
女性を中心に多くの方々に親しまれている梅酒。「作ってみたいと思いつつ中々手が出ない、、」なんて人も多いのではないでしょうか?梅酒は甘酸っぱいイメージがありますが、実は味も幅広く、楽しみ方もいっぱいある。今回は梅酒の基本と楽しみ方について、チョーヤ梅酒株式会社の片岡さん・長谷川さんに詳しくお話を伺った。

長谷川さん

片岡さん
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さ~らりとした~梅酒~♪ 梅酒はどう作られているの?
──本日はよろしくお願いします。早速ですが、梅酒について教えていただけますでしょうか?
片岡さん:はい、まず梅酒の歴史からお話しさせていただくと、梅酒が正確にいつから飲まれていたかという記録は残念ながら残っていません。しかし、江戸時代中期の文献『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』に梅酒の記載があります。梅酒がその時期に誕生したのか、それ以前からあったのかについては明確ではありませんが、梅酒が少なくとも300年前には存在していたことがわかります。
──江戸時代にはもう梅酒があったのですね!
片岡さん:そうなんです。当時は現在と違い砂糖が非常に貴重であったため、砂糖を使う梅酒は高級品とされ、限られた人しか楽しめなかったと考えられています。
ただ江戸時代後期になると砂糖の入手が容易になり、梅を漬け込む文化が徐々に定着したようで、副業として梅の栽培や加工販売をする人々もいたことが記録に残っています。
──そうだったのですね!梅酒文化についても教えていただけますか?
片岡さん:日本では梅の実を使った文化が非常に発展しました。中国では主に梅の花を楽しむ文化がありますが、日本では梅の実を食べることや梅酒を作ることが普及しました。
梅酒が作られるようになったのは、明確には断言できませんがおそらく日本が初めてです。
──日本発祥の可能性が高いということですね。
片岡さん:そうです。中国では梅の花を浮かべたお酒がありますが、これはあくまで香りや見た目を楽しむもので、梅酒とは異なります。日本の梅酒は梅の実を使って作られ、その味わいや香りを楽しむものです。こうした違いが、日本独自の梅酒文化を形作っていると考えられます。
──それこそ、日本には「梅雨」や「塩梅」など、「梅」を使った言葉が多く見られると思うのですが、何か関係しているのでしょうか?
片岡さん:梅はもともと中国原産と言われていますが、日本にも伝わり花や実を楽しむ文化が深く根付いた結果「梅」を使った言葉や表現が多く存在するのかもしれません。
江戸時代から継承される梅酒のつくり方
──江戸時代には作られていたといわれる「梅酒」の作り方についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
長谷川さん:当社の場合のつくり方になるのですが、基本的に食品添加物を一切使用しておりません。現在市場に出回っている梅酒の中には香料や酸味料を加えたものも多いのですが、当社は品質を重視し、酸味料、香料、着色料不使用で作っています。使用する梅は主に和歌山県産の南高梅で、その割合は約8割を占めています。他にも奈良県や群馬県、福井県産の梅も一部使用しています。
──酸味料・香料などを使用せず、本来の味を大切にされているのですね。
長谷川さん:その通りです。梅と糖類、アルコールのみで作られた本格梅酒を提供することで、お客様に本来の梅酒の味を楽しんでいただけるよう努めています。例えば、炭酸入りの梅酒もありますが、これも本格梅酒として作っています。酸味料、香料、着色料の食品添加物を使わず、自然のままの味わいを大切にしているのが当社の特徴です。
──「本格梅酒」は通常の梅酒とはどういった点で異なるのでしょうか?
長谷川さん:そうですね。本格梅酒は梅、糖類、酒類のみで作られています。昔ながらの家庭で作られていた梅酒の味を現代の人々にも楽しんでいただきたいという思いから本格梅酒を作っています。現在は、日本洋酒酒造組合の本格梅酒の基準に基づき、本格梅酒としての製造を行っています。
──他に何かこだわりなどはあるのでしょうか?
長谷川さん:こだわりは梅の品種や産地、サイズごとに分けて漬け込みを行っていることです。
同じ年の同じ南高梅でも、タンクごとに若干味が異なるため、酸味や香りに個性が出ます。このため、漬け込んだ梅酒をブレンドして、一定の品質を保つようにしています。
──種類までこだわっているのですね。それこそ、人気の「さらりとした梅酒」はどういった特徴があるのでしょうか?
