
大胸筋を鍛えるトレーニング「ダンベルフライ」は、厚い胸板をめざす男性・バストアップしたい女性に人気の種目。本記事では「ダンベル」で得られる効果、正しいやり方、効果を高めるコツなどを詳しく紹介。目的別での重量の目安も紹介するので、これから「ダンベルフライ」に取り組む人はぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
この記事の検証者

吉田 健二さん
Wellulu編集部
数年前にジム通いで筋トレにハマっていたものの、最近はすっかり運動不足。学生時代は運動部だったが、社会人になってからは継続が難しく、筋力の衰えを感じている。だからこそ初心者の気持ちに寄り添えると考え、今回の検証に挑戦。
「ダンベルフライ」の検証ポイント
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【難易度】
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【継続性】
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【負荷】
|
「ダンベルフライ」で鍛えられる部位
部位 | 負荷の強度(※) |
大胸筋(上部) | ★★☆☆☆ |
大胸筋(中部) | ★★★★★ |
大胸筋(下部) | ★★★☆☆ |
三角筋 | ★☆☆☆☆ |
※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差

監修者:関根
ダンベルフライは大胸筋の中部・下部にアプローチできる種目です。大胸筋の上部への刺激を強くしたい場合は、「インクライベンチプレス」がおすすめ。三角筋(肩)は補助筋になります。
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大胸筋(だいきょうきん)
主な役割 | 腕を押し出す動きで使う。日常生活では物を押す、腕を前に伸ばす動作に関わる。 |
位置 | 胸の前面に位置する。鎖骨から胸骨・肋骨にかけて広がり、上腕骨の前面に付着している。 |
構成筋肉 | 上部(鎖骨部:さこつぶ)、中部(胸肋部:きょうろくぶ)、下部(腹部:ふくぶ)の3部位にわけられる。 |

監修者:関根
大胸筋の筋肥大を目的とする場合は、「ダンベルフライ」と「ベンチプレス」を組み合わせてトレーニングするのがおすすめです。
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三角筋(さんかくきん)
主な役割 | 肩関節を動かす主力筋。腕を前や横に上げる・後ろに引く動きに関わる。日常では物を持ち上げる動作で使う。 |
位置 | 肩を覆うように位置する。鎖骨・肩甲骨から上腕骨にかけて付着する。 |
構成筋肉 | 前部、中部、後部の3つの部位に分かれる。 |
「ダンベルフライ」の効果
ダンベルフライは筋肉の可動域が広く、立体的に胸まわりを鍛えられる。胸板を厚くしたい男性、バストラインを整えたい女性におすすめ。
ダンベルフライの効果一覧
たくましい胸板 | 大胸筋の中部・下部に強い刺激が入るため、厚みのある胸板づくりに効果的。 |
基礎代謝の向上 | 大きな筋肉の大胸筋を鍛えることで、筋肉量が増加し基礎代謝が高まりやすい。 |
美しいバストライン | 大胸筋は胸の土台。鍛えることで、バストの位置や形が整いやすくなる。バストの下垂防止にもおすすめ。 |
デコルテ周りの引き締め | 大胸筋上部にもアプローチできるため、デコルテラインがスッキリと整いやすくなる。 |
「ダンベルフライ」のやり方・フォーム
難易度 | ★★★☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- オンザニーテクニックでスタートポジションに
- 手のひらが向き合うようダンベルを握る
- みぞおちの横にダンベルを落とす
- 腕をスタートポジションに戻す
バリエーション | 約5種類 |
ケガのリスク | 高い傾向 |
実施できる場所 | ジム |
器具・設備 | ダンベル、トレーニングベンチ |
鍛えられる部位 | 大胸筋、三角筋 |
負荷の調整 |
可能 ※ダンベルで重量を調整できる |
ステップ①:オンザニーテクニックでスタートポジションへ
【注意点】
- 座った姿勢から後ろに寝転ぶ
- 寝転んだ勢いを使ってダンベルを胸の前にセット

監修者:関根
オンザニーテクニックは、とくに高い重量を扱う際に取り入れたいテクニックです。後ろに倒れる反動を利用してダンベルを持ち上げることで、スムーズにスタートポジションをセットできます。

検証者:吉田
重量が軽い(4㎏程度)場合でさえ、オンザニーテクニックを使うことで簡単にダンベルを胸の上に持ってくることができました。初心者も覚えておくべきテクニックです。
▼オンザニーテクニックのやり方
ステップ②:手のひらが向き合うようダンベルを握る
【注意点】
- 肩幅程度に両手を広げ、ダンベルはくっつけない

検証者:吉田
手の平が向かい合っていない状態だと、手首がぐらつきダンベルを固定できませんでした。ひじや胸にダンベルの負荷を感じられる場所が、正しいスタートポジションです。

監修者:関根
ダンベルを正しい位置にセットできないと、うまく大胸筋に作用しません。もしトレーニング時に大胸筋の収縮を感じられない場合は、わきを閉めてダンベルを「逆ハの字」にしてみる方法もおすすめです。
ステップ③:みぞおちの横にダンベルを下ろす
【注意点】
- ひじの角度は90~100°にする

検証者:吉田
ひじの角度を開き過ぎると、肩への負担が強くなりました。ひじを少し曲げるイメージを持って動作するとよさそうです。間違えている人も多いので、抑えておきましょう。

監修者:関根
ひじはピンと伸ばさず、軽く曲げた状態でおこなおうのが正解です。また、みぞおち(胸)の高さはあくまで目処にして、無理のない可動域でトレーニングしましょう。
ステップ④:腕をスタートポジションに戻す
- 動作時にひざが伸びないようにする

検証者:吉田
ひざが伸びるとフォームが不安定になり、重量を扱うのが難しくなりました。ひざを曲げ、両足で踏ん張るイメージを持つとよさそうです。

監修者:関根
ひざを伸ばしきってしまうと大胸筋の力が入りづらいため、安定した土台をつくってから動作しましょう。
おさらい:ダンベルフライのOK・NGフォーム
OKフォーム
NGフォーム
OKフォームとNGフォームを比較した場合、以下の違いがある。
ひじの角度 | ひざの角度 | 負荷のかかる部位 | |
OKフォーム | 狭い | 狭い | 大胸筋にアプローチできる |
NGフォーム | 広い | 広い | 三角筋に負荷が逃げる |

監修者:関根
ダンベルフライをおこなう際は、ひじ・ひざの角度だけでなく呼吸も意識しましょう。ダンベルを下ろすときに息を吸い、持ち上げるときに吐くのが正しい呼吸法です。

検証者:吉田
呼吸を意識することで、トレーニングのリズムも整いますね。

監修者:関根
呼吸も「基本」です。しっかり呼吸も意識しながら、トレーニング効率を高めていきましょう。
呼吸のタイミング
「ダンベルフライ」の重量と回数
軽い重量でも効果は期待できるため、まずは正しいフォームの習得から。慣れてきたら、徐々に負荷と回数の調整をしよう。ここでは目安となる重量と回数について紹介。
- ダンベルフライの重量と回数(※初心者の場合)
- 目的別の回数とインターバルの設定方法
- 体重別の平均重量
ダンベルフライの重量と回数(※初心者の場合)
男性 | 4~6㎏×10回(3セット) |
女性 | 2~4㎏×10回(3セット) |
目的別の回数とインターバルの設定方法
筋力アップが目的 | 6~10回で限界がくる重量で3セット/インターバルは2~3分 |
筋肥大が目的 | 10~12回で限界がくる重量で3セット/インターバルは1~2分 |
ダイエットが目的 | 15回で限界がくる重量で3セット/インターバルは1分程度 |
体重別の平均重量
■男性の体重別重量の目安
体重 | ビギナー ※フォームの習得が優先 | 経験者 |
---|---|---|
50kg | 4〜6㎏ | 7~15㎏ |
55kg | 4〜6㎏ | 9~17㎏ |
60kg | 4〜6㎏ | 10~18㎏ |
65kg | 4〜6㎏ | 11~20㎏ |
70kg | 4〜6㎏ | 12~22㎏ |
75kg | 4〜6㎏ | 13~23㎏ |
80kg | 4〜6㎏ | 14~24㎏ |
■女性の体重別重量の目安
体重 | ビギナー ※フォームの習得が優先 | 経験者 |
---|---|---|
40kg | 2〜4㎏ | 5~10㎏ |
45kg | 2〜4㎏ | 5~10㎏ |
50kg | 2〜4㎏ | 6~11㎏ |
55kg | 2〜4㎏ | 6~11㎏ |
60kg | 2〜4㎏ | 7~12㎏ |
65kg | 2〜4㎏ | 7~12㎏ |
70kg | 2〜4㎏ | 7~13㎏ |
「ダンベルフライ」の種類・パターン
ダンベルフライの種類と特徴
種類 | 特徴 |
インクラインダンベルフライ | 頭を足よりも高い位置にする種目 |
ストレッチポールダンベルフライ | ノーマルダンベルフライの代替種目 |
フロアダンベルフライ | ノーマルダンベルフライの代替種目 |
デクラインダンベルフライ | 頭を足よりも低い位置にする種目 |

