
筋トレやダイエットを始めて「腹筋を割りたい」「シックスパックを手に入れたい」と思う人は多い。腹筋を割るためには、単純に筋トレだけではなく体脂肪率の管理も必要。
この記事では、腹筋を割るための条件や腹筋を構成する筋肉、各部位にフォーカスしたトレーニングメニューを紹介。トレーニングだけではなく管理が必要だからこそ、しっかりとポイントを押さえてから挑戦しよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
腹筋が割れるってどういう状態?
「腹筋が割れる」とは、いわゆるシックスパックが目に見えて浮き上がっている状態を指す。実はこの「割れた腹筋」は特別な人だけが持っているわけではなく、腹筋は元々、筋肉の構造上、誰にでも存在し、区切られたような形をしている。
腹筋は元々割れている部位
誰もがシックスパックになるわけではないが、どんな人でも腹筋自体は割れている。腹直筋と呼ばれる筋肉は腱画(けんが)と呼ばれる筋肉の繊維によって区切られ、4つ、6つ、8つに分かれブロック状に形成されている。遺伝による個人差はあるが、体脂肪が少ない状態であれば、自然と腹筋の「割れ目」が目に見えてくる。
腹筋を割るために必要な条件
- 腹筋の筋肉量を増やす
- 体脂肪率を減らす
腹筋の筋肉量を増やす
腹筋の筋トレをおこなって筋肉量を増やすことがまず必要。また、基礎代謝が向上し脂肪燃焼効率が上がったり、体幹の安定性が向上することで姿勢の改善し、腹筋が割れて見えやすくなる。
体脂肪率を下げる
腹筋はもともと割れている上体で身体についており、それを見せるためには体脂肪率を下げることが大切。体脂肪率を男性なら10%前後、女性なら20%以下程度まで落とすことで腹筋の形状が見えてくる。ただし、過度に食事制限すると筋肉が分解されてしまい、筋肉量の減少を引き起こす。

体脂肪を減らす際、過度な制限や運動は逆効果になります。過度な食事制限と長時間の有酸素運動は、いずれも筋肉量の減少につながります。
腹筋を割るための筋トレの回数・頻度の目安
- 週におこなう頻度(目安)
- シックスパックをつくるためには約3ヶ月必要
週におこなう頻度(目安)
筋力アップを目指す場合、週3〜4回程度おこなうのが目安で、初心者なら週2回から始めて徐々に増やしていくようにしよう。連日のトレーニングはかえって筋肉の回復を妨げてしまうため、十分な休息時間を設定することが大切。

筋力アップを効果的におこなうには週3〜4回程度が理想ですが、初心者の場合は無理をしないようにしましょう。身体の状態を見ながら徐々に頻度を増やすのがおすすめです。また、日々のトレーニングの最後に腹筋を取り入れるのもおすすめ
腹筋が割れるまでには約3ヶ月必要
トレーニング開始時の体脂肪率、食生活、職業などによる個人差はあるものの、一般的にトレーニングの効果は3ヶ月程度から現れ始めることが多い。
筋肉量が少ない場合は、まずお尻や脚、胸、背中などの大きな筋肉を鍛える筋トレで土台を作ってから体脂肪を落とすようにすると効果的。女性は比較的男性よりも体脂肪率が高く、筋肉量も少ないため、腹筋を割るまでの期間が長い可能性がある。

腹筋を割るまでの期間については、個人差が大きく影響することは事前に理解しておきましょう。さらに、運動習慣の減少や筋肉量の低下など加齢による影響も考慮をして目標の期間などを設定するようにしてください。
腹筋を構成する筋肉
- 腹直筋
- 腹斜筋
- 腹横筋

