腹筋を効果的に鍛えるには、正しいトレーニングとバランスのとれた食事管理が必要不可欠。腹筋は「腹直筋」「腹斜筋」「腹横筋」の3つの部位で構成され、それぞれの役割と鍛え方を理解することで、効率的に理想の腹筋へ近づける。
この記事では、腹筋を割るための部位別トレーニングから、筋トレ初心者の女性におすすめのトレーニング、自宅で簡単にできる腹筋メニューなどを紹介。日々の習慣に取り入れることで、美しい腹筋を手に入れ、自信あふれる毎日を過ごそう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
「腹筋」の部位とその役割
基本的に腹筋は、「腹直筋」「腹斜筋」「腹横筋」の3つの部位に分かれる。それぞれの部位の役割や鍛え方を理解することで、効率よく理想の腹筋を手に入れることができる。
- 腹直筋
- 腹斜筋(外腹斜筋・内腹斜筋)
- 腹横筋
腹直筋
「腹直筋(ふくちょくきん)」は、いわゆる「シックスパック」を形成する筋肉。
胸骨下端から恥骨結合までを縦に走行し、左右に一対ずつ存在する。腱画と呼ばれる腱組織によって、いくつかの筋腹に分けられているのが特徴。
腹直筋は、体幹の屈曲運動に大きく関係していて、上体を起こす動作や、ひざを胸に近づける動作などに働く。また、腹圧を高めることで、腹腔内の内臓を保護する役割も担っている。
腹斜筋(外腹斜筋・内腹斜筋)
「腹斜筋」は、外腹斜筋と内腹斜筋の2種類に分けられる。
腹部のもっとも外側に位置し、肋骨下端から腸骨稜(ちょうこつりょう)にかけて斜めに走行するのが外腹斜筋。一方、外腹斜筋の内側に位置し、腸骨稜から肋骨下端にかけて斜めに走行するのが内腹斜筋。
これらの筋肉は、体幹の回旋運動や側屈運動に関係していて、上体をひねる動作や、側面に曲げる動作などに働く。また、腹直筋と一緒に、腹圧を高める役割も担っている。
腹横筋
腹横筋は、腹部のもっとも深層に位置する筋肉で、肋骨下端から腸骨稜にかけて、横方向に走行している。
腹横筋のおもな役割は、腹圧を高めることで、腹腔内の内臓を圧迫し、体幹を安定させることにある。また、呼吸にも関与しており、息を吐くときには腹横筋が収縮する。
腹筋を割るための筋トレメニュー4選【腹直筋編】
腹直筋は「シックスパック」を形成するのに重要な部位で、鍛えることで「体幹の安定」「きれいな姿勢を保つ効果」が期待できる。腹直筋を鍛えるのにおすすめのメニューは以下の4つ。
- クランチ
- シットアップ
- レッグレイズ
- アブドミナルクランチ
クランチ
- 仰向けに寝て、ひざを立て、足を肩幅に開く
- 手を頭の後ろに置き、ひじを開く
- 肩甲骨を床から離すように上体を持ち上げ、数秒間キープしてから戻す
腰を床から離さないように注意し、腹筋に力を入れて上体を持ち上げること。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。上体を持ち上げる際は、あごを引いて、頭と首に負担をかけないように注意する。
ひじを締めて、勢いや反動を使わずにおこなうのが大切です。
シットアップ
- 仰向けに寝て、ひざを立て、足を肩幅に開く
- 手を胸の前で交差させるか、頭の後ろで組む
- 上体を起こし、ひざに向かって身体を持ち上げ、数秒間キープしてから戻す
腰を床から離さないように注意し、腹筋に力を入れて上体を持ち上げる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうのがポイント。上体を起こす際は、あごを引いて、頭と首に負担をかけないように注意する。
レッグレイズ
- 仰向けに寝て、両手を身体の横に置く
- 足を揃えて、床と平行になるまで持ち上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
腰を床から離さないように注意し、下腹部に力を入れて足を持ち上げる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうのがポイント。
