学校の先生、生徒、親の関係

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

またまた緊急保護者会の連絡

僕の息子は小学校4年で、都内の公立小学校に通っている。もともと人数の少ない小学校だったのだけれども、最近は少し人気が出てきて、各学年2クラスになっている。(学校選択ができる仕組みになっているので、私立に進んだり、越境して違う区域の学校に入学するなどで、人気がないと1学年1クラスで6年間同じクラスメイトと過ごすことになる。)

息子のクラスも2クラスあり、新4年になって毎日楽しそうに学校に通っている。先週、息子が「新しく来た先生、風邪でずっと休んでいる。」というのを話していた。インフルエンザもコロナも流行っているというから、夏の疲れがでているんだね、なんて話していたら、緊急保護者会の連絡が来た。

実は、4月に新学年がスタートして、5月にも保護者会を開いているのだ。つまり、4月に着任した先生が、学校に来れなくなって、臨時で少人数クラスをもっていた先生が代理で担任を受け持つ。そして、夏休み明けに新しく着任した先生が、また1か月ほどで学校に来れなくなったのだ。

僕は、「またか。。。」という気持ちで、保護者会に参加した。

息子の学年は、コロナ禍で入学式が遅れて5月になってから実施したし、まだまだオンライン授業などで学級閉鎖もなんども繰り返しており、授業参観もない、運動会も1時間だけなどで、学校との距離が開いてしまっている学年だ。

保護者会に出席しても、2/3は誰の親か分からない。さらには、息子のクラスメイトが誰かもほとんど知らない。

校長先生が、低い声で、先生が来れなくなった経緯を話し出した。校長先生がおっしゃるには、「子どもたちが、自分の言うことを聞いてくれない」ということで自信を無くした、とのことだ。管理者として指導できなかった、申し訳ない。子どもたちは、みんな素直で一切、悪くない。という話をがあった。結果、退職届が出たそうだ。

僕は、校長先生の話に違和感を感じた。これは学校という教育現場に根本的に問題があるように感じたのだ。会社でもよく取り上げられている「人的資本経営」や「ウェルビーイング経営」にも大きく関係しているように思う。

何度も先生の離職を繰り返しているのは、本人の問題だけではないのではないか?
そもそも、働きやすい環境をつくるのはマネージメントの仕事であって、そこの改善策が一切語られていないのはなぜか?
子どもは一切悪くない、というが、親や子どもも影響しているのではないか?

そもそも、事情だけ説明して、解決策がないままに、保護者会を開かれても・・・という気持ちだった。

とはいえ、先生も忙しいし、いろいろな問題やクレーム対応もあるだろうし、仕事を増やしても仕方がないと思いつつ、最後は管理職に頑張ってください、としか保護者として言えない。

働きやすい職場をつくると、良い循環が生まれる。

すべて、コロナのせいにしてしまうのだが、ウェルビーイングの視点で考えると、関係性の希薄さが招いた結果だと感じる。長女のころは、学校の校庭で、BBQをしたり、キャンプをするといってテントを張ったり、常に街の人と親と先生が交流している時間があった。親同士も、誰が誰の親か分かっていたし、子どもたちもいろいろな親と交流があった。

僕は、今回校長先生に1つだけお願いをした。

「学校の先生が、楽しく授業をしていると、子どもたちも学校が楽しくなる。そうすると、子どもたちが学校で楽しかったことを家で親に話すので、親も先生を信頼していく。先生が楽しんでくれることが、いい循環を生むと思うので、よろしくお願いいたします。」

保護者会で、ひとりの保護者が「授業参観を子どもの様子を見に行くのではなく、先生の品評をしにいくものになっている。」とお話されていた。まさに、こういう状態だと、「あの先生は声が小さい」「あの先生は指導力がない」など子どもの前で言ったりしたら、どんどん悪循環が生まれてしまう。

先生にも弱い心もある、そして親もいろいろな親がいる。それをお互いが認め合った上で、良い関係をつくっていくことができると、子どもたちにとってもウェルビーイングな環境をつくれるだろう。

「褒める。」

子どもたちには、注意するや怒ることではなく、褒めることが大切だということは分かっている。けれども、僕もすぐに子どもたちに怒ってしまう。そうすると、最近、妻や子どもたちから「パパ、ウェルビーイング」と言われてしまう。子どもたちの方が一枚上手だ。

これは、学校の先生同士、企業の同僚との関係も同じことが言える。働きやすい職場づくりは、同僚や部下を「褒める」ことからはじめるのが良いのだろう。

ウェルビーイング経営を推進していく上で、「褒める」「感謝する」「信頼する」「任せる」など、ウェルビーイングな組織づくりになっていくための環境設計はマネージメント側の仕事だ。

学校の先生も、子どもも、親も、お互いがお互いを褒めて、感謝して、信頼できる関係ができれば、ウェルビーイングな人が増えるのかもしれない。全国の教育現場のことは分からないが、同じような問題は山積しているように感じる。ここを改善できたら、楽しく先生をする人が増えて、子どもたちも、自分が親になったときに、自分の生活を楽しむという良い循環が生まれるような気がする。

何からはじめると、このような好循環が生まれるか考えていきたい。まずは、学校に行く頻度を増やすところからか?

(写真は、関係ないですが、空を見上げてみて、フゥーと一息つくだけで、気持ちが落ち着く。今度、イライラしたら空を見よう、と思った。)

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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