
きついけど最強といわれる「シシースクワット」は、通常のスクワットよりも負荷が高く、筋力アップや体幹を鍛えるのに効果的。本記事では「シシースクワット」で鍛えられる部位や効果、正しいやり方、効果を高めるコツを詳しく紹介。通常のスクワットでは物足りなくなってきた人は、ぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
「シシースクワット」で鍛えられる部位は?
・腹筋
「シシースクワット」は、おもに「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」を鍛えるトレーニングであり、腹筋にもアプローチすることができる。
これらの筋肉群を均等に鍛えることで、バランスの取れた身体づくりや、健康的な身体機能の維持に役立つ。
また、大腿四頭筋を鍛えると、日常生活での動作を改善し、基礎代謝を向上させることができる。結果として、ダイエット効果が期待できる。
「シシースクワット」は最強?「通常のスクワット」との違い
「シシースクワット」は、通常のスクワットと比べて、大腿四頭筋にかかる負荷がより多く、身体のバランス維持が必要となるため、体幹も鍛えられる。そのため、自重のみで高い効果を得ることが可能で、自宅トレーニングにも最適。
さらに、「シシースクワット」はバランス感覚を鍛えることもできるので、運動機能の向上も期待できる。ただし「通常のスクワット」よりもひざへの負担が大きく、多くの負荷が大腿四頭筋にかかる。ひざをケガした経験がある人は取り組む際に注意しよう。
「シシースクワット」の3つの効果
太ももや体幹を鍛えられる「シシースクワット」だが、続けることで以下3つの効果が期待できる。おさらい部分もあるが、トレーニング前に改めてチェックしておこう。
・基礎代謝の向上
・体幹が鍛えられる
筋肉量アップ
「シシースクワット」は、大腿四頭筋などの大きな筋肉群を鍛えられることから、筋肉量の増加に直結しやすいトレーニング。
筋肉量が増加すると持久力も向上し、日常生活で身体を楽に動かせるようになったり、疲れにくくなったりなど、多くのメリットがある。
基礎代謝の向上
「シシースクワット」は大腿四頭筋の筋力アップに特化したトレーニングであるため、基礎代謝の向上にも効果的。基礎代謝が上がれば、その分消費カロリー量を増やすことができるため、太りにくく痩せやすい身体をつくることができる。
また、基礎代謝が上がることで、血行が促進されて体温も上がりやすくなり、肩こりや腰痛の軽減、冷え性の改善などの効果も期待できる。
しかし、「シシースクワット」は難易度が高く、トレーニング初心者にはおすすめできない。この種目はひざへの負担が大きく、正しいフォームでおこなわないとひざを悪化させるリスクがある。
また、筋肉量が増えることで体重も増加するため、純粋に体重だけを減らしたいと考えている人にとっては目的に合わない場合も。
体幹が鍛えられる
「スクワット」は下半身を鍛えるイメージが強いが、身体を正しい姿勢でキープすることで腹筋に効かせることができる。上下の動きによってインナーマッスルである腸腰筋を鍛えられる。
体幹を鍛える目的で「シシースクワット」をおこなう際は、正しいフォームを維持することがとても重要。フォームを崩さずにトレーニングを続けることで、バランス能力も向上する。
「運動初心者」や「体幹に自信がない人」は、少ない回数から始めて徐々に回数を増やしていくか、いきなり「シシースクワット」ではなく、通常のスクワットから身体を慣らしていこう。
「シシースクワット」の2つの種類とやり方
ここでは「自重でおこなう場合」「スミスマシンを使う場合」の2種類の「シシースクワット」のやり方を解説。
自重でおこなう「シシースクワット」
<やり方>
- バランスを保ちやすくするために棒や壁を利用する
- 足を肩幅ほどに開き、つま先を若干外側に向ける
- かかとを上げ、ひざを前に少し出す姿勢をとる
- 大腿四頭筋が地面に平行になるまでひざを下げながら、腰を突き出すようにして身体を後ろに倒す
- 元の直立姿勢に戻る
- 繰り返す
「シシースクワット」をおこなう際には、「腰を丸めたり」「反ったり」しないよう意識し、身体が斜めにならないようにしよう。このトレーニングは大腿四頭筋に対して強い刺激を与えるため、正確なフォームでおこなう必要がある。
正しいフォームを維持できれば、ひざへの負担を減らしながら、効率的に筋肉を鍛えることができる。

