
ダイエットだけでなく、さまざまな健康・美容効果が期待できると注目されている「ファスティング」。実際にファスティングでダイエットが成功した例も多いが、一定期間の断食を取り入れるダイエットであるため、間違ったやり方でおこなうと体調を崩すなど、身体に大きな負担をかけてしまうことも。
本記事では「ファスティングダイエット」の正しいやり方や注意点を詳しく解説。ファスティングをおこなうことで期待できる健康・美容効果についても紹介する。
ルールをしっかり守ることで、ファスティングを通して心身のリラックスや健康と向き合えるきっかけになるので、気になる人はチェックしてみて。
この記事の監修者

石原新菜さん
医師・イシハラクリニック副院長
ファスティングダイエット(断食ダイエット)とは?
ファスティングダイエットにはどのような種類があり、どのくらいの期間でおこなわれるのが一般的なのだろうか。まずは、どのようなダイエット法なのか概要をみていこう。
- ファスティングダイエットの定義
- ファスティングダイエットの期間
ファスティングダイエットの定義
ファスティングダイエットとは、一定期間の断食をおこなうダイエット方法。「食事を摂らない」または「極端に食事を制限する」ことで、体内の老廃物を排出し、デトックス効果を促すのが目的。
ファスティングには、完全に食事を断つ「完全断食」と、一部の食品のみ摂取する「部分断食」などさまざまな種類があり、代表的なものに「16時間断食」「1日断食」「プチ断食」などがある。
単なる減量だけでなく、体質改善や健康増進が期待できる点もファスティングダイエットの魅力。
ファスティングダイエットの期間(絶食期間は何日?)
ファスティングダイエットの期間は、ファスティングの種類によって異なる。
「16時間断食」や「1日断食」など、1日以内の短時間のファスティングであれば、1週間程度続けるのがおすすめ。食事回数を減らす「プチ断食」は1ヵ月程度、1週間のうち週2日のみファスティングをおこなう「5:2ファスティング」は2ヵ月程度継続するのが理想的。
いずれのファスティングも、準備期間と回復期間を設けることが大切。準備期間では徐々に食事量を減らして、身体を断食に慣らしていき、回復期間では少しずつ通常の食事に戻していく。
ファスティングの期間は、自分の体調と相談しながら無理のない範囲で設定して取り組もう。

初めてファスティングに取り組む人は、家でおこなう場合、とくに週末1日か2日、長くても3日を目安にしましょう。それ以上長くなると、ふらつきなど身体的な不調を感じてしまうこともあるので、無理をせず慣れてきたら徐々に日数を増やしていくことがおすすめです。
ファスティングの種類
ファスティングには、制限する内容や期間などさまざまな種類がある。ここでは、その中からとくに取り組む人が多いものをご紹介。それぞれ特徴があるので、自分に合ったものを探してみよう。
- ジュースファスティング
- オプティマムファスティング
- インターミッテントファスティング(16時間断食など)
- 3日間断食

