ダイエットや健康維持のためには、適切な管理が必要となる消費エネルギー(消費カロリー)。この記事では、「消費カロリーの基礎知識」「1日の消費カロリーの計算方法」「各運動・活動の消費カロリー」「カロリー消費を高めるコツ」などをご紹介。
この記事の監修者
石本 哲郎さん
女性専門のパーソナルトレーナー
消費カロリーの基礎知識
- カロリーは「消費カロリー」と「摂取カロリー」がある
- 男女別:1日の消費カロリー目安
- 消費カロリーが増えることで痩せるメカニズム
カロリーは「消費カロリー」と「摂取カロリー」がある
カロリーはエネルギーを表す単位であり、カロリーには「消費カロリー」と「摂取カロリー」の2つがある。
消費カロリーとは、基礎代謝・日常活動・運動などによって「1日の生活で使用するエネルギー総量」のこと。一方、摂取カロリーは食事や飲み物から「身体に取り入れるエネルギー量」を指す。それぞれ「kcal(キロカロリー)」の単位で表される。
ダイエットにおいては、摂取カロリーよりも消費カロリーを多くすることが大切になる。
男女別:1日の消費カロリー目安
1日の消費カロリーは「性別」「年齢」「体格」「活動量」によって大きく異なる。
- デスクワーク中心:2,000kcal前後
- 活動量が多い:3,000kcal〜
【成人女性(1日の消費カロリー目安)】
- デスクワーク中心:1,700kcal前後
- 活動量が多い:2,500kcal〜
成人男性の場合、平均的な消費カロリーは「1日あたり2,000〜3,000kcal程度」で、成人女性の場合は「1日あたり1,700〜2,500kcal程度」が目安。
一般的には、デスクワークが中心か、活動量が多いかで消費カロリーが変わる。ただし、活動量だけでなく個人の体格や、筋肉量によっても実際の消費カロリーは大きく変わる。正確な消費カロリーを知るには、専門機関での測定や活動量計などが必要。
消費カロリーが増えることで痩せるメカニズム
基本的には、1日の消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態が続くと、体重が減少する。
活動に必要なエネルギーはおもに食事から摂取されるが、消費カロリーが摂取カロリーを上回った場合、不足分のエネルギーを体内に蓄積された脂肪から補うこととなる。この過程で体内の脂肪が分解され、体重が減少するという仕組み。
1kgの体脂肪は約7,200kcalのエネルギーに相当するため、理論上は約7,200kcalの消費カロリーの超過をつくることで、1kg程度の体重減少が期待できる。
ただし、消費カロリーを増やすだけでなく、筋肉量の維持も意識することが大切。筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費するため、筋肉量を維持しながら脂肪を減らすことが、効果的なダイエットのカギとなる。
また、急激な消費カロリーの増加は身体に負担をかける可能性があるため要注意。必要な栄養はしっかりと取りながら、徐々に活動量を増やすことを心がけよう。
1日の消費カロリーを計算する方法
1日の消費カロリー目安を知ることは、体重管理やダイエットにも効果的。ここでは、自分の消費カロリーを計算する方法を4つご紹介。
- 年齢・性別・体重から基礎代謝量を算出する方法
- 日常生活での消費カロリーを活動代謝として加算する方法
- METs(メッツ)を使用して運動による消費カロリーを計算する方法
- 基礎代謝・活動代謝・運動消費カロリーの合計で総消費カロリーを求める方法
年齢・性別・体重から基礎代謝量を算出する方法
基礎代謝量とは、「呼吸をする」「内臓を動かす」など、生命維持のために必要とされる最低限のエネルギー消費量。
基礎代謝量の計算には、ハリス・ベネディクトの式がよく用いられ「体重」「身長」「年齢」「性別」から算出することができる。ただし、基礎代謝量は個人差が大きいため、この計算式はあくまで目安として捉えるようにしよう。
【男性の場合】
- 基礎代謝量 = 66.47 + (13.75 × 体重kg) + (5.00 × 身長cm) – (6.76 × 年齢)
【女性の場合】
- 基礎代謝量 = 655.10 + (9.56 × 体重kg) + (1.85 × 身長cm) – (4.68 × 年齢)
式でも示されているように、一般的に年齢が上がるにつれて基礎代謝量は低下してしまうが、筋肉量を維持することで低下を抑えることができる。
