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人口急減・超高齢化社会の到来に向けたイノベーション事業「美術館セラピープロジェクト」が人口最少県で始動【鳥取大学・石田准教授】

美術館が従来の「芸術体験の提供」機能を超えて、予防医学や心身の治療の場として新たに医療・福祉サービスを地域社会へと提供するという、医療機関と美術館が協働を模索する国際的な社会動向が近年、注目を集めています。特に、鳥取大学の石田陽介准教授が国内においてリードするこの動きは、アートを通じて地域の人々の間に新たな相互自助のつながりを生み出し、市民のウェルビーイング(健康度や幸福感)を高める予防医学や福祉を、美術館・博物館体験を通して増幅させる新たな時代における地域創生の文化戦略として現在、注目されています。

石田 陽介さん

鳥取大学 地域価値創造研究教育機構 地域創生教育推進室長・准教授 / 地域学部附属 芸術文化センター 兼務教員

多摩美術大学 油画専攻 卒業。九州大学大学院 統合新領域学府 ユーザー感性学専攻 博士課程修了。精神科総合病院における芸術療法士(アートセラピスト)勤務を経て、くらしの中に芸術養生が息づくウェルビーイングな地域社会の仕組みづくり「ソーシャル・アートセラピー」の実践研究活動に取組む。2006年、九州大学ユーザーサイエンス機構 子どもプロジェクト アドバイザー研究員に就任。その後、九州大学大学院 人間環境学研究院 学術協力研究員、福岡女子大学(地域連携・文化推進事業)事業コーディネーター、活水女子大学 国際文化学部 准教授 などを経て、現職。鳥取で現在、美術館セラピープロジェクトを推進中。「アートと医療の汽水域をまちにひらく」ことをテーマとするWebサイト「トットリハァート」編集長。著書として『芸術養生-ウェルビーイングなまちづくりに活かすアートシェアリング』(今井出版)ほか)。視覚を超えたアート鑑賞ワークショップ「ギャラリーコンパ」主催スタッフ。日本芸術療法学会認定 芸術療法士〔アートセラピスト〕。博士(感性学)。

本記事のリリース情報

「美術館セラピープロジェクト」がwebマガジン「Wellulu」にてフィーチャーされました

美術館セラピープロジェクトとは?

──まず、美術館セラピープロジェクトとは具体的にどのようなものなのか、教えていただけますでしょうか?

石田准教授:それには、まず「アートシェアリング」という概念の説明が必要となります。この言葉は精神科医療の絵画療法における「シェアリング」という用語がその元となったのですが、アートセラピーにおいて患者さんが一枚の絵を書き終えた後、作品に表した想いを言語的な対話を交えながら対象者(鑑賞者)へと伝えて共にそのイメージを分かち合っていく過程を指す学術用語が「シェアリング」という言葉なのです。そうしたアートセラピーにおける一過程を示す「シェアリング」という呼称に対し、私は広義の意味において芸術の共有体験を「アートシェアリング」と規定し、名付けていきました。そうした「アートシェアリング」が人の心身にもたらしうる機能性を、私はこれまで二十年以上にわたるアクションリサーチをもって探究してきました。

今後、日本では高齢者が増加することによって医療・介護費が増大し、人口減少も伴って現行の社会保障を維持することが困難となることが予想されます。そこで美術館・博物館が従来の機能を超えて、予防医学や心身のリハビリテーション治療の場として新たに医療・福祉サービスを地域社会へと提供する仕組みづくりを私は提案しています。人口最少県である鳥取の特性を活かし、人口急減・超高齢化社会に向けたアクションリサーチとして美術館セラピープロジェクトを2022年より始動させました。

美術館セラピープロジェクトとは、美術館や博物館でアートシェアリングを活かしたプログラムを通じて、そこに訪れる人や携わる人のクオリティ・オブ・ライフ(生命・暮らし・人生の質)を高め、そのウェルビーイングの向上を支援し、予防医学へと接続する地域創生活動です。

──それは非常に興味深いですね。海外でもこのようなアプローチは進んでいるのでしょうか?

