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子ども部屋はいつから?LDKの使い方は?家族のコミュニケーションを活性化させる住宅環境の研究【日本女子大学・定行教授、古賀助教】

近年、日本の家族構成やライフスタイルの多様化に伴い、住宅環境の役割が大きく変わっている。この背景を受け、日本女子大学の家政学部住居学科定行まり子研究室は、現代の住宅環境の変化とその影響について、アキュラホーム(現:AQ Group)と共同研究をおこなった。

コロナ禍でのステイホームが住宅の利用方法に与えた影響や、子どもの成長段階に応じた住環境の必要性について、研究代表者の定行まり子教授と研究実施者の古賀繭子助教にお話を伺った。

定行まり子さん

日本女子大学家政学部住居学科 教授

日本女子大学家政学部住居学科卒業、東京工業大学大学院修士課程修了、同大学院博士課程に進学し、1988年に工学博士を取得。一級建築士。都市住宅学会理事、日本建築センター理事などを務める。専門は住居学・建築計画学。現在、研究室のメンバーと共に、集合住宅、保育所・学童保育所・児童館など、子どもの住環境について調査研究をおこなっている。近著では『生活と住居 第2版』(光生館2022年)、『保育環境のデザイン』(全国社会協議会2014年)がある。

古賀繭子さん

日本女子大学家政学部住居学科 助教

日本女子大学家政学部住居学科卒業、同大学大学院修士課程修了、同大学助手、民間コンサルタント会社勤務を経て、2017年に博士(学術)を取得(日本女子大学大学院人間生活学研究科)。一級建築士。専門は住居学と住環境計画。社会情勢やライフスタイル、身体機能の変化に適応した住環境や支援体制、地域コミュニティの研究に取り組んでいる。

本記事のリリース情報

【Wellulu】Wellulu Academy「子どもの成長と住まいの進化:コロナ禍の影響を受けた現代家庭の研究」にて、家政学部 住居学科 定行まり子教授、古賀繭子助教

子どもの成長にとって必要な住宅環境とは?

──はじめに、今回のアキュラホームとの共同研究に取り組んだきっかけについて教えてください。

定行教授:私は30年以上子どもの住環境に関する研究をしているのですが、最近はプライバシーの問題もあり、調査の厳しさを感じています。そうした課題の中で、今回アキュラホームとの共同研究によって戸建住宅の利用者にスムーズにアプローチでき、子どもの成長や発達段階に関するデータを取得することができました。とくに、若い世代の住宅取得層を対象にすることで、様々な子どもの発達段階を分析することが可能になりました。また、コロナ禍でのステイホームが住宅の評価や利用方法に影響を与えたことも、研究の重要な側面としてありました。

──これまでの研究を通じて、子どもの成長に影響を与える住環境の要素について、どのような観点が重要だと思われますか?

定行教授:社会の変化を考えると、子どもの成長にとって必要な住環境の要素は一概には言えません。1970〜80年代では専業主婦層が多く、子どもの住環境もそれに影響されていました。しかし、1990年代以降は共働き家庭が増え、子どもの住環境や家庭内の役割分担も変わってきたにも関わらず、住環境自体はそれほど変化していないのが現状です。

共働きが増えても、多くの家庭では依然として母親中心の環境が続いています。家庭内での家事や育児の役割が均等に分担されることで、子どもにとってより良い成長環境が整うと思います。そのため、住環境もそれに合わせて変化していくべきだと考えています。

LDKは家族が集い、コミュニケーションを行うおうちの中心地

──今回の研究方法について教えていただけますでしょうか?

古賀助教:今回の研究では、2011年と2016年にアキュラホームで建設された戸建て住宅2,525件の住宅所有者を対象に調査を行いました。最終的に1,716件の有効回答を得ています。現在も継続調査中で、毎年テーマに沿って1,716件のアンケート回答者に対して追加の調査を実施しています。

LDKの使い方は子どもの年齢に応じて!

──研究結果についても教えていただけますでしょうか?

古賀助教:はい。研究の結果、LDKが家族の集いの場として重要であることが明らかになりました。また、子どもの年齢に応じてLDKでの過ごし方に違いが見られ、例えば小学生未満の子どもがいる家庭では、LDKが子どもの見守りや家族のコミュニケーションの場として機能していました。具体的には、おもちゃで遊んだり、親子でゲームをするなどです。一方、小学生がいる家庭では、宿題をする、読書をするなど、より学習に関連した活動がLDKで行われることが多い傾向がありました。また、家族全員が一緒にテレビを見ることも一般的で、LDKは家族のコミュニケーションの中心地となっています。

──コロナ禍での住宅環境の変化についても教えてください。

定行教授:コロナ禍により、家庭内での仕事環境が大きく変わりました。在宅勤務の普及に伴い、夫が個室で仕事をし、妻が子どもとLDKで作業をするというパターンが増えていることが確認されました。

古賀助教:リビングやダイニングの一角に作業スペースを設けることで、以前は家事スペースとして利用されていた場所が、家事、勉強、在宅勤務など多様な用途に対応できるようになっています。

子ども部屋はいつから?成長や自立に合わせた空間を

──子ども部屋の利用については、どのような結果が出ていますか?また、いつから必要なのでしょうか。

古賀助教:子ども部屋は、自立への一歩として、小さいうちから子どもが遊ぶ環境として整えることが大切です。小さい頃はあまり使われませんが、年齢と共に自分の部屋としての認識が高まります。中学生になると、子ども部屋での勉強やプライベートの過ごし方が増える傾向があるなど、子ども部屋の利用も変化します。

年齢別に見る子ども部屋の役割

古賀助教:さらに、兄弟の存在によって、子ども部屋の使い方や子どもの自立のタイミングが異なります。上の兄弟がいる場合は、子ども部屋での就寝が早い時期から始まる傾向があり、逆に下の兄弟がいる場合は、就寝時期が遅くなることもあるそうです。

── つまり、子ども部屋は子どもの成長や自立に合わせて、使い方を調整するのがよいということですね。

古賀助教:その通りです。なので子ども部屋は単なる寝室ではなく、学習や趣味など多目的に利用できる空間にすることが求められます。

また、親が子ども部屋を所有しているような感覚ではなく、子どもに個性と自立を尊重する空間としての機能を持たせることが、子どもの成長にとって非常に重要で、そうした空間作りは家族全員が快適に過ごせる家づくりにもつながります。

家族が程よい距離感を保てる環境も大切

── 現代の住宅環境において、家族の生活スタイルに対応するために、どのような研究や開発が必要だとお考えですか?

定行教授:家族の生活スタイルの多様化により、住宅の機能も変化しています。家族が増えたり減ったりするにつれて、空間の使い方が変わるため、例えば、子どもが独立した後の空間を趣味の部屋やゲストルームとして活用するなど、多目的に使用できたり、家族が適切な距離感を保てる空間を考慮するのも重要です。

また、住宅内の空間は、単に個室や共有スペースとしてではなく、家族が各々の時間を楽しむための場所としての機能も持つべきです。

例えば、屋外と屋内の中間領域をうまく活用することで、家族が互いのプライバシーを保ちつつも、程よい距離感を保つことができます。この中間領域は、リラックスする場所や趣味の時間を過ごす場所としても活用できるため、今後の住宅設計においてはこのような空間の重要性が高まっていくでしょう。

子どもとの信頼関係を築ける環境づくりがポイント

── 子育て環境として意識すべきポイントは何でしょうか?

定行教授: 子どもたちが安心して、自分らしく成長できる空間を提供・支援することが最も重要です。これには、子どもたちのプライバシーを尊重するとともに、見守りとサポート、また、家庭内のコミュニケーションを促進して信頼関係を築く環境作りが大切です。

また、家庭内の環境だけでなく、地域環境も子育てには非常に重要です。家の中での出来事が外部から見えにくい場合、引きこもりや虐待などの問題が隠されやすくなります。これを防ぐためには、地域のコミュニティや教育機関との連携を強化して、子どもたちが安全で健全な環境で成長できるよう支援することが大切です。地域のイベントへの参加や子育て支援グループへの参加を通じて、地域の人々との関係を築くことをおすすめします。

── 住宅が単に個々の家庭の空間ではなく、より大きな社会的な役割を果たすよう変化しているのですね。

古賀助教:はい。地域社会もその役割を担う必要があります。なので、虐待やひきこもりなどの問題に対し、地域住民が気づき、支援できる環境の構築が重要です。住宅と地域の開かれた関係性が、これらの社会問題の解決に寄与すると考えています。

 

── 今後の研究計画や現在行っている研究について教えていただけますか?

定行教授:現在、住宅と地域社会の関係性に焦点を当てて研究をしています。特に、住宅設計が地域コミュニティの形成や維持にどのように寄与するかを探求しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響で変化した家庭内の生活様式や働き方についても継続的に調査しています。

── それらの研究結果は、今後の住宅設計や地域づくりにどのように活かされる予定でしょうか?

定行教授:より快適で持続可能な住宅や地域コミュニティの設計指針を提案することが目標です。住宅設計においては、家族のライフスタイルの変化に柔軟に対応できる設計の重要性を強調します。また、地域コミュニティの活性化に貢献するような公共スペースの設計や活用方法に関する提案も行っていく予定です。

──最後に、読者に伝えたいメッセージはありますか?

定行教授:一人ひとりの住宅が、地域社会の一部としての役割を果たすことが重要です。それぞれの家が特色を持ち、それが集まることで豊かな地域社会が形成されます。この視点から、私たち一人ひとりが地域社会に貢献することの大切さを理解し、実践していくことが望ましいと考えています。

wellulu編集後記:

今回のインタビューでは、日本女子大学の定行まり子教授、古賀繭子助教が、住宅と家族の生活スタイルの関連性について深い洞察を提供しました。定行まり子研究室では、子どもの成長や家族のライフスタイル、そして社会情勢の変化に応じた住宅設計の重要性を浮き彫りにしました。特に、コロナ禍における在宅勤務の増加が住宅の空間利用にもたらした影響や、家庭と地域社会の連携の重要性は、これからの住宅設計やコミュニティ構築において重要な考慮点となるでしょう。このインタビューが、読者の皆様にとって新たな住まいづくりのヒントとなれば幸いです。

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