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腸腰筋の筋トレ・ストレッチの方法!自宅で初心者がやりやすい方法・注意点を紹介

インナーマッスルの1つである腸腰筋は、日常生活やスポーツにおいて重要な役割を持つ筋肉。腸腰筋を鍛えたり、ほぐしたりすることで姿勢が改善されるなど、さまざまな効果が期待できる。

この記事では、腸腰筋を鍛えることによって得られる効果や、具体的な筋トレ方法、筋トレ時の注意点を詳しく解説。また、筋トレ後におこなうべきストレッチも紹介するので、参考にしてみよう。

この記事の監修者

岡部 友さん

NSCA-CSCS公認コンディショニングスペシャリスト
ACSM-CRT公認パーソナルトレーナー
分子栄養学健康指導士

アメリカでは運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中にNSCA-CSCS*の資格を取得。「SPICE UP FITNESS」(フィットネスジム)を運営する株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役社長。美尻トレーナーとして女性から絶対的な支持と信頼を得ている。 外見的なボディメイクに限らず、心の強さと優しさを鍛えることをモットーとしている。「筋トレが折れない私をつくる!」(2018年 宝島社)「美尻トレ 究極のヒップメイク」(2017年 文藝春秋)「じぶんBIG LOVE! ~ゆりやん体づくり本~」(2024年 集英社)など著書・共著多数。

目次

そもそもどこにある?腸腰筋とは

身体の深い部分に存在し、姿勢の安定やスムーズな動作に必要な腸腰筋。筋トレをおこなうときは、鍛えたい部位を意識するとよりよい効果が期待できる。

  • お腹の奥にあるインナーマッスル
  • 2つの筋肉によって構成されている
  • 姿勢の安定・身体をスムーズに動かすのに役立つ

お腹の奥にあるインナーマッスル

腸腰筋は、お腹の奥深くにある重要なインナーマッスルの1つ。腹直筋や腹斜筋よりもさらに深い位置にあり、背骨から骨盤、大腿骨にかけて伸びている。この筋肉は体幹を支え、姿勢を安定させるだけでなく、骨盤周りを安定させたり、内臓を支えるための基盤になったりと、さまざまな役割を果たしている。

なお、腸腰筋は体幹の奥に位置していることから、一般的な筋トレでは鍛えにくい部分でもある。外から見ることも難しいため、鍛える際にはどう動くと使われるのかをイメージしておこなうことが大切。

2つの筋肉によって構成されている

腸腰筋は、「腸骨筋」と「大腰筋」から成り立っている。

「腸骨筋」は骨盤から大腿骨に向かって伸びている筋肉で、脚を曲げたり、上下に動かしたりする際に必要。日常生活では、歩いたり階段を上ったりする際に頻繁に使われる。

「大腰筋」は腰椎から始まり、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしている。とくに姿勢の維持や体幹の安定に重要な筋肉で、太ももを引き上げるときにも働く。

これらの筋肉が協力して働くことで、下半身全体の安定性が高まり、体幹部がしっかり支えられる。トレーニング時は腸腰筋の各部分をバランスよく鍛えて、効率的に筋力を向上させよう。

なお、「小腰筋」と呼ばれる大腰筋の補助的役割を果たす筋肉を腸腰筋に含めることもある。ただし、全体の約40%の人は小腰筋が欠如しているといわれており、すべての人に存在するわけではない。

姿勢の安定・身体をスムーズに動かすのに役立つ

腸腰筋のおもな役割は、姿勢を安定させて動作をスムーズにおこなうこと。腸腰筋がしっかり機能すると身体の重心が安定し、無駄な力を使わずに動けるようになる。その結果、移動がスムーズにおこなわれ、ケガのリスク軽減にもつながる。

また、歩行時の脚の動きや階段の昇降など、基本的な日常動作にも腸腰筋が関わっている。股関節の曲げ伸ばしを調整し、身体を反らせたり前に倒したりするには、腸腰筋が必須。そのほか、ランニングやジャンプ、キックなど、日常生活からスポーツまで、さまざまな場面で身体を支える役割を果たしている。

日常動作で腸腰筋を鍛えるなら、階段を2段飛ばしで上るのが効果的です。足を高く上げると腸腰筋に強い刺激が与えられるため、普通に階段を上るよりも強い負荷をかけられます。

腸腰筋の筋トレで得られる効果・メリット

腸腰筋を鍛えると、どのような効果が期待できるのだろうか。座り仕事が多い人はもちろん、立ち姿勢が多い人も、腸腰筋を鍛えるメリットは大きい。

  • 腰痛・肩こりが和らぎ姿勢がよくなる
  • 歩行が安定し運動能力の向上
座り姿勢は腸腰筋が常に収縮している状態なので、デスクワークなどで座っている時間が長い人は注意が必要です。収縮した形がデフォルトになっていると前もも周辺に張りを感じやすく、筋トレをしてもうまく鍛えられません。その場合はトレーニングよりストレッチを優先的におこない、腸腰筋を自然な長さに戻してあげましょう。

