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カカオポリフェノールによる抗酸化作用や精神的健康など、チョコレートの健康効果とは?【愛知学院大学・大澤特任教授】

食べておいしいチョコレートに新たな可能性が!今回、大澤特任教授が取り組んでいる、カカオポリフェノールが含まれる高カカオチョコレートの健康への影響に焦点を当てた研究について取材を実施。大澤特任教授によると「高カカオチョコレートを毎日適量摂取することで、健康効果を得られ、バランスの良い食生活と組み合わせることで、よりその効果を高めることができる」んだそう。

でも、あまり食べ過ぎると太るし、肌にも悪影響なのでは?という素朴な疑問もお伺いしながら、チョコレートの適度な摂取量や摂取方法についてのアドバイスをしてもらった。

大澤 俊彦さん

名古屋大学名誉教授、愛知学院大学健康科学部(旧 心身科学部)・人間総合科学大学 特任教授

昭和44年東京大学農学部農芸化学科卒業。49年同博士課程修了。名古屋大学農学部助手、助教授を経て平成7年同大学教授。22年同大学名誉教授(その間、カリフォルニア大学デービス校環境毒性学部客員教授を兼任)。同年愛知学院大学心身科学部教授。23年~27年同心身科学部長、30年同特任教授。同年、人間総合科学大学特任教授。現在に至る。 日本抗酸化・機能研究会理事長、日本食品・機械研究会会長、ウエルネスフード推進協議会副代表理事など多数。日本農芸化学奨励賞、日本農芸化学会賞、飯島食品科学賞、日本ベンチャー学会会長賞、日本食品科学工学会功労賞授賞。農学博士。

本記事のリリース情報

Webメディア「Wellulu」に健康科学部健康栄養学科 大澤俊彦特任教授の記事が掲載されました

チョコレートの健康効果は、カカオポリフェノールが影響

──まず、チョコレートに関する研究に取り組まれたきっかけを教えてください。

大澤先生:私は以前、名古屋大学で食品機能化学の領域を専門としており、抗酸化物質や活性酸素、フリーラジカルに関しての研究を行っていました。その時、活性酸素が病気の原因、例えば老化や生活習慣病と言われる癌、糖尿病の合併症、認知症やアルツハイマー病などの原因とになることが知られており、抗酸化物質によるこれらの病気の予防に着目し、酸化をコントロールすることでウェルビーイングや健康長寿に貢献できないかと思い、そうした食品の研究を進めてきました。

そんな中、チョコレートに関する研究を(株)明治の研究所と組んで進めることになりました。

元々はココアから研究を始めたのですが、日本人はそんなにココアを飲まないということで、同じような効果が期待できるチョコレートの研究に移りました。チョコレートの主原料であるカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールが健康効果に良さそうということで、研究を進めてきたというのが大きな流れです。

フラボノイド、アントシアニン、カテキンなど、ポリフェノールに含まれる成分

──ポリフェノールについて詳しく教えていただけますでしょうか?

大澤先生:ポリフェノールは多くの植物に含まれる化合物で、健康効果が注目されています。タマネギやソバに多く含まれる「フラボノイド」や、赤米や紫トウモロコシなどには「アントシアニン」と呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれているのですが、これらはがん予防や炎症抑制などの効果があるとされています。

ポリフェノールは、他の食品に比べてダークチョコレートに多く含まれており、赤ワインの「レスベラトロール」や緑茶の「カテキン」などと同様に、健康に対しての有益な効果が期待されています。

お茶は「カテキン」、赤ワインは「レスベラトロール」、紅茶は「テアフラビン」、それからカレー粉のターメリックの黄色い色素、こういうのは全てポリフェノールなんですね。つまり、本来栄養素ではないのですが、我々にとって今大事な健康を守る成分だと考えられています。

世界的な医学雑誌にもカカオポリフェノールに関する論文が掲載されていて、例えば、パナマ島に住む人たちがカカオ豆を多く摂取しているのですが、彼らの健康状態は都市部に住む人々と比べて良好であることが明らかになっています。彼らは、トウモロコシの粉とカカオ豆を煮だしたものを混ぜたものを1日に5杯から7杯も摂取していて、これがどうも大事じゃないかということです。

精神的健康や抗酸化作用など、高カカオチョコレートによる健康効果

──今回の研究方法について教えてください。

大澤先生:私たちの研究では、45歳から69歳の347人を対象に、高カカオチョコレートの健康への影響を調査しました。参加者は4週間にわたって、72%の高カカオチョコレートを毎日25g(約150kcal、650mgのカカオポリフェノール含有)摂取しました。理学的検査として、体重、血圧、尿検査などを行い、総合的に評価しました。

1日25gの高カカオチョコレート摂取で高血圧の症状を緩和できる?

