ウェルビーイング共創に集まっていただいた仲間たち
10月末くらいのECOTONE社を登記をした後の起業してすぐぐらいだった。Welluluで3回登場いただいている奥本直子さんからメッセージが届いた。「堂上さん、CxO(経営者)だけをお呼びする形のイベントを、日本で2月くらいにやりたいのですが、ご一緒しませんか?」僕は、少しだけ悩んだあとに、二つ返事で「ぜひ!」とお答えさせていただいた。
なぜ悩んだかというと、起業したばかりで2月というのが、どういう状態になっているか予想ができなかったのが一番大きい。もう寝ても覚めても、会社のことや事業のことを考え続けている自分が想像できたのである。そんなときに、イベントをやるというのは、それなりの体力が必要である。そして、もうひとつは時期だ。僕の経験で、日本は2月~3月にかけて、決算に向けて動いている企業が多いので、大忙しになることが予想されたのである。しかも、経営者(CxO)は、経営会議やら、来期に向けての活動で時間を割いてもらうことが困難なことは分かっていた。
そんなことは分かっていたのに、参加費をいただく有償のイベントにさせていただいた。それは、無料のイベントを何度も開いた経験から、自分の会社の緊急度が高い仕事の優先度が高くなり、ドタキャンや無断欠席の可能性が高かったからだ。そこもまたハードルを高くしたところがあった。
とはいえ、まずは2025年2月20日(木)の午後の時間でやることだけ決めた。この日程調整がまたまた難しい判断だった。呼びたい方全員のスケジュールを合わせるのは難しい。まずは、講演をお願いすると決めていたメンバーがOKの日で決めた。この日が、お呼びしたい方にとって、NGの方が多いことも分かった。まずは、福岡でやっているICCに行っている方が多い。そして、やはり経営会議や出張などが入っている方が多い。日程調整をしくったか?そう感じる日々を過ごして、12月を迎えることになった。
1月20日(イベントの1か月前)を締め切りにして、目標50人の経営者を集めたいと考えた。あらゆる打ち合わせで、僕は「ちなみに・・・」と声をかけまくった。12月末時点で、決定いただいている方は、15人ほど。正直、なかなか難しいと思いながら、直子さんといっしょに、プログラムの構成を練り、参加者へのおもてなしをどうするか考え続けた。
会場は、直子さんに相談して、森ビルの麻布台ヒルズをご紹介いただいた。麻布台ヒルズJPタワーの33階は、真ん前に東京タワー、そして、富士山が見える最高のロケーションだ。森ビルさん、ありがとうございます。このロケーションをお借りすることができたのは、僕らの背中を押していただくことにつながった。そのあと、どんどんお声をかけていく。
そんな中、お声がけさせていただいた方が、知り合いにお声をかけていってくれる。2月10日時点(イベントの10日前)で、54名の参加者が決定した。動き出したら、協力してくださる方がいる。自分ごとのようにいろいろな方をお誘いいただいた。ちなみに、1日前に1人キャンセルが入った。すると、打ち合わせしていたあるお世話になっている企業の役員の方が、知り合いの会社の役員をお誘いいただいた。しかも、ボランティアを名乗り出ていただき、お手伝いいただけた方もたくさんいてくださった。「人の和」だけで、僕はウェルビーイングな状態を維持できている。
本番の「2025年2月20日」がやってきた。
外は快晴。僕と直子さんは10時に集合して、最終の準備に入る。イベントのスタートは、14時(開場は、13時30分)最後にいらないことを思いついてしまう。『来てくださった方に、手書きのポストカードでお礼を書こう。』1日前に、そんなことを思いつき、朝から、54枚のカードを手書きで書くことにした。これがバタバタ劇のはじまりだった。カードを書いているだけで、13時30分になってしまった。リハーサルの時間はなかった。。。
ぶっつけ本番というのは、こういうことを言うのだろう。参加者が来ているのに、僕らはまだマイクのテストとか、翻訳のチェックとかしている。。。
Human+Tech Day in Tokyo開催
いよいよスタートした。9つのテーブルに6人ずつ座っていただく形にしたが、54人が集まると、もう会場は熱気むんむんで、狭く感じるものがあった。しかも、今回集まっていただいた方たちは、CEO、CHRO、CTO、CDO、社外取締役、取締役など多岐な役職を持っている方たちだ。共通のテーマが「ウェルビーイング」とだけ決まっているが、どうなるか分からない。。。カオス状態にドギマギしながら、イベントをスタートさせた。
最初は、素晴らしい方たち3人のスピーカーセッション。
1人目は、僕のウェルビーイングな社会を大きく広げてくださった宮田裕章慶應義塾大学教授。宮田さんといっしょにWelluluを立ち上げ、ECOTONE社の社外取締役にも就任いただいた。宮田さんと語った「Better Co-Being」の世界は、アウトプットとして、万博のパビリオンにもなっている。空とつながる、空の色の変化が、世界の命を輝かせる、つなげてくれる、そんな世界を教えてくださった。(2020年の宮田さんとお話をさせていただいたとき、宮田さんが、堂上さんのイメージが「空」だったので、空色のTシャツを着てきました。と言ってお話くださったのはうれしかった!)
