
「1人になりたい」「疲れて何もしたくない」と感じたときは、心と身体の疲労のサインかも。この記事では、こころとからだのケアの専門家のアドバイスをもとに、心理状態や自律神経との関係、孤立せずに自分を回復させる方法をくわしく解説。
この記事の監修者

益子 雅笛さん
こころとからだのケアクリニック人形町 院長
「1人になりたい」と感じるときの心理状態
「1人になりたい」「疲れた、何もしたくない」と感じるのは、心身が消耗しているから。もしかしたら、普段から我慢をし過ぎたり、頑張りすぎたりして、自分に無理をかけているのかもしれない。まずは今の自分がどう感じているのか、本当の声に気づくことが大切。
- なぜ1人になりたいのかを整理する
- 「誰とも話したくない」は心身消耗のサイン
- もしかしたら心のSOS?
なぜ1人になりたいのかを整理する
「1人になりたい」と感じたとき、まずはその気持ちがいつもの自分と違うかどうかを見極めたい。もともと1人で過ごすのが好きな人なら、静かな時間を求めるのは自然なこと。しかし、普段は誰かと話すのが好きなのに、急に「1人になりたい」「誰にも会いたくない」と感じたとしたら、それは心が疲れ始めているサイン。
気力や体力をこれ以上使いたくない、何もしたくないという感覚が強まると、人との関わりそのものがストレスに変わる。日常の楽しみを避けたくなるときは、自分の中にいつもの環境から「逃げたい理由」があることに気づいておきたい。
「誰とも話したくない」は心身消耗のサイン
「誰にも会いたくない」「何も話したくない」と感じたら、それはすでにエネルギーが消耗に近づいている。この段階になると、深呼吸やストレッチなどのリラックス法すら「面倒」「億劫」だと感じてしまうこともある。
そうなる前に、自分の変化に早めに気づくことが大切。気持ちを言葉にして、信頼できる人に話したり、ノートなどに書き出してみると、少しずつ心のゆとりが戻ってくるはず。
もしかしたら心のSOS?
「誰にも会いたくない」「気遣う余裕がない」「何もできない」。そんな状態が続いているなら、心が限界を迎えていると捉えたい。
体力も気力も残っていないときは、自分で判断するのが難しくなる。そんなときは、身近な人に「今、ちょっとつらい」と伝えてみよう。親しい人にはかえって話しにくい場合は、専門カウンセラーに頼るのも手。周囲との関係を断ち、ひとりで抱え込むことだけは避けたい。

心や身体のエネルギーが40%しか残っていなければ、できることも40%。「1人になりたい」「何もしたくない」と感じたら、まずはしっかり休んで、エネルギーを回復させることが先決です。元気が戻れば、人ともまた自然につながれる。まずは「元気を取り戻す」ことが、すべての始まりです。
「1人になりたい」と思う原因
「1人になりたい」と感じる背景には、誰かとの関係性や日常の役割に起因するストレスがある。とくに子育てや家族との関わり、仕事での責任感など、自分以外のために動き続けることで心の余白が失われていくため、1人になりたいと感じるケースが考えられる。
そうした「心の疲れ」の正体を紐解く。
- 周囲への気遣いや責任感で疲れている
- 自分の思い通りにならない状態が続いている
- 感情を抑えすぎて心の逃げ場がない
周囲への気遣いや責任感で疲れている
以下のような特性がある人は、抱え込みやすい特性があるので注意が必要。
- 頼まれると断れない
- 自分がなんとかしなくてはと感じる
- 人に気を遣いすぎる
このタイプは、誰かの期待に応えることに慣れすぎると、つい自分の感情を置き去りにしてしまう。周囲に気遣いができることや責任感を持つことはいいことだが、自分よりも周りにばかり目をむけていると、いつの間にか心の余白が奪われ、1人になりたい心理状態に陥るケースがある。
自分の思い通りにならない状態が続いている
自分の労力や能力を超えた仕事を押し付けられたり、育児・家事に追われたりして、自分のやりたいことをあきらめ続けてはいないか?「好きなことをする時間が持てない」「自分のペースで過ごせない」そんな不自由さに、心は静かに悲鳴を上げている可能性がある。
感情を抑えすぎて心の逃げ場がない
嫌なこと・イライラ・悲しみを飲み込んでばかりいると、1人になりたくなるのも自然な反応。本音を言えない関係性や遠慮が続くと、無意識のうちに負担がかかっている。1人になりたくなるのは、感情が限界を迎えているからだと自覚しよう。そして、負の感情は定期的に吐き出すことが大切。

疲れや精神的なダメージなど本当に嫌なことがあったとき、それから逃げたい・避けたい・離れたいから1人になりたい、と思うのはむしろ正常なことです。でもそこで対処法を間違うと事態は深刻になるので、周囲の人や専門医を頼り、心の内を吐き出していきましょう。
味の素株式会社 | アミノ酸
忙しい毎日に「アミノ酸」
仕事に家事に、気づけば1日があっという間。忙しく身体を動かした日や、栄養バランスが乱れがちな日が続くと、なんとなく寝つきが悪かったり、疲れが取れにくかったりすることも。そんなふうに自分のリズムを整えたくなるとき、生活の中で少し意識してみたくなる存在の1つが「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
身体を動かす日も、食生活が気になるときも、夜ゆっくり休みたいときも。アミノ酸は、そんな毎日を陰ながら支えている成分の1つ。毎日を自分らしく過ごすためのひとつの工夫として、生活の中に取り入れてみては。
「1人になりたい」ときの対処法
「1人になりたい」と感じたとき、自分の中にある疲れやストレスと向き合うことが大事。しかし、その時間が孤立につながらないように、少しだけ意識したい。心の置き場所や逃げ場所を確保しながら、自分なりの回復ルートを見つけていこう。
- 孤立しない1人時間を作る
- 心のモヤモヤを外に出す
- 不安や疲れが抜けないなら専門家に相談する
孤立しない1人時間を作る
1人で過ごすことと、孤立してしまうことはまったく違う。疲れたときに1人になりたいと思うのは、心が休息を求めている自然な反応。ただし、そのまま人との関係を断ち切ってしまうと、心が回復するどころか、さらに不安や閉塞感が強まってしまう。
必要なのは、「つながりを持ったままの1人時間」を確保すること。以下のような1人時間を確保しておくと心のよりどころになる。
- 定期的に連絡を取る相手を見つけて、やり取りを楽しむ時間を作る
- カフェ・図書館・休憩スペースなど、人の気配を感じられる場所に行く
信頼できる人や完全にひとりにならないで済む逃げ道の存在を見つけておこう。
心のモヤモヤを外に出す
頭の中で考えているだけでは、モヤモヤは膨らむ一方。心に余裕がないときほど、気持ちを外に出して整理してみよう。誰かに話すのはもちろん、ノートに書いたり、スマホにメモしたりするだけでも効果がある。話し相手がいないと感じるときには、メッセージアプリやAIのような「誰かに話せる場所」を頼ってみるのも1つの手。
生成AIに気持ちを書き出すことで、自分でも気づいていなかった思いや、次にどうすればよいかが見えてくることがある。
不安や疲れが抜けないなら専門家に相談する
「眠れない・食欲がない」「気持ちの波が激しい」そんな状態が続いているなら、がんばって耐えるのではなく、専門家に頼るタイミングかもしれない。自分だけでなんとかしようとせず、専門家など第3者の視点やサポートを受けることで、意外な突破口が見つかることもある。
カウンセラーや医師など、「安心して相談できる場所」があれば、それだけで心理的負担は軽くなる。

「からだは丈夫でキレイに、こころは豊かで穏やかに」。これが、自律神経と心のバランスを整える基本です。食事や睡眠を大切にし、疲れをためこまないこと。元気を取り戻して心と身体が整えば、いつものあなたに戻れるでしょう。
「1人になりたい時」にやってはいけないNG行動
「1人になりたい」と感じるのは自然な反応だが、そのままの状態が続くと、心身に悪影響を及ぼすことがある。とくに自律神経が乱れているときは、感情の波に引きずられやすくなるため要注意。気分が落ちているときほど、選ぶ行動に気をつけたい。
- 行き過ぎたネット検索
- 誰とも関わらない状態を続けてしまう
- 暴飲暴食・衝動買い
行き過ぎたネット検索
体調や心の状態が気になると、つい症状名や不安をキーワードにインターネットで検索してしまうもの。けれど、その結果見つかるのはネガティブな情報ばかり。それは、ネガティブな情報にしか目を向けられなくなっているから。そのような状態で不安を裏付けるような情報ばかり受け取ってしまうと、気分はますます落ち込むという負のスパイラルに陥ることになる。
情報は玉石混交。検索結果に振り回されて、必要以上に悪い方向へ考えてしまうと、回復の妨げになる。不安が大きくなったときこそ、まずは身体を整え、現実の自分に意識を戻すことが大切。
誰とも関わらない状態を続けてしまう
1人の時間は、心を休めるうえでとても大切。ただし、誰とも会わず、話さず、つながりを断ってしまう状態が長引くと、気持ちがどんどん内向きになり、自分の殻に閉じこもってしまう。1人になりたいと思ったときこそ、あえて人の気配がある場所に身を置き、小さな刺激を取り入れることが心の立て直しにつながる。
暴飲暴食・衝動買い
つらさをまぎらわせるために、食べ過ぎたり買い物に走ったりすることはよくある行動。けれど、それは根本的な解決にはならず、あとから自己嫌悪に陥ってしまうことが多い。本当に必要なのは、刺激や快楽ではなく「休息」と「回復」。まずは自律神経を整えるような過ごし方を選びたい。

避けたいのは「孤立」。孤立の状態は脳がエラーを起こします。つらいときは誰でも不安になるもの。ネットで検索しすぎはよくありません。しっかり寝て・食べて・身体を整える。疲れた自分に優しくして、心と身体に栄養を与えましょう。
「1人になりたい時」は自律神経が鍵?
「気分が落ち込む・無気力になる」「誰にも会いたくなくなる」それは、身体からのサイン。疲労やストレスがたまると、自律神経のバランスが乱れ、気力や感情のコントロールが効かなくなる。
- 自律神経が乱れると疲労や無気力感が出やすい
- 「心の不調」は「身体の疲れ」からはじまる
- 生活にメリハリをつけて自律神経を整える
自律神経が乱れると疲労や無気力感が出やすい
心と身体はつながっている。疲れが溜まると、オンとオフの切り替えができなくなり、自律神経が乱れやすくなる。結果、何もしたくない、どこにも行きたくないといった無気力状態に陥る。これは怠けているわけではなく、身体が限界を迎えているサイン。
楽しいと感じられない、美味しくないと感じるのも、自律神経の乱れが影響している。まずは身体のSOSを正しく受け止めよう。
「心の不調」は「身体の疲れ」からはじまる
感情の起伏が激しいときこそ、身体に目を向ける。脳も身体の一部であり、心が疲れているときには、身体はそれ以上に疲れていることが多い。回復に必要なのは「気持ちの切り替え」ではなく、まずは休息・睡眠・栄養補給。ビタミンB群・ミネラル・アミノ酸といった神経の働きを支える栄養素をしっかり摂取しよう。
味の素株式会社 | アミノ酸
毎日の食事に取り入れたい「アミノ酸」
家事に仕事に予定に追われ、自分の体調に目を向ける余裕もないまま1日が終わる。疲れが取れにくく感じるこんな時にこそ、暮らしの中で少し意識してみたいのが、「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
アミノ酸は、それぞれが連携してたんぱく質を構成しているため、どれかが不足すると、全体のはたらきに影響する。毎日の食事でさまざまな食品を組み合わせ、アミノ酸をバランスよく摂ることをこころがけよう。
生活にメリハリをつけて自律神経を整える
疲れを感じやすいときほど、日常の生活リズムが乱れている可能性がある。自律神経を整えるためには、夜更かしや寝すぎを避け、規則正しく食事を摂るなどオンとオフのメリハリをつけることが大切。
- 寝る時間
- 食べる時間
- 働く時間
まずは大きくこの3つに区切ってみよう。自律神経は安定しやすくなり、心も身体も回復に向かうはず。

疲れやストレスで自律神経のバランスが乱れると、気持ちまで不安定になりやすいもの。 感情が揺れれば身体も疲れ、身体が整っていなければ心も不安定になります。「からだは丈夫でキレイに、こころは豊かで穏やかに」。自律神経のバランスを保つために、心と身体をセットで整えていきましょう。
精神保健指定医、心療内科・精神科専門医、内科医・産業医として幅広く活躍。心身の両面からアプローチする診療を大切にし、患者一人ひとりに寄り添うていねいな医療を実践。内科医や産業医としての経験も活かし、セルフケアの普及にも力を注いでいる。