初心者の人にとっては、いきなり1日を飲み物だけで過ごすのは、かなりハードルが高いかと思います。最初は「16時間断食」などの緩やかなファスティングを選んでみるのがおすすめです。身体がファスティングに慣れてきてから「1日断食」など、上級者向けのものに挑戦してみましょう。
ジュースファスティング
「ジュースファスティング」は一定期間、果物や野菜のジュースのみを摂取するファスティング方法。
ジュースに含まれる「ビタミン」や「ミネラル」は、体内の浄化を助ける働きがある。固形物を一切食べず、ジュースだけで栄養を摂ることで、消化器官を休ませデトックス効果が期待できる。
ただし、「ジュースファスティング」は長期間行うと栄養不足になるリスクがあるので注意が必要。3日程度を目安に取り組もう。体調と相談しながら、徐々に期間を延ばしていくことが大切。
また、市販のジュースには添加物や糖分が多く含まれている場合があるので、自家製のフレッシュジュースや酵素ドリンクを用いたファスティングがおすすめ。
オプティマムファスティング
「オプティマムファスティング」は、ファスティングの間、「甘酒」や「プロテイン」などで適量のカロリーと必要な栄養素を摂取するファスティング方法。また、水やハーブティーなどを積極的に飲むことで、デトックス効果を高めていく。
適量のカロリーを摂ることができるので、断食に慣れていないファスティング初心者でも取り組みやすく、比較的無理なくファスティングを実践できる。
インターミッテントファスティング(16時間断食など)
「インターミッテントファスティング」は、1日のうち一定の時間のみ断食するファスティング方法。断食期間中は、水やお茶などカロリーのない飲み物は摂取してもOK。しっかりと水分補給をおこなうことで、脂肪燃焼を促進できる。
最も代表的なものとして、1日の食事を8時間内に済ませ、睡眠時間を含めた残りの16時間で断食をする「16時間断食」が挙げられる。
「インターミッテントファスティング」は、日常生活を大きく変えずに取り組めるため、比較的長期間続けやすいのが特徴。ファスティング初心者にもおすすめ。
3日間断食
「3日間断食」はファスティングの種類に関係なく、3日間断食をおこなうこと。
3日間の断食により、体内の老廃物を排出しデトックス効果が得られることに加え、自己免疫力の向上や体内の炎症を抑える効果も期待できる。
初心者でも取り組みやすい「16時間断食(8時間ダイエット)」
初心者でも取り組みやすいファスティングとして人気の「16時間断食」(8時間ダイエット)。1日の食事を8時間内で済ませ、睡眠時間を含めた残りの16時間で断食をおこなう方法。
たとえば、夜8時から翌日の正午まで断食し、午後12時から夜8時までの間に食事を摂るなど、自分の生活スタイルに合わせて時間を設定できる。
8時間の食事時間中は、とくに食事制限もなく、普段通りの食事をしてOK。16時間の断食中は、水やお茶などカロリーのない飲み物を飲むようにしよう。
また「16時間断食」は、ほかの断食に比べ、食事をしっかり摂ることができ、断食時間も短いため空腹感を比較的感じにくい。初心者でも取り組みやすく、続けやすいのも魅力。

カフェインには利尿作用があり、体内の水分バランスを崩してしまうこともあります。脱水症状に近い状態を引き起こしてしまう場合もあるため、内臓を休めている断食中はとくに、刺激の少ない飲料を選ぶのがおすすめ。断食期間中は、胃に負担をかけるカフェインはできるだけ避け、ルイボスティー、あずき茶、黒豆茶など、カフェインを含まない飲料を選ぶといいでしょう。
以下では、16時間断食(8時間ダイエット)の正しいやり方や、より効果高めるための工夫をご紹介。また、16時間断食でダイエットに成功した人の体験談も紹介しているので参考にしてみよう。
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ファスティングダイエットの正しいやり方
突然、ファスティングを始めると身体に負担がかかり、ストレスも大きくなってしまう。ここでは、無理なくファスティングをおこなうための、流れとやり方を紹介。
- 準備食期
- ファスティング期間
- 回復食期
準備食期
ファスティングダイエットをおこなう際は、準備食期を設けるようにしよう。
準備食期は、ファスティング前の3日間程度を目安に設定するのがおすすめ。この期間で、徐々に食事量を減らし、身体をファスティングに慣らしていこう。
準備食期の食事は、野菜を中心とした低カロリーな食事を意識しつつ、肉や魚、卵などのタンパク質はきちんと摂取し、バランスの取れた食事を心がけること。間食は避け、3食しっかり摂ることが大切。

準備食期が最も空腹を感じやすく、我慢が必要な期間。ただし、この期間を乗り越えることで、ファスティング中の空腹感を和らげられるだけでなく、身体にかかる負担も和らげることができます。
どうしても準備期間で挫折してしまいそうな場合は、ファスティング期間に移行してもOK。回数を重ねるごとに徐々に準備期間に慣れるようにしましょう。
ファスティング期間
ファスティング期間中は、基本的に水やお茶、ハーブティーなど、カロリーのない飲み物のみを摂取する。ファスティングの種類によって、ココナッツウォーター、スポーツドリンクなどの電解質を含んだ飲み物、酵素ドリンクを摂取する場合もある。
食事で水分を補給できなくなるので、水分は1日2リットル以上を目安に、こまめに補給するようにしよう。また、ファスティング中は無理な運動は避け、「ウォーキング」や「ストレッチ」など軽い運動にとどめること。
体調に異変を感じた場合は、飴2個分程度の糖分を摂取したり、無理せずファスティングを中断すること。健康を一番に考えて取り組もう。

