
腹筋を鍛えることで、くびれのあるウエストや姿勢の改善や冷え性の改善など、実は女性にとって嬉しい効果がたくさんある。この記事では、女性の腹筋トレーニングについて、その効果や悩み別のおすすめメニューなどを紹介。自分の目標や悩みにあった腹筋の鍛え方を知ろう。
この記事の監修者

つむら みおさん
パーソナルトレーナー
女性が腹筋を割るための方法
腹筋を割る方法は男性と同様で、「体脂肪率を下げること」「腹筋の筋肉を肥大させること(筋肉量を増やすこと)」の2つが必要になる。腹筋はもともと割れた形をしているので、体脂肪率を下げることでより腹筋が割れて見えやすくなる。
体脂肪率を下げるためには、食事管理によって摂取エネルギー量が消費エネルギー量を下回るように調整したり、有酸素運動で脂肪を燃焼させたりする必要がある。

腹筋を鍛える際はインナーマッスルとアウターマッスル、両方にアプローチを加えることで腹筋のボリュームを出すことができます。
女性の腹筋トレーニングで得られる効果
- くびれのあるウエストが手に入る
- 姿勢が改善されて腰痛・肩こりが軽減
- 基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
- お腹周りの血行が促進され冷え性が改善
- 産後の骨盤のゆがみ矯正・腹部を引き締める
くびれのあるウエストが手に入る
腹部全体が引き締まるとくびれのある美しいウエストラインが見えやすくなる。また、体幹を意識したトレーニングを取り入れるとインナーマッスルが強化され、内側からウエストを引き締める効果がある。
ただし、腹斜筋と呼ばれるくびれの位置にある筋肉を鍛えすぎると、肥大してかえってお腹が太くがっしりとして見えてしまうことも。くびれを出したい場合は筋トレと合わせて食事管理や有酸素運動などを取り入れながら、まずは体脂肪を落とすことを意識しよう。
姿勢が改善されて腰痛・肩こりが軽減
腹筋を鍛えることで体幹が安定し、美しい姿勢をキープしやすくなる。デスクワークなどによる猫背や、「スマホ首」と呼ばれるスマートフォンの使用による首の前傾の改善も。また、姿勢が整うことで腰や肩にかかる負担が軽減され、慢性的な腰痛や肩こりも軽減する。
基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
腹筋を鍛える過程で筋肉量が増加すると、安静時でもより多くのエネルギーを消費しやすくなる。基礎代謝の向上によって、日常生活での脂肪燃焼効率も上がり、食事制限だけのダイエットと比べて自然と痩せやすい身体になっていく。

腹筋だけで基礎代謝を上げることは難しいですが、結果的に腹筋以外も動かすので基礎代謝が上がりやすくなります。
お腹周りの血行が促進され冷え性が改善
腹部の筋肉を動かすことでお腹周りの血行が促進され、冷えによる不調を改善できる。それだけでなく内臓の血行も促進され、代謝機能の正常化なども期待できる。
また、腹部もむくむことがあり、むくみによってお腹周りがぽっこりとして見えることも。腹筋運動で血行をよくすることで腹部のむくみも解消できる。

腹部周辺にむくみが出ることもありますが、腹筋トレーニングを継続的におこなうと血流が促進され、お腹周りのぽっちゃり感の解消ができます。
産後の骨盤のゆがみ矯正・腹部を引き締める
インナーマッスルを鍛えることで骨盤底筋群が強化され、産後の気になる体型のケアをサポートしてくれる。安全におこなえるように注意しながら、徐々に強度を上げていくのがおすすめ。
【ぽっこりお腹解消】女性の腹筋メニュー3選
- クランチ
- プランク
- レッグレイズ
クランチ
「クランチ」は上腹部の引き締め、インナーマッスルの強化ができる初心者向けのトレーニング。仰向けの状態から、肩甲骨が浮く程度まで上体を持ち上げることで、腹直筋にもアプローチできる。
手は耳の横に添え、首に力が入りすぎないよう注意し、ゆっくりとした動作でおこなおう。この際、上体を起こすときに息を吐き、戻すときに息を吸うことで、お腹の引き締め効果を高められる。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを90度に曲げて足を床につく
- 両手を頭の後ろで組み息を吐きながら、肩甲骨が床から離れる程度まで上体を起こす
- 息を吸いながらゆっくりと元の姿勢に戻す
プランク
「プランク」はお腹周りの引き締めと姿勢の改善に効果的なトレーニング。ひじと爪先で身体を支えて腹部を内側に引き込むように意識し、呼吸を止めずに一定のペースで続けるようにしよう。まずは20~30秒から始め、徐々に時間をのばそう。
<やり方>
- 床にうつ伏せになり、ひじを曲げて肩の下に置く
- つま先を立てて、かかとを後ろに伸ばす
- ひじとつま先で身体を支え、全体を一直線に上げる
- この姿勢を30秒~1分間キープする
レッグレイズ
「レッグレイズ」は下腹部のたるみ解消に効果的なトレーニング。仰向けの状態から両脚をゆっくりと上げ下げする動作で下腹部に意識を集中させ、腰が浮かないように注意しておこなおう。まずはひざを曲げた状態でおこない、慣れてきたら脚を伸ばしておこなうことで、段階的に強度を上げることができる。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを伸ばして足を揃える
- 腕は身体の横につけ、手のひらを床に向ける
- 息を吐きながら、両足をゆっくりと床から離し、垂直になるまで上げる
- 上げた状態を数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりと足を床に戻す
【くびれをつくる】女性の腹筋メニュー3選
- バイシクルクランチ
- ツイスティングクランチ
- サイドプランク

