
「デッドリフト」は全身をバランスよく鍛えられる種目として知られるトレーニングの代表格。上級者や中級者が多く取り入れている種目だが、誰でもできるのか?初心者がフォーム習得に悩む理由、「デッドリフト」で期待できる効果や鍛えられる筋肉、さまざまなデッドリフトのやり方などを詳しくご紹介。デッドリフトにまつわるQ&Aも掲載しているので、トレーニングで悩んでいる人は参考にしてみよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
【種類別】「デッドリフト」で鍛えられる部位
フリーウェイトトレーニングの醍醐味ともいえるデッドリフトは、筋トレBIG3(ビッグスリー)のひとつに数えられ、大きな筋肉群を効率よく鍛えることができる。マシンいらずのこのトレーニングは、背中からお尻、太ももにかけての筋肉を一度に引き締め、身体のバランスを整えることが可能。
また、身体の中心となるコアの強化にもつながり、日常生活での姿勢改善にも効果的。筋肉の連動性を高め、全身の力を一点に集中させることで、筋力アップはもちろん、身体の安定感もアップする。デッドリフトでとくに鍛えられるのは、以下4つの部位。
・ハムストリングス
・大臀筋
また、ノーマルデッドリフトやルーマニアデッドリフトなど、種目によってアプローチしやすい部位も変わってくる。以下の表を参考に、鍛えたい部位に合わせて種目を選ぶのもおすすめ。
▼【種類別】各部位への負荷一覧
背筋全体 |
ハムストリングス |
大臀筋 |
内転筋 |
|
ノーマルデッドリフト/ダンベルデッドリフト |
◎ |
〇 |
〇 |
△ |
ルーマニアデッドリフト |
〇 |
◎ |
◎ |
△ |
スモウデッドリフト |
〇 |
△ |
〇 |
◎ |
シングルレッグデッドリフト |
〇 |
◎ |
◎ |
△ |
◎=高いアプローチができる/〇=アプローチができる/△=あまりアプローチできない
背筋全体(僧帽筋・広背筋・脊柱起立筋)
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、広背筋(こうはいきん)、僧帽筋(そうぼうきん)は、背筋群に含まれる部位。日常生活で重い物を持ち上げる際に背骨を支える筋肉を強化し、背中や腰の負担の軽減にも。とくに脊柱起立筋が鍛えられることによって、猫背の改善や体幹の強化につながり、健康的な身体にも一歩近づける。
背中を鍛えるトレーニングは他にもさまざまな種類が。正しいやり方やコツは以下で詳しく紹介。
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ハムストリングス
お尻の付け根から太ももの裏に位置する大きな筋肉、ハムストリングスは歩行や走行など基本的な動作に欠かせない。この重要な筋肉を鍛えることで、肉離れやひざの痛み、腰痛の予防に役立つ。また、基本的な動作のサポートだけでなく、全身の健康維持にも関わってくる。
以下でハムストリングスを鍛えるトレーニングを紹介。
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大臀筋(だいでんきん)
全身の筋肉の中でも大きいお尻の筋肉、大臀筋を効率よく鍛えることが可能。お尻の位置が高くなり、ヒップアップ効果も期待できる。さらに、デッドリフトはジャンプ力や脚の速さを向上させる効果もあり、日常生活からスポーツのパフォーマンスアップまで、その効果は幅広い。
お尻を鍛えるトレーニングは以下でも紹介。
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内転筋(ないてんきん)
内転筋は太ももの内側に位置し、脚を内側に引き寄せる動きを担う筋肉群。見落とされがちな部位ではあるが、骨盤や股関節など下半身の安定性を支える重要な役割を持っており、内ももの引き締めや脚のラインを整える効果もあるため、見た目の美しさを重視する人に鍛えてほしい部位。
「デッドリフト」は初心者でもできる?柔軟性もポイント
デッドリフトは全身の筋肉を効率的に鍛えられるトレーニングであり、多くのトレーニーが取り入れている種目。ただ気になるのは、筋肉量の少ない初心者でも実施できるのか…。Wellulu編集部(トレーニング初心者)が監修者にアドバイスをもらい実践してみた。運動習慣のない初心者が正しいフォームを習得できない主な原因として、股関節・足首・肩甲骨周りが硬いことが挙げられる。

Wellulu編集部スタッフ
普段トレーニングをしていない初心者(30代半ば・男性)なのですが、そんな私でもデッドリフトはできるのでしょうか?

