
全身の筋肉量の約10%を占め、太ももの内側に位置する「内転筋」。下半身を強化でき、姿勢やぽっこりお腹の改善など嬉しい効果が多い。この記事では、内転筋を鍛えることで得られる効果、隙間時間に自宅で簡単にできるものからマシンを使った本格的な筋トレメニューを紹介。また、筋トレ効果を高めるストレッチのやり方も解説。
この記事の監修者

おぜき としあきさん
パーソナルトレーナー
内転筋とは?
- 内転筋は「太ももの内側」の筋肉
- 内転筋の役割
内転筋は「太ももの内側」の筋肉
内転筋は太もも内側に位置し、長内転筋、短内転筋、大内転筋、小内転筋、恥骨筋の5つの筋肉が層状に重なり合う形で構成されている。恥骨から大腿骨内側にかけて広がり、太ももの内側部分を覆うように広がっており、表層から深層まで異なって走行していることにより、多角的な動きを可能にしている。
また、内転筋は日常生活ではあまり使用されない筋肉。人間はまっすぐ前に進む動作が多く、横へのカニ歩きのような動きをしない限り内転筋を十分に働かせられない。とくにハイヒールを履く習慣がある女性は太ももばかりを使って歩くため、内転筋を使用する機会がより減少するので注意が必要。
内転筋の役割
脚を内側に寄せる動作を支える内転筋は、歩行時の安定性を確保するのに重要な筋肉。片脚立ちや歩行時の脚の振り出しをおこなう際に、骨盤から足首までの安定性を支えており、ジャンプやキックの際の力強い動きを生み出すためのパワー源にもなっている。スポーツの動作では、素早い方向転換や急停止といった動作を支えている。
内転筋を鍛えることで得られる効果
- バランスのベースとなる「姿勢の改善」
- 下半身が引き締まり美脚が手に入る
- 基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
- 下腹部がスッキリしぽっこりお腹の予防になる
- 股関節が安定し運動パフォーマンスが向上する

バランスのベースとなる「姿勢の改善」
姿勢の悪さは内転筋の弱さが原因となることも多く、内転筋が弱いと身体が内側に入り込む傾向に。内転筋を鍛えると身体が自然と開いていき、全体的な姿勢が改善される。姿勢を改善したい場合は、背中の筋肉だけを鍛えるよりも内転筋も含めてバランスよく筋肉をつけることで、姿勢だけでなくO脚の改善にもつながる。
下半身が引き締まり美脚が手に入る
内転筋を鍛えると太もも内側のたるみが解消され、横から見ても美しいシルエットになりやすくなる。ただ脚を細くするだけでなく、下半身のラインがすっきりしていくのも内転筋トレーニングの魅力のひとつ。
基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
内転筋は全身の筋肉量の約10%を占めており、鍛えることで太もも全体の筋肉も刺激できるため効率的な基礎代謝アップにつながる。筋肉量が増えると日常生活における脂肪燃焼が促進され、痩せやすい体質に。
下腹部がスッキリしぽっこりお腹の予防になる
内転筋は下腹部の筋肉と密接に関係しているため、内転筋を鍛えることで骨盤底筋群が活性化される。内臓を支える力が向上すると、下腹部のたるみを予防につながるほか、コアの筋肉強化やウエストラインを美しく整えられるようになる。
股関節が安定し運動パフォーマンスが向上する
内転筋は股関節の安定性を高める上で重要な部分であるため、鍛えることで脚の可動域が広がり、より効率的な身体の使い方が可能になる。股関節が安定することで、ランニングやジャンプといった運動時のパフォーマンスが向上すると同時に怪我の予防にもつながる。
【隙間時間活用】台所で「ワイドスクワット」
- 脚を肩幅より広く開き、つま先を外側に向ける
- 上体を床に対してまっすぐ垂直のまま、お尻を真下に下ろす
- 足の裏全体を使って、ゆっくりと立ち上がる
「ワイドスクワット」は効果的に内転筋を鍛えられるトレーニングの一つ。台所などの立ち仕事をしながらでもおこなえる簡単なトレーニング方法のため、隙間時間を活用しておこなおう。
コラム:他にスキマ時間でできるトレーニングは?
シンプルな「カニ歩き」も内転筋に効果的だが、自宅ではスペースも限られている。そのため、補助的ではあるが立ちながらペットボトルを脚に挟むトレーニングもおすすめ。脚を閉じる動作は主にお尻の筋肉を使用するが、内転筋もサポートとして働く。
【負荷をかけたい人向け】ジムでの内転筋筋トレメニュー
- アダクション
- ケーブルアダクション
- レッグプレス