理想的なウエストラインを目指すなら、腹部だけでなく腰回りや胴回り全体の筋肉を意識的に鍛えることが大切です。お腹周りを引き締めながらヒップアップも同時におこなうことで、腹部とお尻にメリハリが生まれ、理想的なボディラインを作ることができます。
バイシクルクランチ
「バイシクルクランチ」は腹斜筋を刺激し、くびれを効果的に作り出すトレーニング。
仰向けの状態から、ゆっくりとしたテンポで自転車をこぐような動作をしながら、ひじと反対側のひざを交互にタッチする。床から肩が浮いた状態をキープすることで、腹直筋も同時にアプローチが可能。ひざを引き寄せる際は、腹筋全体を意識的に締めるようにしよう。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを曲げて足の裏を床につく
- 両手を頭の後ろに軽くあて、足を床から少し浮かせて、ひざを90度に曲げる
- 右のひじを左のひざに近づけるように上体をねじり、同時に右足を伸ばす
- 反対側も同様におこなう
ツイスティングクランチ
「ツイスティングクランチ」は腹部をひねる動作により、くびれを効果的に作り出すトレーニング。
上体を持ち上げながら左右にひねることで、腹斜筋の内側と外側の両方にアプローチできる。反動を使わず腹筋の力だけでゆっくりと動作をおこなうこと、ひねる方向の腹斜筋に意識を集中させておこなうのがポイント。
<やり方>
- 床に仰向けになり、両ひざを90度に曲げて足の裏を床につける
- 両手を頭の後ろで組み息を吐きながら、右ひじを左ひざに近づけるように上体をひねる
- ゆっくりと息を吸いながら、元の姿勢に戻る
- 反対側も同様におこなう
サイドプランク
「サイドプランク」は片ひじで身体を支えた状態をキープすることで、腹斜筋全体に刺激を与え、くびれを効果的に作り出すトレーニング。まずは15秒から20秒程度から始め、徐々に時間をのばしていくのがおすすめ。また、上側の腕を挙げておこなうことで、より負荷をかけられる。
<やり方>
- 床に横向きになり、ひじを曲げて肩の下に置く
- 上になっている足を下になっている足の上に重ねる
- ひじと足の側面で身体を支え、身体を一直線に上げる
- この姿勢を10秒~20秒間キープする
- 反対側も同様におこなう
【産後の引き締め】女性の腹筋メニュー2選
- ドローイン
- シットアップ

