
50代になるにつれ、加齢にともなう身体の変化・ライフスタイルの変化により、太りやすく痩せにくい体質になってしまう人も少なくない。本記事では、50代になると痩せにくくなる原因、50代でのダイエットを成功させるための食事・運動のコツを紹介。
この記事の監修者
中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
50代になると痩せにくくなる原因
50代になると若い頃に比べ体型維持が難しくなり、体型の変化が顕著に現れることも。ここでは、年齢を重ねるとともに「太りやすく痩せにくい体質」になってしまう原因を詳しくみていこう。
- 加齢による基礎代謝の低下
- 筋肉量の減少
- 運動量の減少
- 更年期によるホルモンバランスの乱れ
- 長年の生活習慣による姿勢の崩れ
加齢による基礎代謝の低下
50代に入ると、加齢に伴う基礎代謝の低下が顕著になる。基礎代謝とは、「生命維持に必要な最低限のエネルギー消費量」のこと。20代と比較すると50代では年間約1.5〜2%ずつ基礎代謝が減少していく傾向にある。
また、代謝が低下することにより、同じ食事量でも以前より体重が増えやすくなってしまう。運動をしても脂肪が燃焼しにくくなり、ダイエット効果を実感しづらくなる。
筋肉量の減少
運動をしていない場合、50代になると20代よりも約30%ほど筋肉量が減少した状態になる。この現象は「サルコペニア」と呼ばれ、50代以降の体型変化や代謝低下のおもな要因となる。
筋肉量の減少は単に体型の変化だけでなく、基礎代謝の低下にも直結する重要な問題。筋肉は脂肪と違って多くのエネルギーを消費する器官で、筋肉量が減ることで日常のエネルギー消費量も減少する。
さらに、同じ体重でも筋肉が減って体脂肪が増えると、見た目の印象が大きく変わってしまうことも。
運動量の減少
50代になると仕事や家庭での役割が変化し、ライフスタイルの大きな転換期を迎える人が多い。そのため、運動量が減少する傾向になる。また、体力の低下や身体のどこかが痛むといった不調などから、積極的に身体を動かす機会が減少してしまう。
運動量の減少は毎日のエネルギー消費の減少につながり、体重を増加させる原因に。運動不足により筋肉量の減少も進み、さらなる代謝の低下を招く悪循環を生み出してしまう。

50代で一番多いのは身体のどこかが痛くなり運動不足になってしまうこと。軽度も含め、50代で「腰痛」「肩こり」を持っていない人はほとんどいません。
こういった痛みによって、日常の活動量が減ってしまったり、今までできた運動ができなくなったりすることで、運動量が減少してしまいます。また、若い頃に比べて病気になる確率も高くなる年代ですので、体調管理にはより一層気を配ることが大切です。
更年期によるホルモンバランスの乱れ
50代は多くの女性が更年期を迎える時期で、ホルモンバランスの大きな変化が起こる。「エストロゲン」の分泌が大幅に減少することで、体重増加や脂肪の蓄積が起こりやすくなる。とくに、内臓脂肪が蓄積されやすくなり、いわゆる「メタボ」のリスクが高まる。
また、ホルモンバランスの乱れは食欲のコントロールにも影響を与える。ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が増えると、甘いものや間食などを欲する頻度が多くなり、結果的にカロリーオーバーにつながる。
長年の生活習慣による姿勢の崩れ
50代になると長年の生活習慣の積み重ねにより、姿勢の崩れによる影響が現れることも。とくにデスクワークや長時間の座位姿勢、スマートフォンの使用などにより、猫背や前傾姿勢が進行しやすい。
姿勢の崩れは単に見た目の問題だけでなく、代謝にも影響を与える。正しい姿勢を保つことは、体幹の筋肉が自然と使われるため、エネルギー消費が増加するが、姿勢が崩れていると筋肉量も低下してしまう。
また、姿勢がよいと呼吸が深くなり、酸素の取り込みが促進されるため自然と活動量が上がり、代謝も向上しやすくなる。さらに、姿勢の崩れは内臓の位置にも影響を与え、消化器系の機能低下を招く可能性が。食事の消化吸収や代謝にも悪影響を及ぼしてしまう。

