
自宅の限られたスペースでも、効率的な筋トレが期待できる腹筋ローラー(アブローラー)。シンプルながらもダイエットやお腹、インナーマッスルなど気になる部分に効果的なため、注目している人も多いはず。
この記事では、腹筋ローラー(アブローラー)を使用したトレーニングで期待できる効果や鍛えられる部位、難易度別のトレーニングメニューなどを紹介する。自分の目的に合ったトレーニング方法を見つけよう。
この記事の監修者

つむら みおさん
パーソナルトレーナー
この記事の検証者

山田 しおりさん
Wellulu編集部
フィットネスクラブで身体を動かす習慣はあったものの、きちんと身体に合った方法で運動できているか不安になり、2023年からパーソナルトレーニングに定期的に通い始める。 仕事が忙しい時期はとくに運動不足気味のため、歩いて移動できる場所は電車やバスは使わないように心がけている。
腹筋ローラーをおこなう前に知りたい4つのポイント
- 体脂肪がなければ腹筋は割れる
- 「現状維持」は10~12回、「筋持久力アップ」は18回
- 筋肉痛がなければ毎日おこなってOK
- 40~50代の人は腰を反らないことが大切
体脂肪がなければ腹筋は割れる
腹筋が割れるかどうか考える際に重要なポイントは「体脂肪率」。そもそも腹筋は誰でも元から割れた構造をしているため、見えるかどうかが問題。腹筋が表面に現れるには、その上に乗っている脂肪を減らす必要がある。
腹筋ローラーを使って腹筋は鍛えられるが、体脂肪率が高い状態のままではいくら鍛えても腹筋が見えるようにはならない。
逆に言えば、体脂肪率が十分に低ければ腹筋ローラーだけのトレーニングでも腹筋が見えてくる可能性も。

監修者:つむら
腹筋ローラーは体幹を集中的に鍛えたい人にもおすすめです。腹筋以外にも腕や肩の筋肉をバランスよく使用するため、体幹全体の安定性が向上します。
「現状維持」は10~12回、「筋持久力アップ」は18回がおすすめ
目的 | 回数 | 負荷 |
現状維持 | 10~12回 | 最大筋力の65~80%程度 ※筋肥大と筋持久力の中間程度 |
筋持久力 | 18回 | 最大筋力の50~65%程度 ※軽めの負荷 |
筋持久力を目的とする場合、筋肉に持続的な負荷を与えて耐久性を高めていくことで、長時間の運動に耐えられる筋力が作られる。50回程度おこなえる軽い負荷の場合でも、18回の反復で十分な効果が期待できる。
筋肉痛がなければ毎日おこなってOK
筋肉痛は、損傷した筋繊維が回復・成長する過程で生じる自然な反応。腹筋ローラーのような高強度のトレーニングでは、腹直筋だけでなく腹斜筋や脊柱起立筋といったさまざまな筋肉を使用する。
これらの筋肉がしっかりと刺激された証拠として筋肉痛が発生するため、痛みが残っている場合は休息を取ろう。筋肉痛がない場合は筋肉が十分に回復しているため、毎日実施しても問題ない。
自分の身体の状態を確認しながら、適切な頻度で実施することが効果的なトレーニングにつながる。
40~50代の人は腰を反らないことが大切
ポイント | 理由 |
腰をそらせない | 腹筋の力が足りないと無意識に腰をそらせてしまい、腰を痛める可能性がある |
小さなストロークから始める | 大きいストロークでおこなうと、肩や腕を痛める可能性がある |
腹筋ローラー(アブローラー)はどこに効く?鍛えられる部位
部位 | 負荷の強度(※) |
腹筋群 | ★★★★★ |
脊柱起立筋群 | ★★☆☆☆ |
肩 | ★★☆☆☆ |
上腕三頭筋 | ★★☆☆☆ |
※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差
腹筋群
主な役割 | 姿勢の維持など、身体の土台としてあらゆる動きをスムーズにする。座る・立つ・歩くなど日常生活の動きに関わっている。 |
位置 | お腹周りの前面部分 |
構成筋肉 | 腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋 |

監修者:つむら
腹筋ローラーは体幹を集中的に鍛えたい人にもおすすめです。腹筋以外にも腕や肩の筋肉をバランスよく使用するため、体幹全体の安定性が向上します。
背中全体
主な役割 | 身体を起こす動作や、姿勢を真っ直ぐに保つ働き。日常生活では物を持ち上げたり、姿勢を保ったりする上で関わる。 |
位置 | 背中全面 |
構成筋肉 | 脊柱起立筋・広背筋 |
肩まわり
主な役割 | 腕をあらゆる方向に上げる動作に影響する。日常生活では物を押したり、持ち上げたり腕を自由に動かす動作に関わる。 |
位置 | 肩全般 |
構成筋肉 | 三角筋・大胸筋 |
腕まわり
主な役割 | ひじを伸ばす、手首や指を曲げるなどの動作に影響する。日常生活では物を掴んだり、道具を使ったりする動作に関わる。 |
位置 | 腕の上部 |
構成筋肉 | 上腕三頭筋・前腕筋 |

監修者:つむら
脊柱をまっすぐに保つために脊柱起立筋が使われ、ローラーを押し出したり引き戻したりする際に腕や肩の筋肉も使います。
腹筋ローラー(アブローラー)で得られる効果
- メインは「インナーマッスルが鍛えられ姿勢が改善すること」
- 体幹が強化されてスポーツのパフォーマンスが向上
- 基礎代謝が上がって痩せやすい身体になる
- 広範囲の筋肉が鍛えられ効率的なボディメイクに
- 骨密度が増加してケガをしにくい身体に

監修者:つむら
とくに、デスクワークなどによる猫背や、「スマホ首」と呼ばれるスマートフォンの使用による首の前傾の改善にもつながるのでおすすめです。
メインは「インナーマッスルが鍛えられ姿勢が改善すること」
腹筋ローラーは様々な筋肉に効果があるが、一番鍛えられる主動筋は腹直筋と腹横筋。普段のトレーニングでは刺激が入りにくい腹横筋などの身体の深層部の筋肉の強化されることで、背骨を支える力が向上する。
そのため、自然と美しい姿勢を保てるようになるだけでなく、猫背や肩こりの改善も期待できる。
体幹が強化されてスポーツのパフォーマンスが向上
腹直筋や腹斜筋、背筋群といった体幹に関わる筋肉に刺激を与えるため、筋力向上が期待できる。体幹が強化されることにより、スポーツでは瞬発力や方向転換などが必要な場面で安定性とパワーを手に入れられる。
基礎代謝が上がって痩せやすい身体になる
通常の腹筋運動に比べて全身の筋肉を使いやすいのが腹筋ローラーの特徴。とくに体幹部の筋肉量が増加することにより、安静時のエネルギー消費量アップが期待できる。
広範囲の筋肉が鍛えられ効率的なボディメイクに
肩周りの三角筋や大胸筋、背中の広背筋まで含めた上半身の多くの筋肉を同時に刺激するため、短時間で効率的なトレーニングができる。全身運動に近い効果があり、効率的にボディメイクができる。
骨密度が増加してケガをしにくい身体に
腹筋ローラーをおこなう際は全身の筋肉を使って姿勢を維持する必要があり、体重による負荷もかかる。体重による負荷と全身の筋肉を動かす動作は、骨量を増やす上でも大切な刺激になる。
また、骨量が増えることで日常生活での不意な動きによるケガのリスク軽減にもつながる。

監修者:つむら
通常の腹筋トレーニングでは骨密度向上への効果は限定的ですが、腹筋ローラーは体幹部から上半身、下半身まで広範囲の筋肉を使用する点で大きく異なり、体重による負荷と全身の筋肉活動により、骨密度向上への効果が期待できます。
「ひざつき腹筋ローラー」の正しいやり方
ひざつき腹筋ローラー
難易度 | ★★★★★ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- ひざを肩幅程度に開いてひざ立ちになる
- 腹筋ローラーのハンドルを両手でしっかり持つ
- 頭からひざまでが一直線になるようなイメージで、身体を軽く前傾させる
- 腹筋の力を使ってゆっくりと元の位置に戻る
バリエーション | 約3種類 |
ケガのリスク | 高い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | 腹筋ローラー・床マット |
負荷の調整 | 可能 |
- 背中を丸める
- 肩や腕の力で戻らない
背中を丸める
肩や腕の力で戻らない
腹筋ローラーの種類
脚を伸ばして腹筋ローラー |
|
スタンディング腹筋ローラー |
|