バーベルやダンベルでの重量調整や類似種目などあるので、筋肉量の多さはあまり気にしなくてもよいかもしれません。ただ、デッドリフトは正しいフォームで実施できるかが、大きなポイントになります。普段あまり身体を動かしていない人の場合、股関節や足首に詰まりを感じてスタートポジションが維持できません。まずは軽い重量で確認してみましょう。
股関節・足首が硬い人の特徴と対策

Wellulu編集部スタッフ
膝から下にバーベルを下げようとすると、背中が丸まってしまいます…。股関節が苦しいのと、脛(すね)の辺りにハリがあります。

膝までしかバーベルが下がらない人の場合、どうしても正しいフォームでトレーニングできなくなってしまいます。そういった方の場合、まず股関節や足首の柔軟性を高めるストレッチやモビリティトレーニングをしてから、デッドリフトに入るようにしてください。
股関節を支点に足を前後・左右に動かす振り子運動
マッサージガンやボールなどで足の裏(土踏まずあたり)をほぐすと足首の柔軟性が高まる

股関節や足首が硬い人の傾向として、普段からあまり運動をしていない方・デスクワークの多い方によく見られます。股関節周りは特に女性より男性の方が硬いので、デッドリフトに入る前のルーティーンとして、こういった動的ストレッチなどを取り入れるのがおすすめです。
ストレッチ前と後で、バーベルがふくらはぎ辺りまで下がるようになった
▼股関節の柔軟性を高める方法としてスモウトゥスタンドもおすすめ
肩甲骨を下制できない人の特徴と対策

Wellulu編集部スタッフ
股関節・足首のストレッチをすることで、スタートポジションが楽になりました。

よくなりましたね。このフォームであれば、背筋群や下半身の筋肉にもアプローチしやすくなっていると思います。ただ、現状としてまだ60~70点くらいですね。バーベルを持つ際に、肩甲骨を寄せて下制させることを意識してみてください。
普段運動していない人は、なかなか肩甲骨を下制できない。(編集部スタッフはできなかった)

肩甲骨を下制できない人の特徴として、広背筋や鎖骨下部の筋肉が硬いなどが考えられます。そういった方は日頃からここの筋肉をほぐすようにしてください。
鎖骨下部の筋肉をほぐす(コリがある場合はかなり痛みが)

