働くことは、私たちの人生の多くの時間を占めている。だからこそ、「どこで、誰と、どのように働くか」は、人生のウェルビーイングを大きく左右する重要なテーマだ。給与や待遇といった条件面だけではなく、価値観や企業文化、働き方そのものを見つめながら、自分らしく働ける場所を選ぶ人も増えている。
「Wellulu」では2026年10月、「ウェルビーイングに働く」を軸に、人と企業の新しい出会いをつくる新サービス『Wellulu WORK(ウェルル ワーク)』をリリース予定だ。そこで今回は、「Wellulu」アドバイザーの宮田裕章教授、編集長の堂上研、副編集長の左達也の3人が集まり、スペシャル座談会を開催した。
「会社に自分を合わせる」時代から、「自分はどう生き、どう働きたいのか」を起点に仕事を選ぶ時代へ。企業と個人の関係はどう変わりつつあるのか。そして、一人ひとりがウェルビーイングに働ける組織とは? 3人が熱く語り合った。

宮田 裕章さん
慶應義塾大学医学部 教授/Wellulu アドバイザー

堂上 研
株式会社ECOTONE 代表取締役社長/Wellulu編集長
1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集長に就任。2024年10月、株式会社ECOTONEを立ち上げる。

左 達也
株式会社ECOTONE 取締役CWO/Wellulu副編集長
福岡市生まれ。九州大学経済学部卒業後、博報堂に入社。エンゲージメント・ビジネスユニット(EBU)で全社のデジタル・データシフトを牽引し、生活総合研究所では「生活者発想」を広める教育プログラムを開発。ミライの事業室で立ち上げたWell-beingビジネスをメディア「Wellulu」として結実させ、日米のグローバルVC「WiL」との連携のもと博報堂からカーブアウト。ウェルビーイング産業の創造を掲げる株式会社ECOTONE取締役CWOに就任。誰もが「ウェルビーイングにはたらく」を選べる社会を、新しい当たり前に。
「働く」と「生きる」の再定義。企業と個人の新しい関係性

左:私たちECOTONE(エコトーン)社は、2026年10月に『Wellulu WORK』という新たなサービスをリリース予定です。これは、給与や待遇といった「条件」で惹きつける採用からの脱却を目的にしています。AI取材を通して企業の「社風や働く環境」を可視化・言語化することで、求職者と企業が「価値観や相性」で出会えるようにする「“HR版”ウェルビーイングメディア」です。
このサービスを立ち上げた背景には、コロナ禍以降、人々の「働くこと」への価値観や生き方そのものが大きく変化してきているという実感があります。宮田さんは、この変化をどのように捉えていらっしゃいますか?
宮田:私自身、『WELLBEING AWARDS(ウェルビーイング・アワード)
』の審査などに長年携わらせていただく中で、「ウェルビーイング」という概念を軸に社会の構造が大きく動き始めたと強く実感しています。そして、その変化にはいくつかの段階が存在します。
最初の段階は、「お金を稼ぐことは目的ではなく、あくまで手段である」という本質的な認識への移行です。企業活動を継続し社会を発展させるためには経済を循環させる必要がありますが、企業にとっても働く個人にとっても、お金そのものが最終的なゴールではありません。
もちろん、十分な給与や安心して働ける環境は、すべての土台となります。その土台を確保した上で、個人にとっては、自分が望む豊かな生き方を実現するための一つの手段として「働く」が存在する。その意味で、働くことの主導権が本来あるべき「個人」の手元に戻ってきたのだと言えます。
そうなると、企業の福利厚生や働く環境に対する考え方も根本から変わります。単に「最低限働ける環境」を整備するだけにとどまらず、働く人の生き方の可能性を開き、一人ひとりが最も良い状態で能力を発揮できる環境を整えることへと進化していく。
さらに次の段階では、企業と個人が個別にウェルビーイングを追求するのではなく、「社会として何を持続可能で望ましい状態とするのか」を共に模索するようになります。
そして現在、先進的な企業では、一人ひとりが「自分にとってのウェルビーイングとは何か」「自分はどうありたいのか」という問いを深め、その個人の意志が会社の目指す取り組みとゆるやかに重なり合うようになっています。つまり今、まさに「働くとは何か」「生きるとは何か」という根本的な関係性の再定義が進んでいるのです。

