昨日の夜、夏休みに遊び惚けている息子2人(中1と小5)に対して、食事前の30分くらいお話をした。時間の大切さや、意志をもって行動することの大切さ、頭を使いながらいろいろな体験をしてもらう大切さ、学ぶ大切さなどを感じ取ってもらいたかった。
「アリとキリギリス」
むかし、むかし、あるところにとってもまじめに働く「アリ」と、いつも遊んでいる「キリギリス」がいました。「アリ」は、冬の食べ物を、秋のうちに蓄えておくためにせっせとせっせと働き、毎日毎日食べ物を集めていました。一方、「キリギリス」は、毎日ゲームと動画ばかり観て、のほほんと暮らしていました。
冬が来て、「アリ」は毎日の食事を楽しみながら過ごしたけれども、「キリギリス」は食事がなくて、死んでしまいました。
こんな展開もあります。
冬が来る前に、「アリ」は働きすぎて身体を壊してしまい、そのまま死んでしまいました。けれども、「キリギリス」は、たくさんのお友だちに助けてもらい、毎日を楽しく過ごしました。
「イヌとネコ」
ある日、「イヌ」と「ネコ」が同じ会社に就職しました。「イヌ」も「ネコ」も、自分のやりたいことができる会社なのではりきっています。「イヌ」は会社に従順で、会社から言われたことを、完璧にこなし、会社の指示にしたがって仕事をしていました。一方、「ネコ」は、会社に言われたこともやりながら、自分の好きなことに時間をつかう自由に行動するタイプでした。そして、指示されるのが嫌いなタイプで仕事をしていました。
数年後、「イヌ」は会社の上司から褒められて、部長に昇進しました。「ネコ」は自分の好きなことばかりしていたのですが、好きなゲームの開発をしたら、大ヒットして新たな会社をつくりました。
こんな展開もあります。
数年後、「イヌ」は会社の上司から褒められて、部長に昇進しました。給料が大幅にアップしました。「ネコ」は自分の好きなことばかりしていたのですが、昇進しなかったし、給料もあがりませんでしたが、会社にいながら好きなことができるので、毎日楽しく過ごしました。
「こどもと大人」
あるところに、「こども」だけで暮らしている、こどもの好きなことがいつでもできる世界がありました。こどもたちは、毎日毎日、鬼ごっこやかくれんぼ、ゲームや動画を見て過ごしていました。好きなお菓子も食べ放題、こんな楽園はないと思って過ごしていました。
そこに、ある日、「大人」がやってきて、「おまえたちは、今日から働いてもらう」「毎日、毎日、ここの土地を耕して、重い土を運ぶ仕事をしてもらう。」こんな重労働をしたことがなかった子どもたちは、泣きながら仕事をさせられていました。
ところが、「こども」の中でひとりだけ、好きなことをしているときにたくさんの「本」を読むのが好きなこどもがいて、毎日毎日「本」を読み漁っていた子が「大人」に向かってお話をしました。「なぜ、子どもたちを働かせようとするのですか?」
その「こども」は、「大人」に対して、たくさんの知恵をさずけて、みんなが幸せに暮らす方法を提案しました。「大人」はその「こども」の考えが素晴らしかったので、「こども」たちの重労働を解放しました。その本好きの「こども」によって、すべての「こども」たちも「大人」も、みんな幸せに暮らしました。
お話を終えて
3つのお話を終えて、子どもたちに「どう感じた?」と聴いた。「ここに、お父さんから子どもたちに3つのメッセージがあります。何を感じたか、お父さんはどんなメッセージを伝えたかったか考えてみましょう。」と言って、息子の顔をのぞきこんだ。
ひとつめの「アリとキリギリス」は、どっちの生き方がいいか分からないな、遊ぶことも、働くことも両方大事っていうこと? ふたつめの「イヌとネコ」は、パパは完全に「ネコ」だね。ママは「イヌ」だね。僕は、「ネコ」がいい。自由ぽいから。みっつめの「こどもと大人」は、本を読むことが大切、ということ。
こんな会話をしながら、僕は2人の息子に「僕の考え」ということで続けて伝えた。
「アリとキリギリス」は、遊びも学びも働くも、一生懸命やることはもちろん大事で、バランスよく生きることだよね。どっちかではなくて、どっちもいいよね。「イヌとネコ」も、どっちもその人の生き方だからどっちも良いと思うよ。どっちの生き方をするにしても、「努力」しているからこそ、結果につながったんだね。結果何かを成功している人は、必ず「努力」している。そして、最後の「こどもと大人」は、体験や経験の幅であり、選択肢を増やすことの大切さを感じてほしかった。本を読んでいるこどもは、たくさんの知恵を本から学び取り、大人の体験以上のものを知っていた。だから、どうやってよりよくなるか考えることができたんだ。
どこまで感じてもらったかは分からない。けれども、「こども」は、今「意志をもって行動する。」ことを覚えてほしかった。
こどものウェルビーイングは、僕も自分への問いかけからはじまる。
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堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー