
「睡眠の質を変えたいなら、マットレスを見直してみませんか?」毎晩眠るベッド。その土台となるマットレスが、あなたの睡眠の質を大きく左右していることをご存知だろうか?しかもマットレスは、自分のためだけでなく家族やパートナーとの快適な睡眠を支える役割がある。今回はポケットコイルマットレスについてMorght商品企画の長谷川さんにお話を伺った。

長谷川さん
株式会社Morght 商品企画マネージャー
本記事のリリース情報
「Wellulu」にて、『NELL マットレス』が紹介されました。
マットレスは睡眠に大きな影響を与える!?
マットレスの種類について
──本日はよろしくお願いします!
長谷川さん:こちらこそお願いします!
── 私自身毎日マットレスを使っているにも関わらず、どんなマットレスを使っているのか知らず…本日は基本的なところからお伺いしたいです!まずは、マットレスの種類から教えていただけますか?
長谷川さん:もちろんです!色々なブランドや商品数があるので難しいですよね。まず、マットレスには大きく分けて「コイル」と「ノンコイル」の2種類があります。コイルタイプにはさらに「ポケットコイル」と「ボンネルコイル」があり、弊社で採用しているポケットコイルです。ポケットコイルは、らせん状のコイルが1つずつ不織布で包まれ、独立して動く構造になっています。この独立性により、体の形状や体重に合わせた沈み込みが可能になります。
──「コイル」の中にも種類が分かれているのですね…!
長谷川さん:そうなんです。一方、ボンネルコイルはコイル同士が連結しており、全体が連動して動きます。こちらは丈夫さやしっかりした寝心地が特徴です。
ノンコイルには、ウレタン素材や透明な繊維を絡めたファイバーなどがあります。それぞれ特徴が異なりますので、目的や使用感に合わせて選ぶことが大切です。
寝具はいい睡眠を支える「サポート役」
── マットレスを含む寝具は、良い睡眠環境を作る上でどのような役割を果たすのでしょうか?
長谷川さん:私たちは、寝具を「良い睡眠を支える重要なサポート役」だと考えています。しかし、良い睡眠を実現するには、寝具だけでなく生活習慣や精神的な安定といった要素も欠かせません。例えば、寝具を高品質なものに変えたとしても、日々の習慣や精神状態が整っていないと十分な効果は得られません。
ウェルビーイング(心身の健康)の観点から見ると、寝具はあくまで「総合的な睡眠環境」の一部です。しかし、この一部が欠けると全体のバランスが崩れ、良い睡眠を取ることが難しくなります。
そのため、適切な寝具選びは睡眠の質を上げるための第一歩として非常に重要です。
──睡眠の質が悪いとき、手軽な枕を変えることから始める人も多いイメージなのですが、とくにマットレスの場合睡眠の質にどのような影響を与えるのでしょうか?
長谷川さん:確かに枕は小さくて価格も手頃なので、最初に見直す寝具として選ばれることが多いですね。ただ、マットレスは体全体を預ける寝具ですので、睡眠の質に与える影響が非常に大きいと考えています。特に弊社では「寝返り」のしやすさを睡眠の質を左右する重要な要素として捉えています。
──「寝返りのしやすさ」が大切なのですね!
長谷川さん:とても大切です。人は同じ体勢で8時間眠り続けると血流が悪くなるため、1晩で20回程度の寝返りを打つことが理想と言われています。寝返りがスムーズにできないと、中途覚醒や目覚めの悪さ、朝起きたときの体の痛みにつながることがあります。そのため、マットレスは体を支えながら寝返りをサポートすることが求められます。特にポケットコイルのマットレスは個別に動く構造が体の形にフィットし、寝返りをスムーズにする点で非常に優れています。
一方で、マットレスが硬すぎたり柔らかすぎたりして寝返りを妨げると、睡眠の質を悪化させることがあります。体に合わないマットレスは、良い睡眠を妨げる要因となり得るため注意が必要です。
── 寝返りが快適にできるかどうかが、マットレス選びの大きなポイントになるのですね。
長谷川さん:そうなんです。寝返りが自然に打てる環境を整えることが、質の高い睡眠を得るための鍵となります。そのためには、自分の体に合ったマットレスを選ぶことが非常に大切となってきます。
私自身も「NELL」のマットレスを使っていますが、毎日使うものだからこそ、日常では快適かどうかを意識しないこともあります。それでも、ホテルや出張先で違うマットレスを使うと、「家のマットレスが恋しい」と思うことが増えました。実際、夫も出張先ではなかなか寝付けないと言っています。
──家のマットレスが恋しい…!素敵です。
長谷川さん:お客様からも「寝起きがすっきりした」「マットレスを変えてよかった」といった声を多くいただいています。また、隣の人を起こさずに寝返りが打てたり、子どもを寝かしつけたあと親がそっと抜けても振動が伝わらないから(寝かしつけが)楽になった気がする、といったお話をお伺いしたこともありました。ポケットコイルが独立しているため体圧分散に優れているからこそのメリットだと思います。
── 隣で寝ている人に影響を与えないのはすごいです!