2人目は、直子さんの会社の共同代表、ニコル・ブラッドフォードさん。ニコルさんは、デジタルウェルビーイングの話や、AIなどを活用したウェルビーイングがどのように未来を創造していくかのお話をしてくださった。テクノロジーやデータは、僕らの未来をウェルビーイングにしてくれる、そう信じている僕らを応援してくれるようなお話だった。
3人目は、今回のイベントに冠協賛してくださった澤田拓子塩野義製薬株式会社 取締役副会長。製薬会社が担うべきウェルネス・ウェルビーイング領域の中で、ヘルスケアを中心としたデータ(PHR)を自分で持てる時代において、新たなプラットフォームをもって、どのような未病・予防社会をつくっていくかのお話だった。
ウェルビーイングを語るときに、テクノロジーとイノベーション、そしてコミュニティの話がぐるぐる循環する。結局は、僕らは自分たちがウェルビーイングになるために、どういうことができるか、どう行動できるかがポイントになる。
続いてインタラクティブ・ワークショップ。
ここで、Zen Eating体験をももえさんにお願いした。ももえさんとは、Welluluでもお話させていただいているのだが、本当に僕からしたら新鮮な体験だった。僕のランチは、毎回3分。それを同じ量を30分~60分かけて食べるくらい食べるときに自分と対話し、食べ物と対話するのだ。この体験を、54人の方たちに驚きと発見と共感をしてもらいたかったのだ。
最初に「普通の呼吸」を30秒で何回しているか?と問われて、僕は20回以上だった。すると、6回以下とかの人もいるのだ。そして、Zen Eatingを体験させていただいてから、もう一度やると、呼吸が深くなっていることを実感する。ゆっくり、大地の恵みを感じながら食する習慣ができていない僕は、苦手種目だ。。。ももえさん、貴重な体験にお時間をいただきありがとうございました。
そして、ワークショップ。直子さんと僕で進行していく。問いは3つ。
問い①「自分にとってのウェルビーイング?」
問い②「経営とウェルビーイング?」
問い③「社会共創とウェルビーイング?」
それぞれの発表が面白かった。本当に多様なのだ。多様だから面白い。多様だから共感できる。多様だから越境できる。多様だから難しい。多様だからまとめられない。多様だから寛容になれる。これは完全に言い訳だが、ラップアップ的なクロージングでは、僕のほうでまとめようとしたが、難しすぎてあきらめた。(時間のせいにして、あきらめた)
イベントに参加いただいたみなさまの楽しそうな対話を見ているだけで、やって良かった。イベントが終了して、僕は新たな問いを自分に立てた。
問い「未来、ウェルビーイングはどうなっていくのか?」
僕らは、ウェルビーイングを定義するつもりはない。けれども、多様な価値観や文化があるように、多様であって良い。そして、よりよく生きる上で、ウェルビーイングになろうとしなくても良いし、ウェルビーイングな生活を求めすぎなくても良い。ただ生きているだけで、ウェルビーイングな状態になればよいのかもしれない。じゃあ、ウェルビーイングという言葉なんて、消えてなくなっているのかもしれない。そう思ったし、そんな社会ができていたら、僕たちは、知らずに幸せな生活を送っているのだろう。
直子さんはじめ、今回のイベントにご協力いただいたみなさまに感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー