
数あるダイエットの中でも、高い効果が期待できると注目されているジョギング。ランニングに比べて負荷が軽く、ウォーキングよりも効果が得やすいことから、運動初心者でも始めやすいのが魅力。
この記事では、ジョギングのおもな効果やウォーキング、ランニングとの違い、正しいジョギングの方法、最適な頻度を詳しく解説。初心者にぴったりの「スロージョギング」や、運動を続けるためのコツも紹介するので、これから運動習慣を身につけたいと考えている方はぜひ参考にしてみて。
この記事の監修者
中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
ダイエットにもおすすめ!ジョギングの主な効果
ジョギングはダイエット効果が高い運動として知られているが、具体的にどのような効果があるのだろうか。まずは、ジョギングに期待できるおもな効果をみてみよう。
- 基礎代謝が向上して痩せやすい身体に
- 心肺機能が高まり運動能力が向上
- ストレス解消に役立ち、心の健康を保ちやすい
- 質のよい睡眠が取りやすくなる
- 生活習慣病のリスク軽減につながる
- 脳が活性化して仕事や勉強の効率が上がりやすくなる

ジョギングは健康にとって多くのメリットがあります。上記以外でいうと、骨密度の上昇による将来的な骨粗しょう症リスクの低減や、全身の筋力アップによる疲労感の軽減なども、ジョギングに期待できる効果の1つです。また、女性の場合はヒップアップ効果もよく注目されています。
基礎代謝が向上して痩せやすい身体に
ジョギングをおこなうことで全身の筋肉を使える。とくに体重を支える太ももやお尻などの下半身の筋肉は身体の筋肉の中でも大きく、筋肉量が増えやすい。ジョギングによって効率的に筋肉量を増やすことでエネルギー消費量が高まり、痩せやすい身体になる。
ただし、筋肉量を増やして痩せやすい身体をつくるためには筋トレで直接筋肉に負荷をかけることが大切。ダイエットのためにジョギングを取り入れたい場合は、同時に筋トレもおこなうことを視野に入れよう。
心肺機能が高まり運動能力が向上
ジョギングは心肺機能を高めるのに役立つといわれている。ジョギングを続けていくことで同じペースで走り続けても息切れしにくくなるほか、階段の上り下りや長時間の歩行など日常動作が楽にこなせるようになる。
また、血液循環がよくなると筋肉の栄養供給がスムーズにおこなわれ、運動後の回復力もアップ。心拍数も安定しやすくなり、より長い時間トレーニングを続けられるようになる。
ストレス解消に役立ち、心の健康を保ちやすい
ジョギング中に分泌される「エンドルフィン」や「セロトニン」などのホルモンには、ストレスを和らげたり、気分をリフレッシュしたりする効果が期待できる。とくに自然の中で走ると新鮮な空気や美しい景色に触れることができ、メンタルヘルスにもよい影響があるといわれている。
また、運動による達成感や充実感は自己肯定感を高め、ダイエットへの意欲にもつながる。コミュニティやサークルを通してジョギング仲間と交流すれば社会的なつながりもでき、心の安定感も得られやすくなる。
質のよい睡眠が取りやすくなる
ジョギングをすると適度な疲れが感じられ、自然な眠気によって睡眠の質が高まる。さらに、運動で体温が上がる機会を作ると、体内時計が整って規則正しい睡眠習慣が身につきやすくなる。
睡眠の質が上がり、深い眠りが増えると、成長ホルモンの分泌がしやすくなる。筋肉の回復や細胞の再生がスムーズにおこなわれるほか、脂肪を分解する役割もあるのでダイエット中はとくに意識しよう。
生活習慣病のリスク軽減につながる
定期的なジョギングは血糖値を安定させ、糖尿病の予防にもつながる。また、心臓に適度な負荷がかかることで血流がよくなると、高血圧や動脈硬化のリスク軽減も期待できる。
そのほか、ジョギングによって脂肪燃焼が促進されることで、「内臓脂肪が減る」「血中コレステロール値が改善した」などの報告も。適度な運動は骨密度の上昇による将来的な骨粗しょう症リスクの低減にも役立つ。
脳が活性化して仕事や勉強の効率が上がりやすくなる
ジョギングによって身体の血流がよくなると、脳にも酸素がしっかり行き届くようになり、集中力や記憶力が高まるといわれている。その結果、思考がクリアになり、判断力もアップ。仕事やトレーニングの効率がより一層よくなる効果が期待できる。
さらに、運動はネガティブな気分を発散させたり、心身をリフレッシュさせたりしたいときにも有効。1日15分程度の運動を続けるだけでも、精神的な疲れは和らぐ。仕事や勉強で疲れたときこそ、積極的に身体を動かしてみて。

