間も大切にしよう。
睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
睡眠不足によってホルモンバランスが乱れると、痩せにくく太りやすい体質になりやすい。
十分な睡眠が取れないと空腹感を生む「グレリン」の分泌が増え、反対に食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌量が減る。結果、強い空腹感から食べすぎてしまい、リバウンドを起こしやすい。
また、睡眠不足は体内時計の乱れや代謝低下の原因にもなる。ホルモンバランスを整えるには、規則正しい睡眠習慣を身につけるのがポイント。
毎日十分な睡眠時間を確保し、ぐっすり眠れる環境を作ろう。また、「スマートフォン」や「パソコン」などの通信機器は、良質な睡眠の妨げになるため、寝る前の使用は控えて。
目標達成後の生活習慣の乱れ・気のゆるみ
ダイエットに成功すると、どうしても気がゆるんでしまいがち。とくに、ダイエット中に無理な制限をしていた場合、開放された安堵感から過食や運動不足に陥りやすい。
また、「痩せたから少しくらい大丈夫」という油断は生活習慣の乱れにつながる。
繰り返しになるが、リバウンドを防ぐには、ダイエット終了後も健康的な食生活と適度な運動を意識しよう。減量成功は1つの通過点と考え、長期的な健康維持を目指すと、モチベーションも保ちやすくなる。
リバウンドしやすい人の特徴・要注意なダイエット方法
同じ方法でダイエットしていても、リバウンドしやすい人としにくい人がいる。リバウンドしやすい人には、どのような傾向があるのだろうか。
また、ダイエット法にはさまざまな種類があるが、なかには健康上注意が必要なダイエット法もある。健康的に痩せるためにも、注意が必要なダイエット方法はあらかじめ押さえておこう。
【リバウンドしやすい人の特徴】
- 短期間で劇的な減量を目指している人
- モチベーションの維持ができていない人
【要注意なダイエット方法】
- 極端なカロリー・糖質・脂質制限ダイエット
- 「○○だけダイエット」や無理なファスティング
短期間で劇的な減量を目指している人
短期間で劇的に痩せようとしている人は、リバウンドのリスクが高い。急激なダイエットは筋肉量の減少や過度なストレスを招き、基礎代謝の低下につながる。基礎代謝が下がると通常の食事量でも体重が増えやすくなり、リバウンドを起こしやすくなる。
一般的に、健康的な減量のペースは「週に0.5~1kg程度」と言われている。ゆっくり時間をかけて減量すれば代謝機能は落ちづらくなるため、ダイエットは長期的な目線で取り組むのが大切。
モチベーションの維持ができていない人
体型維持のモチベーションが保てない人も、リバウンドを起こしやすい。
理想体重をキープするには、ダイエット終了後も健康的な生活習慣を維持する必要がある。しかし、体型維持のモチベーションがなかなか保てない人は「今日は疲れているから」「面倒だから」などの理由で継続するのをやめてしまい、もとの生活習慣に戻りやすい。
ダイエットは理想体重になったら終わりではない。毎日体重を計り、維持できていれば昨日の自分を褒めるなどを意識的におこなおう。また、理想体重を維持するには、「成功後も続けられるような内容でダイエットに取り組む」ことが大切。
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極端なカロリー・糖質・脂質制限ダイエット
カロリーや糖質、脂質など、特定の栄養素を極端に制限するダイエット方法は、多くの場合リバウンドにつながる。栄養バランスの乱れによる筋肉量の減少は代謝機能の低下に直結するほか、体調不良やエネルギー不足を招くため要注意。
20代女性の場合、1日のエネルギー量は「約2000kcal」が目安。体型や運動量によっても変わるが、この数値を大きく下回ると栄養不足を起こしやすい。食事制限は正しい方法で実践し、身体に負担がかからないよう心がけて。
極端に食事量が多い場合を除き、ダイエットでは食事量より栄養バランスに注目するほうが重要です。筋肉を作るための「タンパク質」、エネルギー源となる「炭水化物(糖質)」、代謝システムを整える「ビタミン」や「ミネラル」など、身体に必要な栄養素はたくさんあります。
適切な栄養バランスの食事をとれば痩せやすい体質になり、無理なく体重を落としやすくなります。砂糖など依存性の高い食品は徐々に量を減らして、健康的な食生活を意識してください。
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「○○だけダイエット」や無理なファスティング
「○○だけダイエット」のように特定の食品をとるダイエットでは、栄養バランスの乱れから体調不良、代謝低下が起きるリスクがある。ファスティングも同じく、長期間取り組むと骨密度の低下や筋肉量の減少、代謝低下を引き起こすため注意が必要。
安全なダイエットの基本は、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせること。無理なダイエットで一時的に痩せるのではなく、長く続けられる健康的な生活習慣を身につけて、日常生活のなかで自然に痩せられる仕組みを作ろう。
「○○だけダイエット」や「ファスティング」をダイエットに取り入れるのはデメリットが多く、栄養素を補うために骨のカルシウムが分解されてしまうなど、大きな問題もあります。また、代謝が下がってしまうと痩せにくく太りやすい体質になってしまい、ダイエット後の体型維持にも影響するので、安易に実践するのは避けましょう。
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リバウンドを防ぐ効果的なダイエット方法
リバウンドを防ぐために、「ゆるやかに減量する」「食べ合わせを工夫する」など、できることから始めてみよう。ここでは、健康的なダイエットに必要な5つのポイントを紹介。
- 1ヶ月1~2kg程度のゆるやかな減量を目指す
- 食事のPFCバランスを考慮し食べ合わせを工夫する
- 筋トレと有酸素運動を組み合わせて継続可能な習慣を作る
- 7~8時間を目標に質のよい睡眠を確保する
- ストレスを溜め込まないよう適度に気分転換する
1ヶ月1~2kg程度のゆるやかな減量を目指す
リバウンドを防ぐには、ゆるやかに減量するのがポイント。急激な減量は代謝低下を招き、リバウンドのリスクを高める。
ゆっくり痩せると筋肉量を維持しながら脂肪だけを減らせるため、スタイルも維持しやすい。理想の減量ペースは、1ヶ月に1~2kg程度が目安。このペースなら身体に過度な負担がかからず、健康的に痩せられる。
なお、ダイエット中の1日の摂取カロリー目安は、「20代女性:約2000kcal」、「男性:約2600kcal程度」(引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」)。
運動は週に150分程度を目標に、「毎日:20分」や「週3回:50分程度」など、頻度と時間を固定するのがおすすめ。有酸素運動では、1回の運動で約300kcalを消費できるよう意識すると、スムーズな減量につながる。
ダイエットを継続するには、適度な運動習慣を身につけることが大切です。過度な運動は挫折しやすいですが、自分に合った運動なら無理なく続けられます。
また、体重や体組成を毎日計ると身体の状態が把握しやすくなり、ダイエット計画の調整もしやすくなります。日々の食事内容や運動量もこまめに記録して、定期的に振り返る時間を作ってくださいね。
食事のPFCバランスを考慮し食べ合わせを工夫する
ダイエット中の食事は、PFCバランスを考慮したメニューを選ぼう。「Pはタンパク質」「Fは脂質」「Cは炭水化物(糖質)」を指す。
適切なPFCバランスは人によって異なるが、一般的には「タンパク質:20~30%」「脂質:20~30%」「炭水化物:40~60%」が目安。いずれもダイエットはもちろん、健康維持に欠かせない栄養素なので、過不足なく摂取しよう。
なお、主食・主菜・副菜をバランスよくとれば、PFCバランスは自然と整う。そのほか、満腹感を得やすい食物繊維も積極的に摂取して、ダイエット中の過食を防ごう。
筋トレと有酸素運動を組み合わせて継続可能な習慣を作る
筋トレと有酸素運動を組み合わせた運動習慣も、リバウンド防止に効果的。筋トレは基礎代謝の向上に、有酸素運動はカロリー消費に役立つ。
ダイエット目的で運動するなら、筋トレの比重を有酸素運動よりも大きくするのがおすすめ。筋トレは自重トレーニングから始めて、徐々に負荷を上げていこう。
有酸素運動には「ウォーキング」「ジョギング」「水泳」などさまざまな種類があるが、自分に合った方法を選ぶのがダイエット継続のポイント。普段、運動習慣がない人は通勤時に一駅分歩くなど、日常生活に取り入れやすい運動を選ぶとよい。
7~8時間を目標に質のよい睡眠を確保する
十分な睡眠はホルモンバランスを整え、代謝機能を正常に保つために必要。反対に睡眠不足は食欲増進ホルモンの分泌を促し、過食につながりやすい。また、疲労回復が不十分だと運動意欲も上がらず、ダイエット失敗の可能性も高まるため、注意が必要。
毎日の睡眠時間は、7~8時間を目安に確保する。就寝時間と起床時間を固定すると、睡眠リズムが整いやすい。休日の寝だめは避け、なるべく平日と同じリズムで就寝・起床しよう。
ストレスを溜め込まないよう適度に気分転換する
リバウンドやダイエット挫折を防ぐには、日々のストレス対策も欠かせない。ヨガやアロマなど手軽に実践できるリラックス方法は、ダイエット中のストレス解消におすすめ。ダイエットに影響しないよう、なるべく食事以外のストレス発散法を見つけよう。
