ぼろぼろの靴をはいてた娘

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

娘の留学先カナダを訪問

長女がカナダに留学してから約10ヶ月経った。あと2ヶ月ほどで日本に帰ってくる。そこで、日本のゴールデンウィークを利用して娘に会いに行くことにした。

バンクーバー空港に到着したら、娘がひとりで迎えに来てくれていた。久しぶりに会った娘は、少してれくさそうに笑っていた。弟たちは子犬のようにはしゃいでいる。

外はあいにくの雨。気温も日本に比べて10度は低い。フリースやダウンを着ないと肌寒い感じだ。僕らは、娘とバンクーバーの中心街をぶらりと観に行くことにした。

娘は、昔からシャイな性格で小学校の先生から、6年間一回も先生の目を見て話できなかったと言われたほどだ。これも僕が全部やってしまっていたせいなのだろう。

中学に入って、新体操部に入ってからはどんどんとリーダーシップを持って行動していった。そして、中学3年のときに留学したいと言ってきた。この積極性は親として嬉しかった。高校1年の夏に留学できたのは、素晴らしい時間と素晴らしい経験を積んだのだろう。久しぶりに会う娘は頼もしく、娘の成長を感じることができた。

弟たちは時差ボケで街を歩いてても眠くて仕方がない感じだった。飛行機に中で映画やゲームをしすぎたのだろう。ホテルに早めにチェックインして弟たちと僕は、そこのラウンジで仮眠した。

夜ご飯をピザを食べに行こうと出ていくと、外はまだ雨が降っている。娘の靴下は濡れて、靴もぼろぼろだ。他に靴持っていないの!?と聴くと、この靴が一番マシだと言う。見ると底はすり減って、穴が空いている。雨が振ったら靴下はびしょびしょになっているのだ。僕らはまずは娘の靴を買いに行くことにした。

円安で物価高ということもあり、毎月のお小遣いもギリギリで生活していたのだろうか?優先順位を、友だちとスキーに行ったり、ダンス部の合宿に行ったりと、その日にしかできない経験を優先させたからかもしれない。また、数ヶ月前にスマホを落として購入しなくてはいけなくなり、その分靴を買いたいと言えなかったのだろうか?

本当にぼろぼろの靴で生活していた。僕は誕生日プレゼントということで娘に靴下と靴を買った。履いてきた靴は、そこのショッピングモールでゴミ箱行きとなった。その後、美味しいピザを楽しんだ。

(今、カナダは夜中の3時。早めに寝たせいで起きてしまった)

ウェルビーイングな生活ってなんだろう?

娘の成長を感じつつ、違う国の文化に触れると、僕らが当たり前だと感じていたものが当たり前でないことが分かる。

日本では、トイレは冬暖かい便座でウォシュレットがついているのが当たり前だった生活だけれど、海外に行くとこのウォッシュレットが無いところがほとんどだ。

街中では、フードコートなどで、日本では席を取るのにカバンを置いたりして確保するが、海外だと防犯上、そんなことができない。安全安心が当たり前だと、ついつい気をつけることを忘れてしまう。(実際、娘はカナダ生活が慣れてきたころ、公園でサッカーをしていて、ベンチに置いたカバンごと盗まれてしまった。)

時間の使い方も全然違う。日本は忙しい国なのだろう。スケジュールがびっしり入っている。けれども、海外では余白を持っている人が多い。(全てがそうでは無いだろうが、ゆったり時間が流れているような気がする)

教育感も違う。いわゆる進学校に通うと、日本はまだまだ教科書をひたすら覚えるような感じで行われており、学校選びも偏差値が高いところよいという基準な気がするが、海外では、何かひとつの探求と幅広い経験を重視しているように感じる。

先日、前野先生がウェルビーイングな暮らしを再発見するためにも海外に一度住んでみると良いとおっしゃっていた。僕自身も高校1年のときにニュージーランドに1年留学したことが大きな転機となった。

ウェルビーイングな生活ってなんだろう!?

あらためてこの問いを考えてみる。僕らは、ひとりひとり性格や育った環境、文化が違うように、ひとりひとりのウェルビーイングは異なる。

僕が考えるウェルビーイングな生活は、「自分がやりたいことに熱中できている生活」そして、そこには「居心地のいい仲間がいる生活」と捉え出している。

そこには、「新しいことにどんどん挑戦できる環境」があり、ある程度の経済的豊かさも必要になってくるだろう。とはいえ、最後は自分の意志が必要なのだと思う。

自分と向き合い、他者と向き合い、自然と向き合う。異なる価値観を受け入れ、相手をリスペクトして、内なる想いをオープンにする。

そんな生活がウェルビーイングな生活だと僕は感じた。娘との時間、異国の地での家族との時間を楽しもうと思う。

 

 

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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