腹直筋
腹部の表面にある、いわゆる「シックスパック」を形成する主要な縦長の筋肉。上下に走る筋繊維で構成されており、腹部を前に曲げる動作や姿勢の維持に重要な働きをしている。体幹の安定性を高め、日常生活やスポーツでの動作の土台としての役割も持つ。
腹斜筋
腹部の側面に位置し、内腹斜筋と外腹斜筋の2層で構成されている筋肉。体幹を回転させる動作や側屈運動をおこなう際に使用される。鍛えることで腹部全体が引き締まり、くびれたウエストや美しいボディラインを形成できる。
ただし、鍛えすぎるとくびれがなく、がっしりとしたお腹になってしまうため、身体のメリハリを作りたい人は注意が必要。
腹横筋
腹部の最も深い位置にある筋肉。体幹の土台として内臓を支えたり、お腹を内側に引き込んだりする動作をおこなう。鍛えることで、ぽっこりお腹の改善や姿勢の安定、呼吸機能の向上や腰痛予防にも役立つ。
腹直筋を鍛えるおすすめの筋トレ3選
- クランチ
- V字クランチ
- バランスボール・バランスディスクのクランチ
クランチ
「クランチ」は仰向けの状態から上半身を持ち上げる筋トレ。腹直筋全体にしっかりと負荷をかけられる。
床から肩甲骨が離れる程度まで上体を持ち上げる際はあごを引いた状態を保とう。腹筋に意識を集中させながらゆっくりとしたテンポでおこない、上半身を起こす際は息を吐き、戻す際は息を吸うようにしよう。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを90度に曲げて足を床につく
- 両手を頭の後ろで組み息を吐きながら、肩甲骨が床から離れる程度まで上体を起こす
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の姿勢に戻す
V字クランチ
「V字クランチ」は仰向けの状態から、両足と上体を同時に持ち上げてV字を作る動作により、腹直筋全体に負荷をかけられる上級者向けの腹筋トレーニング。体幹の安定性向上にも効果的。ひざを曲げた状態から始め、徐々に足を伸ばしていくことで段階的に負荷を上げられる。
<やり方>
- 床に仰向けになり、両足を伸ばして床から少し浮かせる
- 両腕を身体の横に伸ばし、手のひらを床に向ける
- 息を吐きながら、上半身と下半身を同時に持ち上げてVの字を作る
- おへそを覗き込むように、上体を丸めながら頭とひざを近づける
- 最大限に収縮させたら、ゆっくりともとの姿勢に戻す
バランスボール・バランスディスクのクランチ
バランスボール上で背中を反らせた状態からクランチをおこなうと、通常のクランチよりも広い可動域で腹筋を鍛えられる。
また、体幹の安定性を保つために、インナーマッスルも刺激できるのも魅力のひとつ。バランスボールがない場合はトレーニング用のボールやバランスディスクでも同じようなトレーニングができる。
<やり方>
- バランスボールの上に腰掛け、背中をボールにしっかりとつけて座る
- 脚を肩幅に開いて、かかとを床につけて安定させる
- 両手を頭の後ろで組み息を吐きながら、上体を丸めてひざに向かってあごを近づける
- おへそを覗き込むように、腹筋を意識して収縮させる
- 最大限に収縮させたら、ゆっくりともとの姿勢に戻す
腹斜筋を鍛えるおすすめの筋トレ3選
- ツイストクランチ
- サイドベント
- ロシアンツイスト
ツイストクランチ
「ツイストクランチ」は仰向けの状態から、上体を持ち上げながら左右にひねるトレーニング。腹斜筋の内側と外側の両方にアプローチできる。床から肩甲骨が離れる程度まで上体を持ち上げ、反動を使わずゆっくりと左右にひねっていこう。ひねる際に息を吐き、戻す際に息を吸うのがポイント。
<やり方>
- 床に仰向けになり、両ひざを90度に曲げて足の裏を床につける
- 両手を頭の後ろで組み息を吐きながら、右ひじを左ひざに近づけるように上体をひねる
- ゆっくりと息を吸いながら、もとの姿勢に戻る
- 反対側も同様におこなう
サイドベント
サイドベントは身体を横に倒す動作で、腹斜筋全体を重点的に鍛えるトレーニング。とくにウエストラインを引き締める効果が期待できる。上体を起こす高さを調整することで、運動強度を個人のレベルに合わせて調整することもできる。
<やり方>
- 脚を肩幅に開いて立ち、ひざを少し曲げる
- 片手でダンベルを持ち、もう片方の手は腰に当てたり、頭の後ろに添えたりする
- 腰を反らさずにダンベルを持っている側に身体を倒す
- ゆっくりともとの姿勢に戻る
- 反対側も同様におこなう
ロシアンツイスト
ロシアンツイストは腹筋全体の引き締めに効果的なトレーニング。足を浮かせた状態で上体を左右にひねることで、腹斜筋により大きな負荷をかけるられる。ダンベルやメディシンボールを使用するとさらに強度を上げることも可能。
<やり方>
- 床に座りひざを曲げて両足を浮かせ、足の裏は床から離しながらバランスを取る
- 背筋を伸ばして胸を張り、お腹に力を入れる
- ダンベルやメディシンボールを両手で持つ
- 息を吐きながら、上体を右にひねり、持っているものを右側に近づける
- ゆっくりと息を吸いながら、もとの位置に戻る
- 反対側も同様におこなう
腹横筋を鍛えるおすすめの筋トレ3選
ここでは腹横筋を鍛えるのに効果的な筋トレのメニューを紹介。
- プランク
- ドローイン
- ヒップリフト
プランク
「プランク」はひじと爪先で身体を支え、腹部を引き締めた状態をキープするトレーニング。
お尻を上げすぎたり下げすぎたりせず、背筋がまっすぐな状態を保ちながら腹部を内側に引き込むイメージでおこなおう。一定のペースで呼吸をしながら体勢をキープしよう。慣れないうちは短時間のキープでもOK。徐々に30秒から1分程度を目安にのばしていこう。
<やり方>
- 床にうつ伏せになり、ひじを曲げて肩の下に置く
- つま先を立てて、かかとを後ろに伸ばす
- ひじとつま先で身体を支え、全体を一直線に上げる
- この姿勢を30秒~1分間キープする
ドローイン
「ドローイン」は仰向けでひざを立て、お腹を凹ませるようにへそを背骨に近づけるトレーニング。立位や四つ這い、座位など、さまざまな姿勢で場所を問わずにおこなえるのも特徴で、ぽっこりお腹の改善に効果的。
10秒間キープを1セットとし、5セットを目安におこなおう。腹横筋への意識を高めるために、手のひらをわき腹に当て、お腹を引き込む感覚を確認しながらおこなうのもおすすめ。
<やり方>
- 身体の力を抜き、リラックスした状態になる
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませる
- 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませる
- お腹をへこませた状態を10秒キープする
ヒップリフト
「ヒップリフト」は仰向けでひざを立て、腰を床から持ち上げるトレーニング。お腹を凹ませる動作を組み合わせておこなうと、腹横筋とインナーマッスル全体を刺激できる。呼吸を整えながら、腰を上げる際は息を吐き、下ろす際は吸うリズムを意識しておこなうのがポイント。
<やり方>
- 床に仰向けになり、ひざを立てて足の裏を床につける
- 両腕は身体の横につけ、手のひらを下に向ける
- 息を吐きながら、お尻をゆっくりと持ち上げる
- 上げた状態を数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりとお尻を床に戻す