石田准教授:海外でもいわゆる「美術館セラピー」への関心は高まっており、カナダやベルギー、フランスやイギリスなど、特に欧米では芸術機関と医療機関がダイレクトに協働し、それらの境界線が変わりつつあります。アートを通じた心身のケアやコミュニティ形成の手段としての美術館・博物館の新たな社会的役割が注目されているのです。アート体験が持つ治療的な側面(art as therapy)が再評価され、多くの人々にとってウェルビーイングの向上につながるツールとなりつつあります。

──美術館セラピーの普及に向けて、石田先生はどのような取り組みをされているのでしょうか?

石田准教授:人が新たな人間関係を築こうとする時、情報共有はともかく、感情の共有までもは難しいものです。「相手を理解するべき努力は最大限するべきだが限界もある。そうした限界を超えて、共感や驚きを抱けるのが芸術の力ではないか」とある研究者は述べましたが、アートの鑑賞や創造を共に行う体験は、驚きや喜びといった様々な感情の共感を促し、人の間に横たわる障壁を溶かしうる可能性を多くはらんでいます。そうした芸術の分かち合い体験であるアートシェアリングがもたらす効果を活かし、例えるならば海と川、それぞれに生息する異なる領域の水中生物群が、海水と真水とが混交する河口付近にて互いに交わりながら豊かに共生しうる汽水域のような隔たりのない人間環境を私たちの暮らすまちに築けないものでしょうか。

2022年より毎秋、鳥取大学地域価値創造研究教育機構では​​鳥取県教育委員会事務局美術館整備局や、あいサポート・アートセンターなどと産官学連携を図りながら、アートシェアリングがもたらす共感力を活かしたプレ美術館セラピープログラム・イベント「汽水域アートシェアリング」を鳥取において開催しています。そのプログラムのひとつとして、地域社会と協働し、視覚に障害を持つ人と持たない人が互いの特性を活かす形で共に参加できる美術館セラピーのプログラム「視覚を超えたアート共同鑑賞ワークショップ ギャラリーコンパ」を実践しています。​​​​これはアートシェアリングを通じて人々の相互自助の場づくりを促し、豊かな地域コミュニティを共同創造することを目的としています。

また昨年度は、「アートフォーラム Art Museum Do It Yourself ! 2023 ― 私たちの未来をつくる美術館を、いま私たちが描く」を開催しました。『未来を”つくる”美術館』と謳われ、2025年春に開館する鳥取県美術館では、「アートを通じた学び」を支援するアート・ラーニング・ラボ(A.L.L.)等の教育普及部門の充実が図られる計画です。このフォーラムでは、美術館の新たなる世界的潮流を見定めつつ、日本の美術館教育をリードする稲庭彩和子氏と、日本における美術館ツーリズムを長年に亘って席巻し国内外の観客を魅了し続けるベネッセアートサイト直島の藤原綾乃氏を鳥取にお招きし、鳥取県立美術館における館長予定者の尾﨑信一郎氏と教育普及を佐藤真菜氏と共に、私たちの『未来を”つくる”美術館』を模索し、新たな美術館のビジョンを共に描こうとしたものです。

そして「アートと医療の汽水域をまちにひらく」ことをミッションに掲げるWebサイト「トットリハァート」を開設し、美術館セラピーの波及に努めています。

──美術館セラピーの社会的意義は大きいと感じます。実際に参加者にはどのような変化が見られるのでしょうか?

石田准教授:参加者からは、アートシェアリング・プログラムを通じて「アートはもともと苦手だったのですが、今日は皆さんと安心して自己表現できる場をこの美術館で持つことができました」という声を頂くなど、障害の有無を超えた交流を通して関係人口が増え、社会的な孤独感を軽減できたという感想が聞かれました。また、アート作品を挟んで隣人と深く理解しあうことで、「自己肯定感を高められました」という声もありました。このように、アートシェアリング・プログラムを通した美術館セラピーは参加者にポジティブな変容体験をもたらし、日々の生活に戻られた後においてこそ、そうした気づきを実感されているようです。

美術館セラピーにおけるアートシェアリングと、従来の芸術鑑賞との違いとは?

──美術館セラピーにおけるアートシェアリングと従来の芸術鑑賞とはどのように異なるのでしょうか?