ミネラルは身体の代謝をアップさせるのに大切な栄養素です。具なしの味噌汁など、塩分が摂れるものも適量摂取するようにしましょう。
回復食期
ファスティングが終了したら、徐々に通常の食事に戻していく回復食期に入る。食事の量も、一気に戻さず、徐々に増やしていくようにしよう。回復食期は、ファスティング後の3〜5日間程度を目安に設定するのがおすすめ。
おもゆやスープなど消化のよい食べ物から始めるように。おかゆやスープなど、胃に優しい食べ物に加えて、野菜や果物、発酵食品など腸内環境を整える食べ物も積極的に取り入れよう。間食は避け、1日3食の食事を心がけて。

身体への負担を減らすだけでなく、ファスティング後のリバウンドを防ぐためにも、回復食期は大切です。ゆっくりと元の食事に体を慣らしていくことで、ファスティングの効果を最大限に引き出すことができます。
ファスティングの準備食・回復食で食べていいもの
ファスティングの準備食期、回復食期には、栄養や消化を考えて食材を選ぶことがおすすめ。ここでは、準備食期、回復食期に取り入れたい食材を紹介。
- 納豆や魚など
- 野菜や豆腐
- おかゆや味噌
なお、準備食を3日設ける場合は、1~3の順に1日ずつ食べるものを柔らかくて消化吸収のよいものにし、回復食はその逆で最後に固形物を食べられるよう調整するのがよい。消化にいい食材選びも大切だが、より消化をよくするためにも、よく噛んで食べることも意識しよう。
1. 納豆や魚などの消化のよい固形物(タンパク質)
準備食や回復食では、納豆や魚などもおすすめ。
納豆は腸内環境を整える効果があるため、ファスティング前後に食べるのに最適。納豆に含まれる酵素には、消化を助けてくれる効果も。
また、魚は良質なタンパク質が豊富で身体の回復に役立つ。とくに、青魚に含まれるDHAやEPAは、身体の炎症を抑える効果があり、ファスティング後の回復食に向いている。

回復食の場合、おかゆや味噌汁、副菜などに身体が慣れてきたら、納豆や焼き魚を取り入れてみてください。3日間かけてゆっくりと段階を踏みながら、最終的には軽めの和定食を経て、通常の食事に戻していきましょう。
2. 野菜や豆腐などの食物繊維が含まれた食べ物
ファスティングの準備食や回復食では、野菜や豆腐もおすすめ。
野菜は食物繊維が豊富なため、腸内環境を整える効果がある。とくに、野菜の中でも根菜類は消化がよい。
また、豆腐は良質なタンパク質やミネラルが含まれているため、準備食・回復食期間の栄養補給にもおすすめ。女性ホルモンのバランスを整える大豆イソフラボンも含まれており、女性には嬉しい食材。

おかゆや味噌汁を問題なく食べられるようであれば、湯豆腐や野菜などの副菜を追加してみましょう。自身の身体と相談しながら、無理のないペースで食事量を増やしてみてくださいね。
3. おかゆや味噌などの消化のよい食べ物
ファスティングの準備食や回復食では、温かい食べ物を中心に摂取するのがおすすめ。中でも消化によく胃に優しい、おかゆやみそ汁がよい。
おかゆは身体に負担をかけずに、エネルギーを補給できるのがメリット。
また、みそ汁は身体を温める効果があるため、ファスティングの準備や回復に役立つ。みそに含まれる発酵成分が、腸内環境を整えてくれるという嬉しい効果もある。

