
二の腕が太さやたるみが気になるから「二の腕痩せをしたい」「今よりたくましい二の腕をつくりたい」など、二の腕まわりの筋トレに興味を持っている人も多いはず。
この記事では、二の腕が太くなってしまうおもな原因や引き締めるコツ、二の腕痩せや二の腕の筋肥大をしたい人向けの筋トレメニューなど紹介。二の腕のトレーニングを本格的に始めたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

おぜき としあきさん
パーソナルトレーナー
この記事の検証者

山田 しおりさん
フィットネスクラブで身体を動かす習慣はあったものの、きちんと身体に合った方法で運動できているか不安になり、2023年からパーソナルトレーニングに定期的に通い始める。 仕事が忙しい時期はとくに運動不足気味のため、歩いて移動できる場所は電車やバスは使わないように心がけている。

山下さん
筋トレ歴9年
学生時代から週3~トレーニングや運動を続けており、社会人になってからも週4~トレーニングを継続。コンテスト出場歴もあり。 正しいフォームを皆さんに伝えられるように日々奮闘。
二の腕の筋トレをする前に知りたい5つのこと
引き締まった二の腕を目指すなら、トレーニングを始める前に「正しい知識」を持つことが大切。ただ鍛えるだけではなく、以下の5つのポイントを押さえてトレーニングしよう。
- 二の腕は部分痩せできない
- 筋肥したい人は「重力への抵抗」を意識する
- 引き締めるコツは「可動域を大きく使うこと」
- 筋肥大は「週2~3回」、たるみ撃退は「週3~4回」
- 目的別に負荷を変える
二の腕は部分痩せできない
「二の腕だけをピンポイントで細くする」という部分痩せは難しい。二の腕の脂肪を減らしたい場合、二の腕の筋トレだけでなく全身運動や食事の見直しなどで身体全体の脂肪を減らすことが必要。
以下は、104人の男女を対象に、利き腕ではない方の腕だけを12週間筋トレした実験結果。
筋トレをした腕の脂肪 | 男性は減少、女性は減少しなかった |
筋トレをしていない腕の脂肪 | 男女ともに変化なし |
→MRIで測定したとき、男女ともに筋トレをした腕/していない腕どちらも、特定部分の脂肪は減らなかった。
参考論文:Medicine&Science in Sports&Exercise
筋肥大したい人は「重力への抵抗」を意識する
筋肥大を目指す場合は、重力に抵抗しながらおこなうやり方が効果的。
トレーニングの種類 | ポイント |
マシントレーニング | ケーブルを介して負荷をかけるタイプのマシンは重力への抵抗が少ないため、筋力は向上しても筋肥大効果は限定的 |
フリーウエイトトレーニング | 正しいフォームでおこなうことで、ケガを防ぐだけでなく目的の筋肉に効果的に負荷をかけられる |
引き締めるコツは「可動域を大きく使うこと」
トレーニングをして二の腕を引き締めたい場合は、動く中で可動域を大きく使うことがポイント。
トレーニングの動きの中で筋肉の「伸び」と「縮み」を最大限に引き出すことで、より多くの筋繊維が活性化され、効率的に筋肉を成長させられる。筋肉量が増えれば、基礎代謝も上がり、脂肪が燃焼しやすい身体になり、結果として引き締まった二の腕をつくれる。
意識して大きく可動域を使うことで以下のような効果も。
- 関節の柔軟性が向上し、動きがスムーズになる
- 日常生活で必要な筋肉が連動する
- 特定の筋肉だけでなく、その周辺の筋肉も同時に鍛えられ、よりバランスの取れた二の腕に
筋肥大は「週2~3回」、たるみ撃退は「週3~4回」
目的 | 頻度 |
筋肥大 | 週2~3回 |
引き締め | 週3~4回 |
筋肥大を目的とする場合は、筋肉を成長させる時間を確保するために、しっかり休息をとることが必要。腕の筋肉の場合は比較的小さな筋肉群のため、2日程度の休息で回復する。
ただし、久しぶりにトレーニングした場合や追い込みすぎたと感じる場合は、疲労が残りやすいため、もう少し長めの休息期間を設けるのがおすすめ。
引き締めが目的の場合は、筋肥大ほど長い休息期間は必要ないので、1日おきの頻度で十分効果が期待できる。目的に応じて休息日の設け方を調整しよう。
目的別に負荷を変える
目的 | 負荷 | 回数 |
筋肥大 | 100%と感じる重さ | 10~15回 |
引き締め | 頑張れば50回程度できる重さ | 15回程度 |
同じトレーニングでも、重量と回数の設定を調整することで、「筋肥大するか」「引き締めるか」をコントロールできる。
たとえば、5kgを使って3回しかできない場合と、10kgを使って1回だけできる場合では、後者の方が筋肉は太くなりやすい。