堂上:そうした意識の変化は、やはりコロナ禍という世界的な出来事が大きな転換点になったのでしょうか?
宮田:一度社会の動きが立ち止まり、誰もが「自分自身の生き方や時間」を見つめ直す機会を得たことは非常に大きかったと思います。ただ、ウェルビーイングや自分らしい生き方への関心がコロナ禍によって突如として生まれたわけではありません。
以前から「パーパス経営」や「ティール組織」といった新しい組織論の潮流があり、同時にデジタル化によって人と人とのつながり方やコミュニティのあり方も変化していました。持続可能性や個の多様性を重んじる価値観の広がりという下地がもともと存在しており、それがコロナ禍という外圧によって一気に加速したと捉えるのが本質的でしょうね。
堂上:これまでのような「企業と個人」の主従関係や契約のあり方そのものが、根本から変わり始めていますよね。
宮田:おっしゃる通りです。かつては「企業が人を抱え込み、働かせる」という一方向の関係性が主流でした。そこから「企業と個人が同じベクトルを目指す」という段階へ移り、現在はさらにその先へと深化しています。
価値観が合うということは、必ずしも全員が組織と完全に同一の方向を向く必要はありません。意見が違っても話せること、仕事への熱量や関わり方が変わっても尊重されること。そうした関係を築けるかどうかも、企業を選ぶ大切な基準です。
一人ひとりが異なる関係性や居場所の中で多様に響き合い、ゆるやかな集団(生態系)を形成することこそが、結果として企業や組織にイノベーションをもたらす強い力になる。「個」そのものを「エンパワーメント(自ら選び、行動できる力と機会を広げること)」することの意義が今、再認識されているのです。
左:企業がそうして「個人をエンパワーメントする」ためには、組織としてどのような視点や力が必要になるとお考えですか?
宮田:その重要性をさらに決定づけているのが、生成AIの急速な進化だと感じています。かつての大量生産・大量消費の時代には、人間も単一のビジネスプロセスに組み込まれ、標準化された業務をいかに効率良くこなすかが求められてきました。しかし、同じものを再現・再生産する作業をAIが担うようになると、人間に求められる役割は「何が新しい価値なのか」という本質的な問いを立てることになります。
その際、あまりにも同質な価値観や慣習で固められた硬直的な組織からは、新しいイノベーションは生まれにくい。一人ひとりが自身の生き方を深めることを後押ししたり、組織の枠を超えて多様な人と出会う機会を提供したりする。これは、個人のウェルビーイング向上にとどまらず、企業の持続的な生産性や創造性を高める上でも極めて重要な経営戦略になるのです。

堂上:僕たちECOTONE社で行った調査でも、ウェルビーイングを実感している人ほど社外に複数の居場所を持ち、多様な人々とのゆるやかなつながりがある傾向が見られています。ですから、副業や兼業を認めたり、社員が社の外でアクティブに活動することを推奨したりする企業が増えているのは、非常に前向きな流れだと感じます。
一方で、「イノベーション」や「ダイバーシティ」を掲げながらも、実態としてはまだ社員を社内に閉じ込めてしまっている企業も少なくありません。
宮田:生成AIによって業務効率が飛躍的に高まれば、個人の可処分時間(自由に使える時間)は増える可能性がありますよね。その生まれた時間を企業がさらなる過密労働で埋めるのではなく、副業や地域活動、学び直し、そして十分な休息やご家族と過ごす時間として還元していくことが大切になってくると思います。そこで得た新しい知見や人脈が、自社に新しい風として巡ってくることもあるでしょう。
「会社」から「自分」へ。主語を取り戻す働き方

左:ECOTONEの調査(※)では、転職意向者が働く上で大切にしたいこととして、「困ったときに助け合える環境」や「楽しく働ける雰囲気」、「オンとオフのリズムを持ちながら回復(リカバリー)できること」などが上位に挙がっています。
※出典:ECOTONE「Well-Working基礎調査2026」(2026年、転職意向者309名)
https://ecotone.co.jp/news/40/
堂上:一方で、企業側からも「社風をどう改善すべきか」「文化を変革したい」というご相談をいただく機会が増えました。しかし、経営層と対話をしていると、「パーパスを新たに策定して浸透させようとしているのに、社員がなかなか理解してくれない」という壁にぶつかるケースが少なくありません。
それは結果として、「会社はここを目指しているのだから、社員も同じ方向を目指しなさい」という価値観の押し付けになってしまっているのではないかと感じます。日本においては特に「会社」が主語になりすぎてしまい、「自分(個人)」が主語になっていない場面が多々見受けられます。「会社に合わせなければならない」「会社が求める役割を完璧にこなさなければならない」という思考に捉われている状態です。これでは、企業がいくら「組織文化を変えよう」と叫んだところで、本質的な変革は起きないのではないでしょうか。

宮田:日本の社会システムにおいては伝統的に、既存の組織や規律に自分を適応させる能力が高く評価されてきた面があります。学校教育も含め、巨大な社会的仕組みを高い効率で稼働させるために、個人の個性を研磨・平均化していくことが重視されてきました。それによって高い秩序や礼儀正しさが育まれたという肯定的な側面もあります。
しかし、「個の可能性」や「イノベーションを生む創造性」、あるいはこれからの多様なコミュニティの構築という観点においては、マイナスに作用する部分も大きい。だからこそ、企業側が「変わらなければならない」という焦燥感や危機感を社員にそのまま押し付けるのではなく、「そもそもこの組織は何のために存在するのか」「この場所で働くとは個人にとってどういう価値があるのか」という根本的な問いを、経営者と従業員が一緒になって対話し、再定義していくことが必要なのです。
一人ひとりが求めるウェルビーイングと組織の目指すベクトルがゆるやかに調和していれば、それは双方にとって強固な関係性になります。
自分の状態に合わせて、戦略的に働き方を変えるという発想
左:企業がそうして一人ひとりのウェルビーイングを引き出していくために、経営層や管理職はどのような意識を持つべきだとお考えでしょうか?
宮田:2026年のFIFAワールドカップを見ると、深い学びが得られると感じています。今回の大会で特に印象的だったのは、世界最高峰の選手たちの振る舞いです。
例えばリオネル・メッシのプレーを見ると、個人の才能だけでなく、それを生かすチームのつくり方からも学べます。全員に同じ動きや役割を求めるのではなく、それぞれの強みが生きるように連携する。組織でも、一人ひとりの状態に合わせて、仕事や役割を組み立てることが大切だと思います。
ルカ・モドリッチは、若い選手と同じ量のハードトレーニングを闇雲にこなすのではなく、自身の年齢や回復速度に合わせた質の高い休息とコンディショニングを徹底的に確保している。つまり、「自身の状態に合わせて働き方(戦い方)を最適化すること」は、決してパフォーマンスの低下を意味するものではありません。むしろ、パフォーマンスを継続して発揮し続けるためにこそ不可欠な戦略なのです。

堂上:なるほど! すごく腑に落ちます。しっかりと休み、自分を整えられる環境であることが、これからの「良い会社」の重要な条件の一つになりつつあるのですね。これらを「攻めの休養」と言ったりもしていますね。
宮田:適切にリカバリーできる組織風土は、そこで働く人の潜在能力を引き上げます。世界のトップアスリートたちも、日々の練習だけでなく、食事、睡眠、メンタルケア、プライベートの時間を含めたライフスタイル全体を包括的に最適化しています。
休息は、一人ひとりの心身と暮らしを守るために必要なものです。成果を出せる人だけが休んで良いわけではありません。その土台があってこそ、自分の力を長く発揮することも可能になるのです。
堂上:しかし経営者の方とお話ししていると、いまだに「睡眠時間を削って過酷に働くことこそが美徳だ」という過去の価値観に囚われている方もいらっしゃいます。そうした旧来の成功体験を、どのように「アンラーン(従来の前提や成功体験を問い直し、手放すこと)」していけば良いのでしょうか?
宮田:全員を一瞬で変えようと焦らないことですね。まずは感度の高い「イノベーター」や「アーリーアダプター」層から、新しい成功事例と流れを作っていくことです。かつてはスポーツ界でも「無理な努力による耐え忍び」が美談として語られていました。しかし、適切な休息を取ることが、力を持続的に発揮するための重要な条件になるという認識が広まった現在、社会全体の基準(ベースライン)もアップデートされていきます。過去の成功体験だけに頼るやり方は、自ずと通用しなくなっていくでしょう。
堂上:昔の部活動なんて「練習中は水を飲むな」が常識でしたからね。僕も中学のサッカー部時代、あまりの喉の渇きに耐えかねてトイレに行くふりをして水分を補給したら、コーチに見つかって酷く怒られた思い出があります(笑)。
左:現在の企業組織の中にも、「苦労している姿こそが美しい」「長時間会社にいる人が優秀だ」といった類似の固定観念がまだ根深く残っています。データや合理性によって否定された古い慣習にしがみつき続けていては、時代の変化から取り残されてしまいますね。
宮田:個々のコンディションに応じた質の高い休息を保障することは、個人のウェルビーイングのみならず、企業の持続可能な生産性と創造性を高める上で極めて重要な経営課題なのです。
「好き」を解き放つ組織へ。価値観から始まる新しい対話

堂上:個人の状態に応じた働き方の重要性に加えて、もう一つ僕が感じているのは、企業は「生産性を上げたい」「エンゲージメントを高めたい」と、どうしても「会社」を主語にして語りがちですよね。しかし、一人ひとりが感じるウェルビーイングはまったく異なります。それを会社側が「聞いてあげる」というアプローチも、どこか上から目線で少し違いますよね。
宮田:「共に考える」というスタンスではないでしょうか。
堂上:そうですよね。一人ひとりがどう生きたいのか、どう働きたいのかという原点から、共に考えていく。会社の目指す方向と個人の目指す方向が一致したとき、最高のパフォーマンスを発揮できる。けれども、実際は「会社と個人のギャップ(ウェルワーキングギャップ)」が大きい。
左:その人が会社という場所を通して実現したい目的も、それぞれ異なりますからね。スピード感を持って成長したい人もいれば、権限を持って新しいプロジェクトに挑戦したい人もいる。
一方で、オンとオフの境界を大切にし、家族やプライベートの時間を最優先したい人もいます。しかも、その優先順位はライフステージの変化によって移り変わっていきます。会社が一人ひとりの個と真摯に向き合い、その時々に最適な機会や環境を提供していくことが重要だと感じます。
宮田:提供できるものは、挑戦の機会であったり、働く場所であったり、社内外のネットワークであったり、プロジェクトであったりと多種多様です。ただし、個人のウェルビーイングと企業という組織体が完全に無関係になれば、集団としての組織は成立しません。その両者をどのように心地よくデザイン・コーディネートするかが経営の腕の見せ所です。
強い魅力を持つ企業は、社員の「好き」という情熱をうまく組織のイノベーションへと昇華させています。すべての施策を短期的な生産性や売上だけで判断するのではなく、「社員が心から好きだからやってみる」という自発的な探求を許容する。その熱量から、本質的なイノベーションが芽吹いていくのではないでしょうか。
左:「ウェルビーイングな組織」という概念を、「一人ひとりが『好き』を突き詰められる組織」と捉え直すと、より具体的なイメージができるかと思います。
堂上:「好き」というのは、すごく本質的で素晴らしい指標ですよね。僕自身も昔から、目の前の人が何に情熱を傾けているのかを聞くのが大好きなんです。誰かが強い美学や執着を持っている対象には、自分がまだ知らない新しい可能性や世界が広がっていますからね。

宮田:「何が好きですか?」というストレートな問いも面白いのですが、問いの角度を少し変えるだけで、返ってくる答えがまったく違ってきます。私は最近、対話の中で「人生最後に食べたいものは何ですか?」と尋ねることがあるのです。そのシンプルな問いから、その人が大切にしているコアな価値観が自然と浮かび上がってきます。
堂上さんは、人生最後に食べたいものは何ですか?
堂上:うーん。急に来ましたね。僕は「炊き立ての白米」ですかね?
宮田:誰が炊いた白米ですか?
堂上:誰でも良いですね。
宮田:どこの産地のお米ですか?
堂上:銘柄にはそこまでこだわりません。でも、とにかく、白米が一番好きです。
宮田:誰と一緒に食べたいですか?
堂上:やっぱり家族ですね。こうやって聞かれると、自分の想像が膨らみますね。
左:私も以前同じ質問をされたとき、地元・福岡にあるうなぎの老舗の料理だと答えました。家族と節目に通っていた思い出の味で、その記憶や温かい情景も含めて食べたいと感じるのです。
宮田:非常に興味深いですよね。一見すると単なる「好きな食べ物」の質問のようですが、「誰と」「どこで」「なぜ」と深く対話を重ねていくことで、その人が人生において大切にしている本質的な価値観が見えてくる。「人生最後に聴きたい音は何か」「最後に見たい景色は何か」と五感に広げても面白いでしょう。自分自身が何を心から大切にしているのかをじっくりと見つめ直す時間そのものが、ウェルビーイングにとって大切なんだと思います。
左:企業における日々の1on1においても、業務の進捗だけでなく、そうした個人の「好き」や根底にある価値観について語り合う時間があって良いはずですよね。
堂上:業務上の話だけにとどまらない深い対話こそが、実は組織と個人の信頼関係を築く上で大切なのかもしれないですね。
価値観から選ぶ働き方。個人と組織が響き合う未来へ