長谷川さん:「さらりとした梅酒」は、和歌山県産の南高梅を中心に国産梅のみを100%使用した本格梅酒です。若い女性にも受け入れられるよう、梅酒の深みある味わいもありながら、さらりとした飲み心地なるようバランスを調整しています。
梅酒選びのポイント
──梅酒と本格梅酒の違いを踏まえて、梅酒選びのポイントについて教えてください。
片岡さん:一番大事なことは自分の好みを理解することです。梅本来の味わいや梅酒の深みを楽しみたいなら本格梅酒を、ライトな味わいを楽しみたい方はそれ以外の梅酒もお口に合うかもしれません。本格梅酒を出しているメーカーは、製品のラベルに「本格梅酒」と記載していることも多いので、そこを確認してみるといいと思いますよ。
当社のホームページに全ての商品の香りや甘味、酸味、そして熟成感などのパラメーターを5段階で掲載しています。様々な種類があるので、お好みに合わせた梅酒を見つけやすいと思いますよ。
──梅酒の楽しみ方についてアドバイスはありますか?
片岡さん:飲み方もたくさん楽しみ方があります。例えば、ソーダ割りでさっぱりと飲むなら酸味が強めや、スタンダードな味わいの梅酒が適していますが、オン・ザ・ロックでゆっくりと楽しみたい場合は、熟成感や厚みのある味わいの梅酒を選ぶのがおすすめです。
最近では、当社をはじめ各メーカーが小容量の製品を販売しているので、まずは少量から試してみるのも良い方法です。
──梅酒は想像以上にたくさんの楽しみ方があることに驚きました!
片岡さん:そうなんです。実は現在、お酒市場は若い世代がお酒を必要としない傾向が強まり、お酒全体の消費量が減少しています。これは梅酒にも影響しており、国内での消費は減少しています。
しかし、海外では和食の影響もあり、梅酒も注目されています。他には梅酒をカクテルの材料として使うなど、日本国内とは異なる楽しみ方が広がっています。
─海外でも人気なのですね!
おうちでも楽しめる!梅酒をつくるポイント、飲み方は?
梅酒のおいしい飲み方
──梅酒を飲む際のオススメの飲み方はありますか?
長谷川さん:梅酒の飲み方として一般的なのは、オン・ザ・ロック、ソーダ割り、水割り、ストレートですが、それ以外にもいろいろな楽しみ方があります。例えば、紅茶で割る方法があります。
冬にはホットティーで割ると、湯気とともに梅の香りが立ち、非常に華やかな印象になります。特に香り高い梅酒は非常に合います。
夏には柑橘系のジュースで割るのもおすすめです。オレンジジュースやグレープフルーツジュースと割ると、酸味と甘みがバランス良く、非常に飲みやすくなります。梅酒は比較的お酒が苦手な方でも飲みやすいですが、ジュースで割るとさらに飲みやすくなります。また、モヒート風に楽しむ方法もあります。
ミントを潰して炭酸水やトニックウォーターと梅酒を混ぜると、爽やかな飲み物になります。また、ライムを加えることで、より爽快感を楽しむことができますよ。
──様々な飲み方があるのですね!女性の方に特におすすめの楽しみ方はありますか?
片岡さん:SNSではよくお客様の「こういう風に楽しみました」という投稿が多く見られます。例えば、梅酒を作る際に氷砂糖の代わりに金平糖を使って、見た目を華やかにしてみるのは人気です。また、炭酸入りの梅酒と季節の果物でフルーツポンチ風にしたり、夏には梅酒ゼリーを作るというアレンジが人気です。
カクテル的な飲み方よりも、スイーツにアレンジする方が多いように感じますね。
──片岡さんご自身が好きな梅酒の飲み方はありますか?
片岡さん:梅酒50ml、氷150gとはちみつを少しをミキサーにかけてシャーベット状にした「梅酒フローズン」がオススメです!溶かしながら飲んでも美味しいですし、スプーンですくってデザートのようにも楽しめます。
自宅で簡単にできてすっきりしたい時にはおすすめです。
──ぜひ試してみたいです!
上手に梅酒を作るポイント
──おうちで梅酒を作る際のポイントやアドバイスがあれば教えてください。
片岡さん:家庭でも簡単に梅酒を作ることができます。基本的な材料は梅、砂糖、お酒の3つだけです。梅と砂糖、お酒を瓶に入れると、砂糖が徐々に溶けてお酒に混ざり、梅からエキスが出てきます。砂糖が溶けきったら後は時折揺らして混ぜながら、お好みの期間漬け込んでください。
基本的には梅、砂糖、お酒を瓶に入れるだけで十分に楽しめる梅酒が作れます。
──梅酒を作る際の注意点やコツを教えていただけますか?