アダクション
アダクションマシンでは座位の状態で両脚を内側に寄せる動作により、内転筋を集中的に鍛えられる。マシンによるサポートがあるため、初心者でも正しいフォームを維持しやすく、安全に内転筋を鍛えられる。
- 背中をシートにつけてしっかり座り、脚を開いた状態でひざをパッドにあてる
- グリップを握ったらゆっくりと脚を閉じる
- 脚を閉じ切ったら1〜2秒ほどキープする
- ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
ケーブルアダクション
ケーブルマシンを使用した「アダクション」は、立位でアタッチメントを足首に装着し、脚を内側に引き寄せるトレーニング。ケーブルの角度を変えることで、様々な方向からの刺激を与えられる上、バランスを取りながらおこなえるので体幹も同時に鍛えられる。
- ケーブルの高さを足首の高さに設定し、足首用のアタッチメントを片方の足首に巻く
- ストラップをつけた方の脚を内側に引く
- 1〜2秒ほどキープする
- 反動を使わず、ゆっくりと脚を戻す
- 同じ動作を繰り返す
レッグプレス
レッグプレスマシンでは足幅は広め、足の位置を低めにセットし、つま先を30度ほど外側に向けるとしっかりと内転筋を刺激できる。プレート部分を押し出す際は、膝が外側に開かないように注意しよう。
重たい重量でも通常のスクワットと比べ、腰への負担は小さく、安全に鍛えられる。
- ひざの角度が90度になるようにシートの位置をセットする
- 足を肩幅程度に開き、背中とお尻をしっかりとシートにつける
- ひざを伸ばしながら、完全に伸び切る一歩手前までゆっくりと押し上げる
- ひざを曲げてゆっくりと戻す
- 同じ動作を繰り返す
3分でできる内転筋の自宅筋トレプランを編集部が体験!
忙しい人でも3分でできる内転筋の筋トレプランを編集部の男性が体験してみた。

30代半ばの男性Yさん
学生時代は運動部に所属。普段は在宅ワークで仕事をおこなっており、最近は運動不足気味。
とくに印象に残っているトレーニングは「カエルジャンプ」。このトレーニングは座ってるときに内転筋を使用しているように感じた。ジャンプは身体全体を使ってトレーニングするので、有酸素運動にもなった。
内転筋のストレッチは監修者のおぜきさんおすすめのストレッチ。椅子を使って内転筋を伸ばしていく。