腰痛・肩こりが和らぎ姿勢がよくなる

腸腰筋を鍛えると脊柱の安定性が高まり、慢性的な腰痛や肩こり、猫背や反り腰の改善が期待できる。とくに、長時間座っていると骨盤が前傾しやすくなるが、腸腰筋が鍛えられていると背骨全体の形がよくなり、首や肩への負担が軽減。全身の筋肉バランスも整いやすくなり、腰痛予防や改善につながる。

なお、腸腰筋は骨盤を前から引っ張る役割があるが、後ろから骨盤を引っ張っているのはお尻の筋肉である大殿筋。腸腰筋だけ鍛えていても、大殿筋が弱いと骨盤は正しい位置に保たれない。合わせて大殿筋の筋トレもおこない、強さのバランスを整えることが大切。

腰痛の一つの原因が「腸腰筋が凝っている」ことによって引き起こされるものです。前側の腸腰筋と後ろ側の大殿筋のバランスを意識するのも大切ですが、まずはストレッチで筋肉をほぐすことから始めましょう。

歩行が安定し運動能力の向上

腸腰筋を強化すると脚をよりスムーズに動かせるようになり、歩くときの安定感が増す。とくにランニングや階段の昇降など動的な動作をおこなう際は、鍛える前に比べて大きな変化を感じられるはず。バランス能力も高まり、転倒のリスク軽減にもつながる。

また、スポーツの場面では、急な方向転換やジャンプ時の安定感が増し、さまざまな運動パフォーマンスの向上が期待できる。軽やかな動きと疲れにくい身体作りを目指すなら、腸腰筋を積極的に鍛えるのがおすすめ。

【自宅でできる】腸腰筋の筋トレメニュー3選

  • レッグレイズ
  • ニータック
  • 足上げ運動

レッグレイズ

仰向けの状態で脚を上下に動かすトレーニング。腸腰筋や下腹部を鍛えるのにも有効な筋トレで、姿勢不良からくる腰痛などを予防する効果が期待できる。

実施時は腰に過度な負担がかからないよう、お尻の下にクッションや手を入れておこなうのがおすすめ。体幹部の筋肉に強い負荷がかかるため、腹横筋など体幹部の筋肉を鍛えて腹筋のトレーニングに慣れてきたら取り入れるようにしよう。

<やり方>
  1. 仰向けになり、身体の横に手を置く
  2. 足をそろえた状態で、両足をゆっくり床から垂直になるまで上げる
  3. 息を吐きながら下腹部に力を入れ、両足が床に着くギリギリまでゆっくり下ろす

ニータック

腕立て伏せの姿勢から、ひざをひじに引き寄せるトレーニング。腹筋や持久力を鍛える効果が期待でき、片脚でおこなったりバランスボールを使ったりと、さまざまなバリエーションがある。

息を吐きながら、太もものまえをおへそにつけるようなイメージでおこなうのがポイント。足首、足指、腕、体幹で身体をしっかり支えることを意識しよう。

<やり方>
  1. 腕立て伏せの姿勢になり、かかとから肩まで一直線にする
  2. 片ひざずつ胸にゆっくり近づけて、もとに戻すことを左右交互に繰り返す

足上げ運動

椅子に座った状態で脚を上げるトレーニング。座っている状態では腸腰筋が縮んだ状態になるため、筋肉が半分ほどしか使われない。より効果的に腸腰筋を鍛えられるよう、実施時は両手で足を押し下げるなど、負荷を増やすのがおすすめ。

<やり方>
  1. ひざの角度が直角になる深さで椅子に座る
  2. 片方のひざに両手を置いて力を入れて押し、それに抗うようにひざを上に上げる
  3. 両手に押し戻されるようにひざを戻し、また上げる動作を繰り返す

【監修者おすすめ】腸腰筋のストレッチのやり方

腸腰筋のストレッチや筋トレは身体全体のバランスを整え、日々の不調の解消に役立つ。とくに骨盤前側の筋肉はストレッチの重要性が高いため、意識してほぐしておきたい。

なお、座っている時間が長いと腸腰筋が凝りやすく、骨盤の前傾を引き起こしやすい。骨盤の前傾は腰椎やその周辺の緊張につながり、腰痛や前もも周辺の張りなどの原因になる。毎日を快適に過ごすためにも、腸腰筋のストレッチは習慣的におこなおう。

ここでは本記事の監修者である岡部友さんおすすめの腸腰筋ストレッチをご紹介。初心者でも気軽に取り組めるので、夜寝る前や朝起きたときなど、好きなタイミングで実践してみて。

