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缶詰は栄養成分の損失が少ない?缶詰やレトルト食品の上手な活用方法とは【日本缶詰びん詰レトルト食品協会】

日々の食事の一助として活躍してくれている缶詰やびん詰め、レトルト食品。当たり前の存在だけどその栄養価や安全性って……?便利だからこそ知っておきたい、缶詰やびん詰め、レトルト食品のあれこれ。その歴史から技術の進化、生の食材との比較など、メリットが盛りだくさん!今回、日本缶詰びん詰レトルト食品協会の武田さんに詳しくお話を伺った。

武田 淳さん

公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会 常務理事 研究所所長

平成二年当時、社団法人日本缶詰協会であった研究所にて勤務。缶詰などの容器詰食品の一般的な食品と異なり、中身の食品が長期間の保存に耐えつつ、消費者の方に安心かつ美味しく食べていただくように設計されており、その容器詰食品の調査・研究に30年以上の間、携わっている。

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始まりは1800年代のナポレオン!缶詰はどのように進化を遂げてきたのか

──まず始めに、缶詰やレトルト食品はどのような調理やパッケージのプロセスで完成するのか、教えていただけますか?

武田さん:まず容器に食品を詰めたあと、加熱殺菌を行います。容器は、食品を安全に保つために非常に重要な役割を担っており、この過程を経ることで、食品だけでなく、容器にも含まれる微生物を殺菌し、菌のいない状態が作り出されます。この密封と加熱殺菌によってその安全性が完成するのです。

──缶詰はどのようにして考案・発明され、我々の生活に広まっていったのでしょうか。

武田さん:缶詰の歴史は、ナポレオンの時代にまでさかのぼります。ナポレオンが率いる軍隊が長期間の遠征に出た際、その当時までは食糧の確保は現地調達が一般的でした。しかし、冬場の食糧確保はやはり厳しいものがあり、乾燥品や酢漬けのもの、ヨーグルトを食することが多かったのですが、それでは栄養が偏ったり、病気の蔓延、士気の低下などがあり、そのような中、食品を長期保存する方法として缶詰が発明されました。

これが1861年のアメリカ南北戦争を機に、より広範囲に普及し始めました。その当時は蓋をハンダ付けする方法が主流でしたが、数はあまり作れなかったのですが、1897年により効率的な二重巻締技術が開発され、大量生産が可能となりました。

──二重巻締技術についても詳しく知りたいです。これはどのような技術なのでしょうか?

武田さん:二重巻締技術は、缶と蓋を物理的に折り曲げて接合する方法です。この技術により、缶と蓋がしっかりと密封されることで、空気や微生物の侵入を防いでくれます。この技術の開発によって、缶の生産速度も飛躍的に向上し、たとえばビール缶の場合、1分間に1000缶以上を製造することが可能になりました。

──そういえば、最近は缶切りを使うことなく簡単に開けられる缶がほとんどになった気がします。

武田さん:そうですね。多くの缶にはプルタブが付いており、プルタブに指で引っ掛けて蓋を引き上げるだけで簡単に開けられるようになっています。日本の容器メーカーはとくにこの点に力を入れており、いまでは缶切りが不要な缶がほとんどになりました。若い世代では缶切りを全く使用したことがない方も多くいらっしゃるようです。

便利なだけじゃない!安全で経済的、保存にも優れた缶詰、びん詰、レトルト食品

──缶切りを知らない世代が今後増えていくんですね!では、缶詰を使用するメリットを教えていただけますか?

武田さん:まず、経済的な面でのメリットが挙げられます。たとえば、鯖缶を例に考えると、市販されている鯖缶では一缶に通常、鯖一匹の半分程度が入っており、価格は200円前後です。これに対して、生の鯖を購入し家庭で調理すると、鯖一匹で4、500円かかることもあります。このように缶詰を使用することで、調理時間も含め、コストを大幅に削減できます。

次に、保存性の面です。加熱殺菌と完全密封により、缶内の微生物や酸素の侵入を防げるため、長期間保存が可能です。通常、製造から3年は品質を保つことができ、一部の防災食品などは5年の賞味期限が設定されているものもあります。

これらの点を踏まえると、缶詰はコストパフォーマンスが高く、安全かつ長期間保存が可能なため、日常の食生活はもちろん、非常食としても非常に役立つ食品です。

缶詰の正しい保存方法とは?

──経済的にも保存性でも優れているのは魅力的ですね。では、保存の際、気を付けることはあるのでしょうか?