足を上げる際は、ひざを少し曲げておこなうようにしましょう。
アブドミナルクランチ
- マシンに座り、足をフットレストに乗せてひじをパッドに置く
- 背もたれに背中を預け、腹筋に力を入れて上体を丸める
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
背中を丸めるように意識し、腹筋に力を入れて上体を丸めて、呼吸を止めずにゆっくりとおこなう。上体を丸める際は、ひじをパッドから離さないように注意し、身体を安定させることが大切。
腹筋を割るための筋トレメニュー6選【腹斜筋編】
腹斜筋編は、体幹の回旋(ひねり)動作に関係する筋肉で、腹直筋と一緒に鍛えることで、きれいなウエストラインを作ることができる。腹斜筋編を鍛えるのにおすすめの筋トレメニューは以下の6つ。
- サイドベント
- ロシアンツイスト
- サイドプランク
- ツイストレッグレイズ
- サイドクランチ
- バイシクルクランチ
サイドベント
- 立った状態で、片方のダンベルを持ち、反対側の手を腰に置く
- 足を肩幅に開き、ダンベルを持った側に身体を傾ける
- ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様におこなう
身体を傾ける際は、背中を丸めないように注意し、側腹部に力を入れて身体を傾ける。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。身体を傾ける角度は、自分の柔軟性に合わせて調整することが重要。
ロシアンツイスト
- 座った状態で、ひざを曲げ、足を床から離す
- 手でダンベルやウエイトプレートを持ち、上体を後ろに倒す
- 腹筋に力を入れながら、身体を左右にひねる
上体を後ろに倒す際は、背中を丸めないように注意し、腹筋に力を入れて身体を安定させる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなう。身体をひねる際は、ひじを曲げて胸の前で保持し、動かすように意識する。
骨盤の位置をしっかりと固定して動作をおこなうのがポイントです。
サイドプランク
- 横向きに寝て、片方のひじを床につき、身体を支える
- 足を重ねて腰を浮かせ、身体を一直線に保つ
- 15〜30秒間維持し、反対側も同様におこなう
身体を一直線に保つことを意識し、側腹部に力を入れて身体を支える。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが重要。身体を浮かせる際は、肩がひじの真上に来るように意識しよう。
ツイストレッグレイズ
- 座った状態で、ひざを曲げ、足を床から離す
- 手でダンベルやウエイトプレートを持ち、上体を後ろに倒す
- 腹筋に力を入れながら身体を左右にひねる
上体を後ろに倒す際は、背中を丸めないように注意し、腹筋に力を入れて身体を安定させる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうのがポイント。身体をひねる際は、ひじを曲げて胸の前で保持し、動かすように意識する。
サイドクランチ
- 横向きに寝て、ひざを立て、足を重ねる
- 手を頭の後ろに置き、ひじを開く
- 上体を持ち上げ、数秒間キープしてから戻し、反対側も同様におこなう
腰を床から離さないように注意し、側腹部に力を入れて上体を持ち上げる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。上体を持ち上げる際は、あごを引いて、頭と首に負担がかからないように注意しよう。
バイシクルクランチ
- 仰向けに寝て、手を頭の後ろに置き、両ひじを開く
- ひざを曲げ、足を床から離し、自転車をこぐような動作で足を交互に動かす
- 同時に、反対側のひじをひざに向けて上体を起こす
腰を床から離さないように注意し、腹筋に力を入れて上体を起こす。呼吸を止めずに、リズミカルにおこなうことが大切。足を動かす際は「ひざを胸に近づける」ように、上体を起こす際は「ひじをひざに向けて動かす」ように意識する。
