天井に鏡を設置した、女性専用のマシンピラティススタジオ「Pilates Mirror(ピラティスミラー)」。コロナ禍をきっかけに誕生したこのブランドは、1回30分、少人数、駅近という通いやすさで支持を広げ、約5年で全国100店舗を突破した。
このブランドをゼロから立ち上げ、育ててきたのが、コナミスポーツで20年間、現場に立ち続けてきた小川さんだ。
「寝たままでは、自分の姿勢がわからない」。小川さんが初めてピラティスを体験したとき、一人の初心者として感じた小さな違和感。その気づきが、やがて天井ミラーというブランドの象徴へとつながっていく。
ピラティスミラーを育ててきた小川さんの言葉から、ブランドの舞台裏と、その根底にある仕事観をひもとく。

小川 耕二さん
日常を見失った時代に、前を向ける場所をつくりたかった

── まず、ピラティスミラーのブランド責任者になった経緯や、これまでのキャリアについて教えてください。
小川さん: 私はもともと、コナミスポーツクラブで施設の支配人をしていました。
その後東京エリアを統括する立場になったりと、約20年現場にいたのですがコロナ禍が大きなきっかけでそこから本社勤務になりました。
── 20年現場に立ち続けてきた小川さんにとって、ゼロから新しい事業を考えるには、まさに未知の挑戦だったのですね!
小川さん:そうですね。まずは、「何をやるのか」を考えるところからスタートしました。
コナミスポーツクラブのような総合型スポーツクラブは、ジムやプール、サウナ、スクールなど、さまざまなサービスを一つの施設で提供しています。
でも、コロナ禍では、これまでのやり方をそのまま続けることが難しくなりました。ある意味、ゼロから考え直さなければならなかったんです。
当時は、誰もが不安を感じる中で、日常の過ごし方を見失っていました。だからこそ、私たちにできるのは、少しでも前を向ける場所をつくることではないかと考えたんです。
初心者には入りづらかったピラティスを、もっとカジュアルに

── 「私たちは何ができるのか」と考えた先に、ピラティスという選択肢があったのですね。なぜピラティスを選んだのでしょうか?
小川さん:当時、韓国でピラティスがかなり注目され始めていたんです。世界的に人気のある韓国アーティストの方々が、トレーニングの一環でマシンピラティスを取り入れている動画が注目されるなど、日本でもこれから伸びる可能性があると感じていました。
ただ、当時の日本ではピラティスというと、「初心者には入りづらい」「マンションの一室で高額」「少し緊張する」というイメージもあったんです。
そのイメージを変え、もっと気軽に利用いただける形で、お客様に提供できないかと考えました。
── すでにあるピラティスをそのまま広げるのではなく、初心者でも入りやすく、日常の中で続けやすい形に変えようとされたのですね。
小川さん:そうですね。当時の初期メンバーは、私を含めて3人だけで、現在のブランドの形をつくるまでには、約8ヵ月かかりました。
その3人で、実際にいろいろな街に出て、歩きながら考えていきました。街の雰囲気や、そこに暮らす人の様子を見ながら、「どんな場所なら通いやすいだろう」「どんな空間なら安心して入れるだろう」と話していたんです。
コロナ禍という状況もあり、少人数制であることは欠かせない条件でした。さらに、忙しい女性でも、限られた時間の中で無理なく通える場所にしたいという思いがありました。
そうした考えを一つひとつ形にしていった先で生まれたのが、現在のピラティスミラーです。そして、そのブランドの象徴になったのが「天井の鏡」ですね。
初心者だったからこそ生まれたアイデア

── ピラティスミラーの象徴である「天井の鏡」は、どのように生まれたのでしょうか?
小川さん:ピラティス事業をやると決めたころ、私自身はピラティスの経験がまったくなくて。
まずは一度受けてみようと思い、都内のスタジオを借りて、先生に来ていただいて体験したんです。リフォーマーという専用マシンに寝ながら身体を動かしていると、「右手はもう少しこうです」「左手の角度が違います」と言われるんですね。
でも、寝ているので、自分の手や足がどの角度になっているのかわからないんです。
── 自分の身体が今どうなっているのか確認できないのは、なんだかもどかしいですね。
小川さん:そうなんです。たまたまそのスタジオには、鏡がついている場所がありまして。それで先生にお願いして、リフォーマーを少し動かし、鏡が見える位置でやらせてもらったんです。
鏡を見ながら動いてみると、「確かに、自分の右手の位置が少し違うな」「足の角度がずれているな」とわかりました。そのときに、「これは使える」と思ったんです。
── ご自身が一人の初心者として体験したからこそ、気づけたことなんですね。
小川さん:はい、まさに現場での気づきでした。頭の中で考えたアイデアというより、自分が実際に体験してみて感じたところから始まっています。