「ヒップリフト」で腹筋を鍛えたい場合は、お尻を上げた状態で体幹を意識しながら30秒間キープするトレーニング方法で、2~3セットおこなうのがおすすめです。
腹筋を割るおすすめの有酸素運動4選
腹筋を割るには脂肪燃焼に効果的な有酸素運動を組み合わせておこなうとより効果的。
- HIIT(高強度インターバルトレーニング)
- ランニング
- 水泳
- エアロバイク
HIIT(高強度インターバルトレーニング)
「HIIT」は短時間で体脂肪を燃焼させることができる高強度のトレーニング方法。
全力ダッシュと軽いジョギングを交互に繰り返すなど、高強度と中強度のトレーニングを組み合わせることで脂肪燃焼効果を最大限に引き出せる。また、運動後も代謝が上がった状態が続く「アフターバーン効果」で、長時間の脂肪燃焼効果が期待できる。
ランニング
運動強度が高い有酸素運動で、全身の脂肪を効率的に燃焼させることが可能。坂道など脚に負荷がかかりやすい場所なら、脚やお尻も同時に鍛えられるため、平地だけでなく階段や坂道も積極的に利用してみよう。

まずはウォーキングから始めてランニングに移行していくように、段階的に強度を上げていく形が理想的です。急な運動負荷はケガのリスクを高める可能性があるため、ウォーキングで身体を慣らしてからおこなうことで、より安全で効果的に取り組めます。
水泳
「水泳」は水の抵抗があるため、全身の筋肉を使いやすく通常の運動よりも多くのエネルギー消費ができる。水中でおこなうことで関節にかかる負担を減らせるので、長時間のトレーニングも可能なのが魅力。
エアロバイク
「エアロバイク」では、ペダルを漕ぐ動作で下半身の筋肉を使いながら効率的に脂肪を燃焼できる。ひざや足首への負担が少なく、長時間の運動でも続けやすい。また、負荷の調整が簡単であることや、テレビを見ながらなど「ながらトレーニング」ができる点などが魅力。
腹筋を割るための食事管理のポイント
腹筋を割るには体脂肪率を下げることも重要。そのため、日々の食事で意識すべきポイントを確認しよう。
- 体脂肪を落とすためのカロリーを設定する
- PFCバランスを考慮した食事をとる
- 栄養補給のタイミングや回数を意識する
体脂肪を落とすためのカロリーを設定する
1日の総消費カロリー(基礎代謝+運動による消費カロリー)より摂取カロリーを少なく設定することが重要なポイント。健康的な減量のためには、1日の消費カロリーから約220kcalを引いた数値を目標値として設定しよう。少なくとも基礎代謝の80%以上は摂取が必要ということを覚えておこう。