なお、基礎代謝量をより簡易的に把握するなら厚生労働省や日本医師会が公表している基礎代謝基準値を参考にしてみよう。年代ごとに異なる基礎代謝基準値に体重をかけることでおおよその基礎代謝量を把握できる。
日常生活での消費カロリーを活動代謝として加算する方法
活動代謝とは、日常生活や運動によって消費されるカロリーのこと。活動代謝の計算には、身体活動レベル(PAL:Physical Activity Level)が用いられる。PALは、1日の総エネルギー消費量を基礎代謝量で割った値。
【PALの目安】
- 1.50:ほとんど運動しない(低い)
- 1.75:普通
- 2.0:高い
1日の総消費カロリー = 基礎代謝量 × PAL
活動代謝を増やすためには、日常生活の中で意識的に身体を動かすことが大切。「階段を使う」「遠回りして歩く」など、小さな工夫を積み重ねよう。
METs(メッツ)を使用して運動による消費カロリーを計算する方法
METs(Metabolic Equivalents:メッツ)は、運動強度を表す単位。安静時の代謝を1とし、その何倍のエネルギーを消費するかを示す。
- 消費カロリー(kcal) = METs × 体重(kg) × 時間(h) × 1.05
ただし、個人差が大きく環境条件によっても変動するため厳密な計算は難しい。そのため、おおよその目安として捉える程度で問題ない。Web上で「ウォーキングの消費カロリー」「ダンスの消費カロリー」などと検索し、大まかな消費カロリーを把握するでも十分。
消費カロリーのランキングを参考にする場合も、最も高いものを選ぼうとするのではなく自分の運動の位置づけを知る程度でよい。消費カロリーが高めと分かればそのまま継続し、低めなら運動時間をのばすなどして調整をするのが効果的。
一般的には消費カロリーを厳密に計算する必要はなく、自分がおこなっている運動の消費カロリーの目安を知る程度で十分です。消費カロリーの計算よりも、体重の変化や見た目の変化を優先してトレーニングするのがおすすめです。
基礎代謝・活動代謝・運動消費カロリーの合計で総消費カロリーを求める方法
総消費カロリーは「基礎代謝量」「活動代謝」「運動による消費カロリー」の合計なので、これにより1日の消費エネルギー量を知ることができる。
- 総消費カロリー = 基礎代謝量 + 活動代謝 + 運動消費カロリー
減量中はアンダーカロリーの状態、つまり摂取カロリーが消費カロリーより少ない状態を目指すのがよい。
減量中のアンダーカロリーの状態では、空腹状態や栄養不足が身体の代謝を低下させて、エネルギー消費が抑制されてしまいます。そのため、計算式よりも実際の消費カロリーが少なくなる傾向にあります。ダイエット初期は構いませんが体重の減少が停滞するようであれば、計算式やネットで調べた消費カロリーの数値に0.7倍した値を実際の消費カロリーとして考えるのがおすすめです。
計算上の消費カロリーだけでなく、実際の代謝の状態も考慮して調整しましょう。減量中でも代謝が落ちないタイプの人もいるので、それでうまくいってるならOK。上手くいかないならそこまで消費カロリーが出ていない可能性もあります。
この章で紹介した計算方法よりも正確かつ手軽に消費カロリーを把握したい場合は、以下2つの方法も検討してみよう。
- 活動量計・スマートウォッチの活用
- 消費カロリー計算アプリの活用
最新の活動量計やスマートウォッチは、「歩数」「心拍数」「活動強度」などを測定し、安静時や睡眠時の代謝も考慮して24時間の総消費カロリーを算出できる。消費カロリー計算アプリは「歩数」「運動時間」「心拍数」などを自動で記録し、METs値やPALを用いた計算をおこなってより正確な消費カロリーを算出してくれる。
どちらもグラフなどで視覚的に消費カロリーの変化を確認でき、運動計画やダイエットプランを立てる際の参考になる。
【外向き】消費カロリーが高い運動6選
ここでは、「カロリー消費が高い外向きの運動」と「それぞれの消費カロリー」をご紹介。自分に合う継続できる運動を見つけよう。
【各運動の消費カロリー:一覧】
- ランニング:約600kcal(1時間)
- 水泳(全身運動):約500kcal(1時間)
- サイクリング・エアロバイク:約400kcal(1時間)
- ボクササイズ:約800kcal(1時間)
- 縄跳び:約70~100kcal(10分)
- ウォーキング:約140〜240kcal(30分)
ランニング:約600kcal(1時間)
ランニングはダイエットに効果的な有酸素運動の1つ。一定のペースで走り続けることで全身の筋肉を使い、多くのカロリーを消費する。体重や走るスピードによって消費カロリーは変わるが、平均的な体格の人で「1時間あたり:約600kcal」を消費する。これは「ごはん茶碗2杯分」のカロリーに相当。
