
下半身を効果的に鍛えられる「サイドランジ」は、一般的なスクワットよりも多くの筋肉にアプローチできる種目。本記事では「サイドランジ」で鍛えられる筋肉や効果、正しいやり方、効果を高めるコツを詳しくご紹介。
この記事の監修者
つむら みおさん
パーソナルトレーナー
「サイドランジ」はどこに効く?鍛えられる5つの筋肉
「サイドランジ」は、スクワットと同様に下半身を効果的に鍛えられるトレーニング。お尻の大臀筋(だいでんきん)、脚の付け根の腸腰筋、太ももの表側の大腿四頭筋、裏側のハムストリングスなど、広範囲にわたる下半身の筋肉に効果がある。
横方向に動く「サイドランジ」は、一般的なスクワットに比べ、多くの筋肉にアプローチし、身体の側面の筋肉も鍛えることができる。そのため、バランス力がアップし、日常生活の動作の効率もよくなるメリットも。
「サイドランジ」をおこなう際には、姿勢に注意しながら、ゆっくりとした動きで筋肉に負荷をかけるようにしよう。
内転筋
内転筋は太ももの内側に位置する筋肉で、脚を開いたり閉じたりする動作に関わる。内転筋を鍛えることで、脚全体のシルエットが引き締まり、美しい脚のラインを手に入れられる。
内転筋は、内もも痩せや引き締まった太ももをつくるためにも重要な筋肉。鍛えることで、歩行やランニング時のパフォーマンスアップ、脚の安定感を高める効果も期待できる。
ハムストリングス
ハムストリングスは、太ももの裏側にある大きな筋肉群で、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉から構成されている。
日常生活でもスポーツでも、ハムストリングスはよく使われる筋肉。鍛えることで動作のパフォーマンスアップにつながる。
大臀筋(だいでんきん)
大臀筋は、下半身の筋肉の中でもとくに大きい、お尻を形成する主要な筋肉。この筋肉を鍛えることで、運動効果が高まり、身体の基礎代謝もアップする。
大臀筋を鍛えることでヒップトップの位置が上がり、スタイルをよく見せることができる。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、太ももの表側に位置する主要な筋肉であり、大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋の4つの筋肉から成り立っている。この筋肉を鍛えることで、走る力が向上し、スポーツなどのパフォーマンスアップが期待できる。
また、大腿四頭筋は身体の中でも大きな筋肉の1つなので、鍛えることで基礎代謝が上がって、痩せやすい健康的な身体づくりにつながる。
下記記事では、大腿四頭筋を鍛えるだけでなく、同時にハムストリグをストレッチできるメニューを紹介。トレーニングとストレッチを同時にやりたい人は参考にしてみて。
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腸腰筋
腸腰筋は、大腰筋と腸骨筋から構成される、股関節内部にあるインナーマッスル。長時間のデスクワークなどでこの筋肉が緩むと、腰痛や身体のゆがみの原因になりやすい。
腸腰筋を鍛えることは、姿勢改善やぽっこりお腹の解消につながるため、日常生活の質を高める上でも大切。
「サイドランジ」で得られる5つの効果
下半身を鍛えるメリットはさまざま。ここでは、「サイドランジ」の効果をご紹介。
・スポーツの能力が上がる
・下半身が引き締まりキレイなラインになる
・姿勢改善が期待できる
・股関節の柔軟性が高まる
ダイエットに効果的!基礎代謝が上がり痩せやすい身体に
「サイドランジ」は、筋肉量の多い下半身を鍛える運動なため、基礎代謝をアップさせる効果がある。
とくに、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋など、大きな筋肉群にアプローチしてくれる。基礎代謝が上がると多くのカロリーが消費されるため、結果的に痩せやすい身体に近づき、リバウンド防止にもつながる。
スポーツの能力が上がる
「サイドランジ」は、スポーツパフォーマンスをアップさせる効果があり、とくに跳躍力や走力などが上昇する。
片脚ずつおこなうランジの動作は、実際の走る動作に近い。走力アップに関わる実践的なトレーニングであることから、スポーツ選手も取り入れている。
また、「歩く」「坂道を上る」などの日常動作を楽にできるようになる。
下半身が引き締まりキレイなラインになる
大臀筋や大腿四頭筋などの下半身の筋肉が鍛えられることで、太ももやお尻が引き締まった、メリハリのある下半身をつくることができる。
ヒップアップ効果もあり、「お尻が1センチ上がると脚が3センチ長く見える」といわれている。そのため、脚長効果も期待でき、下半身痩せしたい人にぴったりのトレーニング。
姿勢改善が期待できる
「サイドランジ」は体幹が鍛えられるため、姿勢改善にも効果がある。
背筋を伸ばした正しいフォームを意識することで、身体の中心部の筋肉が均等に鍛えられ、自然と姿勢がよくなる。美しい姿勢を保ったり、デスクワークで崩れがちな姿勢を正すためにもおすすめのトレーニング。
股関節の柔軟性が高まる
ランジは、股関節周りの筋肉をストレッチしながら鍛えることができる。そのため、股関節の可動域を広げることができ、柔軟性が高まる。
股関節は、身体の動きにおいて重要な役割を果たす関節。股関節が柔軟であれば、歩幅が広くなったり、脚の動きがスムーズになるため、「歩く」「走る」といった動作の質を高めることができる。
「サイドランジ」の種類と正しいやり方
ここでは、サイドランジの種類を
・ダンベルサイドランジ
に分けてご紹介。自分に合ったトレーニングを見つけてみて。
基本の「サイドランジ」のやり方
<やり方>
- 脚を腰幅に開き、背筋を伸ばしながらまっすぐ立つ
- 片足を肩幅の1.5~2倍ほどを目安に真横にふみ出す
- ひざではなく股関節を曲げる意識で、横に出した脚のひざが90度になるまで、上体を下げる。この際につま先とひざの向きは揃える
- 反動を使わず元の位置へ戻る
ダンベルを使った「サイドランジ」のやり方
- 背すじを真っ直ぐにし、足を大きく左右に開き、脚の間でダンベルを持つ
- 片側の足を曲げ、腰を横に下ろしていく
- 曲げた方の脚の太ももが床と並行になるまで下がり、伸ばした方の脚で身体を引き寄せるようにして元に戻る
- 身体を元に戻したら、反対側の脚を曲げて逆方向に腰を下ろす
「サイドランジ」の効果を高めるコツと注意点
ここでは、「サイドランジ「を効果的におこなうためのコツと注意点をご紹介。
・しっかりと腰を落とす
・横に出した脚のひざの角度は90度
お尻を引き、前傾姿勢を維持する
「サイドランジ」では、お尻を引きつつ前傾姿勢を保つことが大切。ただし、前傾姿勢になりすぎないよう注意して、前脚のひざがつま先を超えないように。
このフォームを正しくおこなうことで、下半身の筋肉を均等に鍛えられるだけでなく、体幹の筋肉も同時に鍛えられる。
しっかりと腰を落とす
身体をしっかりと深く下げることも大きなポイント。しっかりと腰を落とすことで、下半身の筋肉を効果的に鍛えて、より高いトレーニング効果を得られる。とくに大臀筋や大腿四頭筋などの筋肉が刺激されるので、下半身の強化につながる。

単に腰を落とすだけでなく、背筋を伸ばして正しい姿勢を保ちながら、深く下げるような意識でおこないましょう。
横に出した脚のひざの角度は90度
真横に足を踏み出す際、横に出した足のひざの角度が90度になるように意識しよう。真横にしっかりと踏み出すことで、バランスを保ちながら下半身の筋肉を均等に刺激し、トレーニング効果を最大化できる。
ただし、難易度が高めの動作になるので、慣れないうちは90度を超えた角度になってしまってもOK。少しずつ身体を下げられるように練習していこう。
また、上半身に重心をかける「サイドランジ」では姿勢を安定させることも大切。身体を振って姿勢を戻さないように意識し、上半身に重心をしっかりかけて身体のバランスを保とう。

上半身に重心をかけることで、お尻をしっかり後ろに引きつつ、腰を深く落としやすくなります。
「サイドランジ」の適切な回数
「サイドランジ」の目安となる回数は、目的別で下記のとおり。
【目的別 回数・セット数の目安】
・ダイエット:15~16回を3セット
・引き締め:12~15回を3セット
・筋肥大:8~10回を3セット
負荷を加える場合は、いずれも正しいフォームできちんと回数をこなせる重さを選ぶようにしよう。
「サイドランジ」と「サイドスクワット」の違い
「サイドランジ」と「サイドスクワット」は、どちらも下半身を鍛えるトレーニング。基本的な動作は似ているが、鍛えられる部位に違いがある。
「サイドランジ」は、一方の足を大きく踏み出しておこない、とくに太ももの内側の内転筋を中心に下半身の筋肉を鍛えられる。
一方で「サイドスクワット」は、足を肩幅よりも広く開くことで、太ももの外側にある外転筋群も含めた広範囲の筋肉を鍛えられる。
あわせておこないたい!「ランジ」のおすすめ種目
「ランジ」には、スクワットやジャンプなどを動作に加えることでバリエーションがたくさんある。ここでは、「サイドランジ」以外の種目をいくつかご紹介。
ランジスクワット(フロント・フォワードランジ)
<やり方>
- まっすぐ立った状態から、片方の脚を大きく前に出す
- バランスを崩さないよう意識しながら、身体を深く下げるようにする
- お尻にストレッチを感じたら、前に出した足裏全体で蹴って身体をもとの姿勢に戻す
- 反対の脚も交互に繰り返す
- 左右おこなって1回として、10〜15回で1セット、合計で3セットおこなう
「ランジスクワット(フロント・フォワード)」は、脚を前後に開く「ランジ」と「スクワット」の動作が組み合わさった筋力トレーニング。
片脚ずつおこなうため、負荷が高く、大腿四頭筋や大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができる。下半身の複数の筋肉を同時に鍛え上げることができて効率的。
また、「ランジスクワット」をおこなう際の重要な注意点は以下の通り。
・身体をしっかりと深く下げることができているか?
身体を深く下げることで、鍛えたい目的の筋肉に十分な負荷をかけられる。
・バランスを崩さずに動作を行えているか?
とくに前に踏み出す足でしっかりと地面を捉え、安定した姿勢で運動をおこなう。
・勢いよく蹴って、身体を戻すことはできるか?
前に踏み出した足で勢いよく地面を蹴り、元の体勢に戻る際には、大臀筋やハムストリングスなどの筋肉が適切に鍛えられているかを意識する。
これらの注意点に気をつけることで、「ランジスクワット」の効果を最大限に引き出しながら、ケガのリスクを最小限に抑えられる。正しいフォームとバランス感覚を維持しながら、トレーニングを進めよう。

「ランジスクワット」をおこなう際には、踏み出した脚のひざがつま先を超えないように注意し、背筋をまっすぐ保ちましょう。
ランジウォーク(ウォーキングランジ)
<やり方>
- 両腕を胸の前でクロスさせ、片脚を大きく前に踏み出しかかとで着地する。後ろの脚は、ひざが地面につく直前まで曲げる。
- このとき、上半身をひねるようにする(できる人のみでOK)
- 後ろの脚で地面を蹴り1歩進み、脚の前後を入れ替えて着地する。
- このとき、上半身を逆側にひねるようにする(できる人のみでOK)
- 1と3を繰り返し、前に進む
「ランジウォーク(ウォーキングランジ)」は、動きながら連続的にランジをおこなうことで、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、ふくらはぎを総合的に鍛えることができる。一歩ごとに前後の足を交互に踏み出し、腰を深く落とすことで、下半身の筋肉に高い負荷をかけられる。
「ランジウォーク」は、バランス感覚を鍛えるのにもおすすめで、安定した歩行のために必要な筋肉と神経系の協調を高める。また、連続的に動くトレーニングなので、有酸素運動の要素を含み、心肺機能をアップできる。
また、有酸素運動はより多くのカロリーを消費することで代謝のアップが期待できることから、ダイエット目的の人にもおすすめ。
前足でしっかりと立ち上がる際には、大臀筋や大腿四頭筋を意識的に使うと、効果的に筋肉を鍛えられる。歩きながらやる種目なので、脚が左右にぶれないように安定した動作を心がけよう。

「ランジウォーク」のコツは、一般的なランジと同様に背筋をまっすぐに保つようにして、顔は前方向に向けること。動作中は、ひざがつま先より前に出ないように気をつけ、ひざの角度は90度を心がけましょう。
バックランジ
<やり方>
- 直立した姿勢から、片方の脚を後方に引き、身体を下げるようにする
- バランスを取りながら、前脚の重心をかかとにおく
- 大臀筋に伸びを感じたら、前脚のかかとで蹴って身体を戻す
- 反対の脚も交互に繰り返す
- 左右おこなったら1回として、10〜15回で1セット、合計で3セットおこなう
「バックランジ」は、後ろに一歩踏み出しておこなうトレーニングで、大腿四頭筋やハムストリングス、大臀筋を効果的に鍛える。とくに、ひざへの負担が「フロントランジ」に比べて少ないため、ひざの不安がある人にもおすすめ。
動作としては、後ろに大きく一歩踏み出し、前脚のひざが90度になるように腰を下ろすことを意識しよう。また、重心は低く保ち、背筋をまっすぐにすることで、下半身だけでなく体幹も鍛えることができる。
後ろに踏み出す足は、安定した動作ができるようにゆっくりと動かし、前脚のひざがつま先より前に出ないようにする。
ジャンプランジ
<やり方>
- 脚を前後にひらいて、姿勢を崩さず、軽く前傾する
- 前脚を90度に曲げ、身体を下げる(基本的なランジの姿勢と同様)
- 少し身体を落とすようにして床を蹴り、ジャンプする
- 空中で脚を前後入れ替えてランジの姿勢で着地する
- 身体を深く下げる
- 左右おこなったら1回とし、10〜15回で1セット、合計で3セットおこなう
「ジャンプランジ」は、瞬発力と持久力を同時に鍛えられる高強度なトレーニング。ランジの基本動作にジャンプを組み合わせることで、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋など下半身の筋肉に加え、心肺機能も強化できる。
「ジャンプランジ」では、地面から両脚を勢いよく押し上げ、空中で脚を交換して着地する動作を繰り返す。瞬発力を高めたいアスリートや、有酸素運動としてカロリー消費を増やしたい人におすすめ。
また、負荷がかかりやすい種目なため、トレーニング前の十分なウォーミングアップと、終了後のクールダウンをしっかりおこない、ケガや筋肉の疲労を抑えよう。

ジャンプの着地の際は、ひざを適切に曲げることで衝撃を吸収し、ケガのリスクを減らすことが大切です。また、動作中は姿勢を正しくキープし、腰を落とす深さに注意しながら、バランスを保つように意識してください。
下記ではさらに詳しく「ランジ」の種類や正しいやり方を紹介しているので、気になる人はチェックしてみよう。
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「サイドランジ」に関するQ&A
「サイドランジ」で腰が痛くなってしまうときの対処法は?
A:まずは正しいフォームでできているかチェックしよう

「サイドランジ」で腰が痛くなる場合は、正しいフォームでできているかの確認が必要です。反り腰、もしくはしゃがみ過ぎて腰が丸くなっている可能性があります。「サイドランジ」の正しいフォームは、胸を張り、お尻を後ろに引いている状態です。最初は鏡などを見ながら取り組むのもおすすめです。
痛みが強く感じられる場合は、無理をせずにトレーニングを中止してください。痛みを感じながらトレーニングを続けてしまうと、さらなるケガのリスクを高めてしまうことも。腰痛が継続する場合は、病院などで診てもらうことも検討しましょう。
「サイドランジ」で前ももが張るのはなぜ?
A:ひざの位置が適切ではない

「サイドランジ」で前ももが張る原因は、ひざの位置にあることが多いです。ひざがつま先よりも前に出ていたり、ひざが内側に入っている場合は、前ももに過度な負担がかかって張りを感じることがあります。
前ももが張らないようにするためには、ひざが内側に入らないように、ひざとつま先を同じ方向を向けることが大切です。
ハーティネス株式会社代表
フィットネス勤務から独立し、現在はダイエット迷子に正しい知識を伝えるためのオンライングループレッスン運営中。
コンプレックスを強みに変える!ボディメイク運動指導やリバウンドなしで、理想の体を手に入れる食事指導をおこなっている。
2チャンネル目となるYouTube「みおGYM」にて週2回エクササイズ配信中
著書4冊/各種雑誌、テレビ出演
JBBF 日本ボディビル・フィットネス連盟 2年連続優勝経験を持つ