武田さん:直射日光を避け、涼しい場所に保管することが重要です。夏季の直射日光では温度が非常に高くなるり,食品の劣化が早まります.同様にガスレンジの近くなどの暖かくなる場所は避けてください。

──最近は多様な缶詰が発売されていて、1缶で1つの料理をたのしめるものなどわくわくするものが多くなったと思います。

武田さん:缶詰の味が進化していますよね。これには技術的な進歩と製造過程の工夫によるものが大きいです。加熱殺菌が必要なため、原材料の選定に非常に注意が払われていて、たとえば、加熱に強い品種のジャガイモを選ぶなど、原材料自体が耐熱性を持つものが選ばれることが多いです。これにより、加熱しても食感や風味が損なわれにくいです。

また、メーカーは、各種スパイスや調味料を使って、缶詰特有の味わいを向上させています。とくに最近では、多様な料理ジャンルや国際的な味覚に合わせた缶詰が増えており、選ぶ楽しみも広がっています。

さらに、近年、キャンプ飯としての使用が増えていることも、味の進化に一役買っています。アウトドア活動中に手軽に美味しい食事を提供できるよう、より本格的な味わいを実現するための努力がされています。このように、家庭用の食材としてだけでなく、アウトドアや非常食としても高い評価を受けています。

──缶詰における食品添加物の使用について教えてください。安全性の面ではどうなのでしょうか。

武田さん:これには未だ多くの誤解があり、大量の保存料や殺菌料を使用しているために賞味期限が長いと思われています。実際は加熱殺菌で、長期保存が可能になっているため、保存料を添加する必要がないのです。

もちろん、製品によっては風味や食感を保持するために、たとえば加工でんぷんや調味料などが添加されることもありますが、これらは安全性が確認されており、食品衛生法などの厳しい規制の下で使用されています。そのため缶詰が安全であること、また、不必要な保存料は使用されていないことを多くの方にもっと知っていただきたいです。

また、原材料の選定から製造過程に至るまで、安全で高品質な商品を提供するための厳しい基準が設けられているなど、添加物を極力抑えつつも、製品の品質を保持する努力が続けられており、消費者の健康と安全を第一に考えた製品作りが行われています。

実は栄養成分が豊富?缶詰の意外な真実

──缶詰の栄養価について教えていただけますか?

武田さん:缶詰は、加熱殺菌と密封によって酸素を排除しているため、栄養成分が酸化によって失われることが非常に少ないです。とくに酸化に敏感なビタミンCなどの栄養素でも、缶詰の製造プロセスによってその損失は最小限に抑えられます。もちろん加熱による栄養素の一部の減少は避けられないものの、製品が市場に出る時点での栄養価は非常に高い状態が保持されています。

また、原料となる食材は、基本的にその旬の時期に大量に仕入れて加工されます。これにより、食材が持つ最大のおいしさと栄養を閉じ込めているのです。たとえば、夏に旬を迎える果物や冬の柑橘類などもそうです。つまり、缶詰は旬の食材を年中楽しむことができる食品なのです。

非常食という面はもちろんですが、日常的にも栄養価の高い食材を手軽に摂取できる方法として、多く利用されています。また長期間その栄養価の高さを保ち続けることができるため、健康的な食生活を支えてくれる食品です。

── たとえば、鯖缶といった魚の缶詰に含まれる栄養価はどうなのでしょうか。

武田さん:鯖缶には、とくにカルシウムが豊富に含まれています。これは、加熱殺菌されることで鯖の骨が柔らかくなり、そのまま食べられる状態であるためです。通常、魚を家庭で調理する際は骨を取り除くことが多いですよね。そのため、缶詰の鯖に含まれるカルシウム量は、生の鯖を家庭で調理した場合と比べてカルシウムの量が約10倍にもなるんですよ。

── カルシウムの量10倍!驚きの多さですね。他にも缶詰を利用することのメリットはありますか?

武田さん:缶詰は食材を前処理し、必要な部分だけを使用して製造されるため、家庭で調理する際に出るような皮や種などの生ごみが一切出ません。たとえば、みかんの缶詰の場合、皮や種を除去した状態で缶詰されているため、開封後はそのまま食べることができ、廃棄する部分がありません。これは、日常の料理では避けられない食材の廃棄を減らすことにも繋がりますし、とくに災害時などではゴミの処理が困難な状況で大きな利点となります。

食卓から趣味、非常時まで!進化し続ける缶詰、びん詰、レトルト食品

── レトルト食品についてもお伺いしたいのですが、レトルト食品は温めることなくそのまま食べても問題ないのでしょうか。

武田さん:はい、レトルト食品は開封後すぐに食べられる状態になっています。安全性の面から見ても、加熱せずに食べても全く問題ありません。とくに災害時には簡単に栄養を取る手段として、また保存が利くため非常に重宝されます。ただし、カレーやシチューのような油分が含まれる食品は、油が分離することがあるので、温めた方がより美味しくいただけます。

── キャンプなどのアウトドア活動で缶詰を使用する際に、注意すべき点はありますか?

