
2週間など、短期間でおこなうダイエットは、リバウンドや体調を崩すリスクが高まる。無理な制限はおこなわず、長期的な視点で、健康的に痩せていくことが、ダイエットを成功させるコツ。
本記事では、ダイエットで痩せるメカニズムや、健康的に痩せるための食事や運動のコツ、2週間のような短期間で目標を立てダイエットをおこなう際の注意点などをご紹介。これからダイエットを考えている人は、ぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
2週間で5キロ痩せられる?ダイエットを成功させるための基本知識
なるべく早くダイエットの結果を出したいと思う人は少なくない。短期間で痩せるということは、身体に大きな負担がかかり、リバウンドのリスクも高くなるということ。まずは短期間ダイエットのリスクや、ダイエットで痩せるメカニズムをみていこう。
- 2週間でダイエットするのはリスクが大きい
- カロリー収支を意識することが基本
2週間でダイエットするのはリスクが大きい
運動や食事管理で体重を落とすには1〜3ヵ月かかるといわれている。そのため、2週間などの短期間で体重を落とそうとする場合は、身体の水分を減らすことが必要になる。また、極度な食事制限では、身体に必要な筋肉まで減少してしまうことも。
水分量や筋肉が減ったことで、一時的に体重が落ちているように見えても、結果的に代謝が落ちて太りやすく痩せにくい身体になってしまうほか、体調不良などを引き起こしてしまう可能性もある。
健康的に痩せるための減量ペースは「1ヵ月に1〜2kg程度」。そのため、5kg痩せるのであれば、3ヵ月間程度を想定しておく必要がある。「手っ取り早く体重が落ちればそれでいい」ではなく、今後の健康的な生活を見据えたダイエットを心がけるようにしよう。
カロリー収支を意識することが基本
ダイエットで痩せるには、カロリー収支を意識することが大切。カロリー収支とは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスのこと。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余分なカロリーが脂肪として蓄積されてしまう。一方で、消費カロリーが摂取カロリーを上回ると、体脂肪が燃焼されて痩せていく。ダイエットで痩せていくためには、摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことが重要。
健康的にダイエットするために意識すること
2週間では健康的に痩せることは難しい。ここでは、健康的にダイエットをおこなうにあたって、おさえておきたい4つのポイントをご紹介。
- 食事と運動でカロリーを管理する
- 食事の栄養バランスを意識する
- 筋肉をつけて基礎代謝を上げる
- 脂肪を燃焼させるために運動をする
食事と運動でカロリーを管理する
効果的にカロリーを管理するためには、食事管理と運動を組み合わせることがおすすめ。食事を制限するあまり、1日の摂取カロリーが極端に減ってしまうと、身体に必要な栄養素が不足し、健康を損なう恐れがある。
食事制限では、1日に必要なカロリーを必ず摂取するようにし、栄養バランスを意識しよう。「1日2000kcal程度」は必ず維持するようにすることで、筋肉量を減らさずにエネルギーを消費できるようになる。
また、消費カロリーを増やすために、運動を取り入れることも重要。運動は筋肉量を増やすための筋トレと、脂肪を燃焼させるための有酸素運動を中心に、1日30分程度を目安におこなうのがポイント。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を選んで取り組もう。

食事管理と運動を最初から両立させることが難しい場合は、まずは筋トレをはじめ、筋肉量を増やすのがおすすめです。ただし、食事管理からの方がやりやすい場合は食事内容を整えるところからはじめてもOK。
取り組みやすい方からはじめて、少しずつ成功体験を積み重ねていきましょう。
食事の栄養バランスを意識する
ダイエット中は、栄養バランスの取れた食事を意識することが大切。とくに、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルはダイエット中に不足しがち。カロリー制限をおこなう際は、必要な栄養素が不足しないよう注意しよう。
たんぱく質は、筋肉の維持や身体づくりに欠かせない栄養素で、肉や魚、大豆製品などから摂取するのがおすすめ。腸内環境を整え、便秘解消にも効果が期待できる食物繊維は、野菜や果物、海藻類などから摂取できる。
必要な栄養素を摂取することで、健康的に痩せることができる。
筋肉をつけて基礎代謝を上げる
ダイエットで痩せるには、筋肉をつけて基礎代謝を上げることが効果的。基礎代謝とは、生命活動に必要な最低限のエネルギー量のこと。筋肉量が多いほど、基礎代謝が高くなるため、痩せやすい体質になる。
筋肉をつけるには、筋トレをおこなうことが一番。初心者の人は、スクワットやプッシュアップ、腹筋運動など、自宅でできる自重トレーニングからはじめるのがおすすめ。慣れてきたら、ダンベルやバーベルを使ったトレーニングも効果的。
筋トレは、週2〜3回、1回30分程度を目安にはじめ、無理のない範囲で、徐々に回数や時間を増やしていこう。