とくに50代は骨盤周辺が崩れてしまい、安定しなくなる人が多く見受けられます。骨盤の位置が崩れてしまうと正しい姿勢を長時間維持できなくなり、疲労感にもつながってしまいます。
50代の効果的なダイエットのコツ【食事編】
ダイエット中は、単にカロリーを制限したり、特定の栄養素を避けたりするのではなく、身体に必要な栄養素をしっかり補給することが大切。ダイエット中の食事では、以下のポイントを意識してみよう。
- 摂取カロリーの目標値を設定する
- 朝食は抜かず規則正しく食べる
- タンパク質をしっかり摂取する
- 食物繊維を積極的にとる
- 糖質も適度に摂取する
- 脂質は控えめにする
- 食べる順番を意識する
- 間食・アルコールはほどほどに
摂取カロリーの目標値を設定する
年齢とともに基礎代謝が低下するため、若い頃と同じ食事量では体重が増加しやすくなる。50代のダイエットでは、適切な摂取カロリーの目標値を設定することが大切。
【1日あたりの摂取カロリー】
- 50代女性:1,700〜1,900kcal
- 50代男性:2,100〜2,300kcal
ただし、これは個人の「身長」「体重」「活動量」によって変わるため、摂取カロリー計算サイトやアプリなどを利用して自分に合った摂取量を把握するようにしよう。
ダイエット中は、この摂取カロリー基準から「200〜300kcal程度」を減らすのが効果的。極端に食事を制限してしまうと代謝を落とし、リバウンドの原因にもなるため注意しよう。
朝食は抜かず規則正しく食べる
ダイエット中にカロリーを減らそうと食事の回数を減らす人もいるが、ダイエット中は1日3食規則正しく食べることが大切。とくに朝食をとることで代謝が活性化し、1日のエネルギー消費量が増加する。
また、朝食を抜くと「空腹感から昼食で過食してしまう」「体内リズムが乱れて代謝が低下してしまう」などのリスクも。1日3食規則正しく食べることで、血糖値の急激な上昇を防ぎ、安定したエネルギー供給が可能になる。また、間食の衝動を抑えられ、総カロリー摂取量を抑えることにつながる。
朝食には「卵」「ヨーグルト」「全粒粉パン」など、タンパク質と食物繊維を含む食品を選ぶのがおすすめ。これらの食品は満腹感を持続させ、昼食までの空腹感を和らげる効果がある。
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タンパク質をしっかり摂取する
50代では筋肉量が減少しやすいため、意識的に適正量のタンパク質を摂取することが必要。タンパク質は筋肉の維持と修復に不可欠で基礎代謝の維持に役立つ。1日のタンパク質摂取量の目安は「体重1kgあたり1.2〜1.6g程度」。体重60kgの人であれば、「72〜96g」のタンパク質摂取を目指そう。
- 鶏むね肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品 など
これらの食材・食品は低脂肪で栄養価が高いため、ダイエット中の食事に適している。また、タンパク質は食後の満腹感を高めて、空腹感を抑制する効果もある。過食・間食を防ぐことができ、総カロリー摂取量の抑制につながる。
食事だけで補給するのが難しい場合は「プロテイン」などの活用も考えよう。水やお湯に溶かすだけで手軽にタンパク質を補給できるため、忙しい毎日でも取り入れやすい。
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食物繊維を積極的にとる
50代ではとくに「消化機能の低下」や「便秘」の傾向が強まるため、食物繊維の摂取が重要になる。1日の目標摂取量は「20〜25g程度」。野菜や果物、全粒穀物を積極的に取り入れ、毎食少しずつ摂取することを心がけよう。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、両方をバランスよく摂取するのがよい。