武田さん:アウトドアで缶詰を使う場合、基本的には直火にかけることは避けるようにしてください。缶の内面には樹脂コーティングが施されているため、直火によって樹脂が溶け出したり、焦げたりする恐れがあります。とくに内容物が少なくなると高温で容器が破損する可能性が高まります。もし温めたい場合は、湯煎で温めるのが安全です。

── 保存食としての缶詰、瓶詰、レトルト食品の主なメリットについて教えてください。

武田さん:常温保存が可能で、冷蔵庫での保管が不要なため、スペースを節約できるだけでなく、電力を必要としないため、災害時など電気が使えない状況でも安心して保管できます。また、基本的に「開けてすぐに食べられる」もののため調理の手間もかかりません。また、品質が長期間維持されるため、賞味期限も通常の食品に比べて長く設定されており、災害備蓄用として家庭に常備しておくことで、いざという時に役立ちます。賞味期限が近くなったものから順に食べることで、ローテーションしながら管理してください。

── 保存食や災害食としておすすめの缶詰やレトルト食品はありますか?

武田さん:保存食としてとくにおすすめしたいのは、フルーツの缶詰やレトルトのカレー、パスタソースなどです。フルーツの缶詰はそのまま食べられる上に、栄養価が高く、デザートとしても楽しむことができます。また、レトルトのカレーやパスタソースは温めるだけで本格的な味が楽しめ、満足感が得られます。これらは「Ready to eat」のコンセプトが確立されており、忙しい時や災害時にも手軽に栄養を摂取できるため、非常に便利です。

── 缶詰を利用したアレンジレシピにおすすめはありますか?

武田さん:個人的に好きでよく食べているのが、焼き鳥缶を使った親子丼です。焼き鳥缶を軽く温め、その上に溶き卵を流し込んで、ご飯の上に乗せるだけで、とても美味しく簡単に親子丼が楽しめます。他にも、鯖缶を使ったパスタやサラダに混ぜるだけで栄養価が高く、手軽に一品増やせます。ひと手間を掛けると別の楽しみ方が得られると思います。

── 美味しそうですね!缶詰の中でも鯖缶はとくに人気がありますが、どういった方々がよく購入されているのでしょうか?

武田さん:山形県での消費量が多いと言われています。

── 山形県?それはなぜでしょうか?

武田さん:地理的な条件によるものが大きいと考えられます。山形県の山間部は、新鮮な海魚を手に入れるのが難しい地域の一つでした。そのため、保存がきく缶詰としての鯖を利用することが多いのです。鯖は栄養価が高く、手軽に摂取できるため、様々な場所での利用が促進されています。

──最後に、缶詰や瓶詰、レトルト食品の技術進歩、またこれから未来の展望についてどのように思われますか?

武田さん:たとえば、みかんの缶詰ってみかんの外の皮だけでなく薄皮まで剥けていますよね。あれは実は日本で開発されたものなのです。これにより、みかんの皮を効率的かつ衛生的に剥くことが可能になり、大量生産が現実のものとなりました。技術の進歩により、製品の質は向上し続けており、より多様な食材が使われるようになりました。

また、現代では、食の安全性と保存の便利さが求められていることもあり、ニーズにぴったり合っています。将来的には、さらに健康によい成分を強化した製品や、より環境に配慮したパッケージングが開発されることで、消費者にとってさらに魅力的な選択肢となるでしょう。また、グローバルな食品不足に対する解決策としても、これらの製品が重要な役割を担う可能性があります。

そのほかにも、包装技術の進化も顕著です。たとえば、従来のアルミパウチでは中身が見えないという問題がありましたが、最近では透明なパウチや電子レンジ対応の容器が開発されています。これにより、消費者は中身を確認でき、さらには直接加熱して食べることも可能になっています。また、便利で環境に優しい包装へとシフトしているのも大きな進歩です。たとえば、生パスタをそのままレンジで調理できるパッケージなど、使用後の環境負荷を考慮した製品が増えています。

編集後記
缶詰やレトルト食品の製造プロセスから歴史、技術革新、栄養価やその安全性など、想像以上の魅力を知ることができました。忙しい日々をサポートしてくれる、便利で美味しい食品としてだけではなく、安全で、経済的にも優しく、非常時にもぴったりな食品として、いろいろな場面で私たちの生活になくてはならない存在だと感じました。

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