「見えなくて困るんだったら、鏡があればいい」。すごくシンプルなんですけど、その実感がブランドの原点になりました。
反対された天井ミラーが、ブランドの象徴になるまで

── ご自身の体験から生まれた天井の鏡ですが、このアイデアは、最初からすんなり受け入れられたのでしょうか?
小川さん:いえ、大変でしたね。このアイデアを持ち帰って、ピラティスに詳しい方々と意見交換をしたのですが、全員に反対されました。「ピラティスは、そういうものではない」と。
── それでも天井に鏡をつけることを貫いたのは、小川さんご自身に「これならわかりやすい」という実感があったからなのでしょうか?
小川さん:そうですね。私が目指していたのは、従来のピラティスを否定することではなく、その魅力をもっと多くの方に届けることでした。
リフォーマーには、木のあたたかさや、少し特別な場所に来たような上質感があります。その雰囲気は大切にしながら、初めての方でも「今、自分の身体がどう動いているのか」がわかるようにしたかったんです。
天井に鏡をつけることは、ピラティスを難しいものにするためではなく、むしろ初心者の方の不安を減らすための工夫でした。
それに、ブランドとして考えたときにも、ピラティスミラーらしさを一目で伝えられる、大きな特長になる。そう確信していました。
── 反対を押し切ったというより、小川さん自身が体験した「寝ていると見えない」という困りごとを、わかりやすさに変えようとされたのですね!
小川さん:そうですね。ブランドならではの象徴として、この天井ミラーは特許も取得しています。ただ、私たちが大切にしたかったのは、天井ミラーだけではありません。
コロナ禍だったこともあり、安心して受けられる少人数制であること。1回30分で、すき間時間にも通えること。空間をできるだけシンプルにすること。
さらに、汗もそこまでかかないので、着替えスペースは最小限にし、シャワーも設けませんでした。とにかく、「手間なく通えること」を大切にしたんです。
「手間なく通える」ことを徹底的に考えた

── 実際には、どんなふうに通ってもらうことをイメージされていたのでしょうか?
小川さん:たとえば、二子玉川の店舗でいえば、冬はレギンスの上にロングのダウンを羽織って、スマホと飲み物だけを持って来店されるお客様も多いんです。
入口でスマホを使ってチェックインして、ダウンを脱いだら、そのままレッスンが始まって、30分後に終わったら、またダウンを羽織って帰っていく。ものすごく効率がいいんですよ。
── たしかに、それなら「ジムに行くための準備」をしなくても、生活の流れのなかで楽に通えそうです。着替えや身支度の負担が少ないことは、忙しい女性にとって大きな安心感になりますね。
小川さん:そう思います。女性の場合、一度シャワーを浴びると、そのあとまた身支度を整えなければいけない方も多いと思います。
だからこそ、本当に気軽に、初心者の方にも来ていただけるものを提供したかったんです。
実際に、「天井のミラーがあってやりやすかった」「少人数でよかった」「荷物いらずでよかった」といった声をいただくこともあります。
私たちが最初に考えて設計したことが、お客様の言葉として返ってくる。そこに、ブランドの価値がしっかり届いていることを実感できると、とても嬉しくなりますね。
── 最初に大切にしたことが、お客様の声として返ってきているのですね。そうした積み重ねが、100店舗という広がりにもつながっているのだと感じます。
小川さん:ありがとうございます。2026年6月に、100店舗目となるピラティスミラー 目白がオープンしました。
実は、ちょっと変なこだわりがありまして。私、昭和の人間なので、「大安に開業する」というのを大切にしており、ピラティスミラーは、100店舗すべてを大安の日に開業しています。
これは私が責任者として、これから店舗を増やしていく際も、徹底的にこだわっていきたいところです。
100店舗の裏側にあった、地道な検証

── お話を伺うと、1店舗ずつ丁寧に積み重ねてこられたことが伝わってきます。成長の過程で、とくに大きかった転機はありましたか?
小川さん:新しいブランドを立ち上げるときには、まず少ない店舗数でビジネスモデルを検証することが大事だと言われています。いわゆる「3店舗を2年間かけて検証する」という考え方ですね。
私たちもその考え方に則って、最初の数店舗をとても丁寧に見てきました。2年ほど経ったころに、「このブランドは絶対にいける」とわかったんです。そこがひとつの転機でした。
── 一気に広げたのではなく、まずはビジネスとして成り立つのかを、最初の数店舗で慎重に確かめていたのですね。
データだけでは、出店しない

── そこから店舗を増やしていくうえで、出店する場所はどのように見極めていたのでしょうか?
小川さん:出店するときには、もちろん定量的なデータも見ます。その街にターゲットとなる方がどれくらいいるのか、競合のジムはどれくらいあるのか、治安はどうか。そういった出店基準はあります。
でも、数字だけで出店を決めるなら、誰でも同じ判断になってしまうので、「データだけでは測れない部分」がとても重要だと感じています。
── 数字だけではわからない、その街の空気や、そこに暮らす人の流れを見ているということですか?
小川さん:そうですね。私たちは実際に街へ行って、駅周辺の人流(人々の動きや流れ)を測りました。
「15分間の人流を数えて4倍する」というやり方もあるのですが、私たちは、しっかり1時間、その場に立って人の流れを見るんです。
朝の通勤時間に1時間。それから夜も同じ場所へ行って、帰宅時間の流れも見ています。
また、数だけでなく、歩いている方の雰囲気や生活感も見ていました。どんな方がその街を歩いているのか、どんな空気があるのか。そういうものを、肌で感じながら見ていくんです。
── 出店のために街を見るうちに、街そのものへの感度も磨かれていきそうです!
小川さん:そうかもしれません。物件開発を通じて、街を歩くのが以前より好きになりました。今は1日1万歩以上歩くようにしていて、「今日は足りないな」と思ったら、一駅手前で降りて歩くこともあります。
そうすると、「このおしゃれなパン屋さんは何だろう」「この看板、センスいいな」とか、いろいろな発見があるんです。それが、めぐりめぐって、ブランドづくりにもつながっているのかなと思います。
── 数字を見るだけでは得られない実感が、出店判断やブランドづくりの土台になっているのですね。
小川さん:数字だけでは見えない部分を、街に立って地道に確かめ続けてきたことが、まさに肝だったと思います。「順調に成功しているね」と言っていただくこともありますが、実際は、かなりハラハラしていましたよ(笑)。
「ここで働きたい」と思われるブランドへ

── 店舗を増やしていくうえでは、出店する場所だけでなく、そこでレッスンを担当するインストラクターの方々の存在も大切になりますよね。
小川さん:そうですね。インストラクターの存在は、とても大きいです。今、数百人ほど在籍していますが、インストラクターの採用競争はかなり激しくなっています。
そのなかでも、ここまで多くのインストラクターの方に関わっていただいている理由の一つとして、開業当初から研修体制を整えてきたことがあると思います。5年前の開業時に考えていたことが、形になってきているなと感じます。
そして、多くのインストラクターの方に「ピラティスミラーで働きたかった」と言っていただけること。そこに、ブランドの価値を感じています。
── お客様に選ばれるだけでなく、働く方からも「ここで働きたい」と思われることが、ブランドの力になっているのですね。
小川さん:そう思います。だからこそ、お客様だけでなく、インストラクター、本社で支えてくれているメンバー、取引先の方々も含めて、関わるすべての方に「ピラティスミラーと仕事をしてよかった」「楽しかった」と思っていただけるようにしたいんです。
── 働く側であるインストラクターの方にとっての魅力は、どのように設計されているのでしょうか?
小川さん:弊社では、基本的には連続してレッスンに入れる環境を整えています。そうすると、限られた時間で働きたい方でも、短時間で効率よく働けます。
それから、研修費用はすべて無料です。所属している方には、時給をお支払いしながら、ピラティスミラー独自の認定を取得してもらっています。
── 働く時間の組み方や研修の負担まで、インストラクターの方にとって続けやすい仕組みを整えているのですね。
小川さん:そうですね。ただ、それだけでは、長く選ばれるブランドにはならないと思っています。インストラクターの方に「ここで働きたい」と思っていただき、お客様に「また通いたい」と思っていただくための、根底にあるのは現場の品質です。
私のなかでの品質は「接客」「指導」「施設」「サービス」の4つです。接客や接遇はどうか。指導力はどうか。施設はきれいに保たれているか、においはどうか。サービスとして、レッスン内容はきちんとブラッシュアップされているか。
この4つに、社員もインストラクターもこだわってくれているから、ここまで来られたのだと思います。
品質を守るために変わり続ける

── 品質を守る姿勢は開業当初から変わらないと思います。一方で、この5年間で変えてきた部分や、ブラッシュアップしてきた部分はありますか?
小川さん:たとえば、リフォーマーは、マシンピラティスを提供するうえで欠かせないものだからこそ、質にはずっとこだわってきました。
いろいろな商社さんと打ち合わせをしながら、価格を抑えながらも、強度が高く、安心して使えるものを追求し、これまでに数回見直しました。
── 何回も見直しているのですね。お客様からは見えにくい部分にも、かなり細かく手を入れているのだと感じます。
小川さん:そうなんです。実は、シートの色も少しずつ変えています。基本はモカのような色味ですが、この空間に一番合うのはどんな色なのかを考えながら、ブラッシュアップしてきました。
一つひとつのレッスン内容も半年ごとに見直して、お客様が飽きずに続けられるように工夫しているんです。
それから、空間もそうですね。最初は造作物などをかなり作り込み、しっかり設計する案もありました。でも、私はもともとシンプルなものが好きなので、最終的には余分なものをそぎ落としていったんです。
── マシン、色、レッスン、空間。一度決めたら終わりではなく、よりよい形を探し続けているのですね。
小川さん:そうですね。少人数制の規模についても、同じように検証を重ねてきました。何台までなら、満足していただける質を提供できるのか。6台、9台、12台と、少しずつ試してきたんです。
今は、最大14台の店舗もありますが、台数が多いからといって、ただ人数を増やせばいいわけではありません。お客様に満足していただける品質を守れるかどうか。そこを大切にしながら、店舗ごとの最大人数を決めています。
30分でも、自分のための時間を持ってほしい

── お話を伺っていると、ピラティスミラーは「通う人がどう感じるか」を本当に細かく考えてつくられているのだと感じます。そうしてブランドを育てていく中で、小川さんご自身の価値観や考え方に変化はありましたか?
小川さん:女性専用のピラティススタジオを運営するようになってから、女性の暮らしや悩みに対する理解は、以前より深まったと思います。
もちろん、自分ではわかっているつもりでいました。でも実際には、子育て中の方の大変さや、自分のための時間を持つ難しさを、十分にはわかっていなかったのだと気づいたんです。
身近な人に対しても、仕事で関わる方に対しても、以前より優しく、協力的に向き合えるようになった気がしています。
── ブランドをつくることが、サービスだけでなく、小川さんご自身の人との向き合い方にもつながっていったのですね。
小川さん:そうですね。30分だけでもいいから、自分のための時間を大切にしてほしい。それが、私がブランドに込めている思いのひとつです。
たとえば、ピラティスミラー 二子玉川ですと、隣にコナミスポーツクラブ 二子玉川があるので、お子さまをスイミングスクールに預けている間に、ここで30分ピラティスを受けて、迎えに行って帰る。そういう使い方もできます。
── 「30分」という短さは、単なる効率のよさではなく、忙しい人が自分の時間を取り戻すための設計でもあるのですね。
小川さん:そうですね。自分のためだけに使える時間って、なかなか持てない方も多いと思います。だからこそ、30分でもいい。
ここに来ることで、自分の身体に向き合ったり、少し気持ちをリセットしたりする時間を持っていただきたいんです。
── ピラティスを「自分の身体に向き合う時間」として届けたいという思いは、小川さんご自身の実感にもつながっているのでしょうか?小川さんご自身も、今もピラティスを続けられているのですか?
小川さん:はい。自分自身も、ピラティスというものを常に身体で感じておく必要があると思っているので、定期的にレッスンを受けるようにしていますね。
私はゴルフをするのですが、ピラティスを始めてから、体幹がよくなりましたし、飛距離も伸びました。自分自身の身体でも変化を感じているからこそ、ピラティスの良さを、もっと気軽に、わかりやすく届けていきたいと思っています。
未来に残る場所をつくる

