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筋肉痛になった翌日はジムに行かないほうがいい?専門家に聞いた筋肉痛のやわらげ方や正しい負荷のかけ方を解説

ジムでトレーニングをしたあとに起こる筋肉痛は「筋肉を大きくするために必要なのか」「筋肉痛が起こった次の日はトレーニングをしないほうがいいのか」など疑問を持っている人もいるのでは。

今回は会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」最高技術責任者の中野ジェームズ修一さんに「筋肉痛の種類」や「筋肉痛を和らげる方法」について話を伺った。

さらに「筋肉痛にならない原因や対処法」も解説しているので、さらに筋トレの効率を高めたい人はチェックしてみて。

この記事の監修者

中野ジェームズ修一さん

フィジカルトレーナー

アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。

目次

筋肉痛は筋トレによる高い負荷をかけることで起こるとされている

人間の身体には、日常生活で起こる刺激に耐えられる筋肉が備わっている。強い刺激を与えることで、その刺激に耐えられるように筋肉の線維が太くなっていく。

筋肉痛がなぜ起きるのかについては100%解明されていないが、筋トレなどで一気に高い負荷(=刺激)を与えた結果、「水素イオン」の濃度が一定以上(動かないという限界値)になると起こるとされている。

そのため、筋肉痛が起きるということは適切な負荷を与えられたとポジティブに考えて大丈夫。

逆にずっと同じ負荷でトレーニングしていると、少ない筋肉で負荷に耐えようとして筋肉量が落ちることもある。

筋肉量を増やして、基礎代謝を上げたいのであれば、負荷を上げていくことが大切。

ただし、筋肉痛が起こるくらいまで追い込むのがつらいと感じるのであれば、無理に負荷を強くしすぎなくても大丈夫。

筋肉痛の種類

運動した直後に起こる「即発性筋肉痛」

おもに筋肉を曲げる動きで起こる筋肉痛。運動した直後や早ければ運動している最中に起こる。

「コンセントリック運動」とも呼ばれ、たとえばダンベルを上げるときの筋肉を曲げて収縮させる動きがそれにあたる。

コンセントリック運動は、反動を使ってしまうことでケガにつながりやすいので、運動初心者にはあまりおすすめしない。

運動してから数時間後に起こる「遅発性筋肉痛」

筋肉を伸ばしながら負荷をかけるトレーニングで起こりやすい。

このような運動は「エキセントリック運動」とも呼ばれ、階段から降りる動作や上げたダンベルをゆっくり下ろす動作などが該当する。

遅発性筋肉痛を感じるくらい筋トレで負荷をかけるには、筋肉を伸ばしながらしっかりと負荷をかける方法がおすすめ。

筋肉線維にしっかりと負荷を与えることができ、ゆっくりと下ろしながら負荷をかけることでケガのリスクも軽減できる。

ただし、ゆっくりと時間をかけて下ろしていくと血圧が上昇してくるので、呼吸を止めないようにすることが大切。

筋肉痛になった翌日はジムでのトレーニングは辞めるべき?

筋肉痛になるまでジムで追い込んだら筋肉を休ませよう。「どれくらい休ませるのか」「それ以外の部位は鍛えてもOKなのか」など基本的なポイントは以下の通り

  • 筋肉を休ませるために48~72時間は空ける
  • 筋肉痛以外の部位の筋トレはOK
  • 筋肉痛が起きていない場合は毎日続けてOK

高強度トレーニングの場合は休息が必要

高強度のトレーニングをしたあとは、筋肉を合成させるためにもしっかり休ませて超回復させる必要がある。

たとえば、パーソナルトレーニングジムでしっかりとした負荷をかけておこなう場合は、超回復の時間を取るためにも週2~3回が効果的。

ただし、筋肉痛が起きるほどハードなトレーニングをしていない場合は、毎日やったからといって、ケガをしやすくなることはない。

むしろ毎日続けることで、運動を習慣化しやすくなるのでメリットの方が大きい。

超回復したかどうかの判定は?

筋肉痛がなくなった=超回復したとは一概に言えない。超回復の目安としてはだいたい48~72時間ほど。

筋肉痛が残っていても時間が経っていれば、基本的にはトレーニングをしても大丈夫。超回復中にトレーニングをしたからといって効果がなくなることはない。

筋肉痛になった部位の筋トレは避ける

筋肉痛は筋肉が修復しているときに起こる痛みのため、筋肉痛が起きている部位に高い負荷をかけることは、修復中の部位をさらに損傷させることになるので避けた方がいい。

休ませる際も、ストレッチや軽いウォーキングなどを取り入れることで、血液の循環をよくすることができる。

もし運動をする場合は、心肺向上や持久性などが見込める有酸素運動を取り入れてみるのもおすすめ。

逆に普段よりも軽い負荷のトレーニングをしてしまうと、筋肉が軽い負荷に慣れてしまう恐れもあるので、あまりおすすめしない。

筋肉痛を和らげる3つの方法

筋肉痛を和らげるのには次の3つがとても大切。

  • トレーニング後に軽いストレッチをする
  • バランスのよい食事を心がける
  • 38〜40度のぬるめのお湯に15分ほど入浴

どれも日常生活で取り入れやすく、健康増進にも効果が期待できる。

トレーニング後に軽いストレッチをする

トレーニング後には身体を伸ばす、使った筋肉をやわらげる目的の「静的ストレッチ」をすることで緊張状態となった筋肉を和らげる効果がある。筋トレ後にストレッチをしないと筋肉が縮もうとするので、トレーニング後の身体が温まっているときにストレッチをしてしっかりと伸ばすようにしよう。

1部位につき20~30秒を1セットとして、2~3セットが目安。筋肉が厚いももやおしりなどは、ストレッチポールでマッサージしてからストレッチすると筋膜の抵抗性が下がるので筋肉が伸びやすくなる。

トレーニング前はストレッチと準備運動が大切

筋トレ前には、筋肉をあたためて柔軟性を高めるための動的ストレッチや、準備運動は忘れないようにしよう。

準備運動の方法としては、メインでおこなうトレーニングの50%くらいの重さで1セットこなす。
たとえばベンチプレスで50kgをするなら25kgくらいの負荷に設定する。

バランスのよい食事を心がける

バランスのよい食事を摂ることは、筋肉の補修やエネルギー補給においてとても大切。とくにタンパク質は筋肉を作る材料の役割を果たす。ただし、タンパク質はあくまでも材料なので、材料を動かすためには糖質も摂取する必要がある。

1日あたりに必要なタンパク質は体重1kgに対して1~1.2gほど。体重60kgなら60~70gくらいが目安。

一汁三菜の和定食で約20gのタンパク質が含まれるので、1日3食きっちり食べたとすると60gを摂取できる。そこに牛乳1杯(約6g)、卵1個(約6g)を足すと70gくらいになる。

食事できっちり補えるのがベストだけど、「1日3食食べるのが難しい」「食事が偏ってしまいやすい」という人はプロテインでタンパク質や糖質を補うのも1つの方法。

「筋トレをしている人が積極的に摂取した方がいい栄養素」については以下の記事で解説しているので、食事管理を始めようと思っている人はチェックしてみて。

筋トレ効果を高める栄養素やメニュー!食事回数や時間、おすすめの調理方法も紹介

筋トレの効率を上げたり、健康的な身体を作るためにとても重要なのが食事。筋トレの場合はタンパク質を摂るというイメージがあるけど、バランスのよい食事方法まで考えてい.....

38〜40度のぬるめのお湯に15分ほど入浴

ぬるめの湯でしっかり入浴することで、交感神経が優位の状態から副交感神経が優位になり、眠りにつきやすい状態を作ることができる。また、交代浴(水→湯→水→湯と交互に入浴する方法)は疲労回復効果が高いことがわかっている。水風呂で血管を収縮させたあと、温めることで血管を開放して循環を促すことができる。

目安としては、1分間冷やしたら、その倍の2分間は身体を温める。疲労レベルが高い人はセット数を多くするのがおすすめ。

ジムでトレーニングをしても筋肉痛にならない場合は?

しっかりと負荷をかけて追い込んでいても筋肉痛にならない場合は、トレーニングのやり方に問題があるかも。

次に3つのポイントを見直してみて。

  • 適切な負荷がかかっているかを見直す
  • フォームが正しいかを見直す
  • ずっと同じ種目をやっていないかを見直す

適切な負荷がかかっているかを見直す

筋線維が破壊されるほどの負荷がかかっていない状態だと筋肉痛は起こらない。

トレーニングの種目や負荷に身体が慣れてしまっていることや、重さが軽すぎる、セット数が足りないなどが原因として考えられる。

12~15回で限界を迎えるくらいが適切な負荷の目安。時間はかかるものの、20回~30回くらいで限界を迎えるくらいの負荷(低負荷高回数)でも筋肉量が増えることがわかっている。

高負荷の方が回数は少なくて済むものの、ケガのリスクは高くなるので、2~3回くらいで限界を迎えるような重さでトレーニングをするのはあまり推奨されていない。

セット数としてはどちらの方法も2~5セットが目安。1セットだけでは効果が出づらい。

フォームが正しいかを見直す

正しいフォームでできておらず、効かせたい部位に効いていないことで適切な負荷がかけられていない可能性も。

また、身体の反動を使っていたり、セット位置が間違っていたり、動かす軌道が違っていたりするとケガの原因につながる恐れもある。

1人では正しいフォームややり方を習得するのは難しいので、最初のうちに専門トレーナーの指導を受けて覚えていくのがおすすめ。

ずっと同じ種目をやっていないかを見直す

ずっと同じ種目をやっていると体が慣れてしまうので、定期的にメニューを見直して負荷を上げていく必要がある。

身体の変化が現れてくる3ヵ月くらいを目安にメニューを見直すといい。あまり内容を変えたくない人は、回数やセット数で負荷を上げていくのでもOK。

逆に同じことをやっていると飽きるという人は1ヵ月くらいで違う種目に挑戦するのもおすすめ。同じ負荷でずっと続けないことが大切。

初心者におすすめのトレーニングメニューを以下の記事で紹介しているので、筋トレメニューを見直すための参考にしてみて。

ジム初心者におすすめの筋トレメニュー23選!トレーニングする前に知っておくべきことも紹介

初心者はジムでどんなメニューから始めるといい? 基本的にトレーニングは、気になる部位だけでなく、身体全体をまんべんなくバランスよく鍛えることが大切。 とはいえ初.....

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