子どもたちの未来は明るい。

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

SEL教育との出会い

ドルトン東京学園の安居校長先生から、素敵なおふたりをご紹介いただいた。株式会社Roku You(ロクユー)の下向依梨(しもむかいえり)さんと、教育ライターの佐藤智(さとうとも)さんだ。おふたりとも、子どもたちのウェルビーイングの探求をし続けている方たちだ。

依梨さんは沖縄に住んでおり、智さんは青森に住んでいる。しかもご両親が教育関連のお仕事をされており、彼女たちがどう育ってきて、子どものウェルビーイングにどう感じているのかとても興味を持った。そこで、どこかのタイミングでWelluluでお話できたらなと思っていた。

すると、依梨さんが小学館から本を出版されるということで、東京にいらっしゃるタイミングがあるというので、おふたりとのWellulu Talkが実現したのだ。それは、もう楽しい時間と、夢のある話をさせていただいた。また、本日発売の『切りひらく力』を育む親子習慣(小学館:下向依梨著)を献本いただいた。僕は、すっかり本をめくるたびに、うなずきと共感と自己反省を繰り返す。

「どうすれば子どもの可能性を最大限に伸ばせるのか」

この問いは、教育とは何か、と問われたときに、僕自身が大学時代に「教育とは、ひとりひとりの隠れた才能と可能性を最大限まで見つけ出し、伸ばし続けることにある。」と定義づけたことを思い出した。

ここで、SEL(Social Emotional Learning/社会性と情動の学び)にはじめて出会う。未来を生きる子どもたちにとっての「幸せ」(ウェルビーイング)とは何か、を子どもを中心として、学校の先生も、地域も、親も学んでいく力のことを言っている。「生きたい世界」を自らが育み、切りひらく力を身に着けることで、幸せになれる子が育つ考えと行動がたっぷり詰まった本である。

自己理解や意思決定力など5つの力が高まる。

自分への気づきを深める力(自己理解力)
自分の感情とうまく付き合う力(自己管理力)
他者への気づきを深める力(共感力)
他者と良好な関係を築く対人関係力(社会スキル)
責任ある意思決定ができる力(意思決定力)

この5つの力は、社会とのつながり、そして自分の感情との対話を通して、コミュニケーション力がどんどん発揮されて、自分が実現したい社会や夢の実現に向かって進むように導いてくれるのだろう。本文の中に出てくる「ノンジャッジメンタル」という言葉にも注目した。判断せずにありのままに受け止める態度とのことだが、子どもの行動や話をちゃんと聴く、ことが大切だと言っている。僕は、そんな行動をとることができているだろうか?ここでも、自己反省につながった。僕は、いつも子どもたちに「自分の価値観」を押し付けている。

行動変容の土台となるのは、「コンパッション(叡智ある思いやり)」。

とある。「相手の状況を客観的・冷静に理解すること」や「相手の気持ちに共感すること」、「相手の幸せを願い、そのために手助けしたいという自然に湧き起こる思いやり」ということだが、ついつい親子だと、僕の価値観の押し付けになってしまっているように感じる。

本書には、親として子どもとの向き合い方が丁寧に解説してくれている。子どもの苦手を種類別にかき分けているのだが、その処方箋があるのだ。子どもたちの苦手が「挑戦しない」「自分で決められない」「自分の意見を言えない」「やるべきことをやらない」「友達とうまく付き合えない」。これらは、どんな家庭でも一度は経験していることだろう。僕は、すぐに「自分で決めたなら、やり切れ。自分に負けるな。」と言って根性論と気合論を押し付けてしまっている。もっと、子どもたちの内心に向き合わなければいけないのだろう。

 

子どものウェルビーイングって、どうやったら創れるのか、そんなことを考える日々を送っている。もちろん、正解があるわけではないし、それぞれの家庭環境や教育方針などもあるので、こうしないとダメということではない。けれども、親として、子どもと向き合う時間は、多分SEL教育という視点で観ると、子どもたちの可能性を伸ばしていくために必要な考えなのだろう。

すぐにできるわけでもないが、すべての大人や教育関連の人が、「未来への可能性」を信じて、少しの行動を変えることができたら、世界はもっとウェルビーイングな社会になっていくだろう。今回、素敵な学びの機会をいただき、おふたりには感謝しかない。そして、こんな素敵なおふたりとのご縁を紡いでくださった安居校長先生に感謝申し上げます。

Welluluの鼎談の中で、希望を持てたのが、僕が「教育現場って、30年ほぼ変わっていないように感じたんですよ。」と言ったら、おふたりは「いえ、どんどんと地域や先生からも、どんどん変わっていこう、という風は吹き出している。」という返答があった。それは、未来への希望につながる、と感じる時間を過ごすことができた。

 

 

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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