急に普通の食事に戻すと、胃痛や下痢を引き起こしたり、消化不良で嘔吐したりしてしまうことも。断食明けの食事は、水のようなおかゆ(重湯)に、具のない味噌汁や梅干し程度からはじめるのがおすすめ。
身体が大丈夫そうであれば、大根おろしやしらすをトッピングしたおかゆを食べてみましょう。
ファスティングの準備食・回復食で食べてはいけないもの
ファスティングダイエットの準備食期・回復食期は、消化によく栄養も取れる、身体に優しい食材を中心に摂取するのがおすすめ。下記のような食材はできるだけ避けるようにしよう。
- 刺激が強く味が濃いもの
- 添加物が多いもの
- 小麦や乳製品などアレルギーのもとになりやすいもの
刺激が強く味が濃いもの
辛すぎる食べ物やスパイスの効いた料理は、胃腸への負担が大きく、消化不良を引き起こす恐れがある。また、味の濃い食べ物は、塩分や糖分が多いことがネック。
ファスティング後は、身体のむくみを取るためにも、塩分や糖分は控えめにするのがおすすめ。ファスティングの前後は、優しい食事で身体を労わることが大切。準備食や回復食では、刺激の強い食べ物は避け、薄味の食事を心がけることで、胃腸への負担を軽減できる。
添加物が多いもの
ファスティングの準備食や回復食では、添加物の多い食べ物も避けよう。添加物は消化の際、身体に負担をかけることがあり、とくに合成保存料や着色料などの化学的な添加物は、健康への影響も懸念されている。
ファスティングは、身体の浄化も目的のひとつ。添加物の多い食べ物を摂取しては、せっかくの浄化効果が半減してしまう。
また、添加物の多い食べ物は、味が濃いことが多いのも問題。準備食や回復食では、薄味の食事が理想的なので、なるべく添加物の少ない食べ物を選ぶことが大切。新鮮な食材を使った手作りの料理がおすすめ。
小麦や乳製品などアレルギーのもとになりやすいもの
小麦や乳製品などアレルギー物質が含まれる食べ物も消化の際に身体に負担をかけることがあるため、できるだけ避けた方がいい。
回復食期の間はできるだけ身体に負担がかからない食材を選び、回復食期を終えてから徐々に食べるようにしよう。
ファスティングダイエットで期待できる効果
一定期間の断食をおこなうファスティングダイエットは、体重の減少だけでなく、さまざまな健康・美容効果が期待できる。ここでは、ファスティングダイエットのおもな効果をご紹介。
これらの効果は、ファスティングを始めて「2〜3日目頃」に実感できることが多いため、ファスティングは3日間を目安に取り組んでみよう。
- 基礎代謝が向上して痩せやすい身体に
- 体質の改善
- 内臓が休まり腸内環境が改善
- 老廃物の排出で肌荒れやむくみの解消
- オートファジーの働きでアンチエイジング効果
- 生活習慣病のリスク軽減
- 睡眠の質の向上
基礎代謝が向上して痩せやすい身体に
断食中は、体内の糖質が不足するため、エネルギー源として脂肪が燃焼する。そのため、ファスティングダイエットをおこなうことで、痩せやすい身体へと導く効果が期待できる。
また、断食によって身体が脂肪を燃焼しやすくなっているため、リバウンドしにくいのも嬉しいポイント。ファスティングを定期的におこなうことで、太りにくい身体を目指せる。
体質の改善
ファスティングダイエットをおこなうことで体質改善の効果も期待できる。
基礎代謝が上がるため、冷え性や肩こりなどの不調が緩和されたり、体内の解毒作用が高まる。老廃物が排出されやすくなるため、腸内環境や肌の調子などが整ったりする効果も。
身体の内側からきれいになっていく点も、ファスティングの魅力のひとつ。ただし、体質改善には時間がかかるため、ファスティングを継続して行うことが、効果を実感するためのカギ。