最近の研究では、脳の活性化には高強度の運動より適度な強度の運動の方が脳によいといわれています。ジョギングは脳の活性化や認知機能の維持・向上が期待されています。
ウォーキングやランニングとの効果の違い
ジョギングと並び、代表的な有酸素運動として知られるのがウォーキングとランニング。どれも似たような効果が期待できると思われがちだが、実は消費カロリーや身体への負担はそれぞれ異なる。
- 消費カロリーの違い
- 身体への負担の違い

ダイエットが目的の場合、ジョギングからランニングに切り替える必要は必ずしもありません。重要なのは、自分に合った運動を継続的におこなうことです。走るスピードは体脂肪の燃焼量の増加に大きく起因しないため、ゆっくりしたペースでも継続的に運動をすればダイエット効果は十分期待できます。
消費カロリーの違い
ウォーキング、ジョギング、ランニングでは、消費カロリーが異なる。
たとえば、時速4kmのウォーキングでは30分で約100kcal消費できるのに対し、時速8kmのジョギングでは約230kcalのエネルギー消費が可能。身体を動かす時間は同じでも、倍以上のカロリー消費が期待できる。
なお、時速12kmでランニングした場合は、30分間で約350kcalのエネルギーを消費できるが、ウォーキングやジョギングに比べて負荷が大きく、続けられない人も多い。ウォーキングの2倍以上のカロリーを消費しつつ、ランニングほどの負荷をかけずに続けやすいという点は、ジョギングの大きなメリット。
また、ジョギングは運動後の余剰消費効果も高い。余剰運動効果とは、運動後にカロリー消費がしばらく続く現象を指し、EPOC(運動後過剰酸素消費量)とも呼ばれている。カロリーを効率よく消費するなら適度に息があがり、長く続けられるものを選ぼう。
身体への負担の違い
ウォーキングは関節にかかる衝撃が体重の1.5倍ほどだが、ジョギングは3~4倍、ランニングは5~7倍の負荷がかかる。また、ランニングは着地の衝撃や体力の消耗が大きいため、十分な休憩が欠かせない。
一方、ウォーキングは負担こそ少ないが、そのぶん筋力アップやダイエットのためには長時間おこなう必要がある。
その点、ジョギングはウォーキングより高い運動効果を得られつつ、ランニングほどの負荷を避けられるちょうどよい運動。ひざや足首への負担も少なく、運動初心者や高齢者、体重が重い人にはとくにおすすめなので、無理のない範囲でおこなおう。
効果を感じられるジョギングの正しいやり方
- 走る前後にストレッチをする
- スピードよりも正しいフォームを重視する
- 心拍数を意識しながら走る
走る前後にストレッチをする
ジョギングの前には動的ストレッチを、終了後は静的ストレッチをおこなうと、より健康的にトレーニングできる。
動的ストレッチは足を大きく振り上げたり身体をひねったり、全身を動かしながらおこなうストレッチ。筋肉や関節を温めて一時的に可動域を広げる効果があるため、運動パフォーマンスの向上やケガのリスク減少に役立つ。
一方、静的ストレッチとは、特定の筋肉を一定時間伸ばすストレッチで、運動後の疲労回復や筋肉の緊張緩和、柔軟性向上などの効果が期待できる。
ジョギングの効果を十分に引き出すには、ストレッチの種類やタイミングをうまく使い分けることが大切。運動前後はストレッチの習慣をつけて、より快適にトレーニングをおこなおう。
スピードよりも正しいフォームを重視する
ジョギングをするときは、自然なフォームをしっかり保つとケガをしにくくなり、運動の効果もアップする。
目線を下に下げないようにして、10m先を見るのがポイント。着地の際は中足部から地面につき、足全体でしっかり地面をとらえつつ、つま先で蹴り出すこと。腕の振りと足の動きをタイミングよく連動させると、全身の筋肉をバランスよく使える。
とくに運動初心者の人は、いきなり速く走ろうとせずに、正しいフォームを維持できるスピードから始めるのがポイント。ケガを防ぐためにも、フォームが崩れてきたらすぐにペースを落として修正しよう。
心拍数を意識しながら走る
ジョギングの強度を心拍数によって決めると、オーバーワークを避けつつ、効率よくエネルギーを消費しやすくなる。
脂肪燃焼に最適な心拍数は、最大心拍数の60~70%程度が目安。年齢に応じた最大心拍数は220から年齢を引くと目安が求められるので、まずは自分の最大心拍数を確認しておこう。
適切な運動強度は、会話ができるかできないかくらいの息遣いを保ちながら走るとキープできる。ジョギング中に心拍数が上がりすぎたときは、ウォーキングに切り替えて調整するのも1つの方法。心拍数をしっかり管理して、常に同じペースで走れる身体を目指してみよう。
ジョギングの最適な「時間」「頻度」「時間帯」
- 週に2〜3回を目安に継続する
- 継続しやすい時間帯に取り組んでOK
週に2〜3回を目安に継続する
WHOの基準によると、理想的な運動量は週に150分程度。
たとえば、週に2回30分のジョギングをして、残りの90分は筋トレに使うようにすると、効率よく身体づくりができる。とくに、運動を始めたばかりの人は、筋肉や関節にかかる負担を考えて、1日おきに運動するのがおすすめ。休養日を設けると筋肉の回復が促され、ケガのリスク軽減にもつながる。
週末に2回、平日に1回など、自分のライフスタイルに合った運動計画を立てるのが、無理なくジョギングを続けるコツ。毎日のジョギングは疲労により効果がしっかりと発揮できない可能性もあるため、適度に休みを取り入れることが大切。
継続しやすい時間帯に取り組んでOK
ジョギングは自分の生活リズムや体調に応じた時間帯を選んでおこなうのが、長続きの秘訣。朝型の人は、心身ともに余裕がある朝の時間を使って運動するのがおすすめ。朝にジョギングすると1日を通して代謝が上がり、仕事や勉強に集中しやすくなる。
一方、夜型の人は、仕事が終わったあとの夕方以降に運動すると、ストレスなく続けられる。
1日活動した後の運動はケガのリスクが少なく、ストレス解消にもぴったり。時間帯ごとに違ったメリットがあるため、まずは自分に合った運動時間を見つけることから始めよう。季節ごとの気温の変化も考えて、快適に運動できるタイミングを探してみよう。
運動初心者なら「スロージョギング」もおすすめ
高齢者やこどもにもおすすめできるジョギングだが、普段あまり運動しない人にとっては負荷が大きく感じられ、続けられないケースも。そんなときに試してほしいのが、「スロージョギング」。
「スロージョギング」はその名の通り、時速6km前後のゆったりしたペースで走るジョギングで、ひざや足首の負担を減らしつつ、有酸素運動の効果を得ることができるのが特徴。ペースは会話しながら走れるくらいであればよく、運動を無理なく習慣化したい人におすすめ。
とくに、しばらく運動をしていなかった人や体重増加が気になる人には、スロージョギングがぴったり。スピードより持続時間を重視すると、徐々に体力・筋力を向上しやすく、最終的には通常のジョギングにも挑戦できるようになる。正しい走り方を身につけて、ジョギングの効果を十分味方につけよう。

スロージョギングはゆるやかに運動強度を上げられるため、「ウォーキングはできるけれど、通常のジョギングは少し不安」という人にもおすすめです。
ウォーキングのみの場合、筋肉量の増加や消費カロリーは限られるため、減量効果を得るには工夫が必要です。対して、少しスピードを上げた「スロージョギング」は運動が苦手な人でも心拍数を上げやすく、より多くのエネルギーを消費できます。
ジョギングを継続するためのコツ
ジョギングに限らず、運動は継続がとても大切。続けるうちに筋肉がしっかり育ち、痩せやすく太りにくい体質を目指せる。
- モチベーション維持のために目標を決める
- ジョギングの記録をつけて成果を可視化する
- ジョギング仲間と出会いお互いに刺激しあう
- 雨などの天候に左右されない環境を作る
モチベーション維持のために目標を決める
ジョギングのやる気を維持するには、目標を具体的に設定するのが効果的。3ヶ月後の体重や体脂肪率、走った距離など数値で目標を決めると、ダイエットのモチベーションは自然と高まりやすい。
また、大きな目標だけでなく、「週に〇回走る」など小さな目標を段階的に設定するのもおすすめ。毎月の目標を細かく決めて、達成したら自分にご褒美を用意すると、毎日楽しみながら続けられる。
ジョギングの記録をつけて成果を可視化する
スマートフォンのアプリやスポーツウォッチを使って、走った距離やペース、消費カロリーをしっかり記録するのも、モチベーション維持におすすめ。成果を可視化すると自分の成長が客観的に見やすくなるほか、普段気づかない小さな変化も見逃しづらくなる。
また、ダイエットをする際は体重や体脂肪率も定期的に測っておくと、健康面での変化を実感しやすい。効率的なペース配分や理想的なコース選びの参考にもなるので、ぜひ積極的に取り入れてみよう。
ジョギング仲間と出会いお互いに刺激しあう
決まった時間に集まって一緒にジョギングしたり、おすすめのトレーニング法などを共有しあったり、お互いに刺激し合える仲間がいると運動を続ける習慣も身につきやすい。
また、初心者から上級者までさまざまなレベルの人と交流すれば、新しい知識やスキルも自然と学びやすくなる。
より気軽に仲間と交流したいときは、SNSを使ったオンラインコミュニティもおすすめ。ランニングサークルやジョギングコミュニティには積極的に参加して、同じ目標を持つ仲間と出会えるチャンスを広げよう。
雨などの天候に左右されない環境を作る
梅雨時や台風が多い季節は思うようにジョギングができないことも多いが、運動しない日が続くと運動習慣はどうしても抜けてしまいがち。
運動のモチベーションを下げないためには、室内でもトレーニングできる環境を整えておくことが大切。フィットネスジムのランニングマシンや室内トラックなど、天候に左右されない運動方法を見つけておこう。
室内でのトレーニングが難しい場合は、軽い雨程度なら運動できるよう、雨の日用のウェアやシューズを準備してもよい。また、省スペースでできるストレッチや筋トレなど、雨の日専用のトレーニングメニューを作っておくのもおすすめ。雨だからと気分を落とさず、前向きな気持ちで取り組もう。

