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【羽鳥友里恵氏】「家族のように」ペットと共存できるウェルビーイングな社会創造

現在、日本人の4世帯に1世帯(※)はペットと一緒に暮らしているそうだ。多くの飼い主にとって、ペットは大切な家族の一員であり、ウェルビーイングに導いてくれる存在だと言えるだろう。
※出典:令和5年全国犬猫飼育実態調査

株式会社PETSPOTは、「ペットフレンドリーな社会」を実現するためにペットと共に過ごせる生活環境・職場環境づくり、人間とペットのウェルビーイングを実現するブランドやサービスの提供を行っている。

今回は株式会社PETSPOT 代表取締役/CEOの羽鳥友里恵さんに、PETSPOTが描く「ペットと人の共存社会」とウェルビーイングとの密接な関係について、Wellulu編集長の堂上研が話を伺った。

 

羽鳥 友里恵さん

株式会社PETSPOT 代表取締役/CEO 愛玩動物飼養管理士・ペット防災危機管理士

株式会社博報堂での広告営業の仕事を経て、2021年7月に「ペットと共存することで、人間や経済、そして社会全体にポジティブな影響を与えることを世界へ証明する。」というミッションのもと株式会社PETSPOTを創業。“ペット”の専門性を活かし、ペットフレンドリーな空間、環境、商品、福利厚生のプロデュースなど、様々な企業へ事業サポートを展開。

ミアちゃん

羽鳥さんの愛猫。5歳になるスコティッシュフォールドの女の子。ダンボールと狭いところが大好き。

堂上 研

株式会社ECOTONE 代表取締役社長/Wellulu 編集長

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集長に就任。2024年10月、株式会社ECOTONEを立ち上げる。
https://ecotone.co.jp/

目次

ペットに特化したコンサルティングで日本を「ペットフレンドリー」に

堂上:今回は羽鳥さんと、『Wellulu』ではじめてのネコちゃんをゲストに迎えて話をお聞きします。本日は楽しみにしていました。よろしくお願いします!

羽鳥:よろしくお願いします。

堂上:僕はワンちゃんやネコちゃんを飼ったことがないんですよね。

羽鳥:そうなんですね。うちのミアちゃんは、人見知りはしますが、人を怖がらないおとなしい子なのでそっと撫でても大丈夫ですよ。

堂上:いやあ、本当に可愛いですね! では、まず羽鳥さんの自己紹介をお聞きしてもよろしいでしょうか。

羽鳥:現在、4期目を迎えた株式会社PETSPOTの代表取締役を務めています。PETSPOTは「日本をペットフレンドリーな国にしたい」という思いを持って、様々な企業様とペットフレンドリーなサービスや環境、仕組みづくりの取り組みを行っています。

堂上:「ペットフレンドリー」とは具体的にどういった社会なのですか?

羽鳥:「ワンちゃんやネコちゃんと暮らしやすい社会」というのはもちろんですが、「ペットを飼っている人と、飼っていない人が共存できる社会」こそが、ペットフレンドリーな社会だと考えています。

堂上:なるほど! そのために、実際に企業向けにどのようなサービス・商品を提供しているのですか?

羽鳥:ペットと過ごしやすい職場環境を企業が提供するためのお手伝いや、ペットブランドのプロデュースサポート、あとはペット関連のコンサルティング事業を手がけています。

コンサルティングに関しては、企業がペット関連の新規事業を生み出す際にご相談いただくことが多いですね。今までペット不可だった場所やサービスをペットOKに変更する時に、どういったことに気を付ければいいか、どんなサービスが必要なのかなど相談を受けることもあります。

堂上:たしかにペット不可だったサービスをペットOKに切り替えると、様々な課題が出てきそうですね。

羽鳥:そうですね。例えばペット連れのお客さまと、ペットを飼っていないお客さまの動線をどうするのか。ペットを飼っている方が宿泊施設にどういったことを求めているのか。ペット連れのお客様にとっても、連れていないお客様にとってもすべてがホスピタリティにつながりますので、その部分をサポートさせていただいています。

堂上:飼っている人たちにとって、ペットは「家族」なんですよね。家族との生活は、ウェルビーイングと強く結びついていると思います。羽鳥さんはまさにウェルビーイングな事業をされているんですね!

