蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠
先日、Welluluの新春企画として、宮田教授とのWellulu Talkの単独企画の取材をさせていただいたときに、はじめて、蜷川実花さんとご挨拶させていただいた。蜷川さんはWelluluを見てくださり、温かさを感じると褒めてくださった。8か月間、Welluluの記事を書き続けて、見ていただいている人に褒められるだけで、めちゃくちゃ嬉しかった。しかも、あの蜷川さんに褒められたのだから嬉しくて、その日はうきうきしながら帰った。そして、図々しく、Welluluで宮田さんと蜷川さんの対談企画を相談させていただいた。その場で時間があえばOKとの返事をいただいた。
そして、今日、明日からはじまるTOKYO NODE開館記念企画「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」のレセプションに参加させていただいた。1000人以上の人が新しくできた森ビルの虎ノ門ヒルズステーションタワーの45Fに集まっている。https://www.tokyonode.jp/articles/202311-2/index.html
僕は、8Fで荷物を預け、45Fまでのエレベーターで会場に向かった。入るや否や度肝を抜かれる。「残照」という名の作品は、いのちが生まれ散っていく生命のサイクルを表現していた。枯れた花々の中に、いのちの最期の美しさを感じさせる。そして、死の先にある新たな生命を感じる作品になっていた。蜷川さんの作品では、今まで見たことのないもので、これはチームEiMでやっているからこそ生まれたのだろう。
小部屋や廊下、それぞれの部屋で、金魚と蝶、街の灯り、水と光、美しい映像と心地よい音が、僕らは「今、どこにいるのだろうか?」と分からなくなるくらいの不思議な感覚に導いてくれる。時代もいつの時代にいるのか分からなくなる。今、僕は過去にいるのか、未来にいるのか。どの国にいるのかも分からなくなる。無意識の中で、自分のいのちの鼓動と、映像に合わせた音がリズムを刻む。まるで、ひとつひとつの作品の中に、自分が溶け込んでいくような感じだ。
僕は、ソファーに座ってじっと目をつぶってみた。この没入感の中で脳の中に刻まれた「美しい映像」が、まぶたの裏でループしている。一瞬、僕は「宙に浮いている」気分になった。そして、窓の外を眺めると、東京の大都市のネオンがキラキラしている。そして、真っ暗な空に映像が写って、まるで大空がビジョンのようになっているのだ。
造花と生花の組み合わせで蜷川さんの作品の象徴となる部屋では、様々な花が僕たちを歓迎してくれているように踊っているような感じがする。僕は自分が蝶になった気分で、未来に向かって飛び立ちたくなる。ポジティブな気持ちが芽生え、最初に出会った死の先にある新たないのちが、今を楽しめ、と言っているようだ。
最後の部屋は、「Embracing Lights」という作品で光を題材とした映像体験だ。僕の幼いころに育ったような自然の景色と共に、ここちよい光が差し込んでくる。水面の上に反射する光、森の中の木漏れ日、厳寒の中で輝くダイアモンドダスト、夕日に照らされる夕日、すべての光は生きているような感じだ。そして、光は僕にうったえかけてくる。
「いのちを紡げ。いのちを感じろ。いのちを生きろ。」
蜷川実花さん個人ではなく、クリエイティブチーム「EiM」の本作品は、多様ないのちをつなげ、人と人、人と世界のつながりを結びつけ、心地よい気持ちへ連れていってくれた。素敵な時間を過ごさせていただいた。
アートとウェルビーイング。そんな世界をおふたりに語ってもらいたい。明日は、おふたりの対談を取材させていただく。おふたりの話はWellulu本篇にてアップするので楽しみにしておいてほしい。素晴らしい時間をありがとうございました。
追記
ついに記事アップできました。素晴らしい鼎談になりました。ありがとうございます。https://wellulu.com/with-friends/12045/
堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー