
ジムに入会をしたけれど「効果を出すためには週に何回を目安に通えばいいのか」「どのくらいの時間運動したらいいか」など、ジムへ通う頻度や滞在時間で悩んでしまう人も多いのでは。
今回は、会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」最高技術責任者の中野ジェームズ修一さんに「目的別の頻度の目安」や「滞在時間の目安」、「頻度に合わせたトレーニング方法」について話を伺った。
目安を参考に「無理をしすぎず、気持ちよく運動が続けられる」ルーティンを見つけてみて。
この記事の監修者
中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
ジムに通う頻度やトレーニング時間について
まずは、ジムに通う頻度について、目的別の頻度の目安や、頻度の決め方などを詳しく伺った。
絶対の目安はないので自分にあった時間を見つけることが大切
ライフスタイルが多様化されたことで、週に通える回数やトレーニングできる時間は人によって大きく異なる。そのため、絶対にこれくらいはやったほうがいいという目安を無理に決めなくてもOK。
絶対に週3回以上はジムに通うというふうに考えてしまうとそれがプレッシャーになり、逆に続かなくなることも…。
「土日は朝から身体を動かそう」「仕事終わりの気分転換に運動しよう」など、自分の中で気持ちよく運動ができるルーティンを作ることを目指してみよう。
無理のない範囲で継続していくことが、結果的に目標達成の近道になる。
健康目的の場合は週に150分程度を目安に
WHOでは1週間で150分の運動を推奨しているので、週に150時間を1つの目安にするとよい。
普段運動する習慣がない人の場合、週1回から慣らしていくのがおすすめ。まずは筋肉量を増やして、少しずつ運動する時間を長くしていくことが大切。
必要な運動時間がわかっていると、運動ができる日数に応じて1回の目安時間を決めやすくなる。1日30分を5日で150分(1回1時間だと週2~3回)なので、達成できるように日数や時間を決めていこう。
自分の中で基準がないと「どれくらい運動すればいいのかわからない」ので、モチベーション低下にもつながる。
筋肉を大きくしたい場合は週3回前後が目安
筋肉を発達させて、身体を大きくしたい方は週3回前後が1つの目安。ただし、週に2回くらいしか通えない人は、1回あたりのトレーニング種目を増やしてみるなど、通える回数をベースにメニューを設定しよう。
逆にそこまでがっつりと追い込まない場合は、1回のトレーニング時間は短めにして、週に5回は通ってみようなど、ジム通いを習慣化するのもおすすめ。
また「今日は上半身だけやったから明日は下半身をやってみよう」というように決めていくのも、続けて通いやすくなるコツの1つ。
しっかりと追い込んだあとは適度に休ませることが大切
筋トレで身体を追い込むと、筋肉はエネルギーを消耗して筋線維がダメージを受けた状態になる。筋肉を休めることでダメージが回復し、トレーニング前よりも筋肉が成長して体力もつく。
ダメージが回復しきらないタイミングで同じ部位を鍛えると負荷がかかるので、同じ部位のトレーニングは2~3日あける。
筋肉痛がなくなったから完全に回復したとは判断できないものの、だいたいのトレーニングの場合、48時間~72時間くらい休ませれば回復するとされている。
ダイエット・身体を絞りたい場合は週3〜4回が目安
基礎代謝を上げるためにトレーニングをするのであれば、週3回〜4回が目安。
体脂肪を減らすために有酸素運動をメインでおこなう場合は、週5回でもOK。うち週3日は筋トレ後に有酸素運動をすると、効率よく脂肪燃焼ができる。
筋トレを先にすることで代謝が高まり、脂肪燃焼効率を上げてくれる。
また1つの種目だけでなく、複数の種目をバランスよくおこなうことで、基礎代謝や心肺機能を高めることができるので、運動初心者の人にはとくにおすすめ。
ジムでの滞在時間の目安は
続いては、ジムでの運動時間の目安をご紹介。
筋トレの場合は20分~50分ほど
筋トレ自体の目安は20分~50分ほど。
必ずしも時間を目安にする必要はないので、回数を目安にする場合、筋トレがメインなら、10回2~3setを目安に4種目くらいから挑戦してみよう。
1時間にできる種目数は7種目くらいが限界。
筋トレ前にはウォームアップや動的ストレッチ、筋トレ後は静的ストレッチを忘れずに。
筋トレ+有酸素運動の場合は60~90分ほど
筋トレを20分~40分、有酸素は30分~40分、筋トレ前のウォームアップや動的ストレッチを5分~10分、筋トレ後の静的ストレッチを5~10分ほど目安におこなう。
筋肉を増やしたいなら筋トレ、ダイエットしたいなら有酸素の割合を増やすのがおすすめ。
【モデルケース別】ジムに通える頻度に合わせたトレーニング方法
ジムに通える回数や目的、運動経験に合わせたおすすめのトレーニング方法を中野さんに教えてもらった。
モデル1人目
Reinaさん
20代後半 女性
運動不足の解消と、コロナ化で増えてしまった体重を減らしたいです。
Q;お悩み・解消したいこと
A:運動不足の解消、減量
Q;ジムに通える回数と1回あたりの時間は?
A:週2回、1回あたり1時間ほど
Q;ここ数年以内でジムに通った経験はある?
A:2年前に半年程度通っていました
Q;普段、ウォーキングや腹筋など自分で運動をする?
A:ほとんどしません
Q;今抱えている身体の痛みはありますか?
A:とくにないです

週2回はジムに通えそうなので筋トレをメインでおこないましょう。筋肉量アップが基礎代謝アップにもつながりリバウンドなく減量できます。有酸素運動もおこなうとより効果的です。ステップエクササイズ(踏み台昇降運動)だと家でもできるのでおすすめです。ランニングとほぼ同じ消費カロリーがあり、下肢の大筋群の筋量アップにもなります。
モデル2人目
aoiさん
30代後半 女性
年齢的にたるみが目立ってきやすい二の腕・脇腹・腹部など上半身をスッキリさせたいです。どういった順序でしていくと1番効果的なのか知りたいと思っています。
Q;ジムに通える回数と1回あたりの時間は?
A:ジムには週に3回ほど通えます。1回あたり1~2時間ほど
Q;ここ数年以内でジムに通った経験はある?
A:約半年ジムに通っています
Q;普段、ウォーキングや腹筋など自分で運動をする?
A:寝る前にたまに腹筋・背筋をするくらいです
Q;今抱えている身体の痛みはありますか?
A:5歳の子どもを抱っこしているせいか、時々腰が痛くなります

まず上半身をスッキリさせたいということでメニューが上半身寄りになっているかもしれないです。しかし大筋群と言われる脚・臀部・背部・胸部・肩などの大筋群を鍛えたほうが基礎代謝もアップして気になる部位を含めた全身の体脂肪が燃焼しやすくなります。最初の半年ぐらいは大筋群をメインでトレーニングして変化が現れてきたら気になる部位のトレーニングを追加していくとよいでしょう。
モデル3人目
かのちーさん
50代前半 女性
全体的に痩せて身体を絞りたい、とくに下半身の筋肉をつけたいです。
Q;ジムに通える回数と1回あたりの時間は?
A:週1,2回、一回1時間~1時間半
Q;ここ数年以内でジムに通った経験はある?
A:8年前にヨガ教室以降はジムに通っていません
Q;普段、ウォーキングや腹筋など自分で運動をする?
A:とくにしていません
Q;今抱えている身体の痛みはありますか?
A:腰が痛くなることがある

運動をしないと20歳を過ぎて年約1%ずつの下半身のみの筋肉量が低下します。結果脚を含めた全身に脂肪がつきやすくなった可能性があります。筋肉の合成反応が低下しやすい年齢にもなってきています。有酸素運動の量が多すぎると思ったように筋肉が出来ないので、最初の半年は下肢を中心とした筋トレのみをメインでおこないましょう。徐々に筋肉量が増えてきたら、有酸素運動も少しずつ取り入れると運動のバランスが良くなります。もちろんタンパク質の摂取も意識しましょう。
ジムに通う頻度や時間に関するQ&A
最後に「トレーニングをおこない過ぎた場合」や「ジムに通える頻度が少ない場合」について中野ジェームズ修一さんに伺った。
Q:目安時間以上にトレーニングをするとどうなる?
A:長時間やりすぎると身体を痛めてしまうおそれも

長時間トレーニングし続けることで最悪の場合、筋や関節を痛めるおそれもあります。運動は継続することで効果が出るので、無理のない時間でおこなうようにしましょう。
一般的には30~45分くらいを目安に。「もうちょっとやりたかったな」と思える時間で継続していくことを目標にするのがおすすめです。
Q:ジムに通える回数が少ない人はどうしたらいい?
A:種目数を増やして効率のよいトレーニングを

たとえば週1回のトレーニングで身体を作っていこうと思うと、種目数を増やしてしっかりと追い込む必要があります。
しっかりと負荷をかけて、効率よくトレーニングできるメニューを組むことが大事です。有酸素運動もウォーキングではなくランニングなど、運動強度の高いものを取り入れましょう。
ただし、1回でかなりの種目をこなすのはかなりきついので、できるだけジムに通える回数を増やす工夫をするのがおすすめです。
Q:毎日ジムでトレーニングしても問題ない?
A:激しく追い込んだあとは身体を休ませよう

筋トレで激しく追い込んだ場合は、筋肉が回復する時間を確保するために、同じ部位は連日トレーニングしないようにしましょう。
なるべく多く通いたいなら部位を細かく分け、前日に鍛えた部分を休ませながら、他の部位を鍛えるのがポイントです。
また、運動習慣をつけるという意味ではジムに通う回数を多くするのはおすすめです。仕事終わりはジムに通うなど、自分なりのルーティンを作ることで、継続しやすくなります。
Q:ジムに行かない日にしておくべきことは?
A:ストレッチやバランスのよい食事を

ストレッチをして緊張状態となった筋肉を和らげることができます。1つの部位につき20~30秒ほどを目安にしてみてください。
筋肉の補修やエネルギー補給という観点でバランスのよい食事を摂ることも大切です。筋肉を作る材料となるタンパク質、それを作る役割を担う糖質。どちらもかけてもうまく機能しません。
また、それ以外の栄養素もバランスよく摂ることが大切なので、一汁三菜を1日3食きっちりと食べることをできるだけ意識してみてください。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。