
二の腕が太さやたるみが気になるから「二の腕痩せをしたい」「今よりたくましい二の腕をつくりたい」など、二の腕周りの筋トレに興味を持っている人も多いはず。
この記事では、二の腕が太くなってしまうおもな原因や引き締めるコツ、二の腕痩せや二の腕の筋肥大をしたい人向けの筋トレメニューなど紹介。二の腕のトレーニングを本格的に始めたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

おぜき としあきさん
パーソナルトレーナー
二の腕が太くなる原因
- 姿勢の悪さ
- むくみ・血行不良
- 運動不足による筋力低下
- 皮下脂肪の蓄積
- 加齢による皮膚のたるみ

脂肪は二の腕だけピンポイントで落とすことはできず、全体的に落ちていきます。大きい筋肉を鍛えると筋肉量が増えて脂肪を燃焼しやすくなるので、脚やお尻、背中、胸など大きな筋肉を動かす運動と腕の筋トレを組み合わせましょう。また、脂肪をある程度落とした上で二の腕に筋肉をつけると、くびれが生まれて細見えします。
姿勢の悪さ
デスクワークやスマートフォンの使用など、長時間同じ姿勢を維持することで、肩周りの筋肉が凝り固まり、二の腕にも影響が。とくに肩が内側に巻き込まれる「巻き肩」と呼ばれる姿勢は、二の腕の太さを強調してしまうほか、肩まわりの血行を悪くして肩こりなども助長してしまう。
むくみ・血行不良
長時間のデスクワークや運動不足は、二の腕周辺の血液やリンパ液の循環を悪くし、むくみを誘発する。また冷房による冷えや、タイトな服装も血行不良の原因となり、二の腕周辺の巡りの悪さを助長することにもつながる。
運動不足による筋力低下
日常生活での腕の使用頻度が減少すると筋力は低下してしまう。筋力や筋肉量が減少すると腕のたるみの原因になることも。とくに上腕三頭筋の筋力が落ちると、二の腕のハリが失われ、たるんだ印象を与える。
皮下脂肪の蓄積
偏った食事や運動不足により、二の腕周辺に過剰な皮下脂肪が蓄積し、太くなってしまう原因に。とくに糖質や脂質の過剰摂取は脂肪蓄積を促進する原因に。女性は女性ホルモンの影響で、二の腕に脂肪が付きやすい傾向も。

二の腕のセルライトが気になる場合は、血行をよくするようなトレーニングも取り入れましょう。筋トレの中でも大きな動きをするトレーニングがおすすめです。
加齢による皮膚のたるみ
加齢とともにコラーゲンやエラスチンの生成量が減少することで、皮膚のハリや弾力が失われ、たるんでブラブラした印象の二の腕になることも。また、紫外線による肌ダメージも、皮膚の老化を加速させる大きな要因であるため、日焼け対策は意識しよう。

加齢に伴う筋肉の減少や皮膚のたるみの対策をする場合は、コツコツと運動習慣を身につけていくことが大切です。限界まで追い込む100点満点の運動を週1回行うよりも、「物足りない」と感じる50点程度の運動を多めの頻度でおこなうのがおすすめです。
追い込むような完璧な筋トレは、そのきつさから足が遠のいたり、コンディションを整えようと気構えして頻度が少なくなりがちになります。筋肥大を目指すわけではないので、気負わず楽にトレーニングを楽しむところから始めましょう。
二の腕の筋肉の構造
二の腕のトレーニングをはじめる前に、まずは二の腕の筋肉の構造をおさえておこう。二の腕を構成する主要な筋肉は下記の2つに分けられる。
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
上腕二頭筋
上腕二頭筋は二の腕の表側に位置する筋肉。長頭と短頭の2つの筋束から構成され、それぞれが肩甲骨から前腕まで伸びている。ひじを曲げる動作を支えており、腕を持ち上げる、物を引き寄せるなど、日常生活での基本的な動作には不可欠。
また、腕のカーブラインを形成する重要な筋肉で、見た目の印象にも大きく影響する。プルアップやダンベルカールなどといった「引く動作」により鍛えられる。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は二の腕の裏側に位置する筋肉。長頭、外側頭、内側頭の3つの筋束から構成され、上腕全体の約60%を占めている。肘を伸ばす動作を支える重要な筋肉で、プッシュアップやディップスなど、腕を「押し出す動作」で効果的に鍛えられる。
女性の場合、加齢とともにこの部分の筋力が低下しやすく、たるみの原因となりやすい。
【たるみ撃退】ダンベルを使う二の腕の筋トレメニュー5選
- ダンベルフレンチプレス
- ダンベルキックバック
- ベンチディップス
- ナロースタンスプッシュアップ
- バイセップス・カール