体質改善には個人差がありますが、アトピーや喘息、花粉症などのアレルギーが改善される人もいらっしゃいます。ただし、積み重ねが大切なので、1ヵ月、2ヵ月続けていくことでより効果を実感することができます。
内臓が休まり腸内環境が改善
普段の食生活では、食事の消化に多くのエネルギーを使っているため、内臓はほぼ休む暇がなく動いている。定期的に断食することで、消化器官を休めることができ、内臓の機能を回復させることができる点もファスティングの大きなメリット。
断食中は、内臓が休まることで、老廃物の排出がスムーズになり、デトックス効果が期待できる。また、善玉菌が増加するなど、腸内環境が改善される。腸内フローラのバランスが整うことで、便秘の解消にもつながる。
老廃物の排出で肌荒れやむくみの解消
ファスティングダイエットによって、老廃物の排出がスムーズになることで、肌のターンオーバーが促進される。肌荒れが改善され、透明感のある肌へと導く効果が期待できる。
また、断食中は、体内の水分バランスが整うため、むくみにくくなるのも嬉しい効果。体内の毒素が排出され、身体の内側からキレイになることができる。
オートファジーの働きでアンチエイジング効果
ファスティングダイエットには、オートファジーの働きによるアンチエイジング効果が期待できる。
オートファジーとは、細胞内の不要なタンパク質を分解する働きのこと。断食中はこのオートファジーが活性化されるため、老化した細胞が除去されていき、肌質の改善などの効果が期待できる。
また、オートファジーには、記憶力・集中力を高めるなど、脳の機能向上を向上させたり、長寿遺伝子を刺激したりする効果も。ファスティングでオートファジーの働きを活性化させることで、若々しい身体を目指せる。
生活習慣病のリスク軽減
ファスティングをおこなうことで、自然と食べる量を抑えることができる。
現代人が抱えている健康問題の多くは、食べ過ぎが関係しているといわれることも。食べる量が減ることで、糖尿病や肥満などのリスク軽減はもちろん、コレステロールや中性脂肪、尿酸値の高さによる生活習慣病を改善することにもつながる。
睡眠の質の向上
ファスティングをおこなうと、自律神経のうち、身体を休息・回復させる神経である副交感神経が優位の状態になる。
副交感神経が優位になることでリラックスでき、睡眠の質が向上する効果が期待できる。また、断食中は食事に時間がかからないため、軽い運動や読書、入浴など自分のために使える時間が増える。普段は仕事などで忙しく、ゆっくりできる時間がない人にもおすすめ。
ファスティングでダイエットするときの注意点
ファスティングダイエットは、正しいやり方でおこなわなければ、断食による栄養不足や体調不良など、健康を害してしまう恐れもある。ファスティングダイエットに取り組む際は、以下のポイントに注意しよう。
- 準備期間・回復期間を必ず設ける
- 水分をしっかり補給する
- 過度な運動は避けるようにする
- 摂取カロリーの減少による体調不良に注意する
- 水だけのファスティングは絶対におこなわない
- 次回のファスティングまで最低1ヶ月はあける
準備期間・回復期間を必ず設ける
ファスティングダイエットをおこなう際は、準備期間と回復期間を必ず設けること。急に断食を始めたり、断食後すぐに普通の食事に戻したりすると、身体に負担がかかってしまう。
準備期間では、徐々に食事量を減らして、身体を断食に慣らしていく。回復期間では、少しずつ通常の食事に戻していくのがポイント。準備期間と回復期間は、ファスティングの期間と同じくらいの日数を設けるのが理想的。
無理のない範囲で徐々に食事量を調整し、ゆっくりと身体を慣らしていくことで、ファスティングの効果を最大限に引き出せる。

準備期間が一番、空腹で苦痛に感じるタイミングです。もしこの期間が苦痛で取り組みにくいのであれば準備期間を設けずに断食をしてもOKです。ただし、回復期間は最低でも3日は必ず設けるようにしましょう。
過度な運動は避けるようにする
ファスティング中は、過度な運動は避けること。しっかりとした運動をおこなう場合は、ファスティング前後におこなうのが理想的。
断食中は、エネルギーが不足している状態。激しい運動をおこなうと身体に負担がかかってしまい、低血糖や体調不良を引き起こすリスクが高くなる。ファスティング中は、身体を休めることを優先して、「ウォーキング」「ストレッチ」「ヨガ」など軽い運動にとどめておくのが賢明。
摂取カロリーの減少による体調不良に注意する
ファスティング中は、摂取カロリーが大幅に減少するため、低血糖になりやすい。ふらつきやめまい、冷や汗が出てくるなどの体調不良を感じたら、糖分を摂取したり、ファスティングを中断するなどの対処をおこなおう。
ファスティング中は、身体の声に耳を傾けることが大切。体調不良や辛さを感じたら、無理せず回復食に切り替えるのがおすすめ。無理のない範囲で、自分のペースでおこなうことが成功への近道。