石田准教授:美術館セラピーにおけるアートシェアリングと従来の、例えば公教育などで体験する芸術鑑賞の最大の違いは、アート作品鑑賞を共にする人との関わり方にあります。従来の芸術鑑賞教育では、作品の美的価値や歴史的背景に焦点を当て、客観性に重心を置く態度で、知識や理解を深めながら解釈することに重点が置かれています。一方で、美術館セラピーにおけるアートシェアリングでは、間主観的な態度で、アートを相手と共に体験することを通じて、エンパシー(他人に「あなたとは私は感覚や意見が違うけれど」と、相手の立場や気持ちを想像し理解できる能力)を培いながら、相手と共に相互ケア、あるいはウェルビーイングを贈り合う場を共創することに重きを置きます。

学校授業での美術教育には生徒に対して教員による客観的評価が入りますが、美術館教育には客観的評価や相対的評価がありません。成績をつけないのです。あらゆる世代の人たちとって、「学び」をエンターテイメント(遊び)として体験するために、観客として自律的に美術館や博物館へとやっていきます。ただ、そうやって美術館や博物館で自律的に「学び」を楽しめる人というのが、日本においてはまだまだ多くはないので、もっと色々な出会いをエンターテイメントとして更なる工夫を施しながら美術館や博物館において仕掛けていく必要があると考えています。

──石田先生は過去に、精神疾患や認知症を患う方たちに向けたリハビリテーション治療を行うアートセラピストとして精神科病院勤務の経験もあるとお伺いしました。

石田准教授:大学教員になる以前、精神科総合病院において、アートセラピストとして7年間勤務しておりました。精神科での臨床経験を通じて、アート体験が人々の感情や認知、心身へと与える治療効果について深く学びました。その臨床経験における知見を活かし、美術館セラピーではアート体験を介在させながら、参加者同士がどのように関われば相互自助の場を培うことで派生する治癒的な効果を引き出せるかを考え続けてています。参加者が自分自身の感情や思考をアート作品を通じて表現し、それをエンパシーとしてお互いが信頼性を高めあう機会を提供しています。

──アートセラピストとして培われた臨床での知見が今の取り組みに大いに活かされているのですね。続いて、石田先生がこれまでに取り組んだ事例について教えてください!

鳥取大学の美術館セラピーへのアプローチ

──石田先生が取り組んでいる美術館セラピープログラムの中で、「視覚を超えたアート共同鑑賞ワークショップ ギャラリーコンパ」というプログラムがすごく気になりました。

石田准教授:「視覚を超えたアート共同鑑賞ワークショップ ギャラリーコンパ」は、美術館セラピープロジェクトの中核を成すプログラムのひとつです。このワークショップでは、視覚障がい者と晴眼者(視覚に障がいのない人)が互いの個性を活かしあって共にアート作品や展示品を主に対話を通じて、時に触りながら鑑賞し、作品像を共有していきます。

そもそも「ギャラリーコンパ」の成り立ちは、2005年に福岡において、私と松尾さち、全盲である濱田庄司によって始動していきました。北部九州を中心に年3、4回開催を続けており、これまで延べ数百人以上の視覚障がい者を美術館や博物館、ギャラリーへと誘い、そのアクセシビリティを支援してきました。

この芸術運動に「ギャラリーコンパ」というネーミングをつけたのは私ですが、「コンパ」は、ラテン語でカンパーニュ、カンパニー、コンパニオンと同じ語源で、「パンを分かち合う=命の糧をシェアする」意味が含まれることに由来しています。美術館やギャラリーにおいて、目の見える・見えないといった互いの個性を活かしあって、一期一会の鑑賞者同士が和気藹々とした鑑賞の場を一座建立する。そんな祝祭性を帯びるアートシーンを通して社会包摂へと接続したい、そうした本活動のパーパスを名前に託しています。

──このギャラリーコンパを始められた意図、そして美術館セラピーとしての機能性についてもお伺いできますか?

石田准教授:「ギャラリーコンパ」は、社会的包摂を促進し、コミュニティアート活動を通じてウェルビーイングな人間環境を築くことを意図しています。特に「アートシェアリング」という視座が重要で、誰かと分かち合うことによってウェルビーイングは一人の人間の中で増幅されます。つまり、人と何かを分かち合うことは、その向かい合う相手にとってのウェルビーイングにもなりますし、自分自身のウェルビーイングも増幅するということです。これはケアの分かち合い「ケアリング(caring)」と呼ばれるものの性質と同様です。

コロナ禍によって様々な分断が露呈した現代社会では、互いの差異が相克しあう「well-having(非ウェルビーイング)」とも揶揄される社会状況にある様に感じられています。その打開に向けた知性や強い理性が求められてもいますが、「アートシェアリング」は,作品を前に深く自身の感性と向かいあいながらも相手との感性交歓を行うという、汽水域的なる相互浸透を促して、双方の間に横わる障壁を溶解させうるのです。「アートシェアリング」がもたらすケアの機能効果は、視覚障害を持つ人と持たない人が共に鑑賞することを通してケアリング(ケアするものとケアされるものの間にケアが循環されること)が派生する「ギャラリーコンパ」の構造に見てとれることでしょう。

私たちが19年にも渡り「ギャラリーコンパ」を継続できるのも、参加者同士がウェルビーイングを分かちあっているという手応えを間近で体感することで、運営者にもその幸福感が照り返され齎されるというケアリングの効果に一端があることを実感しています。「ギャラリーコンパ」は参加者のみならず、その運営者や学芸員、作家に対しても分け隔てなくケアを循環させて、ウェルビーイングな芸術体験を波及し続けてきたのです。

ここ4、5年に渡って美術館や博物館、大学が主催する「視覚を超えた共同鑑賞ワークショップ」の開催が「ギャラリーコンパ」の活動を長年続けてきた九州で急増している状況を迎えています。私らギャラリーコンパ主催スタッフもファシリテーターとして招かれる機会が増え、視覚障害者に対するアクセスビリティの向上を実感しているところです。このように社会包摂運動が地域に広まり定着しつつある現状は、障害者と健常者の位相を揺らすソーシャル・イノベーションが浸透し始めた証とも捉えられると感じています。

美術館セラピープログラムとしての「ギャラリーコンパ」の活動展開により、アートを通じたウェルビーイングの各局面へのアプローチを美術館や博物館において展開することが可能となります。

──実際に参加された方々の声として、どういった内容が多いのですか?

石田准教授:視覚障がい者も晴眼者も、「ギャラリーコンパ」を体験された方々は「非常に刺激的な体験になった」と仰っていかれる方が多い印象です。視覚障害を持つ方々は通常認知しづらい視覚芸術作品の鑑賞体験を晴眼者と共に味わうことを通じて、新たな場の共同創造体験を得ることができます。また、晴眼者も作品の魅力を言葉で伝える大切さや難しさを体感できるため、通常の鑑賞体験とは異なるアートの楽しみ方を発見し、エンパシーを発揮するきっかけとなります。参加者は互いの視点を理解し、アートを通じての相互自助、つまりケアを双方が贈り合うことで深いつながりを感じることができます。

──確かに。「すごい!」「きれい!」だけでは、作品の魅力は伝わらないですもんね。

ギャラリーコンパ」に参加すれば、作品とていねいに向き合うだけでなく、自分の心(感情)とも向き合うきっかけになりそうです。

美術館セラピーの社会的影響と今後の可能性

──美術館セラピーの社会的影響と今後の可能性について、教えていただけますか?

石田准教授:​​現代社会においては、人口急減や医師看護師不足ストレスやメンタルヘルス、貧困問題といった社会的課題の問題が注目されていますが、美術館セラピーはこれらの課題解決に向け対して、美術館・博物館という施設において、新たなアプローチを提供するものです。​​私は現在、人口最少県である鳥取の特性を活かし、人口急減・超高齢化社会の到来に向けた地域デザインの先端研究「ソーシャル(まちの)アートセラピー)」の実装に挑んでいます。​​​​「アートで(人とまちを)リハビリテーション」することと「アートの(在り方を)リハビリテーション」することを相乗し「アートと(Lifeの関りを)リハビリテーション」することが、ソーシャルアートセラピーの主題となります。そのためのひとつの実践活動として、美術館セラピープロジェクトは位置しています。

──具体的な社会的影響についてもう少し詳しく教えていただけますか?