── 100店舗を展開してもなお、「数を増やせばいい」という考えではないと感じました。これから、どのようにブランドを広げていきたいですか?
小川さん:おっしゃるとおり、数が多ければいいということではありません。これからも、地域ごとにどんな方に必要とされるのかを見極めながら、丁寧に広げていきたいと考えています。
すでに表に出ているニーズだけではなく、まだご本人も気づいていない思いに届くサービスをつくりたいんです。「本当は、こういう時間がほしかった」。そう感じていただけるような場所を、もっと増やしていきたいですね。
── ご自身でも気づいていなかった「ほしかった時間」に出会える場所を増やしていくということですね!
小川さん:はい。また、一部の方だけではなく、全国のさまざまな方と接点を持ちたいと思っています。
もちろん、事業として成り立たせることは大切です。ただ、常にお客様の利便性を念頭に置きながら、サービスを広げていきたいです。
ピラティスミラーのほかにも、2年前に30分のパーソナルジム「Personal 30」を立ち上げています。いろいろな形で、暮らしの中にある小さな不便や、「あったらいいな」に応えていきたいですね。
── ピラティスミラーにとどまらず、新しいサービスを立ち上げ続ける原動力は、どこにあるのでしょうか?
小川さん:やはり、「まだ必要な人に届いていないものがある」と感じるからだと思います。
誰かがすでに言葉にしているニーズだけを追いかけるのではなく、日々の暮らしの中で見過ごされている小さな不便や本音に目を向けておくことが大切で、そこにきちんと寄り添えるサービスをつくることが、私にとってのブランドづくりなのだと思います。
「これなら勝てる」道筋をつくる

── 開業して終わりではなく、必要としている方に届き、地域に長く残る場所をつくる。その考え方は、小川さんご自身の仕事観にもつながっていますか?
小川さん:そうですね。私は、仕事においてプロセスはとても大事だと思っています。ただ、「結果が出なくても、プロセスを評価する」という考え方とは少し違うんです。
部下にただ頑張ってもらうのではなく、「これなら勝てる」と思える道筋を立てて、走らせてあげることが大切だと思っています。
そもそも、結果につながらない道を走らせてしまっているなら、それは上司の設計が足りなかったということでもあると思うんです。もちろん、ビジネスなので絶対に成功するとは言い切れません。
それでも、上司も部下も含め、チーム全員が「私たちはこれで勝てる」と思って取り組み、結果につなげていく。それが、私にとってのプロの仕事だと思っています。
── ただ努力するのではなく、結果につながる道筋をつくる。その姿勢は、ピラティスミラーのブランドづくりにも重なりますね。
小川さん:そうですね。1人の初心者として「寝たままではわからない」と感じたところから、ピラティスミラーは始まりました。
その小さな気づきを、天井ミラーや30分レッスン、手間なく通える仕組みに変えてきた。今は、それをいろいろな方の「自分のための30分」に変えていきたいと思っています。
そして、その場所を一時的なブームで終わらせるのではなく、地域に長く残していきたい。それが、私のやりたいことなんだと思います。
Wellulu編集後記
小川さんのお話から伝わってきたのは、忙しい女性が、ほんの少しでも自分の身体に向き合える時間をつくりたいという思いでした。
寝たままでは自分の姿勢がわからない。シャワーを浴びると、また身支度を整えなければいけない。子育てや仕事で、自分だけの時間がなかなか取れない。
そうした一つひとつの小さな不便や本音をすくい上げた先に、天井ミラーや30分レッスン、荷物いらずの設計が生まれているのだと思います。
小川さんのお話を伺いながら、ブランドをつくることは、目新しいサービスを立ち上げることだけではなく、まだ言葉になっていない「本当はこうしたかった」に気づき、形にしていくことなのだと感じました。
入社後、施設責任者を経て2016年から関東エリアを統括。2020年に新業態開発室に着任し、2021年6月にPilates Mirrorの1号店「Pilates Mirror 二子玉川」をオープン。