筋トレは大切ですが、2週間程度の筋トレでは、筋肉量はほとんど増えません。体組成計などで数値の変化を実感するには、筋肉がつきやすい体質の人で2ヵ月、普通の人なら3ヵ月くらい必要です。
はじめのうちは数値の変化を目標とするのではなく、「週3回トレーニングをする」といった目標を達成することに意識を向けましょう。
脂肪を燃焼させるために運動をする
ダイエットで痩せるには、筋トレの後に脂肪を燃焼させる効果のある有酸素運動もおこなうことが効果的。運動の強度は、軽めの負荷で長く続けるのがポイント。ウォーキングやジョギング、水泳など、できるだけ長時間続けられる運動を選ぼう。
また、運動前後の食事にも注意が必要。運動前は、軽めの食事を摂り、運動後は、タンパク質を意識したバランスのよい食事がおすすめ。運動後にタンパク質を摂ることで、筋肉の回復や成長を促進する効果が期待できる。
ダイエットにおすすめのトレーニング方法
健康的に痩せるためには、食事制限だけでなく運動もしっかりおこなうことが大切。有酸素運動と筋トレをうまく組み合わせることで、痩せやすい身体をつくることができる。ここでは、ダイエット中におすすめのトレーニング方法をご紹介。
- ウォーキングやランニング:脂肪燃焼
- 大きな筋肉を優先的に鍛える:基礎代謝向上
ウォーキングやランニング:脂肪燃焼
ダイエット中に手軽に始められる有酸素運動として、ウォーキング、ランニングが挙げられる。ウォーキングやランニングは、道具いらずで手軽に始められ、とくにウォーキングは、運動初心者でも無理なく長く続けられる点が魅力。
ウォーキングは運動強度が低いため、脂肪燃焼効果は少ないが、早歩きを意識することで燃焼効果を高めることができる。ランニングは、ウォーキングよりも運動強度が高いため、より効率的に脂肪を燃焼したい場合におすすめ。
ただし、急に強度の高い運動を始めるとケガのリスクがあるため、時間と距離、速さは徐々に調整していくようにしよう。1日30分から1時間程度、週4~5日おこなうことを目標にしてみよう。
大きな筋肉を優先的に鍛える:基礎代謝向上
筋トレをして筋肉をつけることで、基礎代謝が上がり痩せやすい体質になる。効率よくダイエットをするには、脚や背中、胸などの大きな筋肉を鍛えることが効果的。
とくに、脚の筋肉は身体の中で最も大きな筋肉。スクワットなど、脚の筋トレを取り入れることで、効率的に基礎代謝をアップさせることができる。また、背中や胸の筋肉は鍛えることで、姿勢改善効果も。姿勢がよくなることで、身体の歪みが改善され、痩せやすい体型になるのも嬉しいポイント。
やみくもに筋トレをするのではなく、大きな筋肉から鍛えていけば、効果も早く実感することができる。無理のない範囲で、自分に合ったメニューを選んで取り組もう。