監修者:おぜき
とくに女性が二の腕を引き締めたい場合は、軽めの重量で可動域を大きく使うことで、太くなることなくメリハリのある美しい腕のラインを作れるので意識していきましょう。
二の腕を構成する筋肉
二の腕は上腕二頭筋、上腕三頭筋の筋肉で構成されている。ここではそれぞの部位について紹介。
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
上腕二頭筋
主な役割 | ひじを曲げる動作を支えている。日常生活では、腕を持ち上げる、物を引き寄せるなどの基本的な動作に関わる。 |
位置 | 二の腕の表側に位置する筋肉 |
構成筋肉 | 長頭・短頭 |

監修者:おぜき
上腕二頭筋は、腕を「引く動作」によって効果的に鍛えられます。
上腕三頭筋
主な役割 | 上腕全体の約60%を占めて、ひじを伸ばす動作を支える。日常生活では、物を持ち上げる動作や物を引く動作に関わる。 |
位置 | 二の腕の裏側に位置する筋肉 |
構成筋肉 | 長頭(ちょうとう)・外側頭(がいそくとう)・内側頭(ないそくとう) |

監修者:おぜき
上腕三頭筋は、腕を「押し出す動作」で効果的に鍛えられます。
二の腕がたるんでしまう原因
メイン:加齢・皮下脂肪の蓄積
加齢が原因でもっとも多いのは、以前は脂肪で満たされていた部分が体重減少により皮膚だけが残ってしまう現象。皮膚が体積の変化についていけず、余った皮膚がたるみとして現れてしまう。
また、加齢とともにコラーゲンやエラスチンの生成量が減少することで、皮膚のハリや弾力が失われ、たるんでブラブラした印象の二の腕になることも。
おすすめの対策方法
- 限界まで追い込む100点満点の運動を週1回おこなうよりも、「物足りない」と感じる50点程度の運動を多めの頻度でおこなう
- 血行をよくするようなトレーニングをおこなう
その他の原因
原因 | 理由 |
むくみ・血行不良 | 長時間同じ姿勢を維持することで、二の腕の太さを強調され、肩まわりの血行を悪くして肩こりなどを助長。 |
筋力低下 | 運動不足や日常生活での使用頻度が減少し、腕のたるみの原因に。 とくに上腕三頭筋の筋力が落ちるとたるんだ印象を与える。 |

監修者:おぜき
とくにデスクワークの場合やスマートフォンの長時間使用などは、むくみ・血行不良の原因になるので注意しましょう。
【たるみ撃退】二の腕の筋トレメニュー4選
- キックバック
- フレンチプレス
- ベンチディップス
- ひざつきプッシュアップ
キックバック
難易度 | ★★☆☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 片手にペットボトルを持ち、片ひざと片手をベンチにつけて身体を支える
- 背中をまっすぐに保ち、ひじを90度に曲げる
- ひじの位置を固定したまま、前腕をうしろに伸ばす
- 1秒ほどキープし、ゆっくりと元の位置に戻す
バリエーション | 約3種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | イス・ペットボトル |
鍛えられる部位 | 上腕三頭筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- 腕をしっかり伸ばしきる
- 肩に力をいれすぎない
腕をしっかり伸ばしきる
肩に力をいれすぎない
キックバックの種類
ダンベルキックバック |
|
ケーブルキックバック |
|