特別な道具が必要ないことがランニングの魅力。気軽に始めることができ、屋外に出ることで気分転換にもなる。また、ランニングを継続的におこなうことで、ダイエット効果だけでなく、「心肺機能の向上」「基礎代謝の上昇」「ストレス解消」「睡眠の質向上」にも役立つ。
運動習慣がない人は、まず「ウォーキング」と「ランニング」を組み合わせて取り組んでみよう。徐々に走る距離をのばしていくことで無理なく習慣化できる。
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水泳(全身運動):約500kcal(1時間)
水泳も全身を使う有酸素運動の1つ。水の抵抗と浮力を利用するため関節への負担が少なく、体温調節のためにエネルギーも使用する。結果として多くのカロリーを消費でき、「1時間あたり:約500kcal」を消費できる。これは「サンドイッチ1個分」のカロリーに相当。
また、水泳は泳ぎ方によって消費カロリーが異なる。「バタフライ」が最も高く、ついで「クロール」「平泳ぎ」「背泳ぎ」の順に消費カロリーが少なくなる。初心者は負荷の少ない平泳ぎから始めて、徐々にほかの泳ぎ方に挑戦するのがおすすめ。
水泳には筋トレの要素もあるため、「背中」「腹筋」「大腿部」の筋肉を中心に全身の筋肉をバランスよく鍛えられる。
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サイクリング・エアロバイク:約400kcal(1時間)
サイクリングは楽しみながらおこなえる有酸素運動。ランニングと比べて関節への負担が少なく、長時間続けやすいのも特徴。「1時間あたり:約400kcal」を消費でき、おにぎり1個分のカロリーに相当。
また、ジムのエアロバイクと屋外の自転車では消費カロリーに差が出る。屋外の自転車は風を受けながら走るため、体感的な疲労感は少ないが実際の消費カロリーは高い傾向にある。風による冷却効果で体温上昇が抑えられ、長時間運動を継続しやすい。
一方、ジムのエアロバイクは風による冷却効果がないため、体感的な疲労感は大きいが消費カロリーは屋外ほど高くならない可能性がある。
屋外のサイクリングでは、突然の血糖値低下によって引き起こされる「ハンガーノック」と呼ばれる症状に注意が必要です。風の冷却効果で体感的な疲労が少ないまま、体内のエネルギーを大量に消費してしまう可能性があります。長時間のサイクリング時は飴やチョコレートを携帯し、こまめなエネルギー補給を心がけましょう。ただし、過剰なエネルギー補給は減量の妨げになる可能性があるため注意が必要です。
ボクササイズ:約800kcal(1時間)
ボクササイズは、男性がおこなえば「1時間あたり:最大約800kcal」を消費し、これはハンバーガー1個分のカロリーに相当。パンチを繰り出す動作で「上半身の筋肉」を、フットワークで「下半身の筋肉」を同時に使用できるのが特徴。また、ボクササイズは有酸素運動とストレス解消を兼ねた運動方法として人気が高い。
ただし、筋肉増加を目的とする場合は、ボクササイズより筋トレの方が効果的。カロリー消費であれば、ボクシングよりクロストレーナーの方が効率的なので、効率を重視する人は注意しよう。
ボクササイズの1番のメリットは、楽しさやレクリエーション性。運動は継続することが重要ですので効率を少し犠牲にしても、自分が楽しめる運動を選択することが大切です。また、ボクササイズを通じて仲間ができ、それが継続の動機づけになることもあります。
縄跳び:約70~100kcal(10分)
縄跳びは全身を使い、短時間で高い消費カロリーが可能な有酸素運動。「10分間あたり:約70~100kcal(1時間あたり:約420〜600kcal)」を消費できる。10分間であれば、りんご1個分のカロリーに相当。
しかし、「単調な運動であること」「場所の制約があること」を踏まえると、継続的に取り入れるのが難しい傾向にある。さらに、縄跳びは継続的な跳躍動作を伴うため、ひざへの負担が大きい。同じ動作を繰り返しおこなうことでひざに一定の衝撃が加わり続けるため、ひざを痛めている人は注意が必要。
クロストレーナーやウォーキングなど、よりひざへの負担が少なく、継続しやすい運動方法を選ぶのもおすすめ。
縄跳びは消費カロリーの観点からは効果的ですが、実用性や身体への影響を考慮すると必ずしも最適な運動方法とは言えません。消費カロリーの高さだけで選ぶのではなく、「目的」「体力」「環境」に応じてより適切な運動方法を選択しましょう。