筋トレの頻度は、トレーニング強度によって異なりますが、しっかり負荷をかける高強度のトレーニングをおこなう場合は、週に2~3回程度がおすすめです。筋肉に大きな負荷をかけないようなトレーニングであれば、毎日おこなっても問題ありません。
器具なし!自宅でできる定番の筋トレ3選
運動習慣がない人は、まずは自宅でできる筋トレから始めるのがおすすめ。とくに、器具を使わない自重トレーニングは、今日からでも手軽に始めることができる。ここでは、定番のおすすめ自重トレーニングを3種目ご紹介。
- スクワット
- プッシュアップ
- 踏み台昇降
スクワット
スクワットは、下半身を鍛えるのに効果的な筋トレ。
両足を肩幅に開いて、お尻を後ろに引くようなイメージで腰を落としていき、ひざが90度に、太ももと床が平行になるくらいのところまで下げ、ゆっくりと元の位置に戻る。
15〜20回、2~3セットを目安に。毎日続けることで、下半身の引き締め効果が期待できる。また、身体の中で最も大きな筋肉である、脚の筋力アップに役立つため、効率的に基礎代謝を向上させる。
プッシュアップ(腕立て伏せ)
プッシュアップは、上半身を鍛えるのに効果的な筋トレ。
床にひざをつき、手のひらを肩幅に開いて床につける。ひざを床から離し、頭からかかとまで一直線になったところがスタートポジション。ひじを曲げながら身体を下ろし、肩とひじの位置が平行になるくらいのところまで下げたら、両手で床を押してスタートポジションに戻る。
15〜20回、2~3セットを目安に。毎日続けることで、胸筋アップや二の腕の引き締めに効果が期待できる。肩甲骨周りの筋肉も鍛えられるため、姿勢改善にも効果的。背中の丸みが改善されることで、スタイルアップにもつながる。
踏み台昇降
「スクワット」と「プッシュアップ(腕立て伏せ)」に加え、踏み台昇降も、ダイエットに取り入れたい運動のひとつ。
素早くおこなったり、踏み台に昇った後に太ももを大きく引き上げたりすることで、脚の筋肉への負荷も調整することができる。脚の筋肉を鍛えられるだけでなく、有酸素運動としての効果も期待でき、一石二鳥のトレーニング。

自重トレーニングなど、マシンのない環境では背中の筋肉を鍛えにくいので、ダンベルやトレーニングチューブを使った「ローイング」など、背中を鍛えるトレーニングを追加でおこなうのがおすすめです。
2週間でダイエットするときの注意点
ダイエットをする場合、結果を早く出そうと無理なダイエットをおこなうと、リバウンドや体調を崩してしまう原因に。健康的に痩せるためには、以下のポイントに注意しよう。
- 短期間集中ダイエットにならないようにする
- 無理な食事制限は逆効果
- 食事制限だけのダイエットはNG
- 筋肉を落とさないようにする
- 食事の栄養バランスに気をつける
短期間集中ダイエットにならないようにする
短期間集中ダイエットは一時的に体重が落ちるが、元の生活に戻すと同時にリバウンドをするリスクが高いというデメリットも。
短期間で痩せるために、無理な食事制限や運動をおこなうと、身体に負担がかかり健康面でもリスクがある。そのため、2週間での大幅なダイエットはおすすめできない。
また、「結果が出たから2週間で終わり」ではなく、結果が出ているからこそ、その後も継続して健康的な生活習慣を身につけていくことが大切。2週間後の目標を決めてダイエットに取り組むのはいいが、短期間集中ダイエットにならないよう、長期的な視点を持ってダイエットをおこなおう。
無理な食事制限は逆効果
無理な食事制限は、ダイエットとして逆効果になることを覚えておこう。極端に食事を制限すると摂取カロリーが少なくなり、一時的には体重が落ちることもあるが、身体に必要な栄養素も不足する。また、極端な食事制限は、リバウンドのおもな原因になる。
カロリーの過剰摂取には注意が必要だが、1日に必要なカロリー・栄養素はしっかり摂取するようにしよう。間食は控えめにし、どうしても食べる場合は低カロリーなものを選ぶのがおすすめ。
健康な身体ありきのダイエットのため、無理な食事制限はおこなわず、栄養バランスの取れた健康的な食事を心がけて。
食事制限だけのダイエットはNG
食事制限だけでも一時的に体重が落ち、ダイエットが成功したように見えることがあるが、脂肪だけでなく筋肉量も減少し、基礎代謝が低下してしまっているケースも多い。基礎代謝が低下すると、太りやすく痩せにくい身体となってしまう。
食事制限だけではなく、適度な運動を組み合わせることで、効果的に体脂肪を燃焼することができる。
筋肉を落とさないようにする
ダイエット中は、筋肉をできるだけ落とさないように意識することが大切。前述の通り、筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、太りやすく痩せにくい体質になってしまう。また、筋肉の減少によって身体のラインが崩れ、体重が落ちてもスタイルが悪く見えてしまうことも。
ダイエット中は筋肉量の減少を防ぐため、適度な筋トレをおこなうことが不可欠。すでに紹介した、「スクワット」「プッシュアップ」「プランク」など、自宅で気軽に始められる自重トレーニングにまず取り組んでみよう。
ほか、日頃の食事では不足してしまいがちなタンパク質も、筋肉量を維持するために必要な栄養素のため、ダイエット中はしっかり摂取すること。筋肉を落とさないように心がけることで、健康的な理想体型を手に入れることができる。
食事の栄養バランスに気をつける
ダイエット中の食事は、栄養バランスにも気をつける必要がある。単に摂取カロリーを守ればいいというものではなく「炭水化物」「タンパク質」「脂質」をバランスよく摂ることが大切。
とくに、タンパク質は筋肉を維持するために欠かせない栄養素。また、炭水化物も適度に取ることで、トレーニングのパフォーマンスを高める効果が期待できる。

