2024年、はじめてをはじめる。

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

「初○○」

新年を迎えると、今年はどんな「はじめてをはじめる」か考える。今年になってはじめてやるものは「初○○」と言って、新鮮な気持ちでのぞむのも新年のいいところだと思う。家族で、「初夢」って12月31日の夜か、1月1日の夜の夢かという会話になった。ネットで調べてみると、最近は、1月1日の夜ということらしい。

僕はこの1週間で、初○○をたくさん企画した。初サッカー日本代表観戦からはじまり、初蹴り、初親子サッカー、初高校サッカー観戦。相変わらず、末っ子(次男)とのサッカー関係の「初○○」は楽しい時間だ。運動からみで言うと、「初散歩」「初エクササイズ」「初ストレッチ」もやった。初エクササイズは、16分前後のワークアウトを28日やるアプリを入れて、挑戦している。

長男は、中学受験ということもあり、初試験の付き添い、初塾であと1か月の過ごし方を聴く保護者会などに参加した。最後の1か月でみんな一気に伸びるというが、本当なんだろうか? こういうのも、気持ちが大事ということもあり、神頼みをするべく、初詣から、初合格祈願などもいっしょに行った。先日、地方の中学入試を受けるということで初本番の付き添いにもいった。(長女のときは、僕は何もやっていなかったので、今回本当の「初」だ。)子どもたちは、少し緊張した面持ちで、会場に入っていく。この背中を見ただけで泣けてくる、と言っていたが、僕も泣けてきた。

僕は、高校受験と大学受験しかしていないから、この過酷さは分からないけれども、昔、おふくろが「試験の日は、お味噌汁を食べたらいい。」と言って、試験の当日は、普段朝ごはんで食べない味噌汁をつくってくれたことを思い出した。僕が子どもたちにできることは、サッカーの送り迎えだったり、お弁当をつくるくらいだ。あとは、神頼みで「初詣」で合格祈願やケガや病気をしないで暮らせることを祈願することくらいか? 僕も、息子の受験の日、「なめこのお味噌汁」をつくった。

家族で初詣は、地元の氏神様のいる氷川神社に行った。そして、会社の同僚でいっしょに赤坂にある日枝神社で参拝した。

考えたら、日本は多神教といわれて、山や森、石、神木など、八百万(やおよろず)の神々が存在している。そして、クリスマスも楽しみ、亡くなったら仏壇に手を合わせる。とても不思議だけれども、この日本人の感覚は僕は好きだ。

大学でリベラルアーツ(教養学部)で学べたおかげで、「超教派」ということばと初めて出会った。基本は、自分が信じる宗教なり信念があるのだが、相手を否定するのではなく、教派を越えて、相手を敬うという考えだ。僕はその感じが「ウェルビーイングの探求」につながったように感じる。

今年は、いくつの「初○○」ができるだろうか、はじめてをはじめるをたくさんつくっていきたい。

初事業への挑戦

僕が、企業内起業として、初事業ということに挑戦したのは、2014年の頃の10年前、「創発ニッポンスタジアム」という地域の高校生のビジネスコンテストのようなものだった。さらに遡ると、起業して会社を辞めようと思ったのが、2010年の頃だったので、いつの間にか、それから13年も経過していた。

僕は、何も成し得ていない。けれども、着実に「可能性」を探って、自分の歩んできた道は血肉となり、自分の成長にもつながっていると信じている。牛歩だが直実に前を向いていると思いながら、挑戦と失敗の繰り返しの10年だった。

「創発ニッポンスタジアム」の事業は、当時、文科省が発表した高大接続をベースに、2020年のオリンピックパラリンピックのある年を境に、どういったソフトレガシー(文化的な遺産)を遺せるかという話から計画していった。その頃、早稲田大学の間野先生の著書「オリンピック・レガシー: 2020年東京をこう変える! 」の本から大きな影響をいただいた。

2050年から遡って、僕らの子どもたちが僕と同い年になるころに、どんな社会を遺せるか(共創していくことができるか)と考えた。そこで一番可能性があるのが「子どもたちの未来をつくる事業」と考えて事業構想を繰り返した。

日本の子どもたちにどういったレガシーを遺せるか、そこでたどり着いたのが「主体性」「多様性」「協働性」の3つを自分のものにできる探求学習と実装ができるものだった。

「創発ニッポンスタジアム」事業は、高校生による地域のビジネスコンテストで、ロボコンのようなものであり、野球の甲子園のようなものになっていけばよい事業計画だった。地元の魅力を事業のアイデアにして起業案を練る。そのとき、起業や自治体も巻き込んだ産官学民の連携によって共創していくプログラムだ。マネタイズは、基本はイベントによるスポンサードなので、広告会社ならではの企画だったのだ。

けれども、僕自身が事業プロデュースする上で、最後の詰めが甘くて事業はローンチせず撤退を決めた。関係してくださったみなさまには多大なご迷惑をおかけして、初めての企業内起業は失敗に終わってしまった。

今、このWelluluというメディアの事業を立ち上げた中で、コミュニティ・メディアに可能性を感じている。

たくさんの挑戦と失敗を重ねたからこそ、たくさんの「人の和」に恵まれた。Welluluは、今年の4月で実証実験を終了し、本格的なビジネスとしての展開に持っていきたいと思っている。今年の「初○○」が増えていくことが、ウェルビーイング共創社会になり、ウェルビーイング産業の夜明けにつながったと言われるレガシーを創っていきたい。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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