世界中の文化を知り、動物と人の共存への思いを強くする

堂上:羽鳥さんは小さい頃、どんなお子さんでしたか? 幼少期からワンちゃんやネコちゃんを飼われていたんですか?

羽鳥:私には兄がいて、2人兄妹と両親と祖父母がいる家族の中で育ちました。小さすぎてあまり覚えていないんですが、幼い頃はネコちゃんを飼っていた記憶があります。

堂上:幼い頃からペットへの親しみはあったのですね。

羽鳥:そうですね。5~6歳になって『奇跡の旅』というディズニー映画に影響を受けて、「ゴールデンレトリバーを飼いたい!」と、両親にせがみました。ずっと言い続けて、8歳の時にようやく家族に迎えられることになったんです。

堂上:念願のワンちゃんだったんですね!

羽鳥:その子は女の子だったんですが、そこからはもう姉妹のように育ちました。学校から帰ってきたら、ワンちゃんに抱きつきながら廊下で寝てしまうみたいな(笑)。

念願のワンちゃん!
いつも一緒。姉妹のように育つ

堂上:どこに行くにも、どこにいるのも一緒。まさしく家族ですよね。

羽鳥:本当に賢くて、家族それぞれに対しておやつのねだり方を変えてくるような子でした。私に対しては、前足を膝に乗せてじっと見つめてくるんです(笑)。

堂上:それをやられたら、確かにおやつをあげちゃいますね(笑)。羽鳥さんはそのワンちゃんと共に成長してこられたんですね。その後、中学・高校と進学していく中で熱中したことはありましたか?

羽鳥:私は昔から海外の映画が好きだったのもあって「異文化に触れたい!」「海外留学をしたい!」と思い、留学コースがある高校に進学したんです。

堂上:どちらに留学されたんですか?

羽鳥:2年生の時に1年間、ニュージーランドに留学しました。

堂上:本当ですか! 僕も高校1年生の時にニュージーランドのウェリントンに留学していましたよ。

羽鳥:そうだったんですね! 私はオークランドの南にあるハミルトンに行きました。本当に価値観が一変するような1年間でしたね。素敵な人たちとの出会いもあって……。その経験からもっと様々な価値観に触れたいと思い、大学では12カ国を巡る旅に出かけました。

例えば、カンボジアではテレビはあるのに、屋根も壁もない家で痩せた牛を飼って暮らしている人々と出会いました。その様子を見て、無数の「WHY?」が頭の中を駆け巡るんです。

堂上:海外の文化を目の当たりにすると、「当たり前」を改めて考え直させられます。日本での当たり前は、海外での当たり前ではないんですよね。

羽鳥:本当にそうですね。特に「こんな形の共生があるんだ」と考えさせられた海外での経験が、のちの「ペットとの共存」という発想につながっていきました。

自身の後悔から決断した「ペット事業」への挑戦

堂上:ペット事業に挑戦することになったきっかけは、どのようなことからだったのですか? 羽鳥さんは、もともと博報堂に勤められていたんですよね。

羽鳥:博報堂で広告営業の仕事をしていたのですが、入社して1カ月目の出来事が大きなきっかけになりました。部署に配属されてまだ4日ほど。まだ右も左もわからない時、仕事中に「愛犬が危篤だ」と母親から連絡があったんです。

堂上:そうだったんですね……。

羽鳥:社会人になったばかりの私には「愛犬が危篤になってしまったので、今すぐ帰らせてください」と伝えることができませんでした。

堂上:私も同じ立場だったとしたら、躊躇してしまったかもしれません。

羽鳥:その時の後悔が、ずっと心に残っていたんです。

堂上:その経験がきっかけになって、起業を考え始めたんですね。

羽鳥:ペットは家族の一員という考え方が、まだ世の中に浸透していないのだと痛感しました。

実際にペット関係の事業を始める際に調べたのですが、「ペットが亡くなった際の福利厚生制度」を導入している企業は、当時約385万社の日本企業の中でたったの22社ほどでした。