検証者:山田
腕を伸ばしきる前に戻すと、筋肉の収縮が感じられずトレーニング効果が低くなりました。反動を使わずゆっくりおこなうことで、しっかり二の腕に効いている感覚がありました。
フレンチプレス
難易度 | ★★☆☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- ベンチに座り、ダンベルを両手で持ち上げる
- ダンベルを頭の後ろにセットする
- ゆっくりひじを伸ばし、両手を頭上に上げていく
- 初期の姿勢に戻し、この動作を繰り返す
バリエーション | 約4種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | イス・ペットボトル |
鍛えられる部位 | 上腕三頭筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- 脇をしめる
脇をしめる
フレンチプレスの種類
ライイングフレンチプレス |
|
ダンベルフレンチプレス |
|
ケーブルフレンチプレス |
|

検証者:山田
負荷が強いと、脇が開き腰も反ってしまいます。初心者は軽い重量から始めたほうがよさそうです。また、お腹に力を入れて腰をベンチに押し付ける意識をもつことで、体制が安定しやすかったです。
ベンチディップス
難易度 | ★★★★☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 両手をベンチに置き、ひざを直角に曲げて床に脚をつける
- 肩幅程度に手を広げ、ひじを曲げて身体を下ろしていく
- 上腕が床と平行になるまでひじを曲げ、ゆっくりと元の位置に戻す
バリエーション | 約2種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | イス |
鍛えられる部位 | 上腕三頭筋・大胸筋・三角筋 |
負荷の調整 | 可能 |
ベンチディップスの種類
脚を台に乗せたベンチディップス |
|

検証者:山田
肩がすくむと、負荷が肩や首に逃げてしまう感覚がありました。肩の力を抜き胸を張ることで、しっかり腕に効かせられました。
ひざつきプッシュアップ
難易度 | ★☆☆☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
トレーニング効率(※2) |
★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 両ひじを肩の真下につく
- ひざをついて足は少し開いた状態で安定させる
- 肩からお尻までが一直線になるように、姿勢をキープする
バリエーション | 約7種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | ボール・床マット |
鍛えられる部位 | 腹直筋・腹斜筋・脊柱起立筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- 肩の真下に手を置く
肩の真下に手を置く
プッシュアップの種類
ノーマルプッシュアップ |
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ワイドプッシュアップ |
|
ナロープッシュアップ |
|
デクライン・プッシュアップ |
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リバース・プッシュアップ |
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バック・プッシュアップ |
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検証者:山田
ひざをつくことで難易度が下がるため、初心者におすすめ。ひじを少し後ろに引くようにすると、肩への負担が減り、胸と腕にしっかり効いている感じがしました。
【力こぶを作る】二の腕の筋トレメニュー3選
- アームカール
- バーベルカール
- ディップス
アームカール
難易度 | ★★★☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 脚を肩幅に開き、ダンベルを両手に持って腕をまっすぐ下ろす
- ひじを固定し、腕を曲げてダンベルを肩に向かって持ち上げる
- 上げたダンベルをゆっくりと元の位置に戻す
バリエーション | 約3種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | ダンベル |
鍛えられる部位 | 上腕二頭筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- ひじを固定する
ひじを固定する
アームカールの種類
ハンマーカール |
|
コンセントレーションカール |
|

検証者:山下
ひじを固定していないと、つい反動でダンベルを持ち上げてしまいます。ゆっくり動かすことで、腕にしっかり効かせることができます。
バーベルカール
難易度 | ★★★★☆ |
続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 脚を肩幅に開き、バーベルを肩幅程度で握る
- ひじを身体側に固定し、バーベルを持ち上げる
- バーベルをゆっくりと上げ、上腕がほぼ直角になるまでカールする
- ゆっくりと元の位置に戻し、繰り返しおこなう
バリエーション | 約2種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | ジム |
器具・設備 | バーベル |
鍛えられる部位 | 上腕二頭筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- ひじを固定する
ひじを固定する
バーベルカールの種類
EZバーカール |
|

