ニンニクを食べると元気になる!そんなイメージを持っている方もおおいのでは?人々の活力源となる食材・ニンニクの歴史は、約5000〜6000年前の古代エジプトにまで遡るとのこと。海外では薬としてもその健康の効果が認識されている一方、日本での認知度はまだまだ…? 今回は、湧永製薬の松下さんと松友さんに詳しくお話を伺った。
松下さん
湧永製薬株式会社 学術・営業薬制部 部長
松友さん
湧永製薬株式会社 中央研究所 所長
本記事のリリース情報
ニンニクはピラミッドの時代から人々の活力源
── 食べると元気が出るイメージがあるニンニクですが、どんな野菜なのでしょうか?
松下さん:ニンニクはネギ属(アリウム属)に属する野菜の一種で、ネギやニラ、玉ねぎと同じグループです。その歴史は古く、5000年から6000年ほど前、エジプトのピラミッドが建設された頃から存在していたと考えられています。
── ピラミッドが建設された頃ですか! これほど古い野菜は珍しいのではないでしょうか?
松下さん:そうですね。ピラミッド建設に携わる労働者に配られていたという記録もあり、実際にピラミッドの遺跡からも、ニンニクを模した装飾物や粘土で作られたニンニクの形のものが出土するなど、ニンニクの痕跡が発見されているんですよ。
── その頃は、どんな目的でニンニクが食されていたのでしょうか?
松下さん:古代の書籍や資料には、ピラミッドの建設労働者がニンニクを食べて元気を出していたと記されています。また、活力を増す、感染防御、抗菌作用などの健康効果があることも記されています。
当初の日本では避けられていた?
── ニンニクを食べると活力が増すのは、現代だけのイメージではなかったのですね。日本にニンニクが伝わったのはいつ頃なのでしょうか?
松下さん:中国や朝鮮を経て、4世紀頃日本に伝わったとされていて、『古事記』や『源氏物語』にもニンニクに関する記述が見られます。
── 日本でもその頃から現代のように「活力の源」として親しまれていたのでしょうか。
松下さん:それが実は、日本では長いこと仏教の影響で人々に避けられていた食材でした。「蒜(ひる)」と呼ばれ、仏教では、体力がつきすぎることで怒りや情欲を増すと考えられていたため、控えるべきとされていたのです。そのため、日本でも料理にニンニクが多く使われるようになったのは比較的最近のことなんです。
── そう考えてみると、和食にニンニクが使われるイメージがあまりありませんね。
松下さん:そうですね。きっとそのような背景もあったのではと思われます。とくに明治時代以降、西洋の医学が日本に伝わってきた頃に、ニンニクが健康に良いものという認識が広まり、現在のように食べられるようになりました。
── ニンニクというと香りが特徴的で苦手な人も多いかと思います。
松下さん:ニンニクの独特の匂いは、硫黄を含む化合物に由来しています。アリウムという成分が含まれているのですが、ニンニクに傷がつくとアリシンという物質に変わり、このアリシンが特徴的な臭いを発生させます。つまり、切ったり潰したりすると、その香りが強くなるんです。
── 調理法で香りが強くなるのは、そういう仕組みだったのですね。生で食べる人という人もいますが、大好きだけど食べるとお腹を壊してしまう人もいると思うのですが…。
松下さん:生のニンニクは胃への刺激が強いため、胃を荒らしてしまいお腹を壊すことがありますね。また、抗菌作用のある物質も含まれているため、腸内細菌のバランスを崩してしまうこともあるんです。できれば火を通して調理して食べるほうが、胃にも吸収にもよいと思います。
── 実際に、みなさんも活力を出したい!というときに、ニンニクを食べられますか?
松下さん:弊社の商品である、熟成ニンニク抽出液を配合した滋養強壮剤を日常的に飲んでいるので、頻繁にニンニクを食べるわけではないですが、ニンニク料理は好きです。ですが、子どもの頃に風邪をひいたときには、親が焼いてくれたニンニクを食べていました。
滋養強壮剤は習慣的に飲むのがおすすめ!
── 滋養強壮剤は、体調が悪いときや元気を出したいときにだけ飲むものだと思っていましたが、日常的に飲む人も多いのでしょうか?
松下さん:継続して飲んでいらっしゃる方も多いと思います。弊社の考えとしては、滋養強壮剤は体調が悪いときだけでなく、日常的に飲むことで元気な体を維持し、健康を保つことが重要だと考えているので、日々の健康維持のためにも毎日飲むことを推奨しています。
── 体調が悪くなったら飲むのではなく、飲むことで健康を維持するというイメージなのですね。
松下さん: その通りです。ただ、身近なものでいうと、コンビニなどで販売されている栄養ドリンクもあると思うのですが、その多くにはカフェインが含まれています。カフェインは疲れを感じさせないように一時的に興奮させる効果がありますが、毎日飲むことはあまりおすすめできません。
── 栄養ドリンクを選ぶ際には、カフェインにも気をつける必要があるんですね。ところで、ニンニクに含まれる成分がどのように活力につながるのでしょうか?