水溶性食物繊維は、「オートミール」「りんご」「にんじん」などに多く含まれ、コレステロールの吸収を抑制する効果がある。不溶性食物繊維は「玄米」「全粒粉パン」「きのこ類」などに多く含まれ、便通を改善し腸内環境を整える働きがある。
ただし、急激に食物繊維の摂取量を増やすと、お腹の調子を崩す人もいるので、徐々に増やすようにするとよい。
糖質も適度に摂取する
糖質は身体のエネルギー源として重要な栄養素。健康的に痩せるためには糖質を完全に避けるのではなく、適度に摂取することが大切。1日の総カロリーの「45〜50%程度」を目安に炭水化物をとるようにしよう。
また、同じ炭水化物でも精製された白米やパンよりも「玄米」「全粒粉パン」など、食物繊維を多く含む複合炭水化物を選ぶことで血糖値の急激な上昇を防ぐことができる。
野菜や果物からも糖質を摂取でき、「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」も同時に補給できるため、ダイエット中は摂取する糖質の「質」も意識することが大切。夜遅い時間は、エネルギーが消費しにくくなるため、糖質摂取は控えめにするよう心がけよう。
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脂質は控えめにする
脂質は「1gあたり9kcal」と、ほかの栄養素に比べてカロリーが高く、過剰摂取は体重増加につながりやすい。
ただし、脂質も完全に制限するのではなく、適量を摂取することが大切。脂質は「ホルモン生成」や「細胞膜の構成」に必要不可欠な栄養素。1日の総カロリーの「20〜25%程度」を脂質から摂取することを意識しよう。
とくに注意すべきなのは、「飽和脂肪酸」のとり過ぎ。動物性脂肪や加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸は、コレステロール値を上昇させる。オリーブオイルや魚油などに含まれる不飽和脂肪酸は不足しがちな栄養素のため、積極的に摂取することを心がけよう。
また、「トランス脂肪酸」の摂取にも注意が必要。「マーガリン」「揚げ物」「菓子パン」などに含まれることが多く、とりすぎると心筋梗塞などの冠動脈疾患になりやすくなる可能性があるため、控えめにすること。
調理法も工夫し、油を使う調理法よりも、「蒸す」「茹でる」「焼く」などの調理法を選ぶことで、脂質の摂取量を抑えることができる。
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食べる順番を意識する
理想的な食べる順番は「野菜」→「タンパク質」→「糖質(炭水化物)」。
まず食物繊維が豊富な野菜から食べることで血糖値の急上昇を抑える。次にタンパク質を摂取することでさらに消化速度が遅くなり、満腹感が持続する。最後にご飯などの糖質をとることで、インスリンの過剰分泌を抑え体脂肪の蓄積を抑制することにつながる。
また、ゆっくりよく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され適量で満足感を得られる。
間食・アルコールはほどほどに
無意識の間食やアルコール摂取は、知らないうちにカロリーオーバーを引き起こす。
ストレスを溜めないためにも間食は完全に禁止するのではなく、適切にコントロールすることが大切。たとえば、空腹感を紛らわせるための間食であれば、「果物」「無糖のヨーグルト」「ナッツ類」など栄養価の高い食品を選ぼう。
また、アルコールは高カロリーであるだけでなく、食欲を増進させる効果もある。さらに、飲酒をすると身体がアルコールの代謝を優先するため、脂肪燃焼が抑制されてしまう。
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50代の効果的なダイエットのコツ【運動編】
筋肉量や代謝が低下してしまっている50代でのダイエットは、適度な運動をおこない、筋肉量の維持と脂肪燃焼をおこなうのが効果的。
- 有酸素運動と筋トレを組み合わせておこなう
- ながら運動で消費カロリーを増やす