腹筋を割るための筋トレメニュー3選【腹横筋編】
腹横筋は、腹部のもっとも深層に位置する筋肉で、「インナーマッスル」とも呼ばれる。腹横筋は自重トレーニングでも鍛えやすく、自宅で挑戦しやすいのがポイント。腹横筋を鍛えるのにおすすめの筋トレメニューは以下の3つ。
- プランク
- デッドバグ
- ロータリートルソー
プランク
- うつ伏せに寝て、両ひじを肩の真下に置き、足の先で身体を支える
- 身体を一直線に保ち、腹筋に力を入れて持ち上げる
- 30秒〜1分間維持し、ゆっくりと元の位置に戻る
身体を一直線に保つことを意識し、腹筋に力を入れて身体を支える。呼吸は止めずに、ゆっくりとおこなうこと。肩とひじが一直線になる位置まで身体を持ち上げる。
デッドバグ
- 仰向けに寝て、両手を天井に向けて伸ばし、両足を曲げて持ち上げる
- 片方の腕と反対側の足を同時に床に向けて下ろす
- ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様におこなう
腰を床から離さないように注意し、下腹部に力を入れて動作をおこなう。腕と足を下ろす際は、腰が浮かないように注意し、身体が安定しているかを意識しよう。
ロータリートルソー
- マシンに座り、足をフットレストに乗せ、両手でハンドルを持つ
- 身体を左右にひねり、腹筋に力を入れながら身体を安定させる
- ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様におこなう
身体をひねる際は、背中を丸めないように注意し、腹筋に力を入れて安定させること。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。身体をひねる角度は、自分の柔軟性に合わせて調整し、無理のない範囲でおこなうこと。
筋トレ初心者の女性におすすめの腹筋トレーニング3選
腹筋が苦手な人や、女性でも比較的始めやすい腹筋トレーニングは以下の3つ。まずは簡単な種目から挑戦して、徐々に難易度を上げていこう。
- ドローイン
- プランク
- クランチ
ドローイン
- 仰向けの状態になり、ひざを曲げる
- 腹筋に力を入れ、お腹を膨らませる。この時大きく息を吸う。
- ゆっくり息を吐いてお腹をへこませる。
腰と地面の隙間を埋めるようなイメージでお腹をへこませる。このとき、肩に力が入らないようにお腹を意識向けるのがポイント。
プランク
- うつ伏せの状態で両ひじを肩の真下に置き、足の先で身体を支える
- 腹筋に力を入れて身体を持ち上げ、一直線の状態を保つ
- 30秒〜1分間維持し、ゆっくりと元の位置に戻る
身体を持ち上げる際は、肩とひじが一直線になるように意識する。反り腰にならないように、最初に姿勢を整えておくのがポイント。
クランチ
- 仰向けに寝て、ひざを曲げ、足を床につける
- 手を頭の後ろに置き、ひじを開く
- 上体を起こしながら、左のひじを右のひざに向けてひねる
- ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様におこなう
上体を起こす際は、背中を丸めないように注意し、腹筋に力を入れて身体を安定させる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。身体をひねる際は、ひじとひざを近づけるように意識し、身体の側面を伸ばすように動作をおこなう。
骨盤をしっかりと立てた動作でおこなうのがポイントです。
自宅でも簡単に腹筋を鍛えられる筋トレメニュー3選
スキマ時間でも取り入れやすく、自重でもしっかりと負荷をかけることができるおすすめの筋トレメニューは以下の3つ。
- バイシクルクランチ
- プランク
- クランチ
バイシクルクランチ
- 仰向けに寝た状態で手を頭の後ろに置き、両ひじを開く
- ひざを曲げて足を床から離し、自転車をこぐイメージで足を交互に動かす
- 同時に、反対側のひじをひざに向けるように上体を起こす
腰を床から離さないように注意して、腹筋に力を入れて上体を起こす。呼吸を止めずに、リズミカルにおこなうのがポイント。足を動かす際は「ひざを胸に近づける」ように、上体を起こす際は「ひじをひざに向けて動かす」ように意識する。
プランク
- うつ伏せの状態で両ひじを肩の真下に置き、足の先で身体を支える
- 一直線の状態になるように腹筋に力を入れて身体を持ち上げる
- 30秒〜1分間状態をキープして、ゆっくりと元の位置に戻る
身体を持ち上げる際は、肩とひじが一直線になるように意識する。反り腰にならないように、最初に姿勢を整えておくのがポイント。
クランチ
- 仰向けに寝た状態でひざを曲げ、足を床につける
- 手を頭の後ろにセットして、ひじを開く
- 上体を起こしながら、左のひじを右のひざに向けてひねる
- ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様におこなう
上体を起こす際は、背中を丸めないように注意し、腹筋に力を入れて身体を安定させる。呼吸を止めずに、ゆっくりとおこなうことが大切。身体をひねる際は、「ひじとひざを近づける」ように意識し、身体の側面を伸ばすように動作をおこなう。
腹筋トレーニングを効果的におこなうための6つのコツ
腹筋を効果的に鍛えるには、フォームや負荷だけでなく、呼吸や可動域を意識するのも重要なポイント。なるべく反動を使わずに、腹筋の動きを意識することで、しっかりと腹筋に負荷をかけることができる。具体的なポイントは以下の6つ。
- ゆっくりとした呼吸と動作でおこなう
- 常に腹筋に意識を集中させる
- 自分に合った適切な反復回数とセット数でおこなう
- 効かせたい部位を意識して反動を使わない
- 徐々に負荷を上げていく
- 可動域を意識する
ゆっくりとした呼吸と動作でおこなう
腹筋トレーニングをおこなう際は、ゆっくりとした呼吸と動作でおこなうのがポイント。とくに、吐く息に合わせて力を入れる動作を意識しよう。
たとえば、クランチの場合は上体を起こす際に「息を吐き」、戻す際に「息を吸う」。ゆっくりとした動作でおこなうことで、腹筋へより効果的な刺激を加えることができる。また、呼吸を意識することで、体幹の安定性も向上する。
常に腹筋に意識を集中させる
腹筋で重要なのは、鍛えたい部位に効いているかをしっかりと意識すること。最初に力が入るポイントを見つけ、その状態をキープするようにしよう。
とくに伸ばす動作の際は、お腹が突っ張る感覚を意識するとよい。お腹の突っ張る感覚が強いところが、腹筋がもっとも伸びている。
一方、縮める動作の際は、へその周辺に力を入れるイメージを持つとわかりやすい。腹筋を意識しながら、へそを背骨に近づけるように腹筋を収縮させていく。
また、動作の中で、背骨が1本ずつ動いていくイメージを頭で想像しながらおこなうと、腹筋をうまく使えるようになる。つまり、腹筋の動作は背骨の動きと密接に関わっている。
腹筋は、自分の可動域の範囲を超えないことが大切です。無理に可動域を広げるのではなく、自分ができる範囲から始め、徐々に範囲を広げていくようにしましょう。その際、鍛えたい部位に効いているか、しっかりと動かせているかを意識することも重要です。
自分に合った適切な反復回数とセット数でおこなう
腹筋トレーニングのセット数は、一般的に「15回から20回」を「2〜3セット」おこなうのが目安。慣れてきたら、負荷を上げて「10〜12回」で限界に達するように強度を上げていこう。
負荷を上げる方法として、「重りを持つこと」「スピードをゆっくりにすること」「バランスボールやバランスディスクを使ってストレッチをかける」などがある。
トレーニングのインターバルは、ほかの部位と同様に1〜2分程度が目安です。ただし、腹筋は回復が早いため、1分程度でも問題ありません。最初は低負荷でもいいので、しっかりと回数・セット数をこなすのが重要です。
効かせたい部位を意識して反動を使わない
腹筋をおこなう際は、効かせたい部位を意識して、反動を使わないことが重要。