わずか3分でしたが、内転筋を集中的に鍛えることができたようにに感じます。普段仕事で忙しいですが、3分なら生活の中に取り入れられそうです。
筋トレと一緒に考えたい食事管理のポイント
タンパク質は筋肉の材料となる重要な栄養素。「体重1kgあたり1.6g程度」の摂取がおすすめされているが、実際にどのくらいの量なのだろうか?
ここでは編集部が実際に1日の食事でどの程度タンパク質を摂取しているのか計測してみた。
- タンパク質の量は「体重1kgあたり1.6g程度」
- タンパク質を十分にとれる食事を編集部が検証してみた!
タンパク質の量は「体重1kgあたり1.6g程度」
腹筋が割れて見える状態にするには脂肪を落とす必要があるため、筋トレだけでなく、適切な食事管理も不可欠。体脂肪率を下げるためには、タンパク質を十分に摂取しながら、総摂取カロリーを適度に制限することが効果的。
1日のタンパク質摂取量は体重1kgあたり1.6g程度を目安に設定し、脂質と糖質のバランスにも配慮すること。また、野菜を積極的に摂取することで、ビタミンやミネラルを補給しながら、満腹感も得られる。
下記は体重ごとのたんぱく質量の目安を表にまとめたもの。これを参考に自分の体重に適したたんぱく質を摂取しよう。
体重(kg) | 45kg | 50kg | 55kg | 60kg | 65kg | 70kg | 75kg |
タンパク質(g) |
72g | 80g | 88g | 96g | 104g | 112g | 120g |
タンパク質を十分にとれる食事を編集部が検証してみた!
今回「体重1kgあたり1.6g程度」のたんぱく質がどれくらいの量になるのか検証するために、編集部の20代の女性の一日の食事をチェックしてみた。

20代前半の女性Uさん
学生時代は運動部に所属。実家に住んでいるため、朝夜は栄養バランスの整った食事をとれることが多いが、昼ごはんは栄養バランスが偏りがち。
今回はタンパク質量を気にしながら、朝昼夜すべてUさんがご飯をセレクトした。とくに気をつけたのは夜ごはん。タンパク質量も気にしつつ、きんぴらごぼうや野菜の味噌汁など、栄養バランスも重視して食事を選んだ。

今回80gのたんぱく質が必要でしたが、目標摂取量に達するのはギリギリのラインでしたね。

何も考えずに食事をすると意外とタンパク質が取れないんだなと実感しました…。
また、ゆで卵のたんぱく質量の多さを実感しました。今回は食べていませんが、サラダチキンもタンパク質量が多いので、この二つは手軽に摂取できていいなと感じました。

今回メニューに入っていた納豆は植物性タンパク質なので注意が必要です。日本人を含むモンゴロイド系の人種は植物性タンパク質の吸収効率が悪く、最大でも40%程度といわれています。そのため、実際のタンパク質摂取計画を立てる際は、納豆や豆乳などの植物性タンパク質は計算に入れずに、動物性タンパク質(肉・魚・卵など)を中心に考えるのがおすすめです。
内転筋の筋トレに関するQ&A
どのくらいで身体に変化がみられるようになる?
A:2〜3ヶ月程度

トレーニング中に内転筋がつりやすい場合はどうしたら?
A:つった場合はトレーニングをやめて水分補給する

内転筋が痛い場合は筋トレはしないほうがよい?
A:休養して痛みがなくなってから再開する

女性が内転筋を鍛えるときの注意点は?
A:鍛えすぎると太くなってしまう

トレーニング器具を使ったトレーニングの方が効果は高いの?
A:高くなることもある

トレーニング器具を使用する利点は、運動がやりやすくなることです。マシンの場合は軌道が決まっているので、筋力がなくてもフォームを維持してトレーニングしやすくなります。
ただし、筋トレの効果は筋肉は重さに反応する性質があり、マシンはフリーウェイトよりも負荷がかかりにくいという特徴があります。効果を高めるという点では、ダンベルやペットボトル、カバンなどの重りを使うのがおすすめです。
内転筋と一緒に鍛えた方がいい筋肉は?
A:お尻の中臀筋・小臀筋・梨状筋

青山学院大学在学中の1988年から指導をスタート。指導歴30年で女優、役者、アイドル、女子アナ、ミスワールド日本代表モデル、プロサーファー、新体操選手などのスポーツ選手なども含め20000人超の指導を経験。2003年OZEKIパーソナルトレーナー養成スクール(現Shapesアカデミー)開設。2005年Shapes(現ShapesGirl)を東京渋谷に開設。メディア出演のほか、「腹凹は太もも運動でつくれる 1日3分週3日でOK!」(SBクリエイティブ)「5秒姿勢矯正ダイエット」(マガジンハウス)など多数の著書を執筆。