起き上がる際には、背筋が伸びた状態を維持して、身体が正面を向いている状態が理想です。
スミスマシンでおこなう「シシースクワット」
<やり方>
- スミスマシンやパワーラックの安定した棒の下で脚をついて斜めに吊り下がる
- 初めの姿勢から、肩甲骨を引き寄せるようにしながら、ひじを曲げて身体を上げる
- 器具に胸が触れるまで身体を引き上げた後、肩甲骨をしっかりと寄せて背中の筋肉を収縮させる
- 腕をゆっくり伸ばしながら身体を開始位置に戻す。この運動を繰り返す。
※上記の画像/動画は、スタートポジションを直立した状態からおこなっている
スミスマシンを使用する際も自重のときと同様に、「腰を丸めたり」「反ったり」しないように意識する。
「シシースクワット」の効果を高める5つのコツ
「シシースクワット」を効果的におこなうためのコツを紹介。筋トレ効果をしっかり出すためにも、以下5つのポイントを意識しよう。
・適切な負荷と頻度でおこなう
・呼吸を止めない
・股関節を極力動かさない
・ひざはなるべく大きく曲げる
正しいフォームを心がける
「シシースクワット」をおこなう際には、正しいフォームが取れているかを確認するクセをつけよう。
フォームが崩れると狙った部位に刺激が入らず、思ったような効果が得られなくなる。また、ひざが内側に入ると関節に負荷がかかってひざを痛める可能性もある。
とくに正しいフォームを維持するには腹圧を意識することが大切。お腹に力を入れた状態を維持することで、腰が丸まったり反ったりするのを防ぎ、背筋をまっすぐに保つことができる。

ほかにも重要なのが目線。体幹に合わせて目線を調整するのも重要です。目線の調整をすることで、身体のバランスを保ちやすくなり、フォームを維持しやすくなります。鏡の前で確認したり、動画を撮影したりして客観的にフォームをチェックするのがおすすめです。
適切な負荷と回数、頻度でおこなう
いきなり無理をせず、自分の体力やトレーニングレベルに合わせて頻度やセット数を調整しよう。自分の体調や疲労度を確認し、過度な負荷をかけることは避ける。
また、トレーニングによって傷ついた筋肉は、休息を取ることで修復し成長するため、筋肉量を増やすには適度に身体を休ませることが重要。

「シシースクワット」は通常のスクワットに比べて負荷が高いため、運動初心者の人は、1セット10回程度から始めるのがおすすめです。
呼吸を止めない
トレーニング中に呼吸を止めてしまうと、血管への負担が増加したり、酸欠状態に陥るリスクがあるため注意が必要。筋肉が伸びたときに「息を吸い」、筋肉が縮んだときに「息を吐く」のが筋トレにおける基本の呼吸法。

「シシースクワット」の場合は、腰を下ろす際に深く「息を吸い」、立ち上がる際に「息を吐く」のがポイントです。
股関節を極力動かさない
大腿四頭筋へ効果的な刺激を与えるためには、股関節をなるべく動かさず、ひざの関節のみを動かすことがポイント。股関節を動かしてしまうと、「お尻」や「ハムストリングス」に刺激が分散されてしまい、大腿四頭筋への効果が薄れる。

「シシースクワット」をおこなう際には、腰を下ろす動作と立ち上がる動作を意識的にコントロールし、股関節の動きを最小限に抑えることが重要です。
ひざはなるべく大きく曲げる
「シシースクワット」をおこなう際には、ひざをなるべく大きく曲げることで、大腿四頭筋をより深くストレッチすることができる。この動作は、筋肉の成長を促すためにとても大切。
ただし、ひざの関節への負荷が強まるため、筋肉量や柔軟性がまだ十分でない人は、無理に大きくひざを曲げて過剰な負荷をかけないようにしよう。自身の身体の状態をよく理解し、無理のない範囲でひざを曲げるのがポイント。
「シシースクワット」はひざを痛める?
「シシースクワット」は、継続的におこなうのが望ましいが、ひざに負担がかかりやすいため、ひざに違和感や痛みを感じる場合は無理に継続しない。
痛みがある状態でおこなうと悪化する恐れがあるため、痛みが続く場合は医師に相談するようにしよう。
また、慣れないうちから激しい負荷をかけると筋肉を痛める可能性があるため、正しいフォームを意識しながら徐々に負荷をかけるようにしよう。

ひざへの負担を軽減するためにサポートアイテムを使用するのも1つの方法。ただし、ひざに不安がある場合は、「通常のスクワット」などひざへの負担が少ない方法を取り入れるのがおすすめです。
「シシースクワット」に関するQ&A
「シシースクワット」に使うマシンは自宅にあるもので代用できる?
A:イスや机など、動いたりずれたりする可能性のあるものを支点として使用するのは、ケガの原因になるので避けて

しっかりと掴める柱などあれば、それを利用してバランスをとりながら実施することができます。安全にトレーニングをおこなうためにも、固定されて動かないものをサポートとして選ぶことが重要です。
「シシースクワット」はどのタイミングでおこなうのがよい?
A:筋肥大を目的とする場合に、筋肉をある程度刺激した状態で「シシースクワット」をすることで、筋肉に対する刺激を高めることができる。

トレーニングのはじめに基本的なスクワットをおこない、筋肉がウォームアップしてから「シシースクワット」をおこなうことで、筋肉へ効果的にアプローチできます。
しかし、この種目は強度が高く、大腿四頭筋が「パンパン」になるほどの負荷がかかることがあるため、トレーニングの経験が浅い人は、無理におこなう必要はなく、自分のレベルや目的に合った種目を選択することが重要です。
常に自身の安全を最優先に考え、ケガを避けるためにも無理のない範囲でトレーニングをおこなうようにしましょう。
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー
/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