
干し芋は糖質量が高いものの、食物繊維が豊富で満腹感が長続きするなどの理由から、ダイエット中の間食にも重宝されている。この記事では、干し芋のダイエット効果、干し芋ダイエットのやり方、干し芋をおいしく食べる方法、注意点などを解説。ダイエット中の間食を探している人は、ぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

金丸利恵さん
おうちごはん研究家 管理栄養士
干し芋のダイエット効果
ダイエット中の間食にもおすすめな干し芋。食べることでどのようなダイエット効果が期待できるのか、ここでは、おもな効果を4つ紹介。
- 低脂質かつ満腹感が持続する
- 血糖値の急上昇を抑える
- 腸内環境の改善
- むくみの解消をサポート
低脂質かつ満腹感が持続する
干し芋の脂質含有量は「100gあたりわずか0.6g」と低脂質でダイエットにおすすめの食品。
一般的なスイーツやデザートと比べて、エネルギー摂取を抑えつつ甘味を楽しめるのが特徴。さつまいもを乾燥させることで甘みが凝縮され、砂糖不使用でも十分においしさを楽しめる。
また、干し芋に含まれている食物繊維は、胃内で水分を吸収し膨張することで満腹感を与える。少量の摂取でも長時間持続するため、過食防止に効果的。さらに、噛みごたえがあるため、ゆっくりよく噛んで食べるとより満腹感を感じやすくなる。
間食を制限している人でも食べやすく、食事制限によるストレスの軽減効果も期待できる。

干し芋は低脂質で適度な甘みがあり、添加物も少ないので、ダイエット中の間食(補食、おやつ)にぴったりです。少ない量で複数回に分けて食べることで、空腹感によるストレスがたまりにくく、過食を防ぎやすくなります。
血糖値の急上昇を抑える
通常の砂糖とは異なり、干し芋に含まれる糖質は「複合糖質」と呼ばれ、消化吸収に時間がかかるのが特徴。消化に時間がかかることで、食後の血糖値上昇がゆるやかになり、インスリンの過剰分泌を抑制できる。
インスリンは血糖値を下げる働きをするホルモンで、エネルギーを消費する過程で余った糖がインスリンの働きにより脂肪として蓄積される。そのため、インスリンの過剰分泌が抑えられることによって、脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できる。
さらに、干し芋に含まれている「食物繊維」には、糖質の吸収をさらにゆるやかにする働きが期待される。ただし、干し芋には糖類が多く含まれているので、食べ過ぎてしまうと逆効果。
腸内環境の改善
干し芋は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の両方をバランスよく含んでいるため、効率的に腸内環境を整えてくれる。
水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整える。一方、不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促進し、便秘解消や腸内の老廃物の排出をサポートしてくれる。
食物繊維量から見る1日あたりの摂取目安量は、干し芋なら「50~70g程度」が適量。同じように間食として摂取しやすい果物でも「100~200g」必要であることを考えると、干し芋は「食物繊維を多く含む優れた食品」ということがわかる。
また、腸内環境が整うと栄養素の吸収効率が高まり、代謝を向上させる効果も。代謝を上げることは脂肪燃焼のためにも大切。

2025年より食物繊維の成人の理想的な摂取量は、1日25gと設定されています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より)。これを干し芋のみで摂取するのは摂取エネルギー量や栄養バランスの観点でも控えましょう。
「干し芋50gで約4.5gの食物繊維」がとれるため、あくまで食物繊維が豊富な間食として、不足分を補うように活用するのがおすすめです。
むくみの解消をサポート
干し芋にはむくみ解消に効果的な「カリウム」が豊富に含まれている。体内の余分なナトリウムを排出し、水分バランスを整える働きがあるため、むくみ解消効果が期待できる。
むくみの解消は見た目がすっきりするだけでなく、代謝の向上にもつながる。体内の余分な水分が減ることで、細胞の働きが活性化されて脂肪燃焼効率が上がる可能性も。
さらに、体内の余分なナトリウムを排出することで「血圧を下げる作用」「ストレス軽減効果」が期待できるため、精神的にも健康的なダイエットにつながる。

むくみ解消効果を期待して干し芋を食べるなら、「14:30〜17:00くらい」の小腹が空いたときに間食として食べるのがおすすめです。また、ラーメンなどの汁気の多い麺類や味付きのごはんなど、塩分の多い食事をしてしまった際の補食にもよいですね。
干し芋ダイエットのやり方
ここでは、干し芋ダイエットのやり方を紹介。「食べる量」「時間帯」「タイミング」が大切なので、しっかりおさえてダイエット効果を高めよう。
- 1日の推奨摂取量は50g程度
- 朝食・間食として食べる
- 筋トレ前後の栄養補給として取り入れる
- 夜遅い時間の摂取は控える
1日の推奨摂取量は50g程度
ダイエット中の干し芋の摂取量の目安は「1日50g程度」が適量。干し芋は「100gで277kcal」で活動量や性別の差にもよるが、ダイエット中の間食は「100〜200kcal」程度を目安にするとよい。そのため、50g程度が間食としては適度な量。

