歴史が長いブランドには、これまで支えてきた人々の努力がある。Haleonジャパン株式会社の原さんも、風邪やアレルギー性鼻炎のためのOTC医薬品「コンタック」シリーズを未来へとつなげるブランドマネージャーの一人だ。
今回は、原さんに、長年携わってきたブランドマネジメントの楽しさと苦労について、インタビューを実施。原さんはどのように「コンタック」を引き継ぎ、育てているのか。そこには原さん自身の仕事の楽しみ方と貪欲さがあった。

原 潤子さん
ブランドを通じて共通の体験を作る面白さ

── まず、Haleonジャパンへの入社のきっかけを教えてください。
原さん:私のキャリアの中で、Haleonジャパンは2社目になります。最初は、紙おむつや生理用品を扱っている会社で、20年ほど、ブランドマネジメントに携わってきました。
事業運営やチームマネジメントのキャリアも視野に入ってくるなかで、グローバルなマーケティングや、今までとは違う事業でのマーケティングにも興味があり、もっと世界を広げたいと考えHaleonジャパンに入社しました。
── 前職も含めて、さまざまなブランドや製品に関わってこられたと思いますが、原さんにとっての「ブランドマネジメントの楽しさ」とはなんでしょうか?
原さん:個人的には2つあります。一つ目がブランドを通じて、生活者の方に今よりもよい選択肢を提案できること。これが、一番ワクワクすることだなと思いますね。
── たしかに商品のマーケティングは、まず知ってもらうことがスタートですね!
原さん:これまでさまざまなブランドを担当してきましたが、商品によってマーケットの状況は全然違うんですよね。すでにたくさんの人が使っている商品もあれば、まだあまり知られていなくて、利用者を増やしていく段階のものもある。
でも、どのブランドにも共通しているのが、「この商品をもっとたくさんの人が知ってくれたら、もっとハッピーになる」という感覚なんです。マーケティングが生活者のよりよい選択につながっているという実感が楽しいです。
── もう一つの楽しさも教えてください!
原さん:ブランドのマーケティングそのものの面白さですね。商品のマーケティングは、みんなが知っているブランドをハブにして、いろんな人に共通のハッピーな体験や、その人なりの思い出作りにつながるんです。
今の時代は、昔のように「みんなが同じテレビ番組を見る」ことはどんどん減って、一人ひとりが好きなコンテンツを楽しむ時代ですよね。
そんな中でも、この仕事ならブランドを通して、共通の体験を作ることができる。マーケティングにはそういった魅力がありますね。
ブランドは「アーティスト」、自分は「マネージャー」

── 原さんは、ブランドマネジメントにおいて、どのようなことを意識されていますか?
原さん:ブランドには、魅力的な部分だけでなく、課題を抱えている「一人のアーティスト」のような側面もあります。それらを見守りながら支えていく「マネージャー」のような役割が、私の仕事なのかなと思います。
── マネージャーという発想はおもしろいですね!
原さん:ブランドが成功するには、ブランド自身のよさはもちろん、開発や製造に従事してくださる方、お得意様、社員などさまざまな方のサポートが絶対に必要だと考えています。
だから社内で話すときは、まずブランドのよさやポテンシャルをしっかり伝えて、「このゴールを目指したいので、みなさんの力を発揮してほしい」とお願いしています。みんなでブランドを支えるために、ゴールを見定めるんです。
── ブランドが目指すゴールを考えるうえでは、どんなことを大切にされていますか?
原さん:2つあって、一つは「生活者が何を望んでいるか」、2つ目は「商品ならではの、できること・得意なこと」を大切にしています。生活者のニーズと、商品の強みやブランドらしさが重なる部分は、いつも意識していますね。
── たしかに生活者に求められていることを意識しないと、どんなに魅力がある商品でも響かないですよね。
原さん:そうなんです。その重なりがブランドに関わる方たちにちゃんと伝わると、みなさん楽しみながら工夫してくださるんです。だからこそ、商品のポテンシャルをいつも考え抜いています。
身近に感じてもらうためのキャラクター

── 次に、Haleonジャパンの看板商品である「風邪薬やアレルギー性鼻炎薬のコンタックシリーズ」についてお伺いします。「コンタックらしさ」を伝えるのに、どんなことを工夫されていますか?
原さん:コンタックブランドをなるべく身近に感じてもらうことを意識しています。風邪薬のマーケットはユニークだと感じています。そもそも、健康なときには成分や風邪薬そのものに強い関心を持たない方が多いですよね。
── たしかに、風邪を引く前から風邪薬のことを考えて生活している人はいないですね(笑)。
原さん:だからこそ、「普段から身近に感じてもらいたい」という願いから生まれたのが「Mr.コンタック」なんです。
── Mr.コンタックは、すごく親しみのあるキャラクターですよね!
原さん:Mr.コンタックは30年前に生まれたんですが、今の「コンタックらしさ」を創ったキャラクターじゃないかなと思います。
ただアイコンとして存在するだけでなく、X(旧Twitter)のキャンペーンにもMr.コンタックを登場させ、若い方にもより身近に感じてもらえる工夫をしています。
実は、Mr.コンタックが誕生した当初は、関西弁と標準語の2人のキャラがいたんですよ!
── YouTubeで歴代のCMを拝見しました!かなりコテコテの関西弁でしたね(笑)。
生活者に寄り添った「1日2回」という設計

── Mr.コンタックのキャラクター以外に、商品そのもののコンタックらしさはどのように表現されていますか?
原さん:代表的な製品特長として、朝と夜の「1日2回で24時間効く」処方となっていますが、これは、生活者の利便性を考えた設計になっているんです!
── 「1日2回」には、どういった利便性があるのでしょうか?
原さん:たとえば、1日3回(朝・昼・夜)だと、外出先で飲み忘れてしまうこともありますよね。それに、体調が悪いときは、何も考えずに休みたい方も多いと思います。
そこで、服用回数をできるだけ少なくして、生活者の負担をなるべく減らす設計にしています。
── 飲み方まで考慮して、設計されているんですね。
原さん:一方で、1日3回のほうがリズムをつくりやすいという方もいらっしゃるので、そういったニーズにあわせた商品もあります。

また、「新コンタック 総合かぜ薬エース」は、一つのお薬で家族全員に対応できるほうがよいのではないかと考え、大人の方はもちろん、7歳のお子さんから飲めるような設計にしてあるんです。
このように、生活者のさまざまなニーズに寄り添っている点は、コンタックならではだと思います。
魅力を伝えるために、ブランドの歴史を知り尽くす

── コンタックは歴史の長いブランドですが、原さんがブランドに関わるようになって、苦労されたことはありましたか?
原さん:そうですね。シンプルに歴史が長いと、自分よりもブランドのことをご存じの方が、本当にたくさんいらっしゃって。そういった方たちと同じレベルでブランドを理解するために、10年以上のプレゼン資料を、一通り読みました。
── 10年以上!?それは相当な量ですね。
原さん:それらの資料って、コンタックに魅了された担当者や関係者の方が、作成されてきたものなんですよね。そういった愛情を知ることが、ブランドを引き継いでいくことにつながると思っています。
── すごく貪欲に学ばれている印象を受けます!原さんは、もともと何かを学ぶことがお好きなのですか?
原さん:単純に「何かを知る」ことがおもしろいんです。本当にいくらやっても飽きないくらい楽しいですし、過去を知ることで今に活かせる部分が大きいんですよ。
過去にうまくいかなかったことは今も難しいかもしれないし、逆に今ならうまくいくかもしれない。「過去に何があったか」を知るのは、今の施策を考えるうえで重要だと思います。
ブランドのためにできることを懸命に

── 以前、義歯関連の製品を担当されていたとき、義歯ケアマイスターの資格を取られたと伺いました。なかなか、そこまでされる方は少ないですよね。
原さん:たしかに、そこまでやるかと思われるかもしれないですね(笑)。
個人的には、もっと知りたいという気持ちがあったのと、自分に資格があることで製品PRの面でも役立てられるかなという考えがありました。
── 原さんの「ブランドのためなら」という懸命さを感じます。
原さん:ブランドがブランドらしくあり続けるためには、さまざまな面で努力が必要だと感じています。「表向きは優雅に、でも水面下では必死に」。白鳥の姿がイメージに近いかもしれません。
コンタックを支える技術

── 最後に、コンタックの知られざる魅力を伺えればと思います。
原さん:先ほどお話ししたことと少し重なるのですが「効き目だけではなく、生活者の方の服用シーンに寄り添って設計されている」ということは、もっと伝わってほしいなと思いますね。
Mr.コンタックの印象が強い一方で、症状をしっかり緩和する成分が入っているので、効き目を評価していただくことも、すごく多いんです。
── 成分へのこだわりと、生活者の利便性を考慮した商品ということですね!
原さん:そのとおりです。実は1日2回のお薬は、技術的にものすごく難しいと言われており、飲んだあとに「身体の中に成分が吸収されるスピードをコントロールする」高度な製剤技術が用いられています。
── そういった技術開発も「生活者のため」ということでしょうか?
原さん:そうですね。生活スタイルに合わせた選択肢を作ることを意識した設計になっているので、成分やお薬の開発ストーリーも知っていただけると、嬉しいです。
── ありがとうございます!今後、コンタックというブランドを、どのように育てていきたいですか?
原さん:コンタックは、ユニークさにあふれたブランドだなと思うので、その固有性をもとに、確かな品質を守りながら、生活者の方にもっともっと寄り添っていけるブランドにしていけたらと思っています。
Mr.コンタックというキャラクターや、コンタックというブランドを通して、お薬について知ってもらうきっかけ作りができたら、いいですね。
Wellulu編集後記
ブランドのためにできることは何でもやる。原さんの言葉からは、そんなストイックさを感じました。まさしく、全方位からブランドを支えるマネージャーのようです。
そして、歴史が長い商品に途中から参画するときの心構えについても学びになりました。気負わず、まずは知り尽くす努力をおこなう。知識を得ることに貪欲になるからこそ、仕事が楽しくなっていくのかもしれません。
仕事の先にある生活者の利便性や、商品が生み出すつながりに思いを馳せる(はせる)ことは、自分の仕事が社会とつながっていると実感するための一歩なのかもしれません。
1996年に入社した消費財メーカーにて20年強、各種カテゴリーのブランドマネジメントに従事。日本国内でのブランドマネジメント、海外法人に赴任してのブランドマネジメント、また本社での海外エリアマーケティングなどに従事。
2020年グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社(現 Haleonジャパン㈱)入社。義歯関連ブランド担当後、現在は日本および韓国のOTC医薬品のカテゴリービジネスマネジメントをリード