おすすめの二の腕トレーニングメニューは、椅子やベンチを利用した「ディップス」です。初心者の場合は、足の裏をしっかりついた状態で始めてみてください。腕を曲げて身体を30cmほど下げるのが理想ではあるものの、まずは5cmほどから始め、筋力がついてから本格的なトレーニングに移行しましょう。下がる動作で筋肉量が増えやすいので、下がるだけでも大丈夫です。
ダンベルフレンチプレス
ダンベルフレンチプレスは上腕三頭筋を集中的に鍛えることができるトレーニング。両手でダンベルを持ち、真上に挙げた状態から肘を曲げて頭の後ろまでゆっくり下ろすことで、二の腕の後ろ側全体に刺激を与えられる。
姿勢を正しく保ちながらおこなうことで、腕だけでなく体幹の筋肉も同時に鍛えることができる。
ダンベルキックバック
ダンベルキックバックは上腕三頭筋を重点的に鍛えられるトレーニング。片手でダンベルを持ち、上体を前に傾けた姿勢から、ひじを固定したまま腕を後ろに伸ばす動作を繰り返す。この際、ひじを身体の横に固定すること。ゆっくりとした動作でおこなうことがポイント。
ベンチディップス
ディップスは特別な器具がなくとも、自宅にあるイスやソファなど身近な道具で気軽に始められるトレーニング。手のひらで体重を支えながら、腕を曲げ伸ばしする動作を繰り返す。
まずは足をつけた状態から始め、少しずつ足を浮かせて負荷を増やしていこう。
ナロースタンスプッシュアップ
通常の腕立て伏せと比べ、手幅を狭めておこなうことでより強い負荷をかけられるプッシュアップ。腕を曲げ伸ばしする際は、ゆっくりとした動作でおこなおう。体幹も使用するため、腹筋やインナーマッスルの強化もできる。
バイセップス・カール
バイセップス・カールは二の腕の前側にある上腕二頭筋を効果的に鍛えられるトレーニング。上腕三頭筋と合わせて鍛えると腕全体のバランスを整えられる。ダンベルを持った状態から、ひじを固定して腕を曲げ伸ばしする動作。
重量の調整がしやすいため、自分の体力に合わせておこなえるのもポイント。

二の腕(上腕三頭筋)と力こぶの部分(上腕二頭筋)は、腕の表裏で拮抗する関係にある筋肉です。拮抗する筋肉を交互に鍛える「スーパーセット」は効率よく筋力をアップできます。余裕があれば補助的なトレーニングとして取り入れてみましょう。
【たくましい力こぶをつくる】二の腕の筋トレメニュー4選
- バーベルカール
- アームカール
- ナロースタンスベンチプレス
- ディップス

上腕二頭筋は名前の通り2つの筋肉で構成されているのに対し、上腕三頭筋は3つの筋肉で構成されているため、上腕三頭筋の方が筋肉を大きくしやすい特徴があります。たくましい力こぶを作るためには、上腕二頭筋を鍛えることはもちろん、必ず上腕三頭筋のトレーニングも組み合わせるのがおすすめです。
バーベルカール
「バーベルカール」は力こぶをつくる定番のトレーニング。バーベルを肩幅で握り、ひじを固定したまま腕を曲げ伸ばしする動作。スタンディングで行う場合は体幹の安定性も同時に向上させられ、上級者向けのヘビーウェイトトレーニングとしても活用が可能。
アームカール
「アームカール」は上腕二頭筋の形状を美しく整えるのに効果的なトレーニング。ダンベルを使用して片腕ずつおこなおう。ひじを身体につけた状態でゆっくりと曲げ伸ばしするのがポイント。手首の向きを変えることで刺激を入れる部位も調整できる。
ナロースタンスベンチプレス
「ナロースタンスベンチプレス」は通常のベンチプレスよりも二の腕に効果的にアプローチできるトレーニング。バーベルやダンベルを使用し、手幅を肩幅よりも狭く設定すると二の腕の後ろ側や胸の筋肉にアプローチできる。
初心者の場合は、軽めの重量から始め、フォームを意識しながら徐々に重量を増やしていくようにしよう。
ディップス
「ディップス」は自重を利用したトレーニング。平行棒のようなバーを両手で握り、身体を上下させる動作を繰り返すことで、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋など上半身の筋肉を全体的に鍛えられる。
ある程度上半身の筋力がないと正しいフォームを維持できず、肩を痛める原因にもなるので、筋トレに慣れてきたら取り入れてみよう。
【道具なしで簡単】二の腕の自重トレーニング2選
- 懸垂
- プッシュアップ