長谷川さん:マットレスは自分のためだけでなく、家族やパートナーとの快適な睡眠を支える役割もあります。毎日使うものだからこそこだわっていきたいですね。
コイル・配列・詰め物…、ポケットコイルマットレスの構造
──多くの寝具メーカーがポケットコイルマットレスを展開していますが、それぞれどう違うのでしょうか?
長谷川さん:ポケットコイルマットレスの違いを語る上で、大きく分けて、4つのポイントがあります。
1. コイルの違い
ポケットコイルそのものの特性として、コイルの形状、大きさ(口径)、線径(太さ)、高さなどが挙げられます。コイルの特性によって寝心地や耐久性が変わりますが、メーカーごとに仕様が異なるため、情報を公開している場合とそうでない場合があります。
2. 配列の違い
コイルの配置も、マットレスの性能に大きく影響します。メーカーによって配列やコイルの個数は違いますが、全体を均一に支える配置やゾーンごとに硬さを変える設計など、さまざまな工夫があります。
3. 詰め物の層
コイルだけでは寝心地が硬すぎるため、その上にウレタンや綿などの詰め物を重ねて調整します。この層の厚さや種類も寝心地に影響します。
4. 表面生地(カバー)の違い
生地の素材や加工も、マットレスの使用感に影響します。防ダニや消臭効果のある素材を使ったものや、肌触りの良さを追求した生地など、表面カバーにも多くのバリエーションがあります。
オタクの領域!?ポケットコイルマットレスへのこだわり
── 御社が マットレスを寝具の中で特に重視された背景についても教えていただけますか?
長谷川さん:背景には、日本の睡眠事情に関する課題があります。データによると、日本は他の先進国と比べて睡眠負債(睡眠不足が積み重なった状態)を抱える人の割合が高いと言われています。しかし、睡眠に関する商品やサービスにお金をかけている割合も高い。つまり、「コストをかけているのに得られる効果が少ない」という現状があるんです。
これを解消するには、睡眠の質を根本から改善する必要があると考えました。そのとき、体全体を支える「マットレス」が土台として非常に重要だという結論に至ったのです。枕ももちろん大切ですが、マットレスの硬さや寝心地によって枕に必要な高さや形が変わるため、枕だけを見直しても十分な効果が得られないことがあります。そのため、まずはマットレスという「土台」を整え、その上で上に乗せる寝具を考えるべきだという考え方です。
── 睡眠の土台から改善するということですね。
長谷川さん:そうなんです。マットレスを改善することが、結果的に良い睡眠環境を作る第一歩だと考えています。これは「朝から夜までを豊かにする」という私たちの理念とも一致しており、睡眠を通して日々の生活全体を豊かにしたいという思いが込められています。
── とても素敵です!
──ポケットコイルマットレスの特徴について先ほども教えていただきましたが、「NELL」のマットレスだからこそのこだわりについて、さらに詳しくお伺いできますか?
長谷川さん:ありがとうございます。「NELL」のポケットコイルマットレスには大きく3つのこだわりがあります。
三つのこだわり
1. 小口径コイルの採用
直径が小さい小口径コイルを採用しているため、コイルの数を同価格帯の商品の約2倍増やし、滑らかに体を支えることが可能に。コイルの点が細かくなることで、体へのフィット感が増し、凹凸にしっかりと馴染む感覚が得られます。
2. コイルの種類と太さの違い
ゾーン別に2種類のコイルを使用することで、柔らかいコイルは優しく体を包み込み、硬いコイルはしっかりと支える役割を果たします。
3. コイルの配置設計
2種類のコイルの配置を工夫することで、体圧を効率よく分散し、寝心地のバランスを最適化しています。
── コイルの直径や配置にここまで細かくこだわられているとは驚きです。
長谷川さん:そうなんです。これらの設計には、タッグを組んでいる老舗マットレス工場の技術が欠かせません。社長さんが300種類以上のコイルを試作し、その中から最適な組み合わせを導き出しました。こうした職人技と科学的な設計を組み合わせることで、毎日使うマットレスを特別な存在にしています。
── 職人のこだわりが詰まったマットレスだということが伝わります。寝心地へのこだわり、すごいですね。
長谷川さん:毎日使うものだからこそ、一つひとつの細部にこだわりました。体への負担を減らし、快適な睡眠をサポートするマットレスを、ぜひ体感していただきたいです。
── 「NELL」のポケットコイルマットレスには、寝返りを重視した構造があるとお伺いしましたが、どのような工夫がされているのでしょうか?また、素材や分解図から見える具体的な特徴についても教えてください。
長谷川さん:ありがとうございます。「NELL」のマットレスは、睡眠中の寝返りをサポートするために、「センターハード構造」と呼ばれる設計を採用しています。人は腰を軸に寝返りを打つことが多いので、腰の部分に少し硬めのコイルを配置し、適度な反発力を持たせています。これにより、腰が沈み込みすぎることなく、自然な動きを助けることができます。また、この構造が体全体のバランスを整え、快適な寝返りを促します。
さらに、マットレスの周囲にも硬めのコイルを配置しています。これは、小さな部屋でマットレスをソファ代わりに使う方や、ダブルサイズで2人が寝る場合に端まで安定感を保つためです。端が沈み込みすぎると、ずり落ちやすくなったり、座ったときに不安定になるため、これを防ぐ設計になっています。
── センターハード構造以外にも、分解図を基にした特徴について教えていただけますか?
長谷川さん:「NELL」のマットレスは高さが21cmで、その中でポケットコイル部分が15cmを占めています。その上下に「詰め物の層」が3cmずつ配置されています。この詰め物にはウレタンを使用していますが、一般的なマットレスより薄くしています。
理由は通気性を重視したためです。ポケットコイルは中が空洞になっているため、通気性が良く蒸れにくいという利点があります。しかし、詰め物が厚いと空気の循環が妨げられ、湿気がこもりやすくなってしまいます。そこで、必要最小限の詰め物で十分な寝心地を保つ設計を選びました。
薄い詰め物でも快適な寝心地を実現できるのは、小口径コイルの効果が大きいです。点で細かく体を支えるため、詰め物が少なくても体にフィットし、適度な柔らかさを感じられます。この構造により、硬すぎず柔らかすぎない「適度な反発力」を実現しています。
── マットレスをひっくり返して使えるというのも便利ですね。
長谷川さん:はい、上下どちらでも同じ構造にしているため、定期的にひっくり返して使用することで長持ちします。マットレスの耐久性と快適さを両立させるための工夫の一つです。
── 寝返りをサポートする設計や通気性の工夫が、快適な睡眠環境を支えているんですね。
長谷川さん:そうですね。「NELL」のマットレスは、体の自然な動きを助けながら、寝心地や衛生面も考慮した設計になっています。毎晩の睡眠をより豊かにするために細部までこだわった自信作です。
── 圧縮マットレス市場が急成長している背景も納得です。手軽に運べて、試せて、使い心地が良いというのは素晴らしいですね。
自分に合うマットレスの見つけ方を伝授!
マットレスを選ぶポイント
── これからマットレスを購入しようと考えている読者の方へ、選び方のアドバイスをお願いします。
長谷川さん:マットレスは一度購入すると5年から10年使うことが一般的です。だからこそ、じっくりと自分に合ったものを選ぶことが大切です。特に注目してほしいポイントは以下の3つです。
3つのポイント
1. 寝返りのしやすさを重視する
寝返りは快適な睡眠に欠かせません。店舗で試すときには、ただ横になるだけでなく、実際に体を左右に回転させてみてください。自然に体が動き、沈み込みすぎず、寝返りがスムーズにできるかを確認してください。
2. 理想の寝姿勢を保てるかをチェックする
特に横向きで寝る場合、肩が適度に沈み込んで背骨がまっすぐになることが重要です。仰向けでも横向きでも、無理のない自然な姿勢を維持できるかを確認しましょう。
3. 実際に一晩寝て試せるものを選ぶ
短時間試すだけでは、マットレスが本当に合うかどうかは分かりません。理想は、自宅で一晩以上寝て試せること。「NELL」では120日間フリートライアルを設けているので、こうしたサービスを活用して、普段の睡眠環境でじっくり試していただきたいです。
── 店舗で試すだけでは分からない部分も多いのですね。
長谷川さん:はい、店舗では10秒程度横になるだけというケースがほとんどですが、これでは8時間の睡眠の快適さを正確に判断するのは難しいです。
── 柔らかさだけで選びがちだったので、新しい視点です。
長谷川さん:そうですね。柔らかすぎるマットレスは一見心地よく感じますが、体が沈み込みすぎて寝返りがしにくくなり、結果的に睡眠の質を損ねる場合があります。大切なのは、適度な反発力と支えがあることです。自分の体と睡眠環境に合ったマットレスを選ぶために、しっかり試して、じっくり選んでいただければと思います。
──ありがとうございます。 自分が今使っているマットレスが本当に合っているのか確認する方法はありますか?
長谷川さん:マットレスが自分に合っているか確認するためには、寝姿勢をチェックすることをおすすめしております。
例えば、仰向けのときに頭が自然に少し斜め上を向く程度か、首や腰に過剰な負担がかかっていないか、腰が沈みすぎていないか、逆に浮いてしまっていないかなども重要です。
また、横向きのときは肩が適度に沈み込み、背骨のラインがまっすぐになっていることが理想的です。自分だけで判断できないときは、鏡や家族に背骨のラインをチェックしてもらうのもおすすめです。
マットレスの買い替えタイミング
──マットレスの買い替えタイミングについてもお聞きしたいです。
長谷川さん:買い替えのタイミングはいくつかありますが、特に次の3つを意識してみてください。
3つのポイント
1. 見た目や感触
表面の凹みや傾き:何も置いていない状態でマットレスを見たとき、凹みや波打ちがないか確認してください。部分的に沈み込んでいる場合は、ヘタってきているサインです。
感触の変化:寝たときに以前より体が沈み込む感覚が強かったり、サポート力が弱まっている場合も買い替えの目安になります。
2. 異音の有無
寝返りをしたときに「ギシギシ」や「カチカチ」といった音がする場合、内部のコイルが摩耗や変形している可能性があります。自分の寝方や使い方の癖で、特定の箇所だけが大きく凹んでいる場合も注意が必要です。
3. 使用年数も目安に
一般的にマットレスの寿命は5~10年程度とされています。ただし、使用頻度や使い方によっても異なるため、上記2つのチェックポイントを基に総合的に判断してください。
── 自分で確認できるポイントが多いですね。見た目や音も判断材料になるとは思いませんでした。
長谷川さん:そうですね。マットレスは人生の3分の1、あるいはそれ以上に使う大切なアイテムです。定期的に状態を確認し、自分の体に合ったものを選び続けることで、質の高い睡眠を得られるようにしたいですね。ぜひ一度、ご自宅のマットレスをチェックしてみてください!
── 早速今日チェックしてみます!使用しているマットレスを長持ちさせるために意識されていることはありますか?
長谷川さん:おすすめしている方法としては、カバー類を必ず使用する、定期的に通気を行う、定期的にチェックを行う、この3つです。
マットレスにボックスシーツやカバーを使用することで、特にお子様が小さい家庭では防水シーツを使うことでカビや汚れを防ぐことができます。
また、ポケットコイルマットレスは通気性が良いですが、それでも湿気がこもらないようにするために、すのこのベッドフレームを使用したり、定期的に立てかけて空気を通すのがおすすめです。湿気を逃がすことで、カビの発生を防ぎ、衛生的に保つことができます。
── ポケットコイルマットレスでもお手入れ次第でより快適に使えそうですね。
長谷川さん:そうですね。マットレスは毎日使うものなので、適切なお手入れをすることで寿命を延ばし、快適な睡眠環境を保つことができます。特に通気やカバーの利用は手軽にできるので、ぜひ試していただければと思います。
── 確かに簡単に取り入れられる方法ばかりですね!早速やってみようと思います。インタビューから体験まで、本日はありがとうございました!
Wellulu編集後記:
今回の取材を通して、マットレスが単なる寝具ではなく私たちの生活の質を大きく左右するものであることを改めて実感した。寝具はいい睡眠を支えるサポート役であり、マットレスはその寝具の土台であるからこそ、こだわっていくべきだと学んだ。今回の取材をきっかけに、私も自分のマットレスを見直してみようと思った。
また取材後に「NELL」マットレスも体験させてもらいました。
柔らか過ぎず、寝返りもしやすかったです!