PFCバランスを考慮した食事をとる
栄養バランスの理想的な比率は炭水化物:タンパク質:脂質が5:3:2になること。主菜は鶏むね肉や魚、副菜は野菜たっぷりのサラダ、主食は玄米など、各栄養素をバランスよく含む食材を選ぶようにしよう。

栄養補給のタイミングや回数を意識する
食事回数は1日3食に加え、トレーニング前後の補食を含めた5~6回を目安にしよう。トレーニング前はエネルギー源となる炭水化物を補給するのが効果的。トレーニング後は筋肉の修復に必要なタンパク質を中心に摂取しよう。

腹筋を割るためのコツ
腹筋の筋トレと食事管理以外にも腹筋を割るためにおさえておきたい点について見ていこう。
- ウォーミングアップを十分におこなう
- 正しいフォームでおこなう
- 背筋も一緒に鍛える
- 休養日を設ける
- 慣れてきたら腹筋ローラーやマシンも活用する

腹筋トレーニングでは、日常生活での正しい姿勢の意識が大切です。不適切なフォームは腰痛の原因となってしまいます。腰椎や胸椎の可動域を広げ、腸腰筋の柔軟性を向上させることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
ウォーミングアップを十分におこなう
ウォーミングアップはケガの予防だけでなく、運動効率を高めてくれる。5分から10分程度の時間をかけて、全身の筋肉をしっかりとほぐすようにしよう。体幹を中心にした軽いストレッチや、その場で腕や脚などを回すことで血流を促進することができる。
正しいフォームでおこなう
目的の筋肉に効果的にアプローチするには、正しいフォームを意識することが重要。もしフォームが崩れてきたら、回数をこなそうと無理に続けるのではなく、休息を取るようにしよう。また、正しいフォームで目標の回数がこなせないようであれば重量や難易度の調節も視野に入れよう。
背筋も一緒に鍛える
バランスの取れた体型をつくるには、腹筋と背筋の両方を鍛えることが重要。また、背筋を鍛えることで姿勢の改善と腹筋の引き締め効果を高めるだけでなく、体幹が安定し、腹筋トレーニングの質も向上する。
休養日を設ける
休養日は筋肉の修復と成長に不可欠なため、48時間程度の休息を設けるようにしよう。
休養日には、軽いストレッチやウォーキングをおこなうと血行が促進され、回復を早めることにも。また、十分な睡眠を取ることで筋肉をつくる成長ホルモンが分泌されやすくなる。7~8時間の睡眠を意識し、生活リズムを整えることも意識してみよう。
慣れてきたら腹筋ローラーやマシンも活用する
腹筋ローラーは体幹全体に強い負荷をかけられ、インナーマッスルの強化も期待できる。またマシンは軌道がきまっているため、正しいフォームで筋肉を鍛えられる。腹筋トレーニングに慣れたら器具を活用して高重量のトレーニングに挑戦してみるなど、自重トレーニングとは異なる刺激を取り入れよう。
腹筋を割る方法に関するQ&A
食事制限は必ず必要?
A:必ず必要

痩せ型の人でも腹筋が割れないのは、腹部の脂肪が原因となっていることが多いです。腹筋を割るためには、体脂肪率を下げるための食事管理が必要不可欠です。過度に制限すると筋肉量が低下してしまうので、やりすぎに注意しながら管理をおこないましょう。
腰痛がある場合の注意点は?
A:痛みを引き起こすような動作を避ける

腹筋のトレーニングでは腰が痛くなるような動作を避け、腹部に力が入る範囲内での可動域を意識することが大切です。症状の悪化を防ぐためにも、負荷も段階的に上げていきましょう。
腹筋が割れる前兆は?
A:筋肉の輪郭が見え始める

腹筋が割れ始める際は、まず腹直筋上部から下部に向かって徐々に筋肉の輪郭が表れ始めます。縦の線から確認できるようになり、その後、横線が見えてくることが多いです。
女性と男性で腹筋を割るための方法は違うの?
A:方法は同じだが、女性の方が難易度が上がる

女性の場合、骨盤が前傾して下腹が出てしまっている傾向があったり、体脂肪率の平均値が男性よりも比較的高いので、男性より難易度が上がってしまいます。しかし、トレーニング自体の取り組みや効果は同じなので、姿勢に気をつけながら取り組んでいけば、しっかり腹筋を割ることは可能です。
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