ストレッチによるケアや定期的なトレーニングに取り組むことで柔軟性も高くなってきますので、徐々にデッドリフトの正しいフォームも身についていくと思いますよ。
「デッドリフト」の正しいフォーム・やり方
まず初心者の場合、デッドリフトの正しいフォームを身につけることから重視しよう。全身の連動性が必要なため初心者の場合、少しハードルが高く感じる場合もあるが正しいフォームを身につけることで、効果的なトレーニングが可能になる。まずは軽いウェイトから、徐々に重量を増やしていくやり方がおすすめ。
<やり方>
- 足の中央にバーベルがくるように立つ
- 腹圧を意識してバーベルを持ち、肘を曲げずにバーベルを握る
- 目線は2~3m先の床を見る
- 背中が丸まらないように注意し、引き上げる
- 真下を意識して、バーベルを下ろす
※太字部分に注意しよう!(詳細は▼にて記載)
足の中央にバーベルがくるように立つ
デッドリフトをおこなう際は、バーベルの真下に足を置くことが重要。バーが足の中央に位置することで、適切な軌道でバーベルを持ち上げることができる。足の位置が前すぎると膝が邪魔になり、後ろすぎると腰への負担が増す。つま先の少し後ろにバーがくるように調整しよう。
また、上半身が前傾しすぎてしまうとスムーズな動きができず腰に負担がかかってしまうため、肩甲骨の真下にバーベルがくるイメージで。
腹圧を意識してからバーベルを持つ
腹圧をしっかりと高めることで、体幹の安定性が増し腰への負担を軽減できる。バーベルを持つ前に息を大きく吸い込み、腹筋を締めることでリフトアップ時の姿勢が安定する。また、腹圧を意識することで肩甲骨を下げるイメージがつきやすくなることも。腹圧を高めた状態を保ったまましゃがむことで、正確なスタートポジションもセットしやすくなる。
肘を曲げない
バーベルを持ち上げる際に肘が曲がってしまうと腕に余計な力が入り、負荷が分散してしまう。デッドリフトは腕の力ではなく、背中や脚の筋肉を使って持ち上げる種目。肘をしっかり伸ばした状態を維持することがポイント。
目線は2~3m先の床を見る
デッドリフトをおこなう際は頭の位置を安定させよう。目安として、目線を2~3m先の床に向けることで、背中の丸まりや反りを防ぐことができる。正確なフォームで取り組むためにも目線に注意を。
■目線のNG例
背中が丸まらないように注意する
デッドリフトの動作中に背中が丸まると、腰に過度な負荷がかかり、ケガのリスクが高まる。とくに高重量を扱う際には胸を張り、背中をフラットな状態に保つことを意識する。動作中は肩甲骨を下げるイメージで、広背筋を使ってバーベルをコントロールすることがポイント。

最初はフォームの習得を重視して!
いくつかのポイントを抑えて正しいフォームでおこなうことで、安全かつ効果的に全身を鍛えることができます。最初のスタートポジションから意識して、適切な重量でトレーニングに取り組むことで長期的な成果にもつながります。また、「ゆっくり上半身を起こす」と指示する方もいますが、速度感が人によって異なることがよくあります。適切な速度で動作をおこなうことは、筋肉に適切な負荷をかける上で大切なポイントです。「背筋を伸ばした姿勢をキープして勢いをつけずに上半身を起こす」と考えた方が適切かもしれません。
【動作解析で検証】正しいフォームと間違ったフォームの比較
腰の動きを黄色い線、各関節の動きを青い線で表している。
実際にお手本となるフォームを監修者に実践してもらい、Wellulu編集部スタッフ(トレーニング初心者)の間違ったフォーム(現状60点程度)とどこが違うのか?動作解析も活用して検証してみた。主な違いとして腰の位置と背中・膝の角度に違いがあるため、ビギナーは反面教師としてWellulu編集部のフォームを参考にしてみて。
▼監修者のフォーム
▼Wellulu編集部スタッフのフォーム
動作解析を踏まえた主なフォームの違い
〇腰の位置(黄色いマーカ)部分
▶Wellulu編集部の場合、胸を張ること・バーベルを落とすことに意識が行き過ぎて、腰の位置が過剰に動いている。
〇各関節(青いマーカ)の動き
▶肩が落ちて(肩甲骨を下制できていない)、背中がまるまっている。
▶膝が曲がりすぎている。
デッドリフトの種類
デッドリフトの種類に関しては、トレーニング目的や頻度に応じて自分に合った方法を選択することが大切。たとえば、週に複数回ジムに通える人は、さまざまなデッドリフトのバリエーションを組み合わせることで、全体の筋肉バランスを整えることができる。一方で、週に1回しかトレーニングできない人や初心者は、正しいフォームを身につけてから徐々に重量を上げていこう。
基本的な「デッドリフト」、ひざを伸ばした状態でおこなう「スティッフレッグド・デッドリフト」など、バリエーションによって少し異なる筋肉群を鍛えることができるので、背中の日、脚の日など、目的に合わせて異なるデッドリフトの種類を選択するのもおすすめです。
裏ももに効く「スティッフレッグド・デッドリフト」と「ルーマニアデッドリフト」
- 腰幅程度に脚を開く
- バーベルも肩幅程度の位置で持つようにする
- ひざを曲げないように注意しつつ上半身を倒し、背中と床を並行にする
- 背中が丸まらないよう意識しながらバーベルを持ち上げる
「ルーマニアデッドリフト」や「スティッフレッグド・デッドリフト」は、とくにハムストリング(もも裏)に効果的なトレーニング。
「ルーマニアデッドリフト」と「スティッフレッグド・デッドリフト」との主な違いとしてはひざの進展具合。「スティッフレッグド・デッドリフト」はひざをほとんど曲げずにおこなうのに対し、「ルーマニアデッドリフト」ではひざを少し曲げておこなう。この微妙な違いにより、ハムストリングへの負荷や刺激の度合いが少し変わる。

フォームに関する注意点としては、腰を丸めないこと、股関節からしっかりと前傾すること、そしてひざを適切に曲げること。とくに、腰に負担をかけないよう注意しながら、背中をまっすぐ保つことが大切です。また、つま先に体重が乗り過ぎてバランスやフォームを崩したり、かかとに体重が乗りすぎないようにすることで、ふくらはぎへの不必要なストレッチを避けることができます。
内転筋に効くスモウデッドリフト
- 足を肩幅以上に広げ、つま先を外に向ける
- 手幅は肩幅程度にして、背筋を伸ばした状態でバーベルを持つ
- 股関節や内転筋を意識しながらバーベルを持ち上げる
- 肩甲骨の下ろすイメージでバーベルを戻す
スモウデッドリフトは足幅を広く(肩幅の1.5〜2倍程度)取ることで、大臀筋や内転筋を強化できるデッドリフトのバリエーション。
一般的なデッドリフトよりも上体の前傾が少なくなるため、腰への負担を軽減できるのも特徴。動作時は膝が内側に入らないように注意しながら、地面を押して立ち上がるイメージで。
ダンベルを使う「ダンベルデッドリフト」
- 両手でダンベルを握り、足を肩幅まで開く
- 背中を丸めないで、前傾姿勢をつくる
- 太ももの裏側に緊張を感じつつ、上体を直立させる。上体を直立させる際、広背筋を引き寄せる感覚で行う
「ダンベルデッドリフト」は、バーベルを使用する通常のデッドリフトの代替種目としておすすめのトレーニング。とくに自宅でトレーニングをおこなう人やジムに通えない人におすすめ。
バーベルを使うデッドリフトとの主な違いとして、「使用する器具の形状によって生じる動作の細かな差異」と「それに伴う筋肉への刺激の違い」などがある。

バーベルと違いダンベルの場合は、デッドリフトの可動域が広がります。また、上半身を起こした際に太もものサイドに腕を持っていけるため、肩甲骨をより意識して寄せるトレーニングをすることもできます。自宅にダンベルがある方は代替種目として取り入れてみてはいかがでしょうか。
シングルレッグデッドリフト(片足デッドリフト)
- ダンベルを持ち、脚を後ろに伸ばす
- 胸を張りながら上体を前傾させていく
- 軸足のハムストリングスを意識しながら起き上がる
シングルレッグデッドリフトは、片脚でバランスを取りながらおこなうデッドリフトのバリエーション。主にハムストリングス、体幹を強化する効果が期待できる。
上体を前傾させていく際に、できるだけ頭・腰・後ろ足が地面と変更にするのがポイント。
「デッドリフト」の平均重量・セット数の組み方
デッドリフトの平均重量やセット数の組み方を下記2つの観点で解説。
・ダイエットが目的の場合
・男女別の平均重量
自分に合った重量でトレーニングするための参考にしてみよう。
筋肥大が目的の場合
デッドリフトを筋肥大の目的で取り入れたい人は、適切な重量とセット数の選択が重要。しっかりと筋肉を鍛えたい場合、6〜10回が限界になる重さを選ぶのがおすすめ。筋肉に適切な刺激を与え、成長を促すことができる。
適度に鍛えたいときは反復回数を10〜12回まで増やし、それが限界となる重さを目指す。この場合も、速度よりもフォームを重視し、筋肉に十分なテンションをかけ続けることが大切。
セット数に関しては、2〜3セットが最適。多くの場合、これで十分な負荷と回復のバランスを保つことができる。重要なのは、単に重量を持ち上げるのではなく、筋肉に意識を集中させ、各リフトを時間をかけて行うこと。この方法で、デッドリフトを行えば、筋肥大に向けた効果的な一歩を踏み出すことができる。
ダイエットが目的の場合
デッドリフトでダイエット効果を期待している人は、目標15回続けられる重さで、2〜3セットを目安に実施すること。この方法により、筋肉を効率よく使い、脂肪燃焼を促進する。リズミカルな動作で行うことで、カロリー消費が高まり、引き締まった身体を目指せる。
このアプローチは、ただ単に重量を持ち上げるのではなく、トレーニングの近密度を高めることにもつながる。継続的にデッドリフトを取り入れることで、ダイエットだけでなく、全体的な体力アップも。
男女別の平均重量
デッドリフトの重量は、性別やトレーニングレベルによって異なる。一般的に、男性は女性よりも筋肉量が多いため、高重量を扱いやすい傾向がある。以下に、男性・女性のレベル別重量の目安を紹介する。
■男性の平均重量
初心者:体重の1.0~1.2倍(約60〜80kg)
中級者:体重の1.2~2.0倍(約120kg)
上級者:体重の2.0~2.5倍
エリート:体重の3.0倍以上
■女性の平均重量
初心者:自体重の0.8~1.0倍
中級者:自体重の1.0~1.5倍
上級者:自体重の1.5倍以上
「デッドリフト」の5つの効果
デッドリフトは、全身の筋肉を効率的に鍛えられる優れたトレーニングであり、筋力向上だけでなく、健康面や見た目の改善にも役立つ。とくに大きな筋肉群にアプローチできるため、短時間で効果的なトレーニングも可能に。
ここでは、デッドリフトがもたらす5つの効果を紹介する。
・スタイルがよくなる
・代謝がアップして痩せやすい身体になる
・運動能力が上がり、スポーツのパフォーマンスが向上する
・骨密度が増加してケガしづらい身体に
・姿勢がよくなる

高重量を扱える全身運動!女性はルーマニアンデッドリフトがおすすめ
デッドリフト1種目だけでも、上半身と下半身の筋肉を効率よく鍛えられます。ただフォームの習得が難しいため、広背筋や大殿筋などピンポイントで鍛えたい人は、目的の筋肉に特化した種目をおこなうほうがよいかもしれません。たとえば、広背筋ならラットプルダウン、背中ならローイング系の種目を。女性の場合は通常のデッドリフトより下半身にフォーカスできるルーマニアンデッドリフトがおすすめです。
スタイルがよくなる
男性が厚みのある魅力的な体型を目指す男性の場合、デッドリフトはおすすめのトレーニング。広背筋(こうはいきん)が鍛えられるため、身体の幅が広がり、逆三角形のフォルムをつくることができる。
一方で、女性が下半身を中心に美しく見せたい場合、デッドリフトのバリエーションを変えてみるのがおすすめ。たとえば、「ルーマニアンデッドリフト」や「スティフレッグデッドリフト」などの種目であれば、とくに太ももの裏やお尻(大臀筋)を効果的に鍛えられる。また、大臀筋(だいでんきん)への効果は女性にとても大きく、垂れ下がったお尻のヒップアップに役立ち、引き締まった美しいラインを作り出すことができる。
男女それぞれで、目指す体型に合わせてトレーニングの種類を調整するのがおすすめ。
代謝がアップして痩せやすい身体になる
広背筋(こうはいきん)や大臀筋(だいでんきん)など、上半身と下半身の筋肉にアプローチできるデッドリフトをおこなうことで基礎代謝の向上につながる。そして、基礎代謝が高まることで消費カロリーも増えて、体脂肪の減少にもつながりやすい。
さらに有酸素運動を組み合わせることで、全体的なカロリー消費が促進され、痩せやすい身体を作ることも期待できる。デッドリフトとともに、ランニングや水泳などの有酸素運動を取り入れることで、ダイエット効果が高まるため、痩せる目的であれば有酸素運動も取り入れるのもおすすめ。
スポーツのパフォーマンスが向上する
デッドリフトは、大きな筋肉群を効率的に鍛えることができ連動性が高まることで、ジャンプ力の向上や体幹の安定性を高める効果もある。そのため、瞬発力やバランス感覚が求められるスポーツにおいても重要なトレーニングとされている。
「ラグビー」「アメリカンフットボール」「サッカー」「バスケットボール」などの衝突や接触が多いスポーツは、体幹の強さやバランス感覚が非常に重要とされるスポーツのため、トレーニングにデッドリフトを取り入れるアスリートも多い。
骨密度が増加してケガしづらい身体に
デッドリフトのような筋トレは骨密度を高める可能性があるため、丈夫でケガをしづらい身体づくりにもつながると考えられている。また、デッドリフトでは大きな筋群を使うため、「成長ホルモン」や「テストステロン」といった男性ホルモンの分泌が促され、これが骨の成長や骨密度の向上に役立つ。
姿勢がよくなる
デッドリフトで背面の筋肉、とくに背中や腰回りを強化することで姿勢の改善が期待できる。また、デッドリフトによって背面の筋肉をうまくコントロールする力が身につけば、背筋を伸ばし、お尻を上げて美しい姿勢を維持するのにも役立つ。
さらに、身体の背面の筋肉を活性化することで背中の痛みが和らぎ、全身の姿勢がよくなるともいわれている。

筋力アップだけでなく、体幹力の安定も期待できる!
広背筋やお尻、もも裏といった姿勢に関わる部位が強化できるだけでなく、デッドリフトのようなフリーウェイト種目では、重量を支えるために体幹が鍛えられることで、姿勢の改善が期待できます。ただし、正しいフォームでおこなうことが大切です。
真似するだけ!デッドリフトを軸にした1週間筋トレメニュー
デッドリフトは全身の筋力向上に効果的な種目のため、トレーニングプログラムの軸として活用することもおすすめ。よりバランスの取れた筋力強化やボディメイクを目的とした1週間メニューを以下3種類に分けて紹介する。
・女性向け:ボディメイクを目的としたメニュー
・とにかく全身の筋力アップをしたい人向けのメニュー

メニュー例を参考にしながら、目的に合わせてトレーニングを組もう!
上半身の日・下半身の日など部位ベースでメニューを組むこともあれば、同じ日に全身のトレーニングを取り入れる人もいます。目的やトレーニング頻度が人それぞれ異なるため「この種目だけすればOK」とは一概に言えません。自分のペースやトレーニングの目的を踏まえて、トレーナーに相談してみるのがおすすめです。また、女性や初心者の場合は、床から持ち上げる「ノーマルデッドリフト」は難しいかもしれませんので、「ルーマニアンデッドリフト」から始めるとよいと思います。
男性向け:上半身をとにかく鍛えるメニュー
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「デッドリフト」に関するQ&A
デッドリフトにおすすめのサポートアイテムは?
A:デッドリフトのサポートアイテムとしては「①トレーニングベルト(リフティングベルト)」「②パワーグリップ」「③リストストラップ」などがおすすめ。

トレーニングベルトを選ぶ際は、お腹に適度な圧がかかるものがよいが、ご自身のウエストの幅に合っており、肋骨に圧迫感や痛みのない幅のベルトがおすすめです。
間違ったサイズのベルトは、力の入れ方に影響し、ケガのリスクを高める可能性もあります。また、握力が弱い人におすすめのサポートアイテムとして「リストストラップ」や「パワーグリップ」があります。
手首が滑ると「リストストラップ」の効果がなくなるため、手の大きさや手首のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。
「デッドリフト」と「スクワット」の違いは?
A:主に使われる筋肉群が違う。