さらにペットを理由に「仕事を休みます」と言いづらい人は約8割にも上っていたんです。

HPより https://petspot.jp/consulting1

堂上:しかし、ペットロスは飼い主のウェルビーイングにも大きく関わってきますよね。

羽鳥:そうなんです。このことは企業が健康経営・ウェルビーイング経営を考えていく上でも注目するべきことではないかと考えて、PETSPOTを起業しました。

堂上:なるほど。その行動力が本当に素晴らしいですね。

羽鳥:もちろんペットを飼ったことがない方には伝わりにくい考え方なのかもしれません。私としても、「ワンちゃん・ネコちゃんファーストな社会」をつくりたいわけではないんです。ペットを飼っている人が過ごしやすい社会をつくるのではなく、ペットを飼っている人も飼ったことがない人も、同じ空間にいられるようなルール作りやお互いが配慮をできる、共存社会をつくっていきたいと思っています。

堂上:僕たちがウェルビーイングをテーマに掲げて、目指しているのもまさに「共存社会」の実現です。相手を慮りながら、サービスやコンテンツを共創することが大切なんだと再認識しました。

ペットと共に暮らして実感するウェルビーイングな体験

堂上:今日のお話を聞いて思ったのは、これからの時代は子ども向けのサービスやコンテンツと同じように、ペット向けのサービスやコンテンツが広がっていくのかもしれないということです。

羽鳥:ネコちゃん用のキャリーバッグを背負って電車に乗って立っていると、たまに親切な方が席を譲ろうとしてくださることがあるんですよね。子どもを抱いている方に席を譲るのと同じような感覚で、ペットと飼い主に対しても接してくれる人もいらっしゃいます。

しかし、私がペット業界に飛び込んだ時に思い描いていたような「ペットフレンドリーなサービス」というのは、どうしても世間に伝わりにくいと実感しています。

堂上:当然難しさもありますよね。ペットフレンドリーな環境を広げていくために、羽鳥さんが今後進めていきたいことはどんなことでしょうか。

羽鳥:ワンちゃん・ネコちゃんと一緒に暮らすことが、人にとってどれだけポジティブな影響を与えるのかを数多く立証していきたいですね。

堂上:素敵ですね!

羽鳥:例えば、2023年に行った実験なのですが、コワーキングスペースにワンちゃんを連れて来られる環境でのストレス値の変化を調べたんです。

調査結果は、ワンちゃんとふれあうことで交感神経の働きが高まり、脳が活性化することがわかりました。

堂上:脳が活性化して生産性が高まるなら、そんないいことはないですよね!

羽鳥:ただし、仕事場で共存するにはワンちゃんのマナーも大切なので、飼い主のリテラシーも重要になってきますね。

あとは福利厚生の忌引き休暇に、ワンちゃん・ネコちゃんを対象に入れてもらうような働きかけをしていきたいです。今は、企業にCAO(chief animal-welfare officer=最高動物福祉責任者)の役職を設けることによって、人と動物の両方の福祉を考えていくという取り組みも進めています。

堂上:それも面白い取り組みですね! ペットと共に過ごすことで、人がウェルビーイングになっていく新しいペット共生社会の未来が見えてきたように思います。

最後に羽鳥さんがミアちゃんと共に暮らしていて、最もウェルビーイングを感じる瞬間を教えてください。

羽鳥:仕事の合間に、ミアちゃんがパソコンの横にそっと寄り添ってくれて「撫でていいぞ」って顔をする時があるんです(笑)。疲れが吹き飛んで、本当に癒されるウェルビーイングな瞬間ですね。

堂上:それは間違いなく癒されますね! 本日は素敵なお話をありがとうございました!

ミアちゃん、ご出演ありがとうございました!

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羽鳥さんも登壇された日本最大級のペットイベント「インターペット2024(東京)」の記事はこちらから

 

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