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【新潟県】探究学習に異業種交流など、子どもの成長につながる!仕事に活きる!グリーン・ツーリズム体験

自然豊かな環境と、地域の文化や歴史を活かした独自のグリーン・ツーリズムを展開している新潟県。地域住民と観光客が長期的な関係を築くための多様なプログラムを提供し、子どもから大人まで幅広い層に向けた教育的で楽しい体験がたくさんあります。

子ども向けの教育体験から大人向けの異業種交流、越境学習まで、新潟県のグリーン・ツーリズムのプログラムはどのように企画されているのか?また、今おすすめしたい体験プログラムは?など、気になることを地域農政推進課石川さんに聞いてきました。

石川 陽子さん

新潟県農林水産部地域農政推進課 経営構造対策係 主任

新潟県村上市(山北地区)出身。2001年に新潟県へ入庁し、農林水産部は通算10年目。グリーン・ツーリズムや農泊など都市と農村の交流を担当。農山漁村の活性化を目指し、地域協議会とともに教育体験旅行や企業の社外活動の誘致に向けて取り組んでいる。県内のイチ押し農家民宿は、門出かやぶきの里。(柏崎市高柳町)

本記事のリリース情報

「Wellulu」に新潟県のグリーン・ツーリズムの取組が紹介されました!

ウェルビーイングに特化したwebメディア「Wellulu」に体験コンテンツなどが紹介されています

新潟県だから体験できるグリーン・ツーリズムの魅力とは?

──まず最初に新潟県がグリーン・ツーリズムの取り組みを始めた背景と、地域農政推進課が目指している考えなどについて教えてください。

石川さん:新潟県では、グリーン・ツーリズムを通じて、観光客と地域住民が共生し、お互いにとってメリットのある持続可能な観光モデルを確立することを目指しています。農家や漁師などが自分たちの生業を伝え、有意義な体験を提供することで、観光客は本物の地域文化に触れることができます。また、地域住民にとっても、これまで培ってきた知識や経験を生かして経済的な利益を得ることもできます。このような交流は地域の活性化にも寄与し、新しい価値を創造する機会を提供します。

──なるほど。体験を通じて観光客と地域住民が深く関わることで、一時的な観光だけで終わらず、長期的な付き合いにもつながっていきそうですね。それこそ関係人口の創出にもなりそう…。新潟県ならではのグリーン・ツーリズムの魅力って、何なのでしょうか?

石川さん:にいがたグリーン・ツーリズム」というHPにも記載しているのですが、自然豊かな農山漁村地域で、ゆとりある休暇を提供しています。山と海の両方が共存している新潟県の豊かな自然と触れ合えたり、地域によって少しずつ異なる景観や文化を楽しめたり、人情味あふれる人々と交流できたり…、多様な体験を楽しめるところだと思います。訪れる人々には、都会では味わえない豊かな自然と親しみ、農林漁業の体験を通じて学びながら、新潟独自の文化や歴史を感じてもらいたいですね。

──地域ごとに異なる体験ができるのは、非常に魅力的です!「にいがたグリーン・ツーリズム」で紹介しているプログラムはどのように企画しているのでしょうか?

石川さん:市町村単位の観光協会やNPO法人、社団法人などの地域協議会には、各地域の特色を深く理解しているキーパーソンがいて、独自の体験を提供できる方をコーディネートしながらプランを企画しています。実際に体験を提供するのは、そのキーパーソンや農家、漁師、林業従事者、地域の伝統文化を守る人など、様々な背景を持っている方々です。また、地域の魅力を伝えるだけでなく、住民と観光客の間の絆を深め、相互理解と共感を促進する役割も担っています。

──プランの企画から観光客と住民の方々をつなぐ橋渡しまで…、キーパーソンのような方がいるからこそ、独自のグリーン・ツーリズムを体験できるんですね!

石川さん:はい。また、知事が認定する「なりわいの匠」というインストラクターもいます。農業、林業、水産業の技術や、手作りクラフト、地域料理など、伝統的な技能を持つ方々で、現在約1700名が活動しています。彼らは体験交流や講習の指導者として、地域のイベントでの実演を通じて、新潟県内の農山漁村の文化と生活を伝えています。

プログラムを企画する地域協議会と伝統技能を持つインストラクターがいるからこそ、新潟独自の体験が提供できます。

──1700名も!具体的に「なりわいの匠」の皆さんはどういったことをされているのでしょうか?

石川さん:たとえば、農家のインストラクターは、季節ごとの農作業の体験や、地域特有の作物の栽培方法を伝えています。漁師のインストラクターは、海上での漁業体験や、新鮮な海の幸の調理法を教えてくれます。林業のインストラクターは、森林管理の重要性や自然との共生についての知識を伝えるなど、地域の「生きた文化」を体験できる取り組みをしています。

──ここまでのお話をお伺いして、伝統文化体験や自然との触れ合いが好きな人であれば、間違いなく新潟県のグリーン・ツーリズムを楽しめますね。学びもあり、癒しもあり、出会いもある!そんなグリーン・ツーリズムのプログラムについて、教えてください。

ジオパーク学習に探究学習…、親子で楽しめる教育体験プログラム

国立妙高青少年自然の家の源流探検と残雪の森体験

──続いてグリーン・ツーリズムのプログラムの内容について伺いたいのですが、親子で一緒に楽しめるようなプログラムには、どんなものがあるのでしょうか?子どもたちにも響くような、楽しく学べる活動があれば知りたいです!

石川さん:親子で参加できる教育体験プログラムも複数あります。農業体験や自然散策、地元食材を使った料理教室などが特に人気ですね。これらのプログラムでは、新潟の自然や文化に関する知識を身近に感じることができます。

──具体的にはどんなプログラムになるのでしょうか?

石川さん:農業体験では、季節に応じた農作業を体験できますし、自然散策では、自然ガイドとともに散策しながらその地域の植物や鳥などの小動物観察、地形の成り立ちなども学べます。また、料理教室では、例えば名産の笹団子など地元の食材を使った料理を作ることで、新潟の食文化に触れることができます。他にも、紙漉きなど新潟の伝統文化に触れられる体験も用意しています。

──実際に土に触れたり、食材を使ったりすることから学びにつなげていくんですね。実際に参加した方々からはどんな声が多いですか?

石川さん:参加者からは、新潟の自然や文化に触れることができたという感想を多くいただいています。特に、普段は体験できない農業や漁業の現場を直接見ることができ、地域の生活や文化に対する理解を深めることができたという声が多いです。また、地域の人々との交流を通じて、新潟への愛着や関心を持つようになったという参加者もいます。

実際に体験することで、子どもたちは自然や食への新たな理解や興味を持つようになり、親子で一緒に体験することで、家族の絆もより一層深まると思います。

──自然や文化について学びながら、家族の思い出を作ることができるわけですね。

宝石を見つけよう!ジオパークでヒスイ探し

石川さん:糸魚川(いといがわ)の海岸で、宝石の一種「ヒスイ」や珍しい石を探す体験なども人気のプログラムです。

──ヒスイ探し…、一体どんなプログラムなのでしょうか?

石川さん:糸魚川市は、日本で初めてヒスイが見つかった産地として有名です。ここでは、砂利浜の海岸で様々な種類の石を探すことができ、ヒスイの他にも薬石やキツネ石など、珍しい石が豊富にあります。探索がより楽しくなる石ころ探索キットもあるので、それを使って親子で楽しんでいる方もたくさんいますよ。ヒスイを探すのはとても難しいですが、様々な種類の石やお気に入りの石を見つけてみてください!

──自由研究みたいで、楽しそうですね。糸魚川の地質や自然は、どんな場所なのでしょう?

石川さん:糸魚川は日本列島を東西に分ける大地溝帯(だいちこうたい)「フォッサマグナ」の西端に位置し、豊かな自然と変化に富んだ地形を持っています。伝統文化や歴史、地質学的にも重要な地域で、日本初の世界ジオパークとして認定されています。近くには「フォッサマグナミュージアム」という、ヒスイやジオ(地質)資源に恵まれた、鉱物・岩石・化石と日本列島の成立ちなどがわかる博物館もあります。

──世界に認められた場所で地質の勉強もしながら、ヒスイ探しもできるということか…。

石川さん:はい。この体験は、自然と直接触れ合うことで、特に子どもたちの地球科学への興味を喚起する絶好の機会です。石を手に取りながら地球の歴史や地質の変化を学び、自然環境の重要性を理解することができます。科学的な知識だけでなく、自然への敬愛や環境保護への意識も育むことができるプログラムになっています。

団体参加も可能!にいがたファームステイ

──団体向けのモデルコースもあるとのことですが、それについて詳しく教えてください。

石川さん:団体向けにはカスタマイズ可能なモデルコースを用意しています。学校の教育旅行や企業の研修旅行など、特定のテーマに基づいてプログラムを組むことができます。「にいがたファームステイ」などもその一例です。これは新潟県独自の取り組みで、「自分らしく生きる」ことを考えられるようなプログラムとなっています。気候、文化、食べ物、生活様式など農山漁村では都市と違うこともあります。多様な価値観、生き方、過ごし方を知ることが子どもたちの人生観を変えることにつながっていきます。新潟県では、美しい棚田や海岸景勝地、多様な食文化に触れながら子どもたちの成長を見守ることができます。

また、1軒に数人の民泊やクラス単位での宿泊、学年全員でのホテル宿泊など、様々な体験ができる滞在プランをオーダーメイドで作成しています。新潟ならではのジオパーク学習、世界農業遺産学習、SDGs学習、探究学習など、特色あるプログラムを組み込むことができます。

──受け入れ体制についてはどうなっているのでしょうか?

石川さん:来訪時期や人数、体験学習のねらいなどを「にいがたグリーン・ツーリズムセンター」にご相談いただければ、県内の受入団体に一斉に受入可能かどうか確認します。また、民泊希望であれば、人数によって複数地域が連携して受け入れることもできます。

──希望に併せて、カスタマイズ可能!サポートもばっちりじゃないですか。ちなみにですが…、石川さんのおすすめしている体験もお伺いしたいです!

石川さん:私のおすすめは「タコのだまし漁」体験です。伝統的な漁法のひとつで、タコの好奇心と習性を利用して捕獲する方法なのですが、比較的シンプルで環境に優しい方法として知られています。比較的小さな子どもでも参加できるプログラムで、ぜひ体験してもらいたいですね。

異業種交流、越境学習…企業向けの体験プログラムも!

──大人向けのプログラムもあるのでしょうか?アクティビティや癒しもそうなのですが、学べる体験ができるプログラムがあれば教えてほしいです。

石川さん:農山漁村での非日常体験を通じて、新たな気づきや自ら考える力が身につけられる企業向けの体験型プログラムなども用意しています。企業の社員研修や福利厚生、CSR活動の一環としてのプログラムで、共同作業やグループワークを通じて、チームワークの向上やコミュニケーション能力の強化を図ることができます。

──具体的なプログラム内容について教えてください!

石川さん:例えば、社員研修では、郷土料理づくりや農作業、伝統工芸品づくりなどの共同作業を通じてチームワークを高めるプログラムがあります。また、耕作放棄地の現状を学ぶグループワークや、佐渡市でのトキと共生する里山体験なども実施されています。福利厚生としては、農家民宿や旅館での宿泊や、セラピーロードプログラム、太鼓体験など、心をリフレッシュできる様々な体験も提供しています。

これらのプログラムは、教育体験旅行が春と秋に集中するため、夏や冬の平日に訪れる方を対象に考案されました。コロナでインバウンドがストップしたこともあり、地域活性化も目的にしています。

──なるほど。これらのプログラムが参加者に与える影響はどのようなものですか?

石川さん:参加者は、社外での異業種交流や地域課題解決を題材とした越境学習、チームビルディング、焚火を囲んだ経営戦略会議などを通じて、新たな視点やアイデアを得ることができます。越境学習プログラムに参加された方々からは「新しい体験や学び、地域のリアルに触れることができた」という非常にポジティブな反応がありました。

──子どもから大人まで幅広い方々に向けて、貴重な体験ができるプログラムを組んでいるのですね。地域の活性化にもつながるし、全国各地の人とのつながりも創出できる素敵な取り組みだと感じました。

石川さん:最初に経済的な利益を得ることも目的のひとつとお話させていただきましたが、地域住民の方々からすれば、「それよりも地域を知ってほしい!」「地域を元気にする役割が自分にもある!」と思ってくださっていることが多く、やりがいを感じて積極的に参加している方が多いんです。来訪者と交流しているときも笑顔で元気がいい人が多く、若い方にいろいろ教えてあげたいと思っている人もいますので、ぜひ多くの方々に来ていただきたいですね。

冬・春におすすめ!”新潟だからこそ”のおすすめ体験

──最後の質問なのですが、冬・春におすすめの体験プログラムを知りたいです!

石川さん:冬から春にかけて楽しめる体験プログラムも複数用意していますが、雪国体験、モノづくり体験、おいしい食体験といったところでしょうか。

──自然、文化、食の体験ですね。まず、新潟県らしい雪国体験とはどのようなものでしょうか?雪の中でのアクティビティは、都会ではなかなか体験できませんよね。

石川さん:そうですね。雪国体験としては、新潟県独特の豊かな雪景色を背景に、スキーやスノーボード、スノーシュー散策などを楽しむことができます。また、雪だるま作りやかまくら作りなど、家族や友人と楽しめるアクティビティもあります。自分たちで作ったかまくらにろうそくを入れて、それを囲んでゆっくり談笑したり…、かまくらの中だと、ろうそくだけでも、ぬくもりを感じられます。

──ほっこりした時間を過ごせそうですね!モノづくり体験も興味深いです。手作りの温もりを感じられるようなプログラムなのでしょうか?

石川さん:はい、モノづくり体験では、伝統的な工芸品作りや陶芸、木工など、地元の職人と一緒に実践的な技術を学ぶことができます。これらの体験を通じて、新潟の文化や技術に触れ、自分だけの作品を作ることができます。

──食体験に関しては、新潟県の美味しい食材を使った料理を味わえる、ということでしょうか?

石川さん:そうですね、新潟県は、美味しい米や海の幸で知られています。食体験では、地元の食材を使った料理教室や郷土料理の実演、そして地元のレストランでの特別な食事を楽しむことができます。これらの体験は、新潟の食文化を深く体験する絶好の機会です。

また、7月から11月の間に開催される「大地の芸術祭」もおすすめです!

──大地の芸術祭とは何でしょうか?

石川さん:「大地の芸術祭」は、新潟県十日町市と津南町で開催される国際的なアートイベントです。豊かな自然や地域の文化を背景に、国内外のアーティストが参加して、様々な芸術作品を展示します。訪れる人々は、田んぼや山間の集落、古い家屋など、日常の風景の中に溶け込むアート作品を鑑賞することができます。

この芸術祭は、地域の自然や伝統文化と現代アートが融合する独特の体験を提供しています。3年に一度のトリエンナーレは、夏の訪れと共に開催され、アートと自然を同時に感じることができます。また、地域住民とアーティストとの交流を通じて、アートに対する新たな理解や感動を得ることができるのも、大地の芸術祭の魅力の一つです。

田島征三「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」 トビアス・レーベルガー「フィヒテ(唐檜)」

イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」

栗真由美「ビルズクラウド」  リチャード・ウィルソン「日本に向けて北を定めよ(74°33’2”)」

マ・ヤンソン / MAD アーキテクツ「Tunnel of Light」Photo Nakamura Osamu

──大地の芸術祭では、どのようなアート作品が見られるのでしょう?

石川さん:作品は、インスタレーション、彫刻、絵画、映像作品など多岐にわたります。これらは、風景や集落の中に自然に溶け込んでいるため、訪れる人々はアートを探しながら、地域の自然や文化を散策するという、まさに芸術的な探検を楽しむことができます。特に、田園風景の中に設置されたアート作品は、その場の雰囲気と相まって、非常に印象的です。

──すごく刺激的なイベントですね。しかも数か月間も開催されているとは!石川さん、本日はありがとうございました。

Wellulu編集後記:

今回の取材を通じて、新潟県のグリーン・ツーリズムは、地域のキーマンやインストラクターとの協力によって、その真の魅力が引き出されていると感じました。地域の人々が、自らの知識や技術、文化を共有し、訪れる人々に独特の体験を提供することで、地域の魅力が一層深まっています。

子どもたちに向けた探求学習や教育プログラムは、彼らの好奇心を刺激し、新潟県の自然や文化に親しみを持たせています。ジオパークでのヒスイ探しや「にいがたファームステイ」など、学びと楽しさが融合したプログラムは、子どもたちにとって忘れられない体験になるのも分かる気がします。また、大人向けのプログラムも充実しており、企業研修や異業種交流などを通じて、新たな気づきや学びを得る機会が提供されていることにも驚きました。

そして最後に、アートと自然が融合する「大地の芸術祭」は、ぜひ行ってみたい‼と思うのでした。

 

 

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