長谷川さん:コツとしては、砂糖が完全に溶けるまで瓶を定期的に振ることをお勧めします。これを怠ると、砂糖が溶けた後、アルコール濃度が低くなる部分ができ、カビが生えやすくなります。砂糖が完全に溶けるまでは、漬け込みの翌日に1回、その後は1週間に1回瓶を振って確認してください。
また注意してほしいこととして一つあるのが、梅に穴を開ける方法は避けることです。梅に傷がつくと、その部分に黒い斑点ができることがあります。基本的には梅を綺麗に洗い、乾燥させてから使用してください。
最近、砂糖の量を減らす方も増えてきていますが、砂糖を減らしすぎると梅酒が苦味を帯びてしまいます。砂糖を少なくする場合は、後から追加しても味が変わってしまうため、最初の時点はお酒1.8Lに対して砂糖400g以上は入れてください。またお酒はアルコール分35%以上のものがオススメです。(アルコール分20%未満のお酒を使うと違反になりますので注意してください。)
梅酒が進む!おすすめレシピの紹介
──梅酒にあう料理の選び方を教えていただけますか?
片岡さん:梅酒は味がしっかりしているので、合わせる料理も少し濃い味付けや揚げ物のようなガッツリしたものが合うと思います。例えば、梅酒に合うおつまみとしては、チョコレートやチーズなど濃い味のものがよく合います。梅酒をロックで飲むと、これらのおつまみが一層引き立ちます。
また、梅酒をソーダで割ると、すっきりとした味わいになるので、揚げ物のような油っこい料理ともバランスが取りやすくなります。例えば、夏はカレーに合わせると爽やかで美味しいですし、冬には鍋料理に氷をたっぷり入れたソーダ割り梅酒が合います。
さらに、お好み焼きやたこ焼きなどとも相性が良いです。酸味が効いた梅酒は、甘さと酸味のバランスが良く、食事との相性も抜群です。お酒があまり強くない方でもソーダ割りや水割りなどお好みの濃さで楽しむことができます。梅酒は飲み方や合わせる料理によって、いろいろな楽しみ方ができるのが魅力ですね。
──色々あって魅力的ですね!料理に梅酒を使ったレシピについても教えていただけますか?
片岡さん:料理への活用方法としては、。特に、梅酒は酸味が強いので、マリネやドレッシングにも適しています。酸味がしっかりしている梅酒を選ぶと、料理の味が引き立ちます。
──ドレッシングでの使用は初めて耳にしました!
片岡さん:美味しいですよ。当社の商品には酸味が特化した「熟成一年梅酒」があるのですが、ドレッシングとして使用すると酸味と甘味のバランスが絶妙で、お料理に新しい風味を加えられます。
じつは梅の実も食べられる!梅の実活用レシピ
──梅の実はじつは食べることができる、とのことでしたが本当なのでしょうか?
片岡さん:もちろん食べることができます。そのままでも美味しいですが、特にクリームチーズと混ぜてディップソースにすると美味しいですよ。
梅の実を細かく刻んでクリームチーズと混ぜ、クラッカーに乗せると、おつまみとして最高です。梅酒とチーズの相性は抜群ですので、他のお酒ともよく合います。
──梅の実を使う発想はなかったです!他にも料理に梅の実を使うことはできるのでしょうか?
長谷川さん:もちろんです。例えば、梅の実の種を抜いてカレーのルーに入れて煮込むと、まろやかな味わいになります。私自身もよくやる方法ですし、京都の料理屋さんでもこの方法を採用しているのをテレビで見たことがあります。実際にやってみると、これが非常に美味しく、特に手間もかかりません。梅の実を一つか二つ、ポンと入れるだけで、いつもと違う味わいが楽しめます。
──とてもおいしそうです!
長谷川さん:とてもおいしいですよ。また、火を使わない方法として梅の実をヨーグルトに混ぜたり、梅酒をかけたりする人もいます。この方法だと、梅の酸味が活きて、料理にさっぱりとした風味を加えられます。火を通すか通さないかで味わいが変わるのも面白いところですね。
──梅を使ったアレンジ方法について、読者さんにおすすめのアイディアはありますか?
片岡さん:オススメなアレンジ方法としては、梅の実の甘みを生かしてミルクパンに半分ほど水を入れて火にかけ、梅の実を煮詰めると梅ジャムのようにする方法です。焦がさないように混ぜるだけで簡単にできます。このジャムをクラッカーやヨーグルトに添えると美味しいです。
──とても手軽に楽しめるのが素敵です。
Wellulu編集後記:
梅酒は単なるお酒としてだけでなく、その歴史や文化、そして作り方や楽しみ方に至るまで、多くの奥深さを持っていることがわかりました。今回、梅酒の様々なアレンジ方法をお伺いできたので、早速今度試してみたいと思います。これを機に、読者の皆さんもぜひ自分好みの梅酒に出会ってみませんか?