石田准教授:美術館セラピーは、特にこれから人口急減・超高齢化社会を迎える日本の地域においてこそ、重要な役割を果たしうると考えます。精神的な健康問題を抱える人々や社会的に孤立している人々に対して、アート体験を通じた関係人口を培い、言わば地縁を提供することで、市民の地域コミュニティへの参加を促し、孤立状況を改善することができます。それは、各々の寿命へと少なからぬ影響を与えていくものとなります。

──美術館セラピーを体験してみたいと思う読者に向けて、特に「アートシェアリング」を実践する上でのポイントや、美術館体験でのおすすめの方法について教えてください。

石田准教授: 優れたアート鑑賞体験とは、鑑賞者の知性・理性・感性を揺らし、その鑑賞者の世界認識を変容させるものです。そうした場をより多くの人に提供しようと働きかけたのが、これまでの美術館や博物館であったのでしょう。そうした重要な働きに加え、新たなる「美術館セラピープロジェクト」では、来館者と来館者を取り巻く社会とをマッチさせ関係性をより良く変容させる機能を持たせようとするものであるのです。まず、アートシェアリングを行う際、利他であろうとする態度が大切です。エンパシーを発揮し、自分の考えに固執せず、ぜひ他者の意見や立場を受け入れてみてください。アートには正解がないため、他者の考えに敬意を払い、相手が発する言葉を傾聴、する態度が何より重要です。また同時に、他者、あるいは「常識」を恐れずに、自分の感じたことを率直に相手へ伝えることも大切です。

自分だけの”推し”を見つけることで美術鑑賞は倍楽しい!

──美術鑑賞を楽しむ上でのポイントが何かありましたら教えてください。

石田准教授:ひとつは「推し」です。今世の中でも流行っていますが、「推し」という文化は、利他の態度ですよね、そしてそれはセルフケアにおいても非常に重要だと考えます。自分の推しが見つかると、誰に頼まれたわけでもなく勝手に応援したくなりますよね。自律的な行為なのです。しかし実はケアリングの原理と一緒で、自分の「推し」を応援することで、応援される側はもとより、応援する側の自分自身が元気になるのです。そして「推しは推せる時に推せ」、と私の尊敬する教員が言っていましたが、私もその通りだと実感しています。やっぱり声に出して発信していかないと、作品もアーティストも刻々と廃れ忘れられていってしまうものなので、自分の推しは意識して声に出しておしていくということが大事です。自分が好きでたまらないものを見つけ、それを表現する「推し」という行為は、「芸術養生(self art therapy)」そのものとなり、心身のセルフケアとなります。

また一方では、例えば美術館や映画館で「何をみるか」も大事ですが、「誰とみるか」というのも非常に重要です。例えば映画館にデートに行くとしたら、「何をみるか」より「誰とみるか」の方が大切ですよね。美術館や博物館においても、これからは「誰とみるのか」、つまりどういった関係性の人とアート体験の場を共同創造するのか、といったことが、ウェルビーイングを引き寄せる体験においては、より重要となっていきます。その相手との関係性如何によっては、アート体験は毒にも薬にもなり得るのです。そのマッチングを的確に行うことが、それを行えるAX人材の育成が、これからの美術館セラピープロジェクトにおける成果の分かれ道となっていくと考えます。

──石田先生、本日はありがとうございました。

Wellulu編集後記:

今回のインタビューを通じて、アート作品に触れることの深い価値に改めて気づかされました。特に石田准教授が取り組まれている「視覚を超えたアート共同鑑賞ワークショップ ギャラリーコンパ」などのアートシェアリングを重視した場の共創を体験することで、アートを通じた他者とのつながり、そしてそれに照り返されるかたちで、自分自身とていねいに向き合う時間になることを知りました。

アートは単なる鑑賞の対象に留まらず、人々の心を豊かにし、社会的なつながりを深める力を持っています。この取材をきっかけに、もっと気軽に、変にかしこまることなく美術館へ行ってみたいと思いました。きっと、アートが私たちの日々の生活に新たな彩りを添えてくれるはずです。

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