「デッドリフト」と「スクワット」は、主に使われる筋肉群が違います。「スクワット」は主に下半身、とくに大腿四頭筋やハムストリングス、大臀筋を鍛える運動で、バーベルを肩に担ぎながらおこないます。
一方、「デッドリフト」は下半身の筋肉も使用しますが、身体の背面全体や体幹部も使って重量を持ち上げる運動のため、背中の筋肉、とくに広背筋や脊柱起立筋などの上半身の筋肉を「スクワット」より多く使う点が特徴です。
「スクワット」のやり方や効果についてもっと詳しく知りたいという人は下記の記事を参考にしてみて。
「スクワット」の正しいやり方や効果は?種類別のトレーニング方法も紹介
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デッドリフトで腰痛に。何が原因?
A:フォームの誤りが原因のことが多い。

デッドリフトで腰痛になる原因としては、フォームの誤りが多く見受けられます。正しいフォームでおこなわない場合、腰に不必要な負荷がかかり、腰痛を引き起こし、椎間板ヘルニアなどの身体の問題を悪化させる可能性もあります。
トレーニングの際は、フォームに注意し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。
デッドリフトの代わりになるメニューはある?
A:「①バーベルローイング」「②ケーブルローイング」「③ヒップヒンジ」など。

背中の厚みを出すトレーニングとしては、「バーベルローイング」「ケーブルローイング」などのローイング系トレーニングや下半身だと「ヒップヒンジ」などが、デッドリフトに近い種目になります。
これらはデッドリフトに近い動きで、背中や下半身の筋肉を効果的に鍛えられます。トレーニングの選択は、目的や身体の状態を考慮して選ぶようにしてください。
デッドリフトで握力は鍛えられる?
A:握力も同時に鍛えることが可能。

デッドリフトは握力も同時に鍛えることが可能です。とくにパワーグリップなどを使用しない場合は、バーベルを持ち上げる動作自体が自然と握力強化につながりやすくなります。
また、バーベルをしっかりと握り続けることで、前腕の筋肉も鍛えられます。
デッドリフトをするときの正しい呼吸法は?
A:バーベルを持ち上げる前に深く息を吸い、下ろすときに吐く。

呼吸法については、バーベルを持ち上げる前に深く息を吸い、お腹に腹圧をかけることが重要です。腹圧をかけることで、重量を持ち上げる際の安定性を高めると同時に、腰部への負担を軽減します。
そして、最も負荷がかかる「スティッキングポイント」を越えたときに息を吐きます。「スティキングポイント」を越えて息を吐くのは、ベンチプレスやスクワットなどほかのトレーニングでも同様のポイントです。
デッドリフトをするときのおすすめのシューズは?
A:ソールがしっかりしていて、踵(かかと)が少し上がっているシューズがおすすめ。

デッドリフトをおこなう際は足の安定性が非常に大切なため、ソールがしっかりしていて、踵が少し上がっているシューズがおすすめです。重量を持ち上げる際に足と地面の間での力のロスを最小限に抑え、より多くの力を効率的に伝達できます。
とくにランニングシューズのように柔らかいソールの靴は、デッドリフトには適していないため、安全性と効率の向上のためにも、トレーニングの種類に適した性能を持つシューズを選ぶようにしてください。
デッドリフトが強い人はどのような特徴がある?
A:瞬発系の筋肉「速筋」が有意な人。

デッドリフトでは、主に「速筋繊維(瞬発系の筋肉)」を使います。陸上種目でいうと、長距離(遅筋が有意)より短距離種目(速筋が有意)に取り組んでいた人の方が、瞬間的に大きな力を発揮する能力が高い傾向にあります。もしデッドリフトで速筋を鍛えたい場合には、高重量・低回数(1~5回程度)のセットでトレーニングをおこなうのがおすすめです。
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