ウォーキング:約140〜240kcal(30分)
ウォーキングは強度が低く誰でも手軽に始められることから、多くの人に親しまれている有酸素運動。
前提として歩く速度によって消費カロリーは大きく異なるが、「体重60kgの人が30分間歩いた場合:約140〜240kcal」が目安。また、研究によると「時速7km程度の早歩き」で顕著なメリットが得られ、同じ速度であれば「時速7kmのウォーキングは遅いジョギングよりもカロリー消費が多い」とされる。
ウォーキングはカロリー消費できるだけでなく、心肺機能の向上やミトコンドリアの増殖などの効果も期待でき、速く歩けば上半身の動きや身体のねじりがともなうため、お腹の筋肉も刺激できる。
女性の場合は「時速6km程度の早歩き」を目指すことで十分な効果が得られる。単に30分歩くのと「時速6kmを維持しながら30分歩く」のでは、得られる効果に大きな差があるため、スピードを意識しながらウォーキングすることを心がけよう。
ウォーキングは適切な速度でおこなうことで、効果的な有酸素運動になります。時速6km以上を目指すと、カロリー消費や筋力向上以外にもさまざまなメリットが期待できます。運動中にペースが落ちると効果が薄れてしまうので、アプリなどを利用して自身のペースを確認しながら運動するのもおすすめです。
下記の記事では、「ウォーキングのダイエット効果・やり方・注意点」などを詳しく紹介しているので、取り組む際の参考にしてみよう。
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【自宅向き】消費カロリーが高い運動5選
ここでは、自宅にいても実践できる消費カロリーの高い運動をご紹介。最初は簡単に始められるものから挑戦して、徐々に負荷を上げていこう。
【各運動の消費カロリー:一覧】
- バーピー:約100kcal(10分)
- 踏み台昇降:約150kcal(20分)
- 筋トレ:約150〜200kcal(30分)
- ジャンピングジャック:約150kcal(15分)
- エアロビクス:約200kcal(30分)
バーピー:約100kcal(10分)
バーピーは全身を使う高強度インターバルトレーニング(HIIT)の1種。立った状態からしゃがんで腕立て伏せの姿勢を取り、立ち上がってジャンプするという流れを繰り返す。「10分間で約100kcal」を消費でき、バナナ1本分のカロリーに相当。
ただし、初心者にはハードルが高く、とくに手首やひざに大きな負担がかかるため注意が必要。体重が重い人や運動初心者は、ゆっくりとしたペースでおこなうか、ジャンプをしないなど負荷を調整すること。床にマットを敷いて手首への衝撃を和らげるなどの工夫も大切。
また、自宅でおこなう場合もシューズを着用することがおすすめ。裸足でのバーピーや有酸素運動は足底腱膜炎のリスクがある。足に負担のかかる運動をする人に多く見られる症状で、一度発症すると治りが遅いため予防しよう。
バーピーのセット数やインターバルは、個人の体力に応じて調整。初心者の場合は少ないセット数から始め、徐々に増やしていくのがおすすめ。インターバルは十分に取り、呼吸が整ってから次のセットに移るように心がけよう。
バーピーは高いカロリー消費が期待できる運動ですが、高強度のため長時間の継続は難しく運動プログラムの一部として取り入れるのがおすすめです。身体に負担がかかりすぎないよう無理のないセット数や負荷でおこないましょう。
踏み台昇降:約150kcal(20分)
踏み台昇降は、運動初心者でも手軽におこなえる有酸素運動の1つ。自宅にある低めのイスや専用の踏み台を使用して上り下りを繰り返すシンプルな運動。「20分間で約150kcal」を消費でき、ヨーグルト1個分のカロリーに相当。
「太もも」「お尻」「ふくらはぎ」の筋肉を効果的に使うため、継続することで引き締まった下半身を目指せる。また、踏み台の高さや昇降のスピードを調整することで、運動強度を自在に変えられるため、体力や目的に合わせて無理なく継続できる。
場所を取らず、天候に左右されないことが踏み台昇降の魅力。音楽に合わせてリズムに乗って動くことで楽しみながら運動できる。長時間のデスクワークの合間におこなうのも、血行促進やむくみ解消によい。
筋トレ:約150〜200kcal(30分)
前提として、筋トレによる消費カロリーは「運動強度」「継続時間」「個人の体格」などによって異なるが、強度が高くなるにつれて高い消費カロリーが期待できる。