また、ダイエットを始めて間もない頃は、チートデイも上手に活用したい。
チートデイとは、意図的にダイエットの制限をゆるめる日のこと。ダイエット中は少なからずストレスが溜まるため、慣れないうちはチートデイの頻度を多く設定し、徐々に頻度を減らしていくと、ストレスのコントロールがしやすくなる。
さらにダイエットの目標は、段階的に設定しよう。ダイエット計画を完璧にこなそうと思うとストレスがたまる上、失敗しやすい。自己肯定感が下がるとモチベーションも下がるため、無理なく小さな目標を複数立てておくのが、ダイエット成功のコツ。
ダイエットは1人で取り組むのではなく、誰かと一緒におこなうのがおすすめです。「あの人もできたから、自分も」という前向きな気持ちになれると、ダイエットのモチベーションも高まります。
なお、モチベーションを高く保つには、ダイエット開始を周囲に宣言するのも効果的です。「言ったからには頑張らなければ」という気持ちが生まれることで、ダイエットに挫折しにくくなるでしょう。
ダイエット中の停滞期を乗り越える方法
ダイエット中に訪れる「停滞期」は、モチベーション低下の大きな要因。思うように体重が減らないと悩んでしまう人も多いが、停滞期は一時的な現象なので、むやみに焦る必要はない。
停滞期は、食事や運動内容を見直すチャンス。上手に乗り越えて、無理なくダイエットを成功させよう。
- 停滞期は一時的な現象であることを理解する
- 体重以外の指標にも注目する
- 食事や運動内容の見直し・調整をおこなう
- モチベーション維持のため目標設定を工夫する
停滞期は一時的な現象であることを理解する
停滞期は、ダイエット経験者なら一度は耳にする現象。体重が減らない日が続くとモチベーションも下がりがちだが、「停滞期はあくまで一時的なもの」と理解しておこう。
なお、停滞期の原因は、身体が減量後の体重に適応する過程で起こる、「一時的な代謝機能の低下」。通常、停滞期は2~3週間程度で終わり、乗り越えると再び体重が減っていく。停滞期をはじめ、ダイエット中は体重の変化に一喜一憂せず、長期的な視点で取り組もう。
体重以外の指標にも注目する
体重に変化がなくても「体脂肪率が下がった」「身体が引き締まったと感じる」なら、筋肉量が増えているサイン。余計な脂肪も着実に落とせているので、ダイエット方法は変えなくてよい。
「体脂肪率」や「体型の変化」、「服のサイズの変化」など、努力を実感できるポイントは体重のほかにもたくさんある。モチベーションが下がりがちな停滞期こそ、さまざまな方向からダイエットの成果を確認するのが大切。
食事や運動内容の見直し・調整をおこなう
停滞期をスムーズに乗り越えるには、食事や運動内容の見直しが効果的。
ダイエットに身体が慣れてしまうと、停滞期が終わった後も思うように体重が減らない可能性がある。食事面では、栄養バランスは3食しっかり整っているか、極端な制限になっていないかなど、改めて確認しよう。
また、同じ運動を繰り返していると、身体が適応してダイエット効果が薄れることも。
筋肉痛が起きなくなっていたり、疲労感をほとんど感じなくなったりしているときは、運動の効果が薄れているかもしれない。運動の強度は、翌日に筋肉のハリ感や軽い疲労が残る程度で設定するのが理想。過度な運動は避けつつ、自分に合った負荷を探してみて。
停滞期をストレスなく乗り越えるには、ライフスタイルや好みに合ったダイエットをおこなうことが大切です。食べたくないものを無理に食べたり、極端な制限をしたりするダイエットでは、停滞期に入ったときにモチベーションが保てず、続けるのが難しくなります。ダイエットの方法を選ぶときは、「これなら自分にもできそう」と感じられるレベルかどうか、しっかり考慮しましょう。
モチベーション維持のため目標設定を工夫する
体重以外の小目標を設定すると、停滞期のモチベーションは維持しやすい。
たとえば、「週に○日はトレーニングする」「1日○回スクワットする」など、挑戦意欲が湧くような目標がおすすめ。具体的な数値目標を習慣として落とし込めると、停滞期が終わったあとも無理なく続けられる。
また、運動量が増えてダイエットの成果が現れやすくなると、モチベーションはさらに高まる。日常生活の中に自然と組み込める目標を設定し、長期的なダイエットの継続を目指そう。
下記の記事では、「ダイエット停滞期の原因や期間、乗り越えるための方法」を詳しく紹介しているので、もっと深く知りたいという人は参考にしてみて。
ダイエットの停滞期はいつ終わる?おもな原因や期間、抜ける方法を紹介
ダイエットの停滞期とは?リバウンドとの違いも解説 ダイエットを長く続けていると、体重が落ちにくくなったり、ダイエット効果が感じられなくなったりする停滞期を迎える.....
リバウンド後の効果的な対処法
どんなに注意していても、リバウンドしてしまうことはある。リバウンドが起きたときは焦らず、少しずつ改善していこう。ここでは、実際にリバウンドしてしまったときの4つの対処法を紹介。
- 無理のない範囲で摂取カロリーを再設定する
- 日常生活での運動量を徐々に増やす
- 間食の管理を徹底し食事はよく噛んで食べる
- 栄養素やトレーナーなど専門家からアドバイスをもらう
無理のない範囲で摂取カロリーを再設定する
まずは、アンダーカロリーの再設定をおこなおう。リバウンド後の急激なカロリー制限は代謝低下を招くため、現在の体重に合わせた適切なカロリー摂取量を計算する。
一般的に、アンダーカロリーは1日のカロリー摂取量から「200~300kcal」ほど減らした数値で設定するとよい。この程度であれば極端な空腹を感じずに継続でき、ストレスなくダイエットに取り組める。
また、摂取カロリーはいきなり減らすのではなく、身体の反応を見ながら徐々に調整するのがポイント。食事の質も重視し、栄養バランスの取れた食事を心がけよう。
日常生活での運動量を徐々に増やす
日常生活の運動量を徐々に増やすのも、リバウンド改善には効果的。たとえば、「エレベーターの代わりに階段を使う」「近距離の移動は歩く」など、生活に無理なく取り入れられる方法を選ぼう。
また、ウォーキングなどの有酸素運動も活動量を増やすのに役立つ。筋トレや食事管理と併用して、できる範囲でおこなうのがおすすめ。なお、急激な運動は身体に負担がかかるため、始めはあくまで日常的な運動を増やすイメージで取り組むことが大切。
リバウンド時をはじめ、ダイエットは、「筋トレ(無酸素運動)」「有酸素運動」「適切な食事」の3つの要素を組み合わせておこなうと、効果的に減量できます。大切なのはどれか1つに偏らず、それぞれをバランスよく取り入れる意識を持つことです。
反対に、食事制限だけで痩せるなど1つの比重を大きくしすぎるのは避けましょう。始めは自分にとって楽しく続けられそうなものを選び、徐々に3つを併用しておこなうと効果的です。
間食の管理を徹底し食事はよく噛んで食べる
無意識の間食はカロリーオーバーを引き起こすため、タイミングと内容を考えることが大切。
適切な間食のタイミングは、食事から「約3時間後」。また、次の食事まで3時間以上空くタイミングで間食すると筋肉の分解を防げるほか、食べすぎ防止につながる。
食事をよく噛んで食べると満腹中枢が刺激され、適量で満足感を得やすくなる。さらに、咀嚼回数が増えるほど消費カロリーは少し多くなるため、リバウンド改善への効果も少し期待できる。「1口につき20回以上」は噛むことを意識しよう。
間食は、低脂肪でタンパク質豊富なものがおすすめです。タンパク質が豊富な食品は筋肉の分解を抑え、満足感を得やすいのが特徴です。とくに「ヨーグルト」「チーズ」「プロテイン」「ゆで卵」などは高タンパクでダイエット向きの食べ物なので、優先的に選びましょう。なお、間食は空腹感を和らげる程度の量を心がけ、次の食事に影響が出ないよう注意してくださいね。
栄養素やトレーナーなど専門家からアドバイスをもらう
栄養士やトレーナーなど、専門家にアドバイスを求めるのも1つの方法。専門家は個人の状況に合わせた具体的なアドバイスを提供してくれるため、「改善できるか不安」「自分に合った方法がわからない」と悩んでいる人にはとくにおすすめ。
最近は対面相談のほか、オンラインで専門家に相談できるサービスもある。オンライン相談は自宅でおこなえるため、外出が難しい人や忙しい人も利用しやすい。一方、対面相談は場所の制約がある反面、より詳しい指導が受けやすいというメリットがある。
オンラインと対面、どちらの方法があっているかは生活リズムや性格によって異なる。ダイエット自体に挫折しないためにも、相談方法は自分にとって負担が少ないほうを選ぼう。
よい指導者との出会いは、リバウンド防止や効果的なダイエットのカギになります。相談する専門家や施設を選ぶ際は、「自分の目標やニーズに合った指導が受けられるか」も合わせて確認しましょう。また、食事管理だけでなく、運動指導も含めた総合的なアプローチができるかどうかも、効果的なダイエットのポイントなので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
ダイエットのリバウンドに関するQ&A
リバウンドしないダイエット期間の目安は?
A:個人差が大きいため、一概に期間を決めるのは難しい。
ゆっくり自分のペースでダイエットすればリバウンドはしづらくなりますが、その期間は人によって異なるため、一概には言えません。ダイエットには、「生活習慣を徐々に変える長期的な方法」と「短期間で集中的に取り組む方法」の2種類があります。
長期的な方法は無理なく健康的な生活スタイルを目指せる一方、短期的な方法はリバウンドのリスクが高い傾向があります。自分に合ったダイエット期間を見つけて、じっくり着実に進めていきましょう。
リバウンドしたときにやってはいけないことは?
A:食事を抜いたり、回数を減らしたりなど、過度な食事制限をすること。
リバウンドしてしまったとき、食事を抜いたり回数を減らしたりする人は多いでしょう。しかし、極端な食事制限は栄養不足の原因になるほか、筋肉量の減少や体調不良を引き起こす可能性があります。
たとえリバウンドしても、食事は1日3食しっかり食べること。バランスの取れた食生活を続けていれば、自然とリバウンドは止まります。糖分や脂肪が多いものや、栄養価の低い食品は控えめにし、健康的な食生活を意識することが大切です。
リバウンド後のダイエットは難しくなる?
A:リバウンドで脂肪細胞が変異すると、思うように体重が落ちなくなる。
一般的に、リバウンド後はダイエットの成果が現れにくくなると言われています。その理由は、リバウンドの要因である長期間の偏った食事制限や運動不足が脂肪細胞の変異を引き起こし、太りやすい体質になってしまうから。
変異した脂肪細胞はわずかな栄養も積極的に蓄えようと働くため、リバウンド後に食事制限や運動を頑張っても、思うように体重が落ちにくくなります。脂肪細胞の変異を防ぐには、必要なエネルギーをきちんと摂取することが大切です。バランスの取れた食事を規則正しくとりつつ、運動も適度におこないましょう。
年齢によってリバウンドのしやすさは変わる?
A:年齢そのものより、ライフスタイルによってリバウンドリスクは変わる。
基礎代謝量や筋肉量は年齢とともに低下しますが、運動や適切な食事でカバーできます。それよりも注意が必要なのは、年齢を重ねたことによるライフスタイルの変化です。一般的に、年齢が上がると活動量が減り、経済的な余裕から食生活が豊かになる傾向があります。
このような変化はカロリーオーバーにつながり、ダイエット後のリバウンドを引き起こしかねません。日頃からこまめに身体を動かす習慣をつけておくと、リバウンドは起きにくくなります。車はなるべく使わず歩く、外食の頻度を減らすなど、できることから始めてくださいね。
サプリメントでリバウンドは防げる?
A:サプリメントだけでリバウンドを完全に防ぐのは難しい。
サプリメントはあくまで栄養補助食品であり、リバウンドを防ぐ効果はありません。どうしても足りない栄養素があるなど、必要に応じてサプリメントを活用するのはよいですが、基本的に栄養は食事から摂取するよう心がけましょう。
食事には、咀嚼による満腹感や食事に対する満足感を得られるなど、サプリメントにはない要素がたくさんあります。一方、サプリメントだけでは満足感が得にくく、つい食べすぎてしまったり間食してしまったりする可能性が高まります。ダイエット中はサプリメントに頼りすぎず、食事管理と運動を中心におこないましょう。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。