たとえば、「ツイストクランチ」であれば、腹斜筋を意識し、上体を起こす際に反動を使わないように注意しよう。また、「サイドベント」であれば、腹斜筋に力を入れ、身体を横に倒す際に、反動を使わないように心がける。
反動を使わずにゆっくりとした動作でおこなうことで、より効果的に鍛えたい部位に刺激を与えることができる。
徐々に負荷を上げていく
負荷を上げる方法には、いくつかの段階がある。簡単に負荷を上げるには、トレーニングのスピードを変えることがあげられる。
また、次の段階として、トレーニングの可動域を広げる方法がある。バランスディスクやバランスボールなどを使用することで、不安定な状態で腹筋に負荷をかけることができる。
さらに負荷を上げたい場合は、ダンベルなどの重りを使ったトレーニングに移行していくのがおすすめ。
現在の種目が楽にこなせるようになったら、負荷を上げるのがおすすめです。急激な負荷の増加はケガのリスクを高める原因となります。
可動域を意識する
腹筋トレーニングを効果的におこなうコツとして、可動域も意識したい。反動を使ったり、力を抜いたりせずに、腹筋に負荷をかけ続けられる範囲でおこなうのが重要なポイント。
自分の身体の感覚を大切にし、腹筋に力が入っている状態をキープしながら、可動域の範囲でおこなうことが、腹筋を効果的に鍛えるためのポイントです。
腹筋トレーニングの頻度・回数の目安
腹筋トレーニングの適切な頻度は目的によって異なる。しっかりと負荷をかける場合は休息が必要となるが、運動習慣を身につけるのであれば、毎日継続を目標に取り組むのがおすすめ。
週に2~3回のトレーニングが効果的
腹筋トレーニングは、「週2~3回」おこなうのがおすすめ。
筋肉は、トレーニングによって微細な損傷を受け、休養期間に修復・成長するため、適度な休養期間を設けることが重要。たとえば、「月曜」「水曜」「金曜」に腹筋トレーニングをおこない、ほかの日は休養日にしよう。
ただし、個人差があるため、自分の体調と相談しながら、無理なく長く続けられるペースを見つけることが大切。
低負荷の場合は毎日続けても大丈夫
低負荷の腹筋トレーニングであれば、毎日続けても問題ない。自分の身体と相談しながら、無理のない範囲で続けることが大切。
習慣化を目的として始めるのに適した腹筋メニューは、「プランク」「デッドバグ」などの体幹を鍛える種目。比較的動きが少なく、フォームが取りやすいため、初心者でも無理なくおこなうことができる。
健康目的や、運動不足解消が目的の場合、必ずしも高負荷にする必要はありません。自分のペースで無理なく続けることで徐々に体力がついてくるため、自然と負荷を上げていくことができるでしょう。
腹筋を効率的に割るには食事も重要
腹筋を効率的に割るにはバランスの取れた食事や、炭水化物のコントロールも大切。食事管理をしっかりすることで、健康的できれいな身体をつくることができる。食事のポイントは以下の5つ。
- タンパク質を十分に摂取する
- トレーニングをおこなう際はアミノ酸を摂取する
- 炭水化物と脂質の摂取量をコントロールする
- 規則正しい食事リズムを心がける
- 筋トレ後ののアルコールは控える
タンパク質を十分に摂取する
腹筋を割るためには、筋肉量を増やすことが重要で適度なタンパク質の摂取が欠かせない。
とくに、筋トレ後の「30分〜1時間以内」に、タンパク質を摂取するのが効果的。良質なタンパク質源として、「鶏むね肉」「卵白」「魚」「大豆製品」などがあげられる。
1日の総カロリー摂取量の「20~30%」をタンパク質からとることを目安にしよう。
トレーニングをおこなう際はアミノ酸を摂取する
アミノ酸は、筋肉を構成するタンパク質の原料となる。トレーニング後にアミノ酸を摂取することで、損傷した筋肉の回復と成長を促進することができる。
アミノ酸の中でも、とくに重要なのが「必須アミノ酸」。必須アミノ酸は、体内で合成することができないため、食事でとる必要がある。必須アミノ酸は「鶏肉」「魚」「卵」などの動物性タンパク質に多く含まれている。