「体重60kgの人が30分筋トレした場合:約150〜200kcal」の消費が見込める。また、大きな筋群を使う複合種目(スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなど)をおこなうと、さらに高い消費カロリーが期待できる。
筋トレをおこなうと「EPOC(運動後過剰酸素消費)効果」により、運動終了後も長時間にわたって代謝が高まった状態が続くのも特徴。筋トレによって筋肉量が増加すると、基礎代謝が向上し、日常的な消費カロリーの増加にもつながる。
下記の記事では、「筋トレのダイエット効果・各種メニュー」などを詳しく紹介しているので、取り組む際の参考にしてみよう。
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ジャンピングジャック:約150kcal(15分)
ジャンピングジャックは、両足を閉じた状態から両手両足を同時に開いて跳ね上がり、元の姿勢に戻る動作を繰り返す運動。「15分間で約150kcal」を消費でき、りんご2個分のカロリーに相当。
「脚」「腕」「肩」「胸」を中心に全身の筋肉を使うため、身体全体をバランスよく鍛えられる。心拍数を上げやすい運動であることから、短時間でも十分な効果が得られるのが魅力。リズミカルな動きのため、音楽に合わせておこなうと楽しさが増しておすすめ。
また、特別な道具が不要で、狭いスペースでもおこなえるのもよい。自宅の一室や庭など、どこでも気軽に始められ忙しい朝や仕事の合間にも実践できる。
ジャンピングジャックをおこなう際は、必ずシューズを着用するようにしましょう。シューズを履くことで、足底腱膜炎などのケガを予防できます。とくに自宅でおこなう場合は忘れがちなので注意が必要です。
エアロビクス:約200kcal(30分)
エアロビクスは音楽に合わせてリズミカルに動くため、運動が苦手な人でも楽しく続けられる有酸素運動。「30分間で約200kcal」を消費でき、おにぎり1個分のカロリーに相当。
ステップを組み合わせた動きで全身をバランスよく動かし、「心肺機能の向上」「成長ホルモンの分泌促進」「骨密度の向上」など多くのメリットがある。エアロビクスは、有酸素運動の要素が強いため脂肪燃焼効果が高く、さらに軽度の筋トレ要素も含む。
また、動画を観たり、音楽を聴いたりしながら自宅でもおこなえるのがポイント。継続的におこなうことで、「柔軟性の改善」「ストレス解消」「気分転換」にも効果的。初心者は基本的なステップから始め、徐々に難易度を上げていくとよい。
エアロビクスは、有酸素運動と軽度の筋トレを組み合わせた効果が得られるため、運動初心者の人にもとてもおすすめです。ボクササイズなども同様の効果があるので、お好みに合わせて選んでみてください。とくに筋トレをおこなっていない場合は、ある程度高い強度の有酸素運動が推奨されますので、エアロビクスを取り入れてみるとよいでしょう。
【運動以外】消費カロリーが高い活動3選
ここでは、なかなか運動する時間が取れない人でもできる「日常生活で比較的カロリー消費の高い行動」をご紹介。
【各活動の消費カロリー:一覧】
- 階段の上り下り:約30kcal(5分)
- 掃除機がけ:約90kcal(30分)
- 庭仕事:約300kcal(1時間)
階段の上り下り:約30kcal(5分)
階段の上り下りは日常生活に取り入れやすい運動方法。エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使用することで、無理なく運動量を増やせる。通勤や買い物など、日常の中で実践しやすく「5分間で約30kcal」を消費できる。これはみかん半分のカロリーに相当。
効率的にカロリーを消費するコツは、おもに上りの動作に注目すること。上りは重力に逆らって身体を持ち上げるためより多くのカロリーを消費する。また、上りはとくに臀部の筋肉を使うためヒップアップにも効果的。ヒップアップを目指す女性だけでなく、スリムなシルエットを求める男性にもおすすめ。
より効果を高めたい場合は、一段飛ばしで階段を上るのもおすすめ。これにより、通常の階段上りよりも大きな動作が必要となり、より多くのカロリーを消費することができる。一方、下りは重力に逆らう動作が少ないため、カロリー消費は比較的低くひざへの負担も大きい。
下りはひざへの負担が大きいため、上りは必ず階段を使い、下りはエスカレーターを利用するという方法がおすすめです。これにより、効率的にカロリーを消費しつつひざへの負担を軽減できます。
掃除機がけ:約90kcal(30分)
掃除機がけの押したり引いたりする動作は「腕」「肩」「背中」「腰」「脚」を中心に全身の筋肉を使用するため運動としても効果的。「30分間で約90kcal」を消費でき、バナナ1本分のカロリーに相当。