干し芋にはさまざまな大きさや種類がありますが、量がポイントです。適量を守って、ゆっくりよく噛むことを心がけて摂取しましょう。
朝食・間食として食べる
干し芋は朝食・間食として摂取するのがおすすめ。
干し芋はゆっくりと消化される特性があるため、長時間のエネルギー供給が期待できる。朝食で干し芋を食べることで、午前中の集中力維持やパフォーマンス向上が期待でき、1日のエネルギー源として役立つ。
また、満腹感が長持ちし、空腹感を抑える効果があるため、間食としても活用しよう。

間食として活用する場合は、ゆっくり食べて満足感を得られるように、温かい飲み物と一緒に食べるのがおすすめです。朝食として活用する場合は、卵などのタンパク質と野菜を組み合わせて、栄養バランスを整えるようにしましょう。
筋トレ前後の栄養補給として取り入れる
トレーニング前に干し芋を摂取することで、エネルギー供給源として機能する。筋トレ後に食べるとトレーニングによって消費されたグリコーゲンという糖類の補給を助ける。
さらに、干し芋に含まれる「カリウム」は、筋肉の疲労回復をサポートしてくれることから、筋トレによる疲労を軽減する。そのため、ダイエットが続きやすくなることも。
夜遅い時間の摂取は控える
夜間は身体の代謝が低下するため、エネルギー消費が減少する。就寝前に糖質を摂取すると、エネルギーを消費しきれずに脂肪として体内に蓄積されやすくなるため、夜遅くの摂取は控えよう。
どうしても夜に食べたい場合は、量を半分以下に抑えるなどの工夫をする。また、翌日の朝食を軽めにするなど、1日の総エネルギー量や栄養バランスを考慮し、摂取量を考えよう。

夜間に空腹を感じる場合は、夕食を減らしすぎてないか振り返ってみましょう。また、夜間に食べるのであれば、干し芋の代わりに「温めた牛乳や豆乳に、はちみつを入れたもの」がよいです。タンパク質と糖を摂取できるので安眠にもおすすめです。固形物なら、「ところてん」や「半熟のたまご」などもよいでしょう。
ダイエット中でもOK!干し芋のおいしい食べ方
そのままで食べても十分においしい干し芋だが、一手間加えることで、さらにおいしく楽しめる。アレンジをすることで、飽きずに長く継続しやすい。ここでは、ダイエット中におすすめのアレンジ方法を紹介。
- 電子レンジで温める
- オーブントースターで焼く
- ヨーグルトにトッピングする

干し芋を食べる際は、牛乳はもちろん、「豆乳」「アーモンドミルク」「オーツミルク」などの植物性ミルクを温めて飲むのが相性がよくおすすめです。通常の牛乳でもコップ1杯(200ml未満)程度であれば、無理に低脂肪乳など加工したものを選ぶ必要もなく、気にせず飲んで問題ありません。
電子レンジで温める
干し芋を10〜15秒ほど電子レンジで温めると、しっとりとした食感に変化する。温めることで甘みが増すため、満足感もアップ。少量でも満足できて、エネルギー摂取量も抑えられる。
オーブントースターで焼く
オーブントースターで干し芋を焼くと、香ばしさが加わって風味が豊かになる。表面はカリッと、中はしっとりという新食感を楽しめる。さらに、焼くことで水分が蒸発し、より食物繊維も凝縮される。腹持ちがよくなり、次の食事までの空腹感を抑える効果も。
ヨーグルトにトッピングする
干し芋をヨーグルトにトッピングするのもダイエット中におすすめのアレンジ。ヨーグルトの「タンパク質」と干し芋の「食物繊維」が組み合わさり、栄養バランスの取れた健康的なおやつになる。
また、「プロバイオティクスを含むヨーグルト」と「食物繊維が豊富な干し芋」の組み合わせは、腸内環境の改善が期待できる。

