探求知とウェルビーイング

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

  1. エッセンスフォーラム2023に参加

未来をどう切り開いていくか考えているうちに、出会った西村さん。ミラツクで本を販売しているのを購入したところで出会いがあった。彼の行動力と探求心、そしてネットワークはどこから生まれてくるのだろう?と興味を持った。

Welluluのメディアを立ち上げたときに、彼にとってのウェルビーイングを取材させていただいた。彼の人との関係をつくる力を紐解きたかったのだ。話をして感じたのは、西村さんが不思議と人に興味をもたれる、人に好かれるのは、西村さんが他の人たちを“受け入れて好きになるから”ということに辿りていた。

(参考:ミツラク代表が人と良い関係性を築ける理由。対話を重ね始めた原体験とは (wellulu.com)

このとき、僕の西村さんのイメージは、オレンジ色だった。なので、僕はラクダの柄のオレンジ色の服を着ていったが、そのあと何度もお会いして、彼の色は「黒色」だと感じるようになった。黒の持つ悪いイメージではなく、ひとりひとりの興味や研究に耳を傾けて、強い意志と共にまわりを巻き込んでいく宇宙のような感じを想像したのだ。(勝手に、僕のイメージを伝えてすみません)

今回、西村さんからエッセンスフォーラム2023を開催するとお誘いいただいたので、我々ミライの事業室のアカデミア連携や知の探究と社会実装をするために、スポンサーとして参加させていただいた。

八重洲の会場は熱気にあふれていた。報告を受けた数字が、現地510-520人、オンライン340名、計850名の方の会となったとのこと。最終的には21セッションに100名の方がご登壇いただいた本イベント。知の海を泳いでいる感じで、すべてのセッションがワクワクするものだった。

ここで、このイベントでのセレンディピティを備忘録として記しておきたい。全部のセッションは出れずだったので、アーカイブでまた知のシャワーを浴びたいと思うが、僕が参加したセッションで印象に残っているキーワードだ。

キーワード①「エコトーン」

正直、はじめて聞く言葉でした。デジタル辞書で調べてみると「生態学において、陸域と水域、森林と草原など、異なる環境が連続的に推移して接している場所。一般に、生物の多様性が高いことで知られる。移行帯。推移帯。」とある。

これは、まさに大学での研究とビジネスにおける「エコトーン」をつくることで、日本のイノベーションを起こしていくきっかけになっていくのだと。僕は今まで、そういったエコトーンに存在する人たちのことを「Glue役(潤滑油的な存在)」と考えていた。これでは、繋ぎ屋であって、自らの生態は主張しないで、影武者のようになってしまう。今後、ビジネスをつくっていく上で、エコトーンが重要な役割になっていくことを感じたのだ。

キーワード②「リベラルアーツ

僕は大学でも教養学部だったので、リベラルアーツの重要性を感じていた。今回は、大学の先生や企業の経営者が、リベラルアーツと企業価値に関しての対談をされたのだ。論語と算盤も近いことなのかもしれない。だいたい理系と文系が分かれていることがナンセンスだと感じていたのだが、あらゆる学問はつながりの中で、お互いが影響を与え合っている。もちろん深くひとつのことを探求するのは良いかもしれないが、メタ認知を高めることで、無知の知に出会ったときに、新たなイノベーションのきっかけになるとも感じさせられた。

キーワード③「リプロダクション

我々が、生きることと、経済をどちらかを選びなさい、と言われたときに、「生きること」というのが強くなっているように感じる。ただ、この失われた30年と言われたものを考えると経済成長という言葉に踊らされて、何も挑戦しなかったことを悔やむように語られている。僕らは、次の2050年に向けて、何を再生していくのか、どのような子どもたちを産み育てていくのか、そんなことを感じる共生の視点を持つべきだと感じたのだ。僕らの再生プランは、明らかに「魂のふるえるような内なる想い」とウェルビーイングな生活をつくっていくことに向かっているのだ。

研究とビジネスを分ける必要はない。そして、僕らは、居心地の良い場所にいることがウェルビーイングと思っていたが、あえて居心地の悪い場所に行ったりすることが、無知の知に出会い、新たな知らなかったことでさえ知らなかったことに気が付いたときにウェルビーイングを感じるのだ。

西村さんには、このような機会をいただき感謝だ。学びと探求は、いつでも人をウェルビーイングにしてくれる。学ぶことが楽しいと思わせてくれたこと、そしてこの学びを実装させることに挑戦していきたい。

エッセンスフォーラム2023 (esse-sense.com)

ウェルビーイング21因子のNewnessカテゴリー

人がウェルビーイングになる因子を、博報堂の過去調査のデータから紐解くことをやっていたときに、短期的なHappinessと持続的に続けるWellbeingの差の議論をよくしていた。マズローの欲求と合わせて、ドーパミンがでるものをWellbeingのカテゴリーに入れて良いかなども議論した。

僕らの結論は、新しい人や知識をインプットしたり、居心地のよい場所や時間を過ごすことは、ウェルビーイングにつながるという結論に達したのだ。僕らはこのNewnessカテゴリーを7つに分類した。

今回のエッセンスのイベントも「知の海」を歩くことができた。新たな人との出会いもあった。新しいことにチャレンジしている人はウェルビーイング度が高いことも分かっている。僕らはリカレント教育やリスキリングという言葉で、社会人になっても学び続けることを習慣化すると、新たな知と出会い、ウェルビーイングな生活につながるのだ。

子どもたちに、学ぶ楽しさ「知らないことでさえ、知らなかったことを知れる喜び」を通して、何にでも好奇心をもって取り組むことを伝えていきたいと思った。なんでも面白がれる人が、ウェルビーイング度が高い人。そんなことを感じる1日だった。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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