有酸素運動の要素も含むため、継続的におこなうことで心肺機能の向上にもつながる。また、家事の一環であることから運動の時間を設ける必要がなく、日常生活の中で自然とカロリー消費できる点が魅力。姿勢を意識し背筋を伸ばして腹筋に力を入れておこなうことで、より効果的な運動になる。
掃除機がけでより効率よくカロリーを消費するためには、声を出しながらおこなうこともおすすめです。カラオケで歌うとカロリーを消費するのと同じ原理で、歌いながら掃除機をかけることで通常の掃除よりも消費カロリーを増やすことができます。劇的な効果をもたらすわけではありませんが、日常的な家事に少しの工夫を加えることで、カロリー消費を増やす一つの手段になります。楽しみながら効果的に掃除をしてみてください。
庭仕事:約300kcal(1時間)
「草むしり」「植え付け」「水やり」「枝切り」など、さまざまな動作を含む庭仕事は、「1時間で約300kcal」を消費でき、おにぎり1.5個分のカロリーに相当。また、朝に日の光を浴びることで、セロトニンの分泌を促す効果も期待できる。ほか、土や植物に触れることで心が落ち着き、リラックスできる。
カロリーを効率よく消費するコツ
カロリーを効率よく消費するためにはいくつかのコツがある。まずは、日常生活ですぐに実践できる以下の5つのことから取り組んでみよう。
- 筋トレも合わせておこなう
- 水分をこまめに補給する
- 朝食を食べる
- ストレスをためこまない
- しっかり睡眠をとる
筋トレも合わせておこなう
筋トレは運動中のカロリー消費は比較的少ないものの、運動後の代謝を高める「EPOC(運動後過剰酸素消費)効果」により、筋トレのあと数時間にわたって代謝が高まった状態が続く。そのため、有酸素運動だけでなく筋トレを組み合わせることでより効率的なカロリー消費につながる。
理想的な体型を目指すためには、ターゲットとする部位に焦点を当てた筋トレメニューを組むことが大切。とくに女性の場合、全身の筋肉を均一に増やすのではなく、特定の部位に集中することが効果的。たとえば、「二の腕」「お腹」「お尻」の筋肉を増やしたい場合は、それらの部位に特化した筋トレをおこなおう。
有酸素運動と組み合わせる際には、鍛えている部位の筋肉は維持されやすく、鍛えていない部位は細くなりやすい傾向があります。したがって、ボディメイクを意識している場合は、増やしたい筋肉は積極的に鍛え、減らしたい部位の筋肉は鍛えないなど調整するのがおすすめ。目指す体型に合わせてトレーニング部位を選択しましょう。
水分をこまめに補給する
水分摂取には代謝を活性化し、運動効率を高める効果がある。水分は体内のあらゆる代謝プロセスに関与しており、脱水状態では代謝が低下して脂肪燃焼が抑制されるため、こまめな水分補給が大切。
また、運動中の水分補給もパフォーマンスの維持に不可欠。適切に水分を補給することで、長時間の運動が可能になり、結果として総消費カロリーの増加につながる。
1日の水分摂取量の目安は、「体重1kgあたり約30ml」とされている。ただし、運動量や気温などの環境要因によって必要量は変わるため、喉の渇きを感じる前にこまめに水分を摂取するよう心がけよう。
朝食を食べる
朝食は代謝を活性化し、1日のエネルギー消費量を増加させる効果がある。朝食をとることで、夜間の絶食状態から身体が覚醒し代謝が活発になる。これによって、体温が上昇して、エネルギー消費が促進されるという仕組み。朝食を抜くと身体が飢餓モードに入り、代謝が低下してしまう可能性がある。
また、朝食は1日の食欲コントロールにも役立つ。朝食を適切にとることにより昼食や夕食での過食を防ぎ、結果的に1日のカロリー摂取量を適正に保つことができる。
朝食には、全粒粉パンに卵やヨーグルト、果物を組み合わせるなど、タンパク質と食物繊維を含む栄養バランスのよいメニューがおすすめ。これにより、長時間の満腹感が得られ、安定したエネルギー供給が可能になる。
下記の記事では、「ダイエットにおすすめの朝ごはんメニュー」を詳しく紹介しているので、どんなものを食べればよいか悩んでいる人は参考にしてみよう。
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ストレスをためこまない
ストレス下では「コルチゾール」というホルモンの分泌が増加し、血糖値を上昇させてインスリン抵抗性を高める作用をもたらす。その結果、身体が脂肪を蓄積しやすい状態になり、カロリー消費が低下してしまう。
また、コルチゾールの分泌によって糖新生が促進されて筋肉が分解され、せっかくのダイエットの効果が発揮しにくくなってしまうことも。ほかにもストレスは、食欲コントロールを乱す原因にもなり「ストレス食い」を助長してしまう可能性がある。
ストレス解消法は人によって異なるが、「適度な運動」「十分な睡眠」「趣味の時間」の確保など、日頃からリフレッシュすることを心がけよう。「瞑想」「ヨガ」などもストレス軽減に効果的。
しっかり睡眠をとる
質のよい睡眠は、代謝機能を最適化しエネルギー消費を促進する。適切な睡眠時間には個人差があるが、一般的に成人の場合「7〜9時間」が推奨される。
睡眠中は筋肉の修復や成長を促進し、基礎代謝の維持に重要な役割を果たす成長ホルモンの分泌が活発になる。十分な睡眠をとることで、成長ホルモンが適切に分泌され、筋肉量の維持や、効率的なカロリー消費につながる。
また、適切な睡眠は食欲をコントロールするホルモンのバランスも整える。睡眠不足になると空腹感を促す「グレリン」が増加し、満腹感を感じさせる「レプチン」が減少するため過食につながりやすい。
質のよい睡眠のためには、就寝時間と起床時間を一定に保ち、寝室の環境を整えることが大切。適度な温度(18〜22度程度)と湿度(50〜60%程度)を保ち、光や音を遮断することで、深い睡眠を得やすくなる。
消費カロリーを高めるために普段から意識すること
効率よくカロリーを消費するには、普段の生活に少しの運動を取り入れる方法もおすすめ。自身のライフスタイルに合わせて、簡単なことから取り入れてみよう。
- 自転車での移動を増やす
- 長時間座ったままの姿勢を避ける
- 家事や買い物など身体を動かす機会を作る
- ながら運動をする習慣をつける
自転車での移動を増やす
できる範囲で車や電車の利用を減らし自転車の利用を増やすことで、日常生活の中に無理なく運動習慣を作れる。自転車のペダルを漕ぐ動作では、おもに下半身の筋肉を使用するので「太もも」「ふくらはぎ」「お尻」の筋肉を効果的に鍛えられる。
「週1回は自転車移動をする」「涼しい季節のみ自転車通勤に切り替える」など、チャレンジしやすい範囲で取り組んでみよう。
長時間座ったままの姿勢を避ける
長時間座ったままでいると「心血管疾患」「糖尿病」「肥満」のリスクを高める可能性がある。意識的に立つ時間を増やすことで消費カロリーを増やすだけでなく、健康維持にもつながる。
立っている姿勢は座っている姿勢よりも消費カロリーが多い。たとえば、体重60kgの人が1時間立つことは、座っているときに比べて「約50kcal」消費するカロリーが多い。これは、りんご4分の1個分のカロリーに相当する。
デスクワークが中心の人にとっては、姿勢改善も重要な課題です。身体の前側、とくに胸や肩を伸ばすようなストレッチを定期的におこなうことをおすすめします。痩身効果はないかもしれませんが、腰痛や肩こりの改善効果が期待できます。
家事や買い物など身体を動かす機会を作る
日常生活での姿勢や行動を意識することで、消費カロリーにプラスの影響を与えられる。人間の身体は「寝転んでいるときよりも座っているとき」、「座っているときよりも立っているとき」、そして「外出しているとき」の方がより多くのカロリーを消費する。
また、家事でも掃除を小分けにしておこなうなどの工夫で継続的に身体を動かす機会を作ることができる。掃除をする際は「背筋を伸ばす」「適度なタイミングで腹筋に力を入れる」など、姿勢を意識することも効果的。
たとえ少しでも身体を動かす機会を作ることで、消費カロリーを増やし健康的な生活習慣への重要な一歩となります。日常生活の中で意識的に身体を動かす機会を増やすことを心がけましょう。とくに外出は効果的ですが、無理のない範囲で継続的に行動を起こしていくことが大切です。
ながら運動をする習慣をつける
テレビを観ている時間を利用してストレッチやスクワットをおこなう「ながら運動」も効果的。ただし、集中が必要な筋トレは避けて有酸素運動を中心におこなうようにしよう。
とくに「軽いスクワット」「踏み台昇降運動」「ステッパー」などがおすすめ。軽いスクワットは、30分程度続けられる浅い動作でおこなうこと。「10分間のスクワットで約70kcal」を消費できる。最近のステッパーは、ひねる動作を加えたものなども販売されており、より効果的な有酸素運動ができる点が特徴。
また、CM中にスクワットをおこなうなど、短い時間を有効活用するのもおすすめ。1回30秒のCMを利用すれば1日で数分の運動時間を確保できる。
消費カロリーと運動に関するQ&A
食べた分以上に運動で消費すれば体重は減る?
A:体重は減少するが、日々の変動よりも週単位や月単位での平均が重要。
摂取カロリー以上に消費すれば、確かに体重は減少します。ですが、ダイエットは長期的な取り組みですので無理なく継続するためにも、毎日完璧を目指すのではなく、週の摂取カロリーの平均が消費カロリーを下回るように意識しましょう。
毎日少しずつ努力をし極端な過食を避ければ、着実に成果が出るはずです。もし1〜2週間で結果が出なければ、摂取と消費がほぼ同等だったということになるので、その場合は前回よりもよい日を1日でも増やすことを目標にしましょう。完璧を目指すのではなく、頑張った日を少しずつ増やしていく方が、長期的にはダイエットの成功につながりやすいです。
筋トレと有酸素運動、どちらが消費カロリーが高い?
A:カロリー消費を目的とするなら有酸素運動が効果的。
筋トレは直接的な消費カロリーを稼ぐためではなく、日々の基礎代謝を上げるためにおこなうものです。筋トレと有酸素運動はカロリー消費の仕方が異なるため、単純な比較は適切ではありません。
カロリー消費を目的とするなら「有酸素運動」、痩せやすい身体づくりと基礎代謝量の向上を目指すなら「筋トレ」、のように目的に応じて選択することが大切です。筋トレを継続することで、トレーニング以外の時間帯でも消費カロリーが向上し、翌日の基礎代謝が上がるという効果が期待できます。
運動後すぐに食事をとると消費カロリーが無駄になる?
A:運動後すぐに食事を取っても、消費カロリーが無駄になることはない。
運動直後の食事摂取は問題ありません。むしろ、運動前後の食事摂取は「ダイエット」や「ボディメイク」において重要な要素の1つです。とくに筋トレの直後は、筋肉細胞内の糖質が枯渇している状態になります。インスリンの分泌がなくても糖質が筋肉に取り込まれやすいため、体脂肪になりにくいタイミングとされています。どうしても食べたいお菓子などがある場合、筋トレ前から直後にかけて摂取するのがよいです。
同じ運動を続けていると消費カロリーが減少するって本当?
A:同じ運動を続けていると運動の効率化や身体の適応が起こることで、消費カロリーが減少する可能性がある。
ただし、ダイエットを始めて間もない段階では、消費カロリーの減少をあまり気にする必要はありません。消費カロリーの劇的な減少は、通常のダイエットや運動の初期段階では起こりにくく、減量が進んで体脂肪率が1桁台になった場合や、同じ有酸素運動を半年以上続けた場合など、かなり極端なケースです。長期的なダイエット効果を維持したい場合や、運動に飽きないようにするためには、複数の運動種目をローテーションでおこなうのがおすすめです。
運動する時間帯によって消費カロリーに違いはある?
A:時間帯による消費カロリーの違いはないが、個人の体調や生活リズムによって、運動のパフォーマンスに差が生じる場合がある。
自分が最も元気で運動に集中できる時間帯を選ぶことをおすすめします。朝が苦手でなかなか身体が目覚めないという人は、同じ30分のウォーキングでも、朝よりも夕方におこなった方が歩ける距離が長く、結果的に消費カロリーも多くなることが予想されます。
サウナなど、運動しなくても汗をかいたらカロリーは消費される?
A:サウナで汗をかいてもカロリー消費はほとんどしない。
重要なのは、しんどさ=カロリー消費ではないということです。カロリー消費は筋肉の使用量に比例します。したがって、効果的なカロリー消費を目指すなら、筋肉を積極的に使う運動を選択することが重要です。ホットヨガなどの暑い環境での運動は、リラクゼーション効果はあるものの、代謝を上げる効果は期待できません。むしろ、長期的には代謝を下げる可能性があるので注意が必要です。
1980年生まれ。モデルやタレントではなく、ダイエットに悩む一般女性の指導をもっとも得意とし、「健康的かつきれいに女性の体を変える技術」は誰にも負けないという自負がある。東京神田大手町および横浜市あざみ野で、女性専門パーソナルジムリメイクや女性専門フィットネスショップリーンメイクを5店舗運営。SNSの総フォロワー数は約10万人。
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