市販の糖分のあるヨーグルトは添加されている糖質の種類や量を選べないので、無糖のヨーグルトを使用しましょう。甘味を加えたい場合は「ラカント」「オリゴ糖」「てんさい糖」など自然由来の甘味料を活用するとよいでしょう。甘味料を控えたい場合は、バナナなどの果物もおすすめです。
干し芋ダイエットをする際の注意点
干し芋にダイエット効果があるとはいえ、「食べ過ぎる」「干し芋ダイエットに頼りすぎる」ことは厳禁。ここでは、ダイエット中に干し芋を取り入れる際の注意点を3つ紹介。
- 運動と組み合わせてダイエットをする
- 摂取エネルギーに気をつける
- 糖質が多いため食べすぎに注意
運動と組み合わせてダイエットをする
ダイエットを目的とする場合は、特定の食べ物だけに頼るのではなく、適度な運動を取り入れることが大切。運動と組み合わせることで、摂取したエネルギーを効率よく消費し、脂肪を燃焼させる。
「有酸素運動」は脂肪燃焼に直結し、「筋トレ」は長期的な代謝向上や痩せやすい身体づくりにつながる。そのため、運動は「筋トレ」と「有酸素運動」を組み合わせておこなうのがおすすめ。
下記の記事では「ダイエットに効果的な有酸素運動・筋トレメニュー」を詳しく紹介しているので、取り組む際は参考にしてみよう。
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摂取エネルギーに気をつける
干し芋は栄養価が高い反面、糖質が多く比較的高エネルギー。「50gあたり約150kcal」のため、摂取量には注意が必要。
ダイエット中は1日の摂取カロリーを考慮し、干し芋の量を調整することが大切。干し芋で摂取した分を考慮して、ほかの食事の摂取量を減らすなど、バランスを取ることがポイント。
カロリー計算アプリなどを活用し、日々の摂取カロリーを把握するのも効果的。自分の適正カロリーを知り、それに合わせて干し芋の摂取量を決めることで、効果的なダイエットにつながる。
下記の記事では「ダイエット中の食事の基礎知識・おすすめメニュー」などを紹介しているので、ダイエット中の食事全般の知識を増やしたい人は参考にしてみよう。
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糖質が多いため食べすぎに注意
干し芋は自然な甘さが魅力だが、干し芋の主成分は炭水化物でその大部分が糖質。食べ過ぎると糖質の摂取過多になる危険性があるので注意しよう。
過剰な糖質摂取は血糖値の急上昇を招き、インスリンの分泌促進や脂肪蓄積につながる。また、糖質過多は肥満だけでなく、糖尿病のリスクも高める。適量を守り、ほかの栄養素とのバランスを取ることが重要。

早食い・大食いは血糖値の急上昇を招いてしまうため、ゆっくり食べることが大切です。カフェインレスの温かいお茶と交互に食べると効果的です。また、食べ過ぎを防ぐためには、「食べる分だけお皿に出す」「大袋のものでも1食分ずつ計量して小分けにする」などをしましょう。
干し芋ダイエットに関するQ&A
ダイエットにおすすめの干し芋の選び方は?
A:食べる量をコントロールしやすいものを選ぶとよい

大きめのもの1枚よりも「半分に切られたもの」「スティックタイプ」など小分けになっているものを選ぶと、摂取量の調整がしやすくおすすめです。また、干し芋は添加物を含まないものの、原材料がさつまいものみか確認するとよいでしょう。
干し芋は太るって本当?
A:摂取量を守れているかが重要

干し芋をダイエットで取り入れる場合は、普段食べている食事やクッキー、アイスクリームなどの「置き換え」として摂取するという認識が重要です。単純に通常摂取しているものにプラスするのはエネルギーの過剰摂取になります。個人差(性別、体重、年齢など)はあるものの、ダイエット中は1日1,600kcalを目安に、間食も含めて抑えるようにしましょう。
1995年給食会社に入社し、給食管理、レシピ開発などの業務に携わる。出産を機に退職し、育児中は特定保健指導員として生活習慣改善の支援をしながら、料理教室を主宰し、地域で食育活動を広げる。2020年に分子栄養学認定カウンセラー取得。オーソモレキュラーの特徴である個体差を重視した栄養指導でダイエット、体調不良改善のカウンセリングを行う。コロナ禍を機にオンラインにて、料理教室、栄養講座、社内研修などに関わる。オンライン料理教室「4品×4人分作れる!管理栄養士のカラダが喜ぶ絶品おうちごはん」は、3年間で受講者1900人を超える。執筆活動は、WEB媒体にレシピ・コラムの掲載、会員誌、ムック本など。料理のプロが教えるサイトE・レシピに料理家登録して866人のファンを集める。野菜とスパイスを活用したレシピに定評がある。
【資格】
・管理栄養士
・分子栄養医学研究会 認定指導カウンセラー
・臨床分子栄養医学研究会 PNTトレーナー
・ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー
・食生活アドバイザー2級(FLAネットワーク協会認定)
・国際薬膳食育師3級(国際薬膳食育学会認定)
・スパイスコーディネーターマスター(SCA認定)