ルームランナーやジョギングマシンなどのトレッドミルを活用する場合、約1.5%の傾斜をつけると屋外のジョギングと同じくらいの負荷が得られます。ただし、転倒や走りにくさが気になる場合は、ウォーキングのペースで6~7%の傾斜をつけておこなっても構いません。目的な快適さに合わせて、より最適な傾斜になるよう調整しましょう。
ジョギングに関するよくあるQ&A
ダイエット効果が出るまでには、どのくらいかかる?
A:個人差はあるが、約3ヶ月で実感できる場合が多い。

ジョギングによるダイエット効果を実感するには、約3ヶ月かかります。ただし、これは個人の走る距離や頻度によって変わるため、一概にはいえません。ジョギングの効果をしっかり出すためには、スピードよりも距離と頻度を重視しておこなうのがポイントです。とくに頻度はとても大切なので、無理のない範囲で定期的に実践しましょう。
外で走れない日に家出できる代替トレーニングはある?
A:踏み台昇降やエアロバイクがおすすめ

外でジョギングができないときは、「踏み台昇降」がおすすめです。踏み台昇降は自宅で簡単にできる有酸素運動で、ジョギングとほぼ同じような有酸素運動の効果が期待できます。また、エアロバイクも天気に関係なく続けられるため、プロのアスリートたちが雨の日のトレーニングに取り入れることも多い運動です。
ジョギングをおこなう日の食事のタイミングはいつがベスト?
A:糖質を効率的に使うなら、食後1時間~1時間半程度がよい。

ジョギング時の食事のタイミングは、体調や消化具合によって変わります。快適に走れるよう、お腹の痛みや不快感がないタイミングを見つけましょう。
なお、食事から摂取した糖質を効率よく使うことを考えると、ジョギングは食後1時間~1時間半くらいにおこなうのが理想的です。この時間帯は血糖値が上がりやすいため、ジョギングをすると糖質をしっかり消費できます。とくに食べすぎたときは食後1時間後を目安にジョギングを始めると、余分な糖質を溜め込みにくくなります。
筋トレと組み合わせるときの順番はどうする?
A:時間がある時は「筋トレ→ジョギング」の順番でおこなう。

減量目的の場合は筋トレをしてからジョギングをすると、ダイエットの効果がより得られやすくなります。ただし、有酸素運動には筋肉を分解する働きもあるため、時間がないときや筋肉をしっかりとつけたい場合は、筋トレとジョギングは別の日におこなうのがおすすめです。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。