監修者:関根
インクラインダンベルフライは大胸筋上部に特化したトレーニングです。フロアダンベルフライは可動域が狭くなる、デクラインダンベルフライは取り組むメリットが少ない(※)ため、あまりおすすめできない種目です。
※:デクラインダンベルフライは大胸筋下部に特化できると言われているが、ノーマルダンベルフライでも大胸筋下部にアプローチできる。
インクラインダンベルフライ
難易度 | ★★★★☆ |
続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- インクラインベンチの角度を「15~30度」に調整
- 手のひらが向き合うようにダンベルを持つ
- 弧を描く動きでダンベルを落とす
- 大胸筋を使い、両腕を開始位置に戻す
ケガのリスク | 高い傾向 |
実施できる場所 | ジム |
器具・設備 | ダンベル、トレーニングベンチ |
鍛えられる部位 | 大胸筋、三角筋 |
負荷の調整 |
可能 ※ダンベルで重量を調整できる |
- ベンチの角度は15~30°に設定する
- 動作時にわきを開かない
- ダンベルは肩甲骨の真上に上げる
ベンチの角度は15~30°に設定する
動作時にわきを開かない
ダンベルは鎖骨の前に上げる

検証者:吉田
ベンチの角度が45°だと、大胸筋よりも肩への刺激が強かったです。また、わきを開きすぎると肩の力が入ってしまったので、ひじを閉じるイメージで取り組むと動作が安定しました。

監修者:関根
インクラインダンベルフライのポイントは、ベンチの角度です。「15~30°」で設定しましょう。また、ベンチの角度を変えても、ダンベルを落とす位置はみぞおちを目安にしてください。
ストレッチポールダンベルフライ
難易度 | ★★★☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 仰向けでストレッチポールの上に寝転ぶ
- ダンベルを持ち手のひらを向き合わせる
- 弧を描く動きでダンベルを落とす
- 開始位置に戻す
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | ジム(道具があれば自宅でも可) |
器具・設備 | ダンベル、ストレッチポール |
鍛えられる部位 | 大胸筋、三角筋 |
負荷の調整 | 可能※ダンベルで重量を調整できる |
- ひざを曲げ足裏を床につける
ひざを曲げる

検証者:吉田
足を伸ばすと、安定感がなくバランスを取るだけで精一杯でした。ひざを曲げて足裏をしっかり床につけることで体幹が安定し、胸に意識を集中しやすくなりました。

監修者:関根
ひざを曲げて足裏を床につけることで、土台が安定しフォーム崩れを防げます。またフロアダンベルフライと比較すると可動域が保てます。
フロアダンベルフライ
難易度 | ★★☆☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★☆☆☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- ダンベルを両手に持ち、寝転がる
- ひざを曲げ、手のひらが向き合うようにダンベルを持つ
- 腕を左右へ弧を描くようにして広げる
- ダンベルが床すれすれになるまで下ろし、戻す
ケガのリスク | 低い傾向 |
---|---|
実施できる場所 | ジム(道具があれば自宅でも可) |
器具・設備 | ダンベル |
鍛えられる部位 | 大胸筋、三角筋 |
負荷の調整 |
可能 ※ダンベルで重量を調整できる |
- 可動域が狭く、効果を期待できない
- 代替種目として「ストレッチポールダンベルフライ」がおすすめ