検証者:山田
ひざつき腹筋ローラーでも、正しいフォームを保っておこなうのが難しかったです。1回なら正しいフォームを保ったままできましたが、続けておこなうのは難易度が高いなと感じます。
腹筋ローラーができるようになるためのトレーニング
- ひざつきプランク
- クランチ
- ひざつきプッシュアップ
ひざつきプランク
難易度 | ★☆☆☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 両ひじを肩の真下につく
- ひざをついて足は少し開いた状態で安定させる
- 肩からお尻までが一直線になるように、姿勢をキープする
バリエーション | 約7種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | 床マット |
鍛えられる部位 | 腹直筋・腹斜筋・脊柱起立筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- 反り腰にならない
- お腹を付けたまま上半身をあげない
反り腰にならない
お腹を付けたまま上半身をあげない
プランクの種類
ノーマルプランク |
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プランクツイスト |
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サイドプランク |
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シングルレッグプランク |
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ニーインプランク |
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バランスボールプランク |
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検証者:山田
ひざをつくことで身体全体を支える難易度が下がったように感じましたが、最初手の位置を間違ってしまいうまくできませんでした。
クランチ
難易度 | ★★★☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 仰向けになり、ひざを上にあげて90度に曲げる
- 腰が上がらないように上体を起こす
- 息を吸いながらもとの体勢にもどる
バリエーション | 約5種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | 床マット |
鍛えられる部位 | 腹直筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- お腹をのぞきこむ
- 腰を反らせない
お腹をのぞきこむ
腰を反らせない
クランチの種類
リバースクランチ |
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バイシクルクランチ |
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ツイストクランチ |
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バランスボールクランチ |
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検証者:山田
目線をおへそに向けるようにすると、首への負担が減り首や肩に余計な力が入らずトレーニングできました。
ひざつきプッシュアップ
難易度 | ★★★☆☆ |
続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 腕立て伏せの姿勢になる
- 両手は肩幅よりも大きめに広げて床につけ、ひざをついて脚は浮かせる
- ひじを曲げ、床に胸がつくくらいまで身体を下げていく
- 一瞬キープし、再び身体を持ち上げていく
バリエーション | 約7種類 |
ケガのリスク | 低い傾向 |
実施できる場所 | 自宅・ジム |
器具・設備 | 床マット |
鍛えられる部位 | 大胸筋・三角筋・上腕三頭筋 |
負荷の調整 | 可能 |
- 肩の真下に手を置く
肩の真下に手を置く
プッシュアップの種類
ノーマルプッシュアップ |
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ワイドプッシュアップ |
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ナロープッシュアップ |
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デクライン・プッシュアップ |
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リバース・プッシュアップ |
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バック・プッシュアップ |
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検証者:山田
ひざをつくことで難易度が下がるため、初心者におすすめ。
ひじを少し後ろに引くようにすると、肩への負担が減り、胸と腕にしっかり効いている感じがしました。
腹筋ローラーに慣れるためのトレーニング
腹緊ローラーを転がすトレーニング
腹筋ローラーをおこなうためには、腹筋ローラー特有の動きに慣れることが必要。そのため、単に腹筋を鍛えるだけでなく、ローラーの動きに身体を慣れさせるトレーニングをおこなおう。
【注意点】
- 背中を丸める
背中を丸める
壁を使ったトレーニング
壁を使用したトレーニングは、腹筋ローラーを転がすトレーニングをおこなう際におすすめの方法。距離をあらかじめ壁で制限しておくことで、無理のない範囲で何度も反復練習をおこなえる。
※練習をおこなう際は写真の距離を目安におこなう(50cm程度)
腹筋ローラー(アブローラー)の選び方のポイント
項目 | ポイント |
タイヤの幅や数 |
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グリップの素材や形 |
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静音性 |
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耐荷重量 |
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アシスト機能 |
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腹筋ローラー(アブローラー)に関するQ&A
毎日使っても大丈夫?
A:頻度は体調やコンディションを考慮して

監修者:つむら
毎日使っても大丈夫ですが、筋肉痛がある場合は休養を取り入れるなど、体調やコンディションに合わせた調整をするようにしましょう。
継続して取り組むためには1日おきにおこなうことがおすすめです。
どのくらいで身体に変化が見られるようになる?
A:早くて約1週間で腹筋に力が入り、1ヶ月で筋肉量に変化が現れ始める

監修者:つむら
約1週間で腹筋に力が入る感覚がわかるようになることもあります。1ヶ月経過すれば筋肉量の変化を感じられるようになります。
腰痛持ちでも使って大丈夫?
A:身体を丸めた状態での動作を意識できれば使ってもよい

監修者:つむら
腰痛持ちの場合は身体を丸めた状態からスタートし、限定的な可動域でおこなうようにすると腰への負担を最小限に抑えることができます。
腹筋ローラー(アブローラー)のみで腹筋は割れる?
A:可能だが体脂肪率による

監修者:つむら
たとえば女性の場合、体脂肪率が25%以下であるといったように、体脂肪率が適切な範囲内であれば、腹筋ローラーだけでも腹筋を割る効果はあります。
視覚的な効果を実現するためには腹筋ローラーでのトレーニングと合わせて、体脂肪率の管理をおすすめします。
女性が使うときの注意点はある?
A:無理のないトレーニング、力が抜けにくいフォームで

監修者:つむら
女性の場合は筋力が少ないため、最初から無理なトレーニングはしないようにしましょう。手首や握力も男性と比べると弱い傾向にあるので、力が抜けにくいフォームを見つけるようにしましょう。
ハーティネス株式会社代表
フィットネス勤務から独立し、現在はダイエット迷子に正しい知識を伝えるためのオンライングループレッスン運営中。
コンプレックスを強みに変える!ボディメイク運動指導やリバウンドなしで、理想の体を手に入れる食事指導をおこなっている。
2チャンネル目となるYouTube「みおGYM」にて週2回エクササイズ配信中
著書4冊/各種雑誌、テレビ出演
JBBF 日本ボディビル・フィットネス連盟 2年連続優勝経験を持つ