食事で摂取するのが難しい場合は、アミノ酸を含むサプリメントを活用するのも1つの方法。
炭水化物と脂質の摂取量をコントロールする
体脂肪を減らすには、炭水化物と脂質の摂取量をコントロールする必要がある。炭水化物は、エネルギー源として重要な栄養素だが、とり過ぎると体脂肪として蓄積される。
とくに、精製された炭水化物(白米、パン、菓子など)のとり過ぎには注意が必要。
また、必要以上に脂質を摂取すると体脂肪の増加につながる、ただし、不飽和脂肪酸(魚油、オリーブオイルなど)は、適量摂取するように心がけよう。
規則正しい食事のリズムを心がける
1日3食、なるべく決まった時間に食事をとることを心がけよう。とくに、朝食を抜くと体内時計が乱れて、エネルギー代謝が低下する可能性がある。
また、就寝前の食事は消化に時間がかかり、体脂肪増加につながりやすいため、就寝の3時間前までに済ませるのが理想的。
筋トレ後ののアルコールは控える
アルコールは、筋肉の合成を阻害し、回復を遅らせる可能性がある。また、アルコールは体内で優先的にエネルギーとして使われるため、脂肪燃焼を抑制する。
筋トレ後は、アルコールの代わりに、プロテインやアミノ酸飲料を飲むようにしよう。
腹筋を鍛えるのにおすすめの器具・グッズ4選
自宅で腹筋トレーニングする際は、器具やグッズを使用することでより強い負荷をかけることができる。自重での筋トレに飽きた人は、器具やグッズを使用した新しいメニューに挑戦してみるのもおすすめ。
- 腹筋ローラー
- バランスボール
- ベンチ
- マット
腹筋ローラー
腹筋ローラーは、自宅でも手軽に腹筋を鍛えることができる器具の1つ。腹筋だけでなく、背中や肩、腕の筋肉も同時に鍛えられる。
腹筋ローラーを購入する際は、ストッパーが付いているタイプがおすすめ。ストッパーがあることで、初心者でも安心して使用することができる。
また、腹筋ローラーの幅が広いほど安定性が増すため、初めて購入する場合は幅の広いタイプにしよう。ネットで購入する場合は、商品の説明をしっかりと読み、ストッパーの有無やホイールの幅を確認しよう。
腹筋ローラーは前方へ体重を移動させるため、ストッパーがないと前のめりになりすぎてケガをするリスクがあります。ストッパー付きのタイプを選ぶことで、このようなリスクを軽減できるでしょう。
バランスボール
バランスボールは、不安定な状態でおこなうことで、体幹の安定性を高めることができる器具。バランスボールの上に座ったり、寝転んだりすることで、腹筋だけでなく、体幹全体を鍛えることができる。
また、バランスボールを使ったストレッチは、柔軟性の向上にも役立つ。
バランスボールを購入する際は、自分の体格に合ったサイズを選ぶことが重要。バランスボールは、「45cm」「55cm」「65cm」など、10cm単位でサイズが分かれている。
一般的に、フィットネスジムなどで使用されているのは「55cmサイズ」が多いです。バランスボールのサイズの目安については、商品の説明書きなどで確認できるので、自分の身長に合ったものを購入しましょう。
ベンチ
ベンチは、腹筋トレーニングをおこなう際に、身体を安定させるための器具。
床よりも高い位置でおこなうことで、より効果的に腹筋に刺激を与えることができる。また、ベンチの角度を調整することで、難易度を変えることも可能。初心者から上級者まで、レベルに合わせて使用できるのが特徴。
腹筋トレーニング用のベンチを購入する際は、安定性が重要なポイント。トレーニング中に滑ったり、ぐらついたりしないような、しっかりとした作りのベンチを選ぶことが大切。また、クッション性のある素材のものがおすすめ。
ベンチは、あくまでトレーニングの補助的な役割として考えるとよいでしょう。自宅のスペースや予算、トレーニングの頻度などを考慮して、必要かどうかを判断してみてください。自宅で保管することを考えると、折りたたみ式のベンチも便利です。
マット
マットは、腹筋トレーニングをおこなう際の必需品の1つ。硬い床の上で運動をおこなうと、身体に負担がかかるため、マットを敷くことで衝撃を和らげることができる。
また、マットの上では、身体が滑りにくいため、正しいフォームで運動をおこなうことが可能。ヨガマットやエクササイズマットなど、さまざまな種類があるので、自分の用途に合ったものを選ぼう。
マットが硬すぎたり薄すぎたりすると、トレーニング中に痛みを感じやすく、うまく種目が進まない原因になる。
ある程度厚みのあるマットはクッション性が高く、ひざなどへの負担を軽減することができます。また、自宅のトレーニングスペースに合うサイズを選ぶことも大切です。
腹筋を鍛えるときの3つの注意点
腹筋を鍛える際は、自分のペースで無理のない範囲で始めよう。適度なトレーニングと休息のバランスを意識するのが大切。
- 無理をしすぎると腰痛を引き起こす恐れがある
- 過度なトレーニングは逆効果になるので避ける
- トレーニング後は十分なストレッチと休養を取る
無理をしすぎると腰痛を引き起こす恐れがある
腹筋トレーニングをおこなう際は、無理をしすぎないことが大切。とくに、腰痛には十分な注意が必要。
腹筋を鍛えているとき、腰に負担を感じる場合はフォームに問題がある可能性が高い。そのため、腰が反っていたり、過度な負荷がかかっていないかを確認しながらトレーニングをしよう。
腹筋をおこなう際は、無理のない範囲でおこない、痛みを感じたらすぐに中止するなど、自分の身体に耳を傾けることが大切です。
過度なトレーニングは逆効果になるので避ける
過度なトレーニングは、逆効果になるため、適度な回数と負荷を守ることが重要。
とくに休養が不十分のままトレーニングを続けると、筋肉は十分に回復できず、成長に悪影響を与える恐れや、ケガのリスクを高める恐れがある。
トレーニング後は十分なストレッチと休養を取る
トレーニング後は、筋肉は収縮し、硬くなるため、十分なストレッチと休養を取ることが大切。ストレッチをおこなうことで、筋肉の柔軟性が増し、ケガのリスクを減らすことができる。
おすすめなのは、腕を前に出して天井を見上げながら、お腹を伸ばすポーズ。腹筋を効果的に伸ばすことができ、トレーニング後の筋肉の回復を促進する。また、姿勢改善にも役立つため、腹筋トレーニングとあわせて取り入れたい。
とくに腹筋は、トレーニングによって硬くなりやすい部位の1つです。ストレッチを怠ると、姿勢の悪化や腰痛などの原因にもなるため、トレーニング後のストレッチを習慣づけることが大切です。
腹筋の筋トレに関するQ&A
理想的な体脂肪のバランスは?
A:健康的な体脂肪率は、年齢と性別によって異なる。
男性の場合、18〜39歳では「12〜15%程度」、40〜59歳では「12〜20%」程度が目安となります。
一方、女性の場合は、健康的な体脂肪率が男性よりも高めで、20〜39歳では「22〜25%程度」、40〜59歳では「23〜28%程度」が目安となります。
男性で体脂肪率が10%を下回ったり、女性で15%を下回ったりすると、健康上のリスクが高くなります。見た目は美しくても、免疫力の低下、女性ホルモンのバランスが乱れる、月経不順などの問題を起こす原因にもなります。
自分の年齢や性別、体質に合った健康的な体脂肪率を目指し、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけることが大切です。
筋肉痛の場合は無理にトレーニングしない方がいい?
A:筋肉痛が強い場合は休養を取る
筋肉痛が引くまでは、十分な休養を取ることが大切です。筋肉痛の程度にもよりますが、筋肉痛が引くまでは「1〜2日程度」の間隔を空けてください。
筋肉痛が軽度であれば、軽めの有酸素運動やストレッチをおこなうことで回復を促すこともできますが、筋肉痛が強く運動が困難な場合は、無理せず休養を優先させるようにしましょう。
筋肉痛は、筋肉の修復過程で起こる正常な反応ですが、長引く場合や痛みが強い場合は、単なる筋肉痛ではなく、ケガの可能性も考えられます。そのような場合は、医師や専門家に相談し、適切な処置を受けてください。
腹筋トレーニングの直前は何も食べないほうがいい?
A:理想的なのは90〜120分前に食事を済ませておく
腹筋トレーニングの前に食事を取る場合、90〜120分前に済ませておくのが理想です。これは腹筋に限らず、筋トレ全般に共通する目安になります。トレーニング直前に何かを食べる場合は消化のよいものが望ましいですが、絶対に避けるべき食品というのはあまりありません。
もしトレーニングまでの時間が30分ほどしかない場合は、消化のよい食品を軽く食べるのがおすすめです。具体的には、プロテインドリンクやウイダーinゼリーなど、すぐに栄養に変わりやすいものがよいでしょう。
腹筋トレーニングで腰痛になる原因は?
A:腹筋トレーニングで腰痛になる原因は、おもに以下の3つが考える。
- 不適切なフォーム:腰に負担がかかる姿勢でトレーニングをおこなうと、腰痛のリスクが高まります。
- 過度な負荷:自分の体力に見合わない高い負荷でトレーニングをおこなうと、腰に過度な負担がかかります。
- 筋力のアンバランス:腹筋と背筋の筋力バランスが悪いと、腰に負担がかかりやすくなります。
これらを防ぐには「正しいフォームでおこなうこと」「適切な負荷でおこなうこと」「腹筋だけでなく背筋も鍛えること」が大切です。また、トレーニング前後のストレッチも欠かせません。
腰痛対策や予防の観点から、腹筋と一緒に鍛えるべき部位は、背筋や大臀筋(だいでんきん)があげられます。バランスよく鍛えることで、姿勢が改善され、腰への負担が軽減されます。
シックスパックを作るのにかかる期間は?体脂肪の目安はある?
A:シックスパックを作るのにかかる期間は、個人差が大きい。
「シックスパック」など割れた腹筋を目指す場合、体脂肪率を適切にコントロールすることが重要です。一般的に、男性で体脂肪率が「10%前後」になると、腹筋がはっきりと見えるようになるといわれています。
ただし、10%を下回るのは健康上のリスクが高いため、おすすめできません。「10〜15%程度」を目安に、適切な範囲内でコントロールするようにしましょう。
また、腹筋を割るためには、腹筋だけでなく、大きな筋肉群を鍛えることが効果的です。とくに大腿部(だいたいぶ)や背中の筋肉は、基礎代謝を上げる働きがあるため、体脂肪を燃焼しやすい身体をつくるのに役立ちます。
腹筋だけで脂肪は落ちる?
A:腹筋だけで、効果的に脂肪を落とすことは難しい
腹筋だけでは、体脂肪を効果的に落とすことは難しく、ほかの部位の筋トレや食事管理、有酸素運動を組み合わせることが重要です。
体脂肪を落としたい目的で腹筋トレーニングをする場合、まずは大きな筋肉を鍛えて基礎代謝を上げ、脂肪が燃焼しやすい身体をつくる必要があります。もちろん並行して腹筋を鍛えることに問題はありません。
腹筋トレーニングと有酸素運動を組み合わせたほうがいい?
A:有酸素運動も組み合わせる方がおすすめ。
有酸素運動は基礎代謝を高める効果があります。ウォーキングのような軽い負荷の運動でも、継続することで十分な効果が期待できるでしょう。
一般的には、30分前後の運動を「週に3回程度」おこなうのがおすすめです。ただし、腹筋トレーニングの直後に有酸素運動をおこなうのはおすすめしません。
筋肉疲労が蓄積している状態では、ケガのリスクが高まる恐れがあります。時間を空けて有酸素運動をするか、トレーニングとは別の日におこなうのがおすすめです。たとえば、朝は代謝が上がりやすいため、脂肪燃焼効果が期待できます。
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