監修者:関根
フロアでのダンベルフライは床によって動作範囲が制限されるため、筋肉に十分なストレッチがかからずトレーニング効果が薄くなりがちです。大胸筋をしっかり伸ばしたい場合は、ストレッチポールやベンチを使って可動域を確保しましょう。
デクラインダンベルフライ
難易度 | ★★★★☆ |
続けやすさ(※1) | ★☆☆☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★☆☆☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 頭がやや下がる角度にして、ダンベルを両手に持つ
- 腕を伸ばして胸の上で準備する
- 弧を描く動きでダンベルを降ろす
- ゆっくりと開始位置に戻す際、上半身をベンチにしっかりと密着させる
ケガのリスク | 高い傾向 |
---|---|
実施できる場所 | ジム |
器具・設備 | ダンベル、デクラインベンチ |
鍛えられる部位 | 大胸筋、三角筋 |
負荷の調整 |
可能 ※ダンベルで重量を調整できる |
- 通常の「ダンベルフライ」で大胸筋下部にも刺激は入る
- 大胸筋下部に特化する場合は「デクラインベンチプレス」がおすすめ

監修者:関根
大胸筋下部は、フラットなダンベルフライでもある程度刺激が入ります。無理にデクライン角度でおこなうと、フォームが不安定になり肩関節にも負担がかかるケースがあります。
下部に集中して鍛えたい場合は、可動域と安定性の両立がしやすい「デクラインベンチプレス」を選ぶのがおすすめです。
「ダンベルフライ」と類似トレーニングの違い
「ダンベルフライ」と同じく大胸筋を鍛えるトレーニングとして、「ベンチプレス」・「ダンベルプレス」・「チェストプレス」・「ペックフライ」がある。
それぞれ使用する器具・強度(扱える重量)・最大負荷がかかるタイミングが異なるため、効率的に筋肥大をおこなうなら各種目をバランスよく取り入れるのがおすすめ。
■各種目の比較
種目 | 使用する器具 | 動作 | 負荷がかかるタイミング | 強度 |
ダンベルフライ |
ダンベル | 腕を広げる | 筋肉が伸びた状態のとき |
中 適度な重量を扱える |
ダンベルプレス | ダンベル | 腕を押し上げる | トレーニング動作中盤 |
高 高重量を扱いやすい |
ベンチプレス | バーベル | 腕を押し上げる | トレーニング動作中盤 |
高 高重量を扱いやすい |
チェストプレス | マシン | 腕を押す | トレーニング動作中盤 |
高 高重量を扱いやすい |
ペックフライ | マシン | 腕を閉じる | 筋肉が収縮したとき |
低 重量を扱いにくい |
「ダンベルフライ」に関するQ&A
手や腕がきついときに役立つ器具はある?
A:ストラップなどを使うのがおすすめ

監修者:関根
重たいダンベルを長時間握っていると、握力が落ちてしまい、トレーニングの質が下がってしまうこともあります。この際、リストラップを使用することで手首が安定し、ストレッチや収縮に集中しやすくなるため、必要に応じて取り入れましょう。
うまくフォームが安定しないときの対処法は?
A:胸を張り、肩甲骨を意識する

監修者:関根
寝転んだ姿勢でおこなうトレーニングでは、肩甲骨を正しく寄せきれていない場合、身体のバランスを取るのが難しくなります。そのため、胸をしっかりと張り、肩甲骨を寄せるように意識するのが大切です。うまく肩甲骨を寄せられない人は、トレーニング前に背中や胸椎のストレッチを取り入れるのもおすすめです。
背中・胸椎の柔軟性を高めるストレッチ
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