- ストレッチ・ヨガで柔軟性と代謝を向上させる
有酸素運動と筋トレを組み合わせておこなう
50代のダイエットでは、「有酸素運動」と「筋トレ」を組み合わせることが効果的。有酸素運動は脂肪燃焼を促進し、筋トレは基礎代謝の向上と筋肉量の維持が期待できる。
- ウォーキング
- ジョギング(ランニング)
- 水泳
- サイクリング など
「週2~3回:1回30分程度」を目安におこなおう。強度は、少し息が弾む程度が適切。
- スクワット
- 腕立て伏せ
- 腹筋運動 など
「週3回程度:20〜30分程度」取り組もう。ただし50代での運動は、関節への負担に注意が必要。無理のない範囲で徐々に強度を上げていくことが大切。自重トレーニングは時間や場所の制約が少なく、特別な器具も必要ないため継続しやすいのが大きなメリット。
ながら運動で消費カロリーを増やす
日常生活の中で無理なく運動を取り入れる「ながら運動」の習慣化も効果的。忙しい毎日でも、スキマ時間を活用することで無理なく運動量を増やすことができる。
【ながら運動の例】
- 通勤時にエレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用する
- テレビを見ながらスクワットや踏み台昇降をする
- 家事の合間にかかとの上げ下げや足踏みをする
また、電話中に立ち上がって歩き回ったり、歯磨き中につま先立ちをしたりするなど、日常のあらゆる場面で小さな動作を積み重ねる。エネルギー消費はさほど大きくないが、筋力低下の抑制には効果が期待できる。
ほか、デスクワークなど座っている時間が長い人は、イスに座りながらできるストレッチを取り入れるとよい。50代では筋肉が硬くなりやすくなるので、とくに長時間の同じ姿勢は避けるようにしよう。定期的に身体を動かすことで筋肉をほぐし、代謝の低下を抑えることができる。
ストレッチ・ヨガで柔軟性と代謝を向上させる
ストレッチやヨガは筋肉や関節への負担も少なく、柔軟性や代謝の向上が期待できる。「朝晩10〜15分程度」全身のストレッチをおこなうことで、代謝が正常化されてエネルギー消費量が高まる。
とくに、「首」「肩」「背中」「腰」「太もも」など、凝りやすい部位を重点的にケアしよう。各部位30秒程度で呼吸を整えながらゆっくりと伸ばすことが大切。
ヨガは、種類によって「筋力」と「柔軟性」を同時に向上させる効果がある。たとえば、「座位のツイスト」「犬のポーズ」「戦士のポーズ」などを10分程度おこなうのがおすすめ。初心者向けの簡単なポーズからはじめ、徐々に難易度を上げていこう。
ヨガは深い呼吸法と組み合わせることで、ストレス解消にも効果的。50代特有の更年期症状の緩和にも役立つ可能性がある。
50代のダイエットにおすすめの筋トレ
- スクワット
- プッシュアップ
- プランク
- ワンハンドロウ
スクワット
筋肉量は加齢とともに低下するが、とくに脚の筋肉量が大幅に低下する傾向にある。
下半身全体の筋肉を鍛えられる「スクワット」は50代に最適な筋トレ。年齢を重ねるにつれて失われがちな筋肉量を維持・増加させて、基礎代謝を高める効果も期待できる。また、日常生活で必要な動作を支える筋力を向上させるため、転倒予防にもおすすめ。
脚を肩幅に開いて立ち、つま先は少し外側に向けた状態がスクワットの基本姿勢。ここからゆっくりと腰を落とし、ひざが90度くらいに曲がったところで2〜3秒止まり、そこから元の姿勢に戻る。
ひざが足先より前に出ないように注意し、お尻を後ろに引くようにしながらゆっくりと腰を下ろすのがポイント。慣れるまでは壁やイスをサポートとして使いながらおこなうのも1つの手。
下記の記事では「スクワットの正しいやり方・さまざまな種類」などを紹介しているので、取り組む際の参考にしてみよう。
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プッシュアップ
プッシュアップは、「胸筋」「三頭筋」「肩の筋肉」を同時に刺激し、上半身の筋力を短時間で効率的に鍛える筋トレ。
ひざをついた状態でおこなうひざ立てプッシュアップや、壁に手をつけておこなう立位プッシュアップなどさまざまなバリエーションがあるため、自分の体力に合わせて負荷を自由に調整しやすい点が魅力。
上半身の筋力を高めることは、筋力の維持・向上だけでなく、姿勢の改善や肩こりの軽減にもつながる。
下記の記事では、「プッシュアップの正しいやり方」について詳しく紹介しているので、取り組む際の参考にしてみよう。
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プランク
プランクは体幹を鍛えるのに最適な筋トレ。腹筋だけでなく、背筋や臀筋など全身の筋肉を使うため、効率的に体幹を強化できる。
また、継続的におこなうことで姿勢の改善や腰痛予防にも効果的。内臓脂肪を減らす効果も期待でき、メタボリックシンドロームの予防としてもおすすめ。
はじめは10秒くらいを目安におこない、自身の体力と相談しながら徐々に時間をのばしていくとよい。ひじをついておこなう方法や、ひざをついておこなう方法もあるため、自分の体力に合わせて無理のない方法で取り組もう。
ワンハンドロウ
ワンハンドロウは上半身、とくに背中の筋肉を鍛える筋トレ。50代になると姿勢が悪くなりがちだが、背中の筋肉を鍛えることで姿勢の改善に効果的。
ダンベルで取り組むのが一般的だが、ペットボトルを使っても代用できるため、自宅で手軽に取り組める。また、背中の筋肉だけでなく、腕や肩の筋肉も同時に鍛えられることから、上半身全体の引き締めにつながる。
ダンベルを持つ手とは反対側の片ひざと手のひらをベンチやひざの上につき、上半身を床と平行にする。ダンベルを持った手をまっすぐ床に向けておろしたら、ひじを身体に近づけるイメージでダンベルを引き上げ、ゆっくりともとの位置に戻す。
ワンハンドロウは片手ずつおこなうため、左右の筋力バランスを整えるのにも役立つ。
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50代のダイエットにおすすめの有酸素運動
- ウォーキング
- 水泳・アクアビクス
ウォーキング
50代のダイエットにおいて、ウォーキングは最も手軽で効果的な運動の1つ。関節への負担が少なく、長期的に続けやすい。頻度は「1日30分程度:週2〜3回」を目安におこなおう。速度は、少し息が弾む程度のペースを保つとよい。
体力が落ち始める50代ではとくに、急激な運動は避けて徐々にペースを上げていくことが大切。最初は15分程度から始め、体力に合わせて少しずつ時間をのばしていくこと。
また、ウォーキングの効果を高めるには、「インターバル歩行」を取り入れるのもおすすめ。「3分間の通常歩き」と「1分間の速歩」を交互に繰り返すことで、脂肪燃焼効果が高まる。また、インターバル歩行は「心肺機能の向上」や「血行促進」にも効果があり、全身の健康維持にも役立つ。
ウォーキングに慣れてきたら、より強度が高いランニングを取り入れることも検討してみよう。下記の記事では「ウォーキングの効果・正しい歩き方」などを紹介しているので、参考にしてみよう。
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水泳・アクアビクス
水中では浮力により関節への負担が軽減され、陸上での運動が難しい人でも安全に取り組める。
水泳は全身の筋肉を使うため、1時間で「約400〜500kcal程度」の高いカロリー消費が可能。アクアビクスは音楽に合わせて水中でエアロビクス運動をおこなうもので、楽しみながら運動できる点が魅力。
プールでの運動は「週1〜2回:1回30分〜1時間程度」が理想的。ただし、50代では急激な運動は避け、徐々に時間や強度を上げていくことが大切。
また、発汗していることに気づきにくいので水分補給を忘れずに。水中運動は体温が奪われやすいため、運動後のケアも大切。入浴などで身体を温めることを忘れずに。

水泳で身体を動かす習慣をつけるのはいいことですが、水泳だけに頼らないよう気をつけましょう。水中では楽に身体を動かせるため、陸上の重力がかかる状態で運動することも身体を支える筋肉を維持する上で大切です。水泳と陸上のトレーニングのバランスが半々になることが理想的です。
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50代でも遅くない!痩せ体質に導く生活習慣
食事や運動以外でも、生活習慣を工夫することでダイエット効果を高められる。以下の3つのポイントを意識してみよう。
- 質のよい睡眠をとる
- 正しい姿勢で過ごす
- 毎日湯船に浸かる
質のよい睡眠をとる
睡眠不足はストレスホルモンの分泌を促し、肥満の原因となる。十分な睡眠は筋肉の修復や成長を促進し、代謝を維持することにもつながる。理想的な睡眠時間は「7〜8時間程度」。個人差はあるが、この時間を確保することを心がけよう。
睡眠の質を上げるためには、就寝前のルーティンも重要。寝る1時間前からはスマートフォンやパソコンの使用を控え、代わりにリラックスできる音楽を聴いたり、軽い読書をしたりして副交感神経を優位にするのがおすすめ。
また、寝室の環境を整えることも質のよい睡眠につながる。室温は「18〜27度程度」、湿度は「50〜60%程度」が理想的。光や音をできるだけ遮断し、快適な睡眠環境を整えよう。
50代ではとくに、夜間の頻尿や更年期症状による不眠に悩まされることがある。必要に応じて専門医に相談することも考えよう。
正しい姿勢で過ごす
正しい姿勢を保つことで、体幹の筋肉が自然と使われてエネルギー消費が増加する。また、姿勢がよくなると呼吸が深くなり、酸素の取り込みが促進されて自然と活動量が上がりエネルギー消費が向上する。
座る時は背筋を伸ばし、歩くときはあごを引いて胸を張るなど、日常的に姿勢を意識することが大切。デスクワークや座っている時間が多い場合は、姿勢を正しくする工夫がされたイスや立位でも使えるデスクの導入を検討するのもおすすめ。定期的に立ち上がって軽いストレッチをおこなうことも効果的。
50代ではとくに、長年の癖で悪い姿勢が定着してしまっている可能性がある。ヨガやピラティスなどの姿勢改善エクササイズを取り入れることで、柔軟性を高め、正しい姿勢を維持しやすくなる。

姿勢を改善するためにデスクワークの際、バランスボールに座るのも効果的です。腰椎にかかる負担を減らし、関節を適度に動かせます。さらに、脳機能の低下を防ぐ効果も期待できますよ。
毎日湯船に浸かる
毎日湯船に浸かることで筋肉の疲労回復を促進できる。入浴時間の目安は「10〜15分程度」。湯温は「38〜40度くらい」のぬるめがおすすめ。熱すぎるお湯は身体に負担をかけ、かえって疲労の原因になってしまう。
50代ではとくに血圧の変動に注意が必要。急激な温度変化は血圧の急上昇を招く可能性があるため、ゆっくりと湯船に浸かり、出る際も急激な動きは避けるようにしよう。
入浴後は水分補給を忘れずに。汗をかくことで失われた水分を補給することで、むくみの予防だけでなく血栓の予防にもなる。
50代のダイエットに関するQ&A
50代の肥満にはどんな健康リスクがある?
A:生活習慣病のリスクが高まる

肥満を放置すると生活習慣病のリスクが高まってしまいます。男性の場合はとくに内臓脂肪が蓄積されやすいので肥満と生活習慣病の関連が高いとされていますが、女性も影響がありますので、肥満の危険がある場合は早めに対策することがおすすめです。
50代から運動をはじめる際に気をつけることはある?
A:過剰な運動は避けるべきだが、しっかりと運動はおこなうこと。

50代になるとちょっと動いたら疲れを感じる人が多いです。疲れを感じるがゆえに運動をした気になってしまいますが、本来達成すべき運動量まで到達しない傾向にあります。推奨されているのは、週150分の運動です。
ウォーキングなどに取り組む人も多いですが、筋肉量が下がる年代ですので、できるだけ筋トレを重点的におこなうのが効果的です。ウォーキングは運動のきっかけ程度に捉え、筋トレをおこなう習慣をつけましょう。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。