比叡山で未来会議2025

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

比叡山未来会議2025に参加

「人、社会、技術を照らす想像と創造 」というテーマで、1年半ぶりに比叡山延暦寺の未来会議に参加した。Welluluで対談させていただいたNPO法人のミラツクの西村さんと、オムロンのHRIの立石社長に誘っていただいたクローズドなイベントなのだが、100人限定のところ、150人のメンバーが参加している。

 経済や政治、科学や技術、社会や生活において、未来は、これまでどおり線形に伸ばして考えられなくなってきた。このカオスの先に、僕たちは、どのような未来を描くのか!?

長期思考、非線形思考で、SINIC(サイニック)理論の未来観をもとに未来を議論すべく、「比叡山未来会議」が行われている。僕は1回目の未来会議にも参加させていただいた。1回目は、山極先生や占部まりさんとの出逢いがあり、まさにリベラルアーツの世界を大前提に描いており、カオス状態だった。そんな1回目の参加をきっかけに様々な方との出逢いがあり、俯瞰でモノゴトを見ることができるきっかけになった。ECOTONEのネーミングも、西村さん主催のエッセンスフォーラム2023の会で頂いた言葉であり、僕はワクワクしながら京都の駅に降りた。

3号車に乗ったバスは1時間かけて、比叡山上に登っていく。澄み切った冬の比叡山上には、雪が残っており、空気がシャンとして澄み渡っている。顔見知りの方も何人かいたが、結構はじめてお会いする方のほうが多いように感じた。

主催:株式会社ヒューマンルネッサンス研究所共催:NPO法人ミラツク、オムロン株式会社

自然(しぜん、じねん)社会へ

1回目もそうだったが、めちゃくちゃ頭を使う会だ。未来に向けてそれぞれの想いをぶつけ合い、大人たちが未来をワクワクしながら対話を重ねる。最初に比叡山延暦寺の今出川役員のお話しを聴いた。今年の比叡山から発信する言葉を教えてもらった。

繋紡心(けいほうしん)

人が繋がり紡ぐ道が照らされ相想う時代が訪れる

人を思いやる心と、感謝の心が人と人とを繋ぎ、争いのない平和な未来が紡がれていきます。「ありがとう」の心を日々忘れずに過ごしましょう。

素敵な言葉を頂いた。まさに僕らECOTONE社が目指す「つながりの中のウェルビーイング」を共創の中で描いていく社会だ。

そして、その後のプログラムも濃密な時間で頭がパンク寸前だ。未来の事業化、自然社会の変遷、資本主義社会の再構築、実践コミュニティの重要性、マイノリティとマジョリティの関係、ネットワーク構築について、SINIC理論が予測する未来について話された。

僕は、今回のSINIC理論をベースに、2033年以降の自然社会において、何を起点にするべきか考えた。「人」か、「テクノロジー」か、「自然」か?? そこには、未来は自分たちで創っていけるんだという「意志」と「行動」が重要だと考えるにいたった。

今回のプログラムは、昨年に比べると、すごく分かりやすい「住環境」をベースにした話でリアルの世界で展開した。東京大学大学院  情報理工学系研究科・次世代知能科学研究センター准教授大黒 達也さんのお話は、昨年の山極先生のお話にあった「森の声を聴け」という話につながる「音楽的コミュニケーション」をベースにしたテクノロジーによる音楽との調和の話からはじまった。

基調講演としての「自然社会と生環境構築の未来」は、京都府立大学大学院  生命環境科学研究科 准教授の松田 法子さんのお話だ。「そもそも人間が住める土地」と「住環境」は、どのように進化してきたかという話をベースにお話しが展開していった。僕らは「土」や「自然」の一部になって「自然(じねん)」となるのだろう。そんな問題提起を投げかけられた流れで、SINICと自然社会の先に向けてを、株式会社ヒューマンルネッサンス研究所 立石社長にお話を聴く。「しぜん」と「じねん」社会、2033年に来るであろう、「自律社会」からの転換としての「自然社会」。いつ聴いても立石社長のお話は面白い。(基本は、利他の心が染みついているのだろう)

その後のパネルディスカッションも面白かった。自然社会の先を考えるきっかけにつながった。テクノロジーよりというよりも、リアルな小さなコミュニティのお話が主になっていた。そして、森との共生の話につながっていった。僕らは、どんな未来を期待するのだろう。

やっぱり僕は、ウェルビーイングな共創社会のために、自分の「意志」と「行動」によって、未来は自分たちで創れるんだ、変えられるんだという視点で話をしたいと思った。途中、面白い議論になった。ビジネスと哲学だったり、ビジネスと自然社会というものは二律背反する可能性があるか、ということだった。このサステイナブルな社会を創っていくためには、この領域を両立させていく仕組みが必要になる。そこには、越境したコミュニティの存在が不可欠だし、実践でやっていかないとダメだという時代になってきている。

比叡山未来会議は、どうしてこんなに魅力的な人たちが集まっているのだろう。それは、未来に向けて希望と可能性をもって、行動に移している人たちの集まりだからだろう。ウェルビーイング共創社会と、ウェルビーイングなコミュニティはここにあった。素敵な会を企画主催していただいた立石さん、西村さんに感謝しかありません。どうもありがとうございました。本日は、比叡山延暦寺に宿泊させていただく。明日の朝のご来光を観るために早起きしよう。

未来は、僕らがお互いを輝かせ、照らし続ける。明るい未来にワクワクしかない。

 

 

 

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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