──研究結果について教えてください。

大澤先生:まず、体重やBMIには変化は見られませんでした。つまり、高カカオチョコレートの適量の摂取では、肥満のリスクは増えないということです。次に、血圧に関してですが、4週間の摂取後に最高血圧と最低血圧の両方が下がる傾向が見られました。特に、最高血圧が135以上の高血圧の人において顕著な効果が認められ、平均で6mmHgの低下が見られました。一方で、正常血圧の人にはあまり変化がありませんでした。これは、高カカオチョコレートが特に高血圧の人に効果的であることを示しています。

4週間の摂取で抗炎症作用を発揮

大澤先生:続いて、悪玉コレステロールに関しては、4週間の摂取では有意な差は見られませんでしたが、一方で善玉コレステロールに関しては、有意な上昇が確認されました。これは、動脈硬化のリスクを低減する可能性を示唆しています。また、酸化ストレスマーカーと炎症マーカーの両方が下がることが確認されています。これは、高カカオチョコレートに含まれる抗酸化物質であるカカオポリフェノールが酸化ストレスを減少させ、抗炎症作用を発揮していることを示しています。

精神的健康にも影響する可能性

──血液の低下、抗炎症・抗酸化マーカーの低下など、高カカオチョコレートに期待できる効果っていろいろあるんですね。

大澤先生:はい。他にも、SF36という36項目の健康調査を行った結果、チョコレート摂取者の多くが健康状態の改善を報告しました。特に精神的な健康度が向上したという結果が多く見られました。

この研究結果を踏まえて、チョコレートが神経細胞の形成や発達に重要な神経栄養因子(BDNF)に好影響を与える可能性があると考え調査したところ、血清中のBDNF濃度が有意に上昇していました。BDNFは、脳神経の産生に関係した重要なタンパク質で、「脳の栄養」とも言われています。脳の健康と機能に重要であり、運動や他の健康的なライフスタイルの要因と組み合わせることで、更なる健康効果が期待できると考えられます。

──これほどまでの健康効果があるとは驚きです。ポリフェノール以外にもなにか特筆すべき成分はありますか?

大澤先生:チョコレート、特に高カカオチョコレートに含まれ、効果が期待できる主要な成分は、ポリフェノールとカカオプロテインなのですが、カカオプロテインは、発酵や焙煎プロセス中に生じるタンパク質で、便通改善に効果があると考えられています。

1日25gが目安!疲れたときや健康管理に高カカオチョコレートを

──高カカオチョコレートの摂取量の目安や注意点、食生活のアドバイスなどあれば教えてください。

大澤先生:高カカオチョコレートの適量としては、1日に25gがおすすめです。この量だと、カカオポリフェノールの摂取量は約650mgになります。普通のミルクチョコレートの場合、同量のカカオポリフェノールを摂取するためには約4倍の量が必要になり、カロリーやミルクの摂取が過多になってしまうので気をつけてください。

下痢や消化不良など、過剰摂取に注意も必要

──逆に摂取し過ぎることによるデメリットもあるのでしょうか?

大澤先生:消化吸収に障害が生じたり、下痢を引き起こす場合があります。あくまでも適量の摂取が重要です。ただし、正確な摂取量に関してはまだ明確な基準はないので、様々な食品からバランス良く摂取することが大切です。

──今後の研究や現在取り組んでいることなどあれば教えてください。

大澤先生:今後はチョコレートだけではなく、他の食品との組み合わせによる健康効果を探求することが重要だと思っています。チョコレートを使った新しい食品の開発については、既存の食品との組み合わせが鍵となります。例えば、抹茶入りのチョコレートやオレンジピールをまぶしたチョコレート、ナッツ類を使ったチョコレートなどが良い例で、ほかの機能性成分との組み合わせることにより、健康効果を高めるだけでなく、味わいも豊かにします。このように、新しい健康食品の開発に繋げていく取り組みをしていきたいです。

Wellulu編集後記:
今回、チョコレートのカカオポリフェノールが健康に与える影響について、愛知学院大学の大澤先生にお話を伺いました。高カカオチョコレートの摂取により、高血圧の低下、善玉コレステロールの増加、酸化ストレスと炎症マーカーの減少、精神的健康の改善などが確認され、脳神経細胞の成長を促進する可能性もわかりました。ポリフェノールが豊富な食品をバランスのよい摂取や高カカオチョコレートを適量食べることなど、この記事を通して、正しく健康的にポリフェノールを取り込んでいくことの重要性や知識の参考にしていただければと思います。

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