
ジムに通いたいけど、「マシンを使ったトレーニングは抵抗がある」「腰が悪くてハードな運動ができない」という人におすすめしたいのがプールでの運動。
今回は、水泳ティーチャーのトモキンさんに「ダイエット効果の高い泳ぎ方」「歩くだけでもダイエット効果はあるのか」について聞いた。
さらにプールで泳ぐ際の頻度や時間、どのような持ち物を用意すればいいのかなど、気になるQ&Aも解説。
この記事の監修者
トモキンさん
スイムコーディネーター
トライアスロンコーチ
プールで泳ぐのはダイエットに効果がある?
ダイエットを目的とした場合、ある程度の負荷をかける必要はあるものの、ダイエットに効果のある運動方法の1つといえる。
水中では適度な圧力がかかるため、運動強度は高くなる。また、冷たい水に入ると、体温を上げようとしてカロリーを多く消費することができる。
引き締まったしなやかな身体を作るのにもプールで泳ぐのはおすすめ。
ただし、プールに体が慣れてくると、徐々に効果は出にくくなってしまう。そのため、適度にメニューや運動強度を変えて一定の負荷を与え続けよう。
ダイエットに効果的なプールでの泳ぎ方
まずは継続することが何よりも大切なので、基本的には自分が続けやすい泳ぎ方でOK。
ただし、泳ぎ方によって消費できるカロリーに差があるので、効率よく体重を落としたい人は参考にしてみて。
一番効果的なのはバタフライ
ある程度泳げる人の場合、もっとも効率よくカロリーを消費できるバタフライがおすすめ。全身を大きく使うことで、ほかの泳ぎ方よりも短時間でカロリーを消費してくれる。
ただし、バタフライで泳ぎ続けるとかなり疲れてしまうことや、やりすぎると腰を痛めやすいことから、慣れるまではバタフライとクロールを混ぜておこなうとよい。
25m程度なら泳げる人はクロール
バタフライは難しいが25m程度なら泳げるという人は、クロールで20分を目安にして泳いでみよう。
25mごとに目標のタイムを決めて、それよりも速く泳げたら残った時間を休憩にするやり方が、テンポよく進められて達成感もあるのでおすすめ。たとえば、25mを1分で泳ぐと決めて、50秒で泳げたら10秒休憩を取るといったイメージ。
バタフライにも共通するが、全力で泳いで心拍数を上げすぎると、負荷が大きすぎて疲れやすくなってしまう。
手首で10秒間脈を測ったときの脈拍数が22〜24回程度であれば、適切な負荷がかかって脂肪が燃えやすい状態となるので、1つの目安にしてみよう。
ビート板キック
あまり泳ぐのが得意ではない人におすすめなのがビート板キック。ビート板を持ち、脚を大きく動かすことを意識しながらキックを繰り返して進んでみよう。
腰痛があり顔を上げるのが辛い場合は、水に顔をつけたままでもOK。
脚は筋肉量が多く、水中でキックすることで多くのカロリーを消費できる。さらに、沈まないようにお腹に力を入れると体幹が鍛えられ、脂肪燃焼効果も高まる。
ダイエット目的の場合にプールで泳ぐ頻度や時間は?
プールに通う頻度は、ダイエット目的なら週3〜4回程度がおすすめ。泳ぐことに慣れていない人は週1〜2回から始めて少しずつ増やしていくとよい。
1回のプールで泳ぐ時間は、1時間か長くても1時間半までに留めよう。1時間未満だと少し運動量が足りず、1時間半以上だと体が冷えてしまう。
もっと長く泳げるという人でも、程よい疲れと楽しかったなという気持ちが残る程度にしておこう。
また、体が慣れてしまうとダイエット効果が出にくくなるため、一定の負荷をかけ続けられるように、定期的にメニューを見直すことも大切。
泳げない人はプールで歩くだけでも大丈夫?
プールでダイエットしたいけど泳げないという人は、水の中を歩くだけでもOK。ただし、歩くときのポイントがいくつか存在する。
ただ歩くだけでは効果が出にくい
水中では圧力がかかるため、普通に歩くだけでも一定のカロリーは消費できる。ただし、ゆっくり歩いているだけでは効果が出にくいため、ある程度負荷をかけながら歩くようにしよう。
動きを大きく、速くするとそれだけ水の抵抗が増えるため、負荷が大きくなる。具体的な動きとしては、手を前に出し腕を大きく動かす、太ももを上げる、体をねじりながら歩くなど。
歩き方にメリハリをつけて抵抗を大きくすることで、カロリーの消費量が増して体脂肪が燃焼しやすくなる。
歩く+ビート板を使った運動がおすすめ
水中ウォーキングだけでなく、ビート板を使った運動を取り入れるとよりダイエット効果が期待できる。
たとえば、お尻の下にビート板を敷いて、足を伸ばした状態で前に進む運動などがある。
泳ぐのが苦手な人は、以下のようなメニューを組んで、1回につき2〜3セットおこなうのがおすすめ。
- 水中ウォーキング10分 → ビート板キック10分 → 休憩2〜3分
- 水中ウォーキング50m → ビート板キック50m → 休憩2〜3分
- ビート板キック25m → ビート板運動10m → 休憩2〜3分
休憩を取る際は、プールから上がらず水中で軽く呼吸を整える程度にしておこう。
水中ウォーキングは単調な動きのため、どうしても飽きてしまいやすい。継続して続けられるように、自分が飽きずに楽しめそうなメニューを組んでみよう。
プールで泳ぐときの気になるQ&A
最後に、プールで泳ぐときの気になる疑問を紹介。プールに通う前にチェックしておこう。
泳ぐ前にやっておいた方がよいことは?
A:軽い運動やストレッチで代謝を上げやすくする

泳ぐ前には、腕立て、懸垂、腹筋などを5〜20回くらい(できる範囲でOK)おこない、筋肉に刺激をあたえましょう。そうすることで体内での酸素の循環が向上し、代謝が上がりやすくなります。プラスでストレッチをする場合は、動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)がおすすめです。肩を回して柔らかくする、胸郭を動かして呼吸をしやすくするなど、トレーニングの準備となるようなストレッチを2〜3分ほど取り入れてください。
トレーニング前後でおこなうストレッチ方法については、整体師の先生のアドバイスをもとに以下の記事で解説。部位別にわけて紹介しているのでチェックしてみて。
【部位別】ジムのストレッチ方法を解説!時間やトレーニング前後での効果の違いも紹介
ジムでのトレーニング前後はストレッチが大切 ジムのトレーニング前後に、ストレッチは欠かせない。トレーニング前と後ではそれぞれ目的や効果が変わってくる。 トレーニ.....
泳ぐ前の食事は控えた方がいい?
A:空腹は避けて、程よい量の食事をとる

水中ではいろんな動きをするため、食べ過ぎると気分が悪くなってしまうこともあります。ただし、空腹だとエネルギーが足りないので、程よい量に抑えましょう。またダイエットのためには、泳いだ後の食事の方が大事です。泳いだ直後は一時的に血糖値が下がるので甘いものが食べたくなりますが、せっかく消費したカロリーが無駄になってしまうので、なるべく我慢しましょう。プール後の食事は、甘いものや炭水化物を一気に食べることを避けて、まずスープで胃を温めてから、サラダやおかずなどを少しずつ食べるのがよいです。
プールと筋トレはどのように組み合わせるのがいい?
A:「筋トレ」→「プールで泳ぐ」の順番がおすすめ

筋肉に刺激を入れることで、酸素が体内を回りやすくなって代謝が上がり、疲れにくい身体を作ることができます。順番としては泳ぐ前に筋トレをするのがおすすめです。ジムのトレーニングマシンを使って筋トレをするのももちろんよいですが、着替えるのが面倒くさいという人は、プールサイドで腕立てや腹筋などを5〜20回くらいおこなうだけでもOK。
プール利用時の持ち物は?
絶対に必要なもの
- 水着
- キャップ
- ゴーグル
- タオル
- ドリンク
持っていくと便利なもの
- 耳栓(耳に水が入るのを防ぐ)
- 防水ポーチ(水着、ゴーグル、キャップなどをまとめて入れて持ち運べる)
- 曇り止めスプレー(ゴーグルの曇り防止)
- Garmin(消費カロリーや心拍数などのデータを記録できる)

水着は、競泳水着かフィットネス用スイムウェアがおすすめです。それ以外の水着も使用できますが、露出の多いものや金具のあるものは避けるようにしましょう。また、プールで泳いだ後は思った以上に水分が不足するので、ドリンクは必ず持っていきましょう。ポカリスエットやアクエリアスは市販のペットボトルのものだと糖分を取りすぎてしまうので、粉末を1/3くらいに薄めて飲むか、ミネラルウォーターがよいです。また、Garminなどの運動をモニタリングできるツールがあると、消費カロリーや運動時間をチェックできるので、モチベーションアップに役立ちます。
2歳半から水泳をはじめ、高校2年生で初めて全国大会に出場。22歳で現役を引退し、水泳インストラクターを多数経験。2020年にYouTubeで水泳専門チャンネル「トモキンスイミング教室」を開設。2021年にはYouTubeチャンネル(水泳部門)登録数が日本一になった。現在は初心者から上級者(トライアスリートマスターズ等)までのスイマーを指導。