ふらつき、めまい、冷や汗などの低血糖の症状を感じたら、飴であれば2個程度、黒糖の欠片であれば2〜3個、またはチョコレートなどを摂取してみましょう。それでも症状が緩和しない場合は、無理せず回復食へ切り替えることをおすすめします。
水だけのファスティングは絶対におこなわない
水だけのファスティングは、絶対におこなわないこと。
水だけでは、身体に必要な栄養素がまったく摂取できないため、健康を害するリスクが高くなる。代謝を促すミネラルなども不足するため、リバウンドしてしまうことも。
断食中は「ハーブティー」や「具なしの味噌汁」、「野菜ジュース」などで適度に栄養素を補うようにするのがおすすめ。食事回数を減らす「プチ断食」の場合は、1日に食べる1〜2食で、必要な栄養を摂取できるよう栄養バランスを意識するようにしよう。
健康的なファスティングをおこなうには、必要最低限の栄養素を摂取することが大切。

ファスティング中は、「カフェイン」「アルコール」「砂糖が入ったジュース」などは避けるようにしましょう。せっかくの内臓をキレイにする効果が薄れてしまいます。炭酸水や添加物の少ない野菜ジュースなどを選ぶようにしましょう。
次回のファスティングまで最低1ヵ月間は空ける
ファスティングは、身体に負担がかかるため、頻繁におこなうのは避けたほうがいい。
数日間固形の食事をしないファスティングをおこなう場合は、次回のファスティングまで、最低1ヵ月は間隔を空けること。身体を休めることも重要で、1ヵ月に1回程度のペースでおこなうことで、より効果を実感しやすくなる。
身体に無理のない範囲で定期的にファスティングをおこなうことで、健康的なダイエットができる。
ファスティングダイエットがおすすめな人
ファスティングに限らず、ダイエット法はさまざまなものがあり、自分に合ったダイエット方法を選ぶことが大切。ファスティングダイエットは、下記のような人におすすめ。
- 大幅な減量をしなくてもいいと思う人
- 体質や食習慣を変えたい人
- 挑戦や成功体験、自信を得られる体験がしたい人
大幅な減量をしなくてもいいと思う人
ファスティングダイエットで減量できる体重は、3日間のファスティングで大体1〜2kg程度といわれている。
ファスティングは、体質改善や健康増進を目的としたダイエット方法。急激な減量よりも、身体の内側から健康になることを重視している人に向いている。
またファスティングは、身体の代謝を上げる効果があるため、リバウンドしにくいのがメリット。ファスティングでダイエットをするというよりも、ダイエットの過程でファスティングを取り入れて痩せやすい体質づくりをするのがおすすめ。
体質や食習慣を変えたい人
ファスティングダイエットは、減量だけでなく、体質改善や食習慣の見直しを目指す人におすすめ。
断食により体内の老廃物が排出されることで、体質が改善されたり、便秘や肌荒れなどの不調が改善されたりする効果が期待できる。
またファスティングをおこなうことで、自然と食事量が減るため、食習慣の改善にもつながる。暴飲暴食や過食、ついつい間食をしてしまう習慣があった人も、ファスティングを機に改善できる可能性も。
体質改善と食習慣の見直しを目指す人は、ぜひファスティングを試してみて。