松下さん:実は、ニンニクに含まれている成分の中で、どの成分が直接的に効果を発揮するのかは、まだ完全には解明されていません。
ただし、ビタミンB1の吸収を助けることが、活力に寄与していると考えられています。また、ニンニクが属しているアリウム属の植物には硫黄原子を含んだ成分が多く含まれているのですが、人間はこれらの植物からしか硫黄を摂取できないのです。それが身体に良い影響を与えるのではとも言われています。
海外のニンニク事情
── ニンニクの活力の仕組みについては、まだ具体的にわかっていない部分もあるのですね。ちなみに海外でも活力や風邪の予防として使われているのでしょうか?
松下さん:海外では活力だけでなく、抗菌作用や抗ウイルス作用で感染防御にも使われています。欧米では循環器系、たとえば動脈硬化や血圧の管理にもよいとされ、伝統的に使われてきました。その中でもとくに硫黄成分が効いているというエビデンスがいくつかあるようです。
── 動脈硬化や血圧にも効果があるのですね!「ニンニク注射」というものも聞いたことがありますが、まさにニンニクの成分を凝縮したものなのでしょうか?
松下さん:そう思われる方も多いのですが、これはニンニクを注射するものではなく、ビタミンB1を注射するものを指しているんです。諸説ありますが、ニンニクを食べるとビタミンB1の吸収が良くなるといわれていることから、その効果を得るために直接ビタミンB1を注射する、これが疲労回復に役立つとして「ニンニク注射」と呼ばれています。
── そうだったのですね。てっきりニンニクの成分を注射しているのだと思っていました!
健康の基本を支えているかも?熟成ニンニク抽出液に高まる期待
──それでは、これまでにおこなわれた研究について教えていただきたいのですが、まず「熟成ニンニク抽出液」とはどんなものか教えてください。
松友さん:弊社がつくっているオリジナルの熟成ニンニク抽出液は、ニンニクをスライスしてタンクの中でエタノール水溶液に漬け込みます。約2年間漬け込み、時々かき混ぜたりすることで、だんだんと刺激性の成分が有用な成分に変わっていくんです。このようにしてできたものを熟成ニンニク抽出液と呼んでいます。
── 2年間も熟成させるのですね! そもそもニンニクに注目した理由やきっかけはあったのでしょうか?
松友さん:創業者の湧永満之がドイツのベルリン大学のオイゲン・シュネル博士と出会い、自然治癒力を高めるためにニンニクに着目したことがきっかけでした。ニンニクは滋養強壮や自然治癒力を高める食材として知られていますが、生のままでは食べにくいことがあり、よい成分を残しつつ悪い成分を取り除く方法を模索し、最終的に行き着いたのが熟成抽出です。
マウスで抗菌作用を持つ物質の産生が増加
──海外の研究者との出会いが、ニンニクに着目するきっかけとなったのですね。これまでにおこなった研究について、詳しく教えていただけますか?
松友さん:熟成ニンニク抽出液の健康増進効果を明らかにすることを目的に長年、基礎研究や臨床研究を行っています。これまでの研究で、熟成ニンニク抽出液は、歯周病の進行を抑える効果があることが人の臨床試験で確認されています。そのメカニズムを解明するための基礎研究の一環として、抗菌ペプチドに着目しました。
抗菌ペプチドというのは、生体が持っている抗菌作用を持つ物質で、熟成ニンニク抽出液をマウスに与えることで、産生が増えることが確認されました。具体的には、β-ディフェンシン-4という抗菌ペプチドの産生が増加することがわかりました。
── 抗菌作用を持つ物質の産生が増加したことで、歯周病の進行の抑制など、身体にとっていい影響がみられたのですね。
マウスで酸化ストレスを抑え、腸管機能の低下を改善
── そのほかには、どのような研究をおこなわれたのですか?
松友さん:ほかには、ハーバード大学との共同研究で、マウスを用いて老化に伴う腸管機能の低下を改善する作用を確認しました。
老化に伴って、便の量が減り、排出に時間がかかるようになるのですが、熟成ニンニク抽出液を与えた場合、どのような影響が出るかを確認しました。その結果、熟成ニンニク抽出液を与えた老齢のマウスでは、便の量が若いマウス並みに増え、排出時間も短くなりました。
── 熟成ニンニク抽出液がどのように影響したのでしょうか?
松友さん:熟成ニンニク抽出液によって、酸化ストレス物質を減らす効果があることが確認されました。酸化ストレスを抑えることにより、腸管の神経細胞の数や腸管の運動機能が保たれ、このような結果が出たと考えております。
── 酸化ストレスを抑えることができれば、腸管以外の身体のいろいろな部分でも効果が期待できそうですね。
松友さん:そうなんです。ニンニクがどのように、何に効いているのかという具体的な部分はまだ完全には解明されていませんが、この抗酸化作用など、健康を保つための基本的な部分を整えてくれるからこそ、さまざまな効果が見られるのではないかと考えています。
弊社の社長も、基礎薬として身体の全体を整えているのではないかと言っており、その「根源」にあたる部分を明らかにする研究を今後は進めていきたいと考えています。
── まだ解明されていないニンニクの秘密、気になりますね。日本でも、ニンニクの健康増進効果に対する認知度が上がるとよいですね。
松友さん:欧米では古くから循環器系の健康維持や動脈硬化の予防、免疫強化など、薬として利用されてきたこともあり認知度が高いのですが、国内でもニンニクが幅広い健康増進作用を持っていることをもっと知ってもらいたいと思っています。そのためには、なぜ効くのかという部分を研究で証明していくことが、我々の使命だと考えています。
──よく黒ニンニクも耳にしますが、健康に効果はあるのでしょうか?
松友さん:黒ニンニクは生ニンニクを一定期間、高温・高湿の条件で熟成させたもので、食べやすく消化に優れています。ただ、家庭でも簡単に作れるからと親しまれてはいるものの、作り方や条件がバラバラで、具体的な効果も製品によって異なるため、一律のものとは言えません。
その点でも、弊社の熟成ニンニク抽出液は、一定の方法で製造され、成分や効果が明確にデータで証明されています。また、長年にわたって多くの臨床試験や基礎研究をおこなっており、きちんとしたエビデンスがあることが強みです。そのため、自信を持ってお客様に提供できるものだと考えています。
ニンニクをもっと日常的な食材に!手軽に健康に
── お話を伺って、ぜひ日々の食事にニンニクを取り入れていきたいと思うのですが、ニンニクの1日の摂取量の目安を教えてください。
松下さん:一般的には生のニンニクで一片、約5g程度が目安とされています。料理に使う場合は、3〜4個、約10gくらいが適量です。あまり大量に食べると刺激が強すぎるため、適量を守ることが大切です。
ニンニク料理ですと、個人的にはガーリックライスが好きですね。匂いを気にされる方もいるかもしれませんが、私はニンニクを避けたりせず、気にせずおいしく食べています。
── 食べる際の刺激や食べたあとの口臭が気になる場合は、何か対策はありますか?
松下さん:そうですね、生ニンニクは消化器への刺激が強いため、胃腸の活動も弱まっている夜遅くにはあまり食べないほうがよいかもしれません。
匂い対策としてよく言われるのは、牛乳を飲むことです。牛乳に含まれているタンパク質がニンニクの匂いの成分を吸収してくれると言われています。また、コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールも同じように匂いを抑える効果があるとされているのでおすすめです。
──熟成ニンニク抽出液は、飲んでからどのくらいで効果が感じられるのでしょうか?
松下さん:個人差がありますが、飲み始めてすぐに身体が温まると感じる方もいます。実際に、手のひらや足の温度が上がることが確認されています。
「健常男性6名が熟成ニンニク抽出液1.6mlを服用」
出典:「薬理と治療、1994(22)、335-441」
私の体感ではあるのですが、毎日朝晩飲んでいるので、ふと飲み忘れた日には、あれ?なんか今日は疲れっぽいな?と感じたりします。
── 日頃から滋養強壮剤を愛飲されている人には、どのような人が多いですか?
松下さん:冷え性の方や血流改善を目的とする方が多いですね。女性だけでなく、男性の冷え性対策にも利用されています。弊社の社員も日常的に飲んでいる人が多く、正直、元気な人が多いです!
── 社員さんたちの元気が、効果の証拠ですね。
松下さん:世界のほかの国、たとえばイタリアでは、ニンニクは日常的な食材として親しまれていて、毎日のように食されています。しかし、日本では口臭を気にしたり、和食との相性もあまり馴染みがないこともあり、まだまだニンニクの消費量が少ないのが現状です。毎日ニンニクを食べるのは大変だと思うので、ぜひ弊社の熟成ニンニク抽出液を使って手軽に摂取していただければと思います!
編集後記
ニンニクが何千年も前のピラミッド建設の頃にも、活力源として人々に親しまれていたとは驚きでした。日本では仏教の教えという文化的な背景で、海外ほど頻繁に食べられていないなど、意外な真実も知ることができ、とても興味深かったです。さまざまな健康効果があるとのことですが、まだその仕組みは詳しく解明されていないとのこと。これからニンニクの健康効果がどんどん解明されるのが楽しみです。
※尚、本記事で紹介した内容は熟成ニンニク抽出液の研究成果を記したものであり製品の効果を示すものではありません。