堂上:結局のところ、心からウェルビーイングに働くためには、企業側が環境を整備するだけでは不十分なのかもしれませんね。働く本人自身も、「自分は何を大切にしたいのか」という原点の問いを深く知っていくプロセスが必要不可欠ですよね。
宮田:まさにその通りです。その価値観や人生で大切にしたいものは、ずっと変わらない固定的なものである必要もありません。人間は生涯を通して、多様で柔軟な生き方のスタイルを選択できるという前向きな前提に立つことが大切です。
キャリアの中で仕事に情熱を傾け没頭したい時期もあれば、子育てや家族との時間に多くのリソースを注ぎたい時期もある。だからこそ組織にとって重要なのは、画一的な「理想の働き方」を社員全員に強制することではありません。多様な関わり方やグラデーションを認め、直接業務に向き合っていない時間に対してもリスペクトを払う姿勢だと考えます。
左:それこそが、これからの時代に求職者が仕事や企業を選ぶ際にも重要な視点になりますよね。スキルや給料といった外的な条件面だけで判断するのではなく、「その企業風土の中で、自分自身がどう働き、どう心地よく生きられるのか」という本質まで見据えて選択していく。
堂上:会社が一方的に人を選別する時代から、個人も自身の価値観に基づいて会社を選択する対等な時代へ移行しているわけですね。「自分は何が好きなのか」「どんな環境で最も能力を発揮できるのか」「どのように休息を取りたいのか」「誰との時間を大切にしたいのか」。そうした自身の本質的な問いと向き合いながら働く場所を選べるようになったら、働くという営みそのものが、より心豊かなウェルビーイングへと深化していくはずです。
宮田:そして、個人が「自分らしくあること」と、組織が「集団として高い成果を発揮すること」は、決して二律背反(対立)するものではありません。一人ひとりのウェルビーイングが企業の目指すビジョンとゆるやかに重なり合い、それぞれの強みが解き放たれていく。結果として、それこそが企業の持続可能な力へとつながっていくのではないでしょうか。
堂上編集長後記:
ウェルビーイングをECOTONEで探求している中で、僕たちは「誰をウェルビーイングにしたいか?」と考えるようになりました。その上で、一人ひとりの想いを知った上での環境づくりと、自分との対話、他者との対話が大切だと感じています。
僕らは、ウェルビーイングに働く場所を考えていく中で、「主体性」「多様性」「協働性」が大切だと考えています。これは、ある仕事で教えていただいた「日本人の教育の中で苦手なもの」だそうです。こういった行動指針があるのに、環境や人間関係のせいでうまくできないと、ウェルビーイングな働き方ができません。
宮田さんとお話をしていて、僕たちが今から小さくやるべきことは、「自分らしい」をもう一回見つめ直すことかも、と思いました。
僕にとって、「自分らしい」は、何かに熱中して、挑戦している人を応援できる環境です。これは、家族も仕事も同じです。僕たちは企業の中で企業内起業として動いています。常に挑戦者であり、スタートアップのようなスピード感をもってやっています。会社の仲間の挑戦を止めない。失敗しても寛容である。自分の熱中が仕事の中で見つかる。そんな環境を整えたいと思っています。さらに、子どもがスポーツに熱中する姿を応援しながら、一緒に挑戦してきました。
僕は、やっぱり仕事をするなら、同じ船には「熱い人」をどんどん巻き込みたいです。宮田さん、左さん、ありがとうございました。

2003年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士
2025日本国際博覧会テーマ事業プロデューサー
Co-Innovation University 特別顧問
一般社団法人Generative AI Japan(GenAI) 代表理事
専門はデータサイエンス、科学方法論、Value Co-Creation。データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。
医学領域以外も含む様々な実践に取り組むと同時に、世界経済フォーラムなどの様々なステークホルダーと連携して、新しい社会ビジョンを描く。宮田が共創する社会ビジョンのひとつは、いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で一人ひとりが輝くという“共鳴する社会”である。