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テクノロジーの力で介護の壁を取り払う。『ねかいごと 2024』

介護をする人・される人、そのご家族など介護に関わるすべての人たちから「介護にまつわる願いごと(=ねかいごと)」を集め、テクノロジーなどの力を通して叶えていく。そんな想いが込められたイベント『ねかいごと 2024』が、2024年11月10日・11日に開催された。

イベント会場には、「家族と一緒に同じご飯が食べたい」「身体が不自由でもオシャレをしたい」「遠く離れた孫といつでもつながっていたい」といった『ねかいごと』を叶える製品がズラリと並ぶ。それぞれどんな『ねかいごと』から開発され、どんな人たちをウェルビーイングにするのか。

今回は、そんな『ねかいごと 2024』の様子をお届けする。
※初開催となった『ねかいごと 2023』の様子はこちらから

目次

2024年の『ねかいごと』に込めた思い

まず会場に入ると、2023年の同イベントで来場者から集められたさまざまな『ねかいごと』が目に入る。

当イベントの主催者でもある株式会社aba代表取締役CEOの宇井吉美さんは、11月11日の介護の日を「願いをつぶやく日にしたい」という想いを込め、「介護にまつわる願いごと(=ねかいごと)」と名付けたそうだ。
※株式会社aba 代表取締役CEO 宇井 吉美さんのインタビュー記事はこちらから

そこには、Wellulu編集長・堂上の『ねかいごと』も貼られていた。

今回書いた願いは、「みんなが笑い合いそして挑戦できる社会が生まれますように」。

家族みんなで同じ料理を囲む

最初に向かったのは、ギフモ株式会社が提供する『DeliSofter(デリソフター)』(※)コーナー。この炊飯ジャーでは、見た目や味はそのままに柔らかい料理を作ることができる。
※現在は販売休止

年齢や性別、地域に関わらず、ウェルビーイングに生きるためには“美味しい食事”が欠かせない。しかし、摂食・嚥下障害を持っていたり、年を重ねてだんだんと歯が不自由になったりすると、家族と同じ料理を食べることが難しくなる。家族と同じ料理が食べられないとなれば、いくら同じ食卓についていても孤独を感じてしまうこともあるだろう。

この『DeliSofter』は、「家族みんなで同じ料理が食べたい」という『ねかいごと』を叶える製品として生まれたのだ。

前に進む力を後押しする車いす

次は、株式会社TESSのコーナーへ。ここでは、「足を動かして移動したい」という『ねかいごと』を叶える足こぎ・ペダル付き車いす『COGY(コギー)』が体験できた。

実際に乗ってみると、そのスムーズさに驚く。片足を出すと自然に反対の足も前に出る仕組みになっていて、力をかけずとも「足を動かしている」感覚を得られる。足が不自由な方でも自分の足を自分で動かせるという、従来の車椅子の概念を覆す製品なのだ。

『COGY』は、全国の小学校でも試乗会を開催しているそう。まさに健常者と障害を持つ方の壁を取り払う製品、取り組みといえるだろう。

着たい服を“着やすく”してオシャレを楽しむ

次に向かったのは、株式会社コワードローブが提供する服のお直しサービス『キヤスク』のコーナー。

『キヤスク』は、自分が持っている服をお直しすることで、身体障害を持った方でもお気に入りの服が着られるようになるというサービスだ。「オシャレを諦めたくない」「我慢して『着やすい』服を着たくない」という『ねかいごと』を叶えることができる。

病院着など「身体が不自由な方でも手軽に着られる服」はイメージしやすいが、「自分が持っている服を自分に合わせてアレンジする」というサービスはとても珍しいのではないだろうか。

転んでも起き上がれる床?

次は、以前『Wellulu』でも紹介(※)した『ころやわ🄬』のコーナーに向かった。『ころやわ🄬』は、床に敷き詰めることで転倒による骨折リスクを軽減する緩衝フロア&マットで、日本転倒予防学会の推奨品にも認定されている。

※『ころやわ🄬』を提供する株式会社Magic Shields代表取締役 下村明司さんのインタビュー記事はこちら

毎日を生き生きとウェルビーイングに過ごすには、身体の健康が大切だ。しかし、歳を重ねるにつれて、思うように身体を動かせなくなってくるのもまた事実。身体を動かすとなると怪我の不安がつきまとうが、「転んでも大丈夫」という安心があれば、毎日のモチベーションは大きく変わるだろう。

実際に『ころやわ🄬』を利用しているという介護施設の方は、「これまで年間6件くらい転倒による骨折事故が起こっていたのですが、導入してからは1件も起きていません。職員がエアコン掃除をしている時に脚立から落下したことがありましたが、それでも骨折どころか青あざひとつできませんでした」と語る。

「排せつケア」という難題に立ち向かう

続いて、当イベントの主催でもある株式会社abaが提供する『Helppad2(ヘルプパッド2)』のコーナーへ。『Helppad2』は、AIが匂いによって尿と便を判定し、オムツの交換タイミングを知らせる排泄センサーだ。

要介護者にとって、「排泄をしていないのにオムツの中を確認される」「排泄が終わったのにオムツをなかなか交換してもらえない」というのはかなりのストレスだそう。デリケートな問題だからこそ、それが原因で介護される側と介護する側の関係性が悪化することも容易に想像できる。『Helppad2』は、そんな両者のストレスを解消する。

さらに、介護施設などの各部屋に設置された『Helppad2』は、1つのデバイスで集中管理ができる。介護職員の業務効率化にもつながるなど、介護される側はもちろん、介護する側も助けるアイテムなのだ。

人の心と暮らしに寄り添うデジタルライフ

次は、「そばにいたい、いてほしい」という『ねかいごと』を叶える『muiボード』のコーナーへ。

『muiボード』では、照明やエアコンのオン・オフを集中管理できるIoTデバイスとしての機能のほか、天気予報などを見られるインターネット接続機能、家の中から外にいる家族に向けてメッセージを送信する機能も付いている。

木製パネルでインテリアの一部となる点や手書きの文字や絵を届けるという点によって、温かみのあるスマートホームを実現できる。

会いたい人に、すぐに会える

最後にtonari株式会社のコーナーに行くと、高さ2mは超えているだろう巨大パネル『tonari』が目に入る。

『tonari』は、遠くにいる人とでも、まるで隣にいるように会話ができる製品だ。「遠く離れた孫といつでもつながっていたい」「海外にいるメンバーと同じ空間で働きたい」という『ねかいごと』を叶える。

この日はイベント会場である東京・赤坂と愛媛の介護施設が1日中つながっていて、そこで生活する方々の暮らしの様子を身近に感じることができたと言う。Wellulu編集チームが訪れた時間は愛媛ではちょうど日没の時間帯で、きれいな夕日を中継してくださった。18時からは現地時間で朝を迎えるプラハとつながったそうだ。

今回見させていただいたたくさんのウェルビーイングな製品は、介護される人、そして介護する人、一人ひとりの『ねかいごと』があったからこそ生まれたものばかり。介護はつらいものを諦めるのではなく、不安や不満を口にすることでこそ、お互いを支え合う文化をつくることができるのだ。

そしてまさにファーストペンギンとなり多くのフォロワーを作ることに成功した宇井さんは、素晴らしいイノベーターだ。素敵なイベントを開催いただき、ありがとうございました!

毎年11月11日、僕らはウェルビーイングな『ねかいごと』をつぶやく。そして、願いをあきらめない世の中を共創していく。

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