検証者:山下
バーベルの重量があっていないと、ひじが固定できず、腰も反らしてしまいます。まずは軽い重量で体幹を安定させる意識を持つことで、フォームの習得ができそうです。
ディップス
難易度 | ★★★★★ |
続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- ディップスバーを両手でしっかりとつかみ、身体を持ち上げる
- 脚はまっすぐに伸ばすか、ひざを折り後方で組み、身体を安定させる
- ひじを曲げつつ身体をゆっくりと下ろし、肩がひじと平行になるまで深く沈める
- ギリギリまで下に下ろしたら、ひじを伸ばして初期の姿勢へ戻る
バリエーション | 約3種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | ジム |
器具・設備 | ディップスバー |
鍛えられる部位 | 上腕三頭筋と大胸筋の下部 |
負荷の調整 | 可能 |
- 肩をすくませない
- ひじを固定する
肩をすくませない
ひじを固定する
ディップスの種類
ベンチディップス |
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加重ディップス |
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検証者:山下
難易度の高いトレーニングのため、最初はフォームの維持が難しいかもしれません。肩がすくむと三角筋に力が入るため、胸を張る意識で取り組むとよさそうです。
【スキマ時間に鍛える】二の腕の筋トレメニュー
スキマ時間を利用して自宅で二の腕を鍛えたい場合は、ペットボトルやバッグを使った「フレンチプレス」がおすすめ。ペットボトルをバッグに入れることで、重量も調整できる。
二の腕ストレッチのやり方
二の腕をトレーニングする際は、柔軟性や可動域を確保することも大切。頭の後ろでひじを持つ二の腕ストレッチがおすすめ。30秒ほど伸ばし、筋肉をほぐしてからトレーニングしよう。
二の腕の筋トレに関するQ&A
女性が筋トレをして、二の腕が逆に太くなることはないの?
A:太くなることはある

筋肉の大きさは扱う重量に比例します。大きな筋肉で全身を鍛えて脂肪を落としやすい身体づくりをしながら、二の腕の筋トレは軽い重量で軽くおこなうのもおすすめです。
筋トレを始めてどのくらいで二の腕痩せの効果が感じられる?
A:2~3ヶ月程度

細胞の入れ替わりを考えると体型が変化するまでには2~3ヶ月程度必要ですが、1ヶ月でも筋肉量は着実に増えています。個人差はあるものの中身は確実に変化しているのであきらめずにトレーニングしていきましょう。
マシンやダンベルでの運動と自重トレーニングはどちらが効果的?
A:フリーウェイトの方が効果的

重力に対する抵抗の度合いを考えた場合、マシンは滑車やケーブルで重力に対する抵抗が分散されてしまい、フリーウェイトよりも負荷がかかりにくくなります。
また、フリーウェイトは重量を支えてバランスを保つために全身の筋肉を使用するため、インナーマッスルも鍛えられます。自重のトレーニングでは十分な負荷がかけられない場合もありますが、その際はペットボトルやリュックなどを活用するとよいでしょう。
青山学院大学在学中の1988年から指導をスタート。指導歴30年で女優、役者、アイドル、女子アナ、ミスワールド日本代表モデル、プロサーファー、新体操選手などのスポーツ選手なども含め20000人超の指導を経験。2003年OZEKIパーソナルトレーナー養成スクール(現Shapesアカデミー)開設。2005年Shapes(現ShapesGirl)を東京渋谷に開設。メディア出演のほか、「腹凹は太もも運動でつくれる 1日3分週3日でOK!」(SBクリエイティブ)「5秒姿勢矯正ダイエット」(マガジンハウス)など多数の著書を執筆。