ファスティングで完全に生活習慣病を治すことはできませんが、数値を安定させ、より健康的な状態にすることは可能です。健康診断で血糖値やコレステロール値の上昇など、生活習慣病のリスクを指摘された人にもおすすめです。
挑戦や成功体験、自信を得られる体験がしたい人
挑戦や成功体験を求める人にも、ファスティングはおすすめ。
断食を乗り越えることで、自分の意志の強さを実感することができ、ファスティングを完遂できたときの達成感は何物にもかえがたい。
また、ファスティングは自分自身と向き合うよい機会にもなる。ファスティングを通して、自分の強さや弱さなど、新たな一面を発見できるかも。
ファスティングダイエットに関するQ&A
ファスティングは身体に悪いの?
A:正しいやり方でおこなえば、身体に悪影響はない。

ファスティングは、正しいやり方でおこなえば、健康面でのメリットがたくさんあります。たとえば、体内の老廃物が排出され、身体の中からキレイになるデトックス効果や、体内の炎症が抑えられ、免疫力を高める効果もあるとされています。
ただし、無理な断食は身体に負担をかけるため、正しい知識を身につけることが大切です。準備食期や回復食期を設けるようにし、身体に優しいファスティングを心がけましょう。
生理中・妊娠中はファスティングをおこなっても大丈夫?
A:生理中や妊娠中は、ファスティングを控えること。

ファスティングは生理が終わり、身体が安定している時期におこなうのが効果的です。
妊娠中は、赤ちゃんに必要な栄養を確保することが何よりも大切です。母子ともに必要な栄養が不足してしまう恐れがあるため、ファスティングは避けましょう。
また、授乳中も母乳に影響が出る可能性があるため、ファスティングは控えめに。生理中や妊娠中、授乳中は、無理なダイエットは避け、体調管理を優先してください。身体に負担をかけない、バランスの取れた食事を心がけましょう。
ファスティング中に運動してもいいの?筋トレへの影響は?
A:ファスティング中は、無理な運動は避けるのが賢明。

ファスティング中は、身体のエネルギーが不足しているため、激しい運動をおこなうと身体に負担がかかってしまいます。とくに、オールアウトするような筋トレは控えるのが無難。
断食により、筋肉の分解が進んでしまうため、筋トレの効果が得られにくくなってしまいます。ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどにとどめるのがおすすめです。
ファスティング中に食べていいものは?
A:ファスティングの種類によって、摂取できる食べ物は異なる。

ファスティングドリンク以外だと、水やお茶、ハーブティーなどが摂取してもいい範囲です。ファスティングの種類によっては、野菜ジュースや果物、スープなどの摂取が認められている場合もあります。
16時間断食であれば、断食時間以外は通常通りの食事を摂ることができます。いずれにせよ、ファスティング中は、できるだけ身体に負担をかけない食べ物、飲み物を選ぶことが大切です。
酵素ドリンクはどうやって選ぶべき?
A:自然由来のものや生酵素のものがおすすめ。

ファスティング中はできるだけ自然に近いものを摂るようにして、身体をリラックスさせることが大切です。そのため、酵素ドリンクを選ぶ際は、原材料をチェックするようにしましょう。
野菜や果物など、自然由来の原料を使用しているものを選ぶようにし、添加物や保存料が含まれていないかも確認しましょう。
ファスティング中にプロテインはおすすめ?
A:ファスティング中の摂取にはメリット・デメリットがあり、一概にいえない。

プロテインは、タンパク質を効率的に摂取できる食品ですが、ファスティング中の摂取は賛否両論あるのが現状です。ファスティングの種類によっては筋肉の維持、空腹感を和らげるのに役立つので飲むという考え方もあります。
一方でプロテインは、消化に時間がかかる食品のひとつ。消化器官を休ませることが目的であるファスティング中に、プロテインを摂取するのは適さないという見方もあります。メリットとデメリットを踏まえて、慎重に判断することが大切です。
クリニックでの診察の他、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は 13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『研修医ニーナの731日』など70冊を数える。監修した書籍を含めると100冊を超え、韓国、香港、台湾、ベトナムでも翻訳され出版されている。
【所属】
ヒポクラティック・サナトリウム副施設長
健康ソムリエ理事
ロングライフラボ理事
日本内科学会会員
日本東洋医学会会員
日本温泉気候物理医学会会員