  • Step1.片ひざ立ちの姿勢になる
  • Step2.骨盤を後ろに傾ける
  • Step3.手を上げて腸腰筋上部も伸ばす

Step1.片ひざ立ちの姿勢になる

左右どちらかのひざを立て、逆のひざは床につけて片ひざ立ちのポーズに。背中は丸めたり反ったりせず、まっすぐ伸ばすようにしよう。

両ひざを90度に曲げた状態をキープしましょう。

Step2.骨盤を後ろに傾ける

ひざの位置は変えずに、骨盤を後ろに倒すイメージで傾ける。このとき内ももや股関節まわりの筋が伸びているような感覚があればOK。

この状態でお尻周りに力を入れると前側の筋肉がしっかり伸ばされ、さらなるストレッチ効果が得られやすくなります。

Step3.手を上げて腸腰筋上部も伸ばす

立てているひざと逆側の手を上にまっすぐ上げ、やや伸頭側に傾けると腹部にある腸腰筋の上部も伸びやすくなる。ただし、バランスの維持が難しい人は無理せず慣れてきたら取り入れてみよう。

鍛えすぎ禁物!腸腰筋を筋トレする際の注意点

筋肉を効率よく鍛えるには、筋肉を適度に休ませて硬直させないようにすることが大切。やみくもにトレーニングをしても、思うような効果は得られない。思わぬケガを防ぐためにも、腸腰筋の筋トレをする際は以下のポイントに注意しよう。

  • 毎日は避け、適切な頻度でおこなう
  • 腸腰筋をほぐすストレッチを取り入れる
  • 身体の痛みが出たら無理をしない

毎日は避け、適切な頻度でおこなう

筋トレをするときは、筋肉がしっかり回復できるよう、適度な休息時間を確保することが大切。一般的に、腸腰筋のトレーニングは週に2~3回の頻度を心がけたい。1回のトレーニング時間は15~20分程度を目安に、ゆっくり丁寧におこなうことを意識しよう。

腸腰筋の状態は人によって異なるため、トレーニングの頻度・強度は体調や疲労度に応じて柔軟に調整しよう。初心者は自重トレーニングから始めて、徐々に負荷を増やしていくと安全に筋力アップを目指しやすい。

腸腰筋が凝っていたり、縮んだりしているときはトレーニングがかえって負担になる可能性があります。その場合は、毎日のストレッチから始めるのがおすすめです。とくに高齢者など腸腰筋の機能が落ちている方の場合は、ストレッチを日常的におこなうことが大切です。

腸腰筋をほぐすストレッチを取り入れる

トレーニングにおいて、ストレッチはとても重要な要素。寝起きや入浴後など、身体が温まっているときは積極的におこなおう。とくにトレーニング後におこなうストレッチは、筋肉の緊張を和らげるのに役立つ。腸腰筋は筋肉の中でも硬くなりやすいため、丁寧なストレッチで柔軟性を保つことが大切。

ストレッチは1つのポーズを20~30秒ほどキープし、呼吸を意識しながらゆっくりおこなうとよい。無理に伸ばすことは避け、心地よい程度の強度を保つのがポイント。簡単なストレッチならデスクワークの合間など日常生活にも取り入れやすいので、相性がよさそうなものを試してみて。

身体の痛みが出たら無理をしない

トレーニング中に痛みを感じたら、無理に続けずに様子を見よう。とくに腰や股関節周りの痛みは無理をすると悪化する可能性があるため、しっかり休むことも大切。

身体の痛みが出たときは、完全に回復するまでトレーニングを控え、軽いストレッチにとどめておこう。もし痛みが強い場合やなかなか引かないときは、早めに医師に相談して。

腸腰筋の筋トレに関するQ&A

筋トレの効果はいつ頃から実感できる?

A:個人差はあるが、機能面での変化は1ヵ月程度で実感できる。

ストレッチの場合は、腸腰筋が凝っている人はおこなった直後から効果を実感できることが多いでしょう。一方、トレーニングによる腸腰筋の伸縮性や可動域の改善は、約1ヵ月で感じられることが多いです。筋肉を大きくする場合と違い、比較的短期間で効果が実感できるため、正しい動作でおこなってください。

腰痛持ちでも続けられる?

A:腰痛の原因にもよるが、痛みがあるときのトレーニングは控えるのがおすすめ。

腰痛の原因は人それぞれ異なり、適切な対処法も違います。ストレッチは腰痛がある人でもおこなえる場合が多く、腰痛改善に効果的なものも多いです。腰に痛みがあるときは無理に続けず、落ち着くまで控えることをおすすめします。
また、不安な場合は専門家にエクササイズのやり方を見てもらいましょう。

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