糖質制限や脂質制限など、特定の栄養素を極端に制限するダイエット方法は避けるのがおすすめです。身体が飢餓状態に陥って基礎代謝が低下してしまい、痩せづらい体質になってしまうリスクがあります。ご飯は1食150〜180gを目安にしてください。
2週間でのダイエットに関するQ&A
2週間ダイエットは何キロを目安にするとよい?
A:1キロ程度が理想的。

短期間で大幅な体重減少を目指すと身体に負担がかかり、リバウンドのリスクが高まるだけでなく、筋肉量も減ってしまう恐れがあります。
無理のない範囲で、月1キロ減を目標に設定するのがおすすめです。また、体重だけでなく、体脂肪率や見た目の変化やダイエットが続けられているかにも注目するようにしましょう。
体重が減らなくても、トレーニングや食事管理を続けていること自体も小さな成功体験。少しずつ成功体験を積み重ねていくことで、徐々に身体は引き締まっていきます。
太る人の条件は?太ってきた兆候はどんなもの?
A:体脂肪量や筋肉量などの変化を参考にしよう。

年齢に伴う体型の変化もあるので、太ったかどうかを客観的に判断するのは難しいです。体脂肪量や筋肉量などの数字の変化を参考に判断してみましょう。太る人の条件は、おもに以下のようなものが挙げられます。
- 食べ過ぎや間食が多い
- 運動不足である
- ストレスを感じやすい
- 睡眠不足や不規則な生活習慣である
また、太ってきた兆候は、以下のようなものがあります。
- お腹まわりや顔がぷっくりしてきた
- 体重が増えてきた
- お腹が出てきた
- 服がきつく感じるようになった
太ってきたと感じたら、早めに生活習慣を見直すことが大切です。早めに食生活や運動習慣を改善することで、太ることを防ぐことができます。
確実に痩せる方法はあるの?
A:確実に痩せる方法は存在しない。

残念ながら、確実に痩せる方法は、残念ながら存在しません。ダイエットの効果は個人差が大きいため、同じ方法でも効果に違いが出るのが現状です。
- バランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を取り入れる
- ストレスを溜めない
- 十分な睡眠を取る
- 自分に合ったダイエット方法を見つける
など、できるだけ体内時計を整え、食事や運動の効果が出やすい身体環境をつくるようにしましょう。ダイエットは短期間で終わるものではありません。長期的な視点を持ち、健康的な生活習慣を身につけることが大切です。
置き換えダイエットやサプリメントを使うのはOK?
A:置き換えダイエットやサプリメントだけに頼るのは避けよう。

ダイエットの基本は、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけること。置き換えダイエットやサプリメントは、あくまでもダイエットの補助として利用してください。
効果があまり感じられない場合の対策は?
A:効果があまり感じられない場合も、焦らずに継続することが重要。

ダイエットの効果は個人差が大きいため、他人と比べるのは避けましょう。また、短期間で結果が出るものでもないため、自分のペースでダイエットを継続することが大切です。
長期的な視点を持ち、健康的な生活習慣を身につけることが成功への近道になります。
オートミールダイエットは2週間で効果が出る?
A:効果が出る可能性はあるが、個人差がある。

オートミールだけに頼ったダイエットは避けること。主食をオートミールに置き換えるだけで減量ができている場合、筋肉が落ちて代謝が下がっている可能性もあります。
基本はバランスの取れた食事と、適度な運動を心がけることが重要です。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。