筋肉量を増やすためには重力に対して拮抗する動きを取り入れることが重要なので、懸垂やプッシュアップなど重力に引っ張られる身体を持ち上げるようなトレーニングを取り入れるとよいでしょう。
懸垂
懸垂は広背筋や上腕二頭筋のほか、上腕筋、前腕筋など上半身全体を鍛えられるトレーニング。背中、腕、体幹を同時に鍛えることができ、効率よく上半身全体の筋力アップや脂肪燃焼をしやすいのも魅力。
ある程度筋肉がないと正しいフォームを維持するのは難しいが、地面に脚をつけておこなう「インバーテッドロー」や手にゴムバンドを巻きつけるなど、補助を使ったトレーニングでも十分鍛えられる。
プッシュアップ
プッシュアップは、上腕三頭筋の引き締めに効果的で、二の腕全体を効果的に鍛えられるトレーニング。床に手をつき、腕を曲げ伸ばしする動作を繰り返す動作。初心者の場合は膝をつけた状態から始めること、腕を曲げ伸ばしする際は、ゆっくりとした動作を意識することがポイント。
監修者おすすめの「二の腕ストレッチ」を編集部が体験
二の腕をトレーニングする際は筋肉をほぐし、柔軟性や可動域をしっかりと確保することも大切。この記事の監修者であるおぜきさんおすすめのストレッチ法を編集部が体験してきたので、そのやり方を紹介。
- Step1:ベンチやイスに姿勢を正して座る
- Step2:腕を頭上で曲げ、背中に寄せる
- Step3:できる人は伸ばしている方の手の甲を上に上げる
Step1:ベンチやイスに姿勢を正して座る
まずはベンチやイスに座り、背筋が伸びた正しい姿勢を意識する。座る場所がなければ壁際に立っておこなってもOK。
Step2:腕を頭上で曲げ、背中に寄せる
腕を頭の後方に曲げるようにして持っていく。伸ばしている方のひじを逆の手で頭側に寄せるように引っ張れば二の腕がしっかりと伸びている感覚を感じる。30秒ほど伸ばせればOK。痛気持ちいい程度に伸ばしてみよう。
Step3:できる人は伸ばしている方の手の甲を上に上げる
伸ばしている方の手の甲を上に上げるとさらに筋肉を伸ばせる。背中に腕を寄せるだけでもOKだが、より効果的にストレッチができるので、できる人はチャレンジしてみよう。
二の腕痩せを成功させる運動・生活習慣のコツ
二の腕痩せを成功させるには、二の腕を鍛えるだけでなく、全身の脂肪燃焼を目的とした運動や食事管理をおこなうことも大切。下記の4つのポイントを意識して取り組んでみよう。
- 部分痩せはできない!全身のダイエットを意識する
- 有酸素運動を取り入れる
- 筋トレは毎日おこなわず休息日を設ける
- 栄養バランスの整った食事を心がける
部分痩せはできない!全身のダイエットを意識する
脂肪の燃焼は全身でおこなわれるため、身体全体の体脂肪率を下げることが二の腕痩せには重要。
二の腕のトレーニングは、脂肪燃焼というよりは引き締めと筋力向上が目的であるため、二の腕ばかり鍛えるのではなく、スクワットやランニングなど、大きな筋肉を使う運動を取り入れることがポイント。

二の腕のトレーニングと組み合わせるとよい全身運動はスクワットやデッドリフト、ベンチプレスのほか、できる人は懸垂もよいでしょう。有酸素運動でも脂肪燃焼できるものの、エネルギーの消費は運動時のみになります。まずは、動かないときでもエネルギーを消費できる筋力アップを狙った筋トレをおこなうのがおすすめです。
有酸素運動を取り入れる
ジョギングやウォーキング、水泳など、有酸素運動を週3回程度取り入れ、効果的な脂肪燃焼を促進しよう。心拍数は最大心拍数の60~70%程度に保ちながら、会話ができる程度の強度を維持しておこなおう。

有酸素運動は心肺機能を高めやすく、トレーニング時の持久力を上げやすくなります。結果的により多くの運動をこなせるようになり、脂肪を燃焼させる効率も向上しやすくなることも。
一方で、エネルギーを消費するために長時間有酸素運動をおこなうと、ストレスや筋肉の分解につながるため、有酸素運動を取り入れたダイエットは「諸刃の剣」とも言えます。上手く筋肉量アップと脂肪燃焼を狙うためには、縄跳びなど激しい運動を短時間で済ませることがおすすめです。
筋トレは毎日おこなわず休息日を設ける
二の腕の筋トレは週2~3回程度の頻度で、筋肉の回復と成長のための休息日を確保しよう。過度なトレーニングは筋肉の炎症を引き起こし、逆に二の腕周辺のむくみやボリューム増加の原因になる可能性も。
1回のトレーニングは15~20分程度を目安に、同じ部位を連日おこなうのは避けること。休息日には軽いストレッチやマッサージをおこなうのがおすすめ。
栄養バランスの整った食事を心がける
ダイエットには栄養バランスの整った食事をとることが不可欠。脂質の過剰摂取を避け、野菜や果物からのビタミン、ミネラル摂取を意識しよう。筋肉を作るためにも体重×1.2~1.6g程度のタンパク質をとることも大切。
また、トレーニングをおこなう際はエネルギーとなる糖質が必要になるので、筋力をアップさせたい場合はトレーニングの1~2時間前におにぎりなどの炭水化物をとることも習慣づけてみよう。

筋肉量を増やしてダイエットをする場合は、炭水化物の量は血糖値が上昇しない程度に抑えましょう。
二の腕の筋トレに関するQ&A
女性が筋トレをして、二の腕が逆に太くなることはないの?
A:太くなることはある

筋肉の大きさは扱う重量に比例します。大きな筋肉で全身を鍛えて脂肪を落としやすい身体づくりをしながら、二の腕の筋トレは軽い重量で軽くおこなうのもおすすめです。
筋トレを始めてどのくらいで二の腕痩せの効果が感じられる?
A:2~3ヶ月程度

細胞の入れ替わりを考えると体型が変化するまでには2~3ヶ月程度必要ですが、1ヶ月でも筋肉量は着実に増えています。個人差はあるものの中身は確実に変化しているのであきらめずにトレーニングしていきましょう。
マシンやダンベルでの運動と自重トレーニングはどちらが効果的?
A:フリーウェイトの方が効果的

重力に対する抵抗の度合いを考えた場合、マシンは滑車やケーブルで重力に対する抵抗が分散されてしまい、フリーウェイトよりも負荷がかかりにくくなります。
また、フリーウェイトは重量を支えてバランスを保つために全身の筋肉を使用するため、インナーマッスルも鍛えられます。自重のトレーニングでは十分な負荷がかけられない場合もありますが、その際はペットボトルやリュックなどを活用するとよいでしょう。
青山学院大学在学中の1988年から指導をスタート。指導歴30年で女優、役者、アイドル、女子アナ、ミスワールド日本代表モデル、プロサーファー、新体操選手などのスポーツ選手なども含め20000人超の指導を経験。2003年OZEKIパーソナルトレーナー養成スクール(現Shapesアカデミー)開設。2005年Shapes(現ShapesGirl)を東京渋谷に開設。メディア出演のほか、「腹凹は太もも運動でつくれる 1日3分週3日でOK!」(SBクリエイティブ)「5秒姿勢矯正ダイエット」(マガジンハウス)など多数の著書を執筆。