「キャットアンドドック」「お尻歩き」なども腹筋を鍛えながら、産後の歪みやすい骨盤を正しい位置に戻すのに役立ちます。
ドローイン
「ドローイン」はお腹を凹ませるようにへそを背中に近づける動きにより、インナーマッスル強化に効果的なトレーニング。内臓の下垂防止にも効果が期待できる。仰向け、四つ這い、座位など、様々な姿勢でできるのも魅力。
<やり方>
- 身体の力を抜き、リラックスした状態になる
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませる
- 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませる
- お腹をへこませた状態を10秒キープする
シットアップ
「シットアップ」は腹直筋全体に刺激を与えることで、お腹周りの引き締め効果を実感しやすいトレーニング。
ひざを立てた状態から開始し、上半身を30度程度起こすことで腰への負担を軽減できる。また、呼吸を止めずにスムーズにおこなうことで、腹圧のコントロールと腹筋に集中できる。動作中は首に力を入れすぎず、あごを軽く引いた状態を保つようにするのがおすすめ。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを立てて足の裏を床につける
- 両手を胸の前で組む
- 息を吐きながら、おへそを覗き込むように上体を起こす
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の姿勢に戻す
女性が腹筋トレーニングする際の注意点
- 運動後は十分な休息をとる
- 正しいフォームでおこなう
- 体調に合わせてトレーニング強度を調整する
運動後は十分な休息をとる
腹筋トレーニング後の48時間以上の休息時間を設け、筋肉の回復と成長を促そう。休息中は軽いストレッチやウォーキングなどをおこなうと、血行が促進され回復が早まることも。質のよい睡眠も効果的。
正しいフォームでおこなう
目的の筋肉に効果的にアプローチするには、正しいフォームを意識することが重要。回数をこなそうと無理に続けるのではなく、フォーム重視でおこなおう。

腹筋トレーニングでは、他の部位を使って無理に身体を動かすことは避けましょう。とくに、腕で身体を引っ張り上げたり、脚に反動をつけたりする人が多いです。腹筋の力だけで動作をコントロールすることで、より効果的な筋力強化を実現できます。
体調に合わせてトレーニング強度を調整する
女性特有の体調不良など体調が優れない日は無理にトレーニングをおこなわず、軽いストレッチやウォーキングに切り替えるのも大切。もしトレーニング中に違和感や痛みを感じた場合は体調を最優先にし、直ちに中断しよう。

きつい腹筋運動を無理しておこなうのではなく、「ワイパー」や片脚の「レッグレイズ」、「レッグスイッチ」など、筋肉を伸ばしながら鍛えられる運動を取り入れるのもおすすめです。体調に合わせて運動強度を調整することで、無理なくトレーニングを継続できます。
女性の腹筋トレーニングに関するQ&A
どのくらいで身体に変化がみられるようになる?
A:約1週間で腹筋に力が入る感覚を実感できる

一般的に約1週間で腹筋に力が入る感覚を実感でき、約3ヶ月でお腹周りがすっきりとした印象に変化します。腹筋の見た目の変化は、目指すべき理想の体型によって大きく異なります。分厚い腹筋がいいのか、薄く引き締まった腹筋がいいのかで、トレーニング内容や必要期間が変わってきます。
生理中は腹筋運動を避けるべき?
A:できれば避けた方がいい

生理中の運動は体調や体力に余裕があっても、お腹周りに負荷がかかる腹筋運動は避けることをおすすめします。完全に禁止というわけではありませんが、体調管理を最優先に考えましょう。負荷のかかる動作や力む動作を控えめにすることで、安全に運動を続けられます。
産後どのくらいから腹筋トレーニングしても大丈夫?
A:最低でも出産から2ヶ月以降

産後の腹筋トレーニングは、早くても出産から2ヶ月以降に開始することをおすすめします。ただし、これはあくまでも目安であり、個人の回復状態によって開始時期は異なります。必ず医師に相談し、体調を見ながら慎重に始めることが大切です。
脂肪がつきやすい40~50代女性のトレーニングで大事なことは?
A:インナーマッスルから鍛える

40〜50代は更年期の影響で内臓脂肪が蓄積されやすい時期です。腹筋トレーニングだけでなく有酸素運動と食事管理を組み合わせることで、より効果的な体型改善が期待できます。また、インナーマッスルを優先的に鍛えることで、運動効果を高めながらケガのリスクを軽減できます。
女性が腹筋ローラーを使う時の注意点は?
A:女性は一般的に握力が弱い傾向にあるため適切な握り方が重要

女性は男性に比べて握力が弱い傾向にあるため、腹筋ローラーを使用する際はとくに注意が必要です。握力不足による怪我を防ぐためハンドルの握り方をしっかり確認し、無理のない範囲での反復運動を心がけましょう。
ハーティネス株式会社代表
フィットネス勤務から独立し、現在はダイエット迷子に正しい知識を伝えるためのオンライングループレッスン運営中。
コンプレックスを強みに変える!ボディメイク運動指導やリバウンドなしで、理想の体を手に入れる食事指導をおこなっている。
2チャンネル目となるYouTube「みおGYM」にて週2回エクササイズ配信中
著書4冊/各種雑誌、テレビ出演
JBBF 日本ボディビル・フィットネス連盟 2年連続優勝経験を持つ