人生の先輩たちとゴルフを楽しむ

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

組織の中の横と縦とななめのつながり

僕が新規事業に携わって10年以上になる。博報堂の中の新規事業開発「ミライの事業室」を創設してから6年が経過しようとしている。そんな中、10人ちょいではじめた組織は、最大120名まで拡大した。

京都大学の元総長の山極先生における「共感社会の進化と第二のノマド時代」のお話では、人間の集団規模とコミュニケーションは、10~15人規模であれば、言葉が要らない「共鳴集団」で生活がができる。そして、30~50人規模は、顔と性格を熟知して、一致して動ける集団だ。それ以上になると、なかなかお互いが何をしているのか見えなくなってしまう。100人~150人規模は、信頼できる仲間がいて、顔と名前が一致する集団規模だ。それ以上になると、「言葉」が必要になっているとのことだった。

つまり、ミライの事業室は「新規事業組織」でありながら、コロナ禍の影響もあり「分断と孤立」が生まれ、それぞれの仲間意識がなくなっていることに気が付いた。組織をウェルビーイングな状態にするために、何かしらできないか考えたのだが、まずはみんなで「何かをやる」ことから始めようと考えた。共通の趣味や共通の推しがあるだけで、会話はどんどん増してくる。

山極先生の言う、「音楽的コミュニケーション」で結びついた身体の共鳴の共感力をベースに「ゆるいつながり」の中での共生ができるところに、「共感」できる何かをすることがいい。BBQでもいいし、ボーリングでもいいし、カラオケでもいい、若い人たちなら、スポーツ観戦をいっしょにすることでも良いだろう。僕は、4年前に、ゴルフをしようということに決めた。「ミライカップ1回目」の開催である。新規事業開発の人たちは、ある意味ゴルフなんて興味ないと思ったが、広告会社で働いている仲間だからこそ、ゴルフのあとの懇親会が楽しいだけで参加してくれた。

ミライの事業室は、6年を通してたくさんの仲間が新たな事業を立ち上げていった。そして、事業を立ち上げると、横のつながりが薄くなり、ななめの関係もなくなっていった。オフィスにいるけれども、名前も顔もしらない、挨拶もないという状況になっていたのだ。そこで、年に2回の春と秋のゴルフだけは、継続していくことで、新旧の仲間たちがどんどんつながる環境をつくりたかった。

そして、昨日は第6回目のミライカップが行われた。僕は、前回のミライカップでBB賞を取ってしまい、幹事に指名いただいたのだが、起業して間もないこともあり、いっしょに幹事をしてくれた優勝者にほとんどお任せすることになった。こういうときにお互いが支え合う環境があるのも、素晴らしい仲間がいてうれしい。

70歳と60歳と50歳の3人のゴルフ

2025年3月8日「ミライカップ」が浦和で行われた。僕は、今回幹事ということもあり、博報堂フェローになっていただいているメンバーやECOTONE社のメンバーにもお声がけさせていただき、新たに参加いただくことにした。新しい仲間が入ってきて、そこで親睦を高めたり、お互いの顔と名前が一致しているのが、今後の「生きる」や「仕事」にも必ず影響してくる。このひとつのコミュニティが「あのときにご一緒させていただいた・・・」からはじまることで、新たな挑戦を産む可能性がある。

僕は幹事特権を利用させていただいて、70歳になるインターウォーズ吉井社長と、60歳になる三菱UFJ信託の石崎さんと50歳になる堂上の3人の組をつくらせていただいた。この3人で共通しているのが「新規事業」に正面から向き合っている仲間であり、ECOTONE社創設のときの仲間ということだ。

僕と吉井さんの出逢いは、7~8年前になる。新規事業を博報堂の中でやりたいと言って新たな部門ができたときにご紹介をいただいて会いにおうかがいした。吉井さんは忘れていらっしゃるかもしれないが、僕は吉井さんとお会いして、「博報堂を新規事業が産める文化と組織にしたい。」と熱く語ったのを覚えている。そして、次の日に僕自身が考える「博報堂がやるべき新規事業」の絵を1枚書いて、吉井さんにメールで送った。今、考えたら浅はかな一枚絵だったが、僕の情熱は吉井さんを師匠としていろいろとご指導をいただくきっかけになった。

僕と石崎さんの出逢いは、2年前になる。僕がミライの事業室の室長代理として、博報堂の役員からご紹介をいただいて、いっしょに会食をさせていただいた。銀行員である石崎さんからは、銀行員なのか本当に?と思えるくらい、どんどんとぶっ飛んだお話と挑戦と失敗の話がでてくる。僕はすっかり石崎さんの客観的、且つ、的確な組織マネージメントと新規事業の成功する方法の話に魅了されていった。

僕がミライの事業室ができて、一番の功績は何かと聞かれたら、まずは「フェロー制度」の設計だと答えたい。新規事業において外圧をうまく活用した上で、自分たち内製だけでは成しえない「出逢い」と「関係性」、「専門分野」などを拾っていくのである。そして、結局は事業を創るのは「人」である、とお二人から教えていただいた。株式会社ECOTONEが誕生したのも、おふたりがいたからというのは言うまでもない。

僕は、年に2回ほどしかしない下手なゴルフだったけれども、いっしょにラウンドさせていただきながら、会話ひとつひとつが楽しかった。何より、おふたりともゴルフで失敗をしても、くじけずポジティブなのである。そして、分かったことがお二人とも負けず嫌いである。

ここにふたつほど僕が面白かったラウンド中のできごとを3つ備忘録として残しておきたい。
ひとつめは、ティーショットである。僕は10%の確率でうまく飛ぶ。つまり1ラウンド中2~3回しかうまくいかないのだ。あるタイミングで3人のティーショットが横並びになったことがあった。60歳の石崎さんが、一番くやしがっているのだ。70歳の吉井さんのティショットが横に並んでいるだけで。(石崎さんは、銀行員だからか、必ずまっすぐ飛んでいく。僕も銀行員をやっていたら、こんな風になるのかな、と勘違いをしてしまうくらい、ぶれることがない)

ふたつめは、パターである。僕は途中でチョロったり、トップしたりして、Par4のところのロングパットが8打目という状況だった。そのロングパットが偶然入ったのだ。そこに同じようにロングパットが残っていた石崎さんがワンパットでカップにねじ込む。そして、同じようにロングパットが残っていた吉井さんが、ワンパットでカップにねじ込んできたのだ。(ここに負けず嫌いの性格が出ているように感じた)

そして、最後に面白いことに、最終ホール、ふたりのスコアは全く同じだった。つまり最終ホールが勝負の分かれ目になったのだ。ふたりの集中力は最終ホールなのに増しているのが分かる。僕もスコアが96だったので、Parであがれば100になると思って気合を入れ直した。(おふたりは、80台なので、雲泥の差である)そして、最後のふたりのデッドヒートは、年齢なんか関係のない形で3人の集中力が増していった。こんな面白いゴルフは、久しぶりだった。
(ちなみに、僕は見事Parで、100ジャスト!2打目がピンにあたるというラッキーショット)

おふたりとラウンドをご一緒させていただいて、たくさんの笑いと学びがあった。それは、何においても手を抜かない、常に真剣に遊びも仕事も取り組んできたからこそ、今を楽しむことができている、ということ。僕もこんな年の重ね方をしたいと思った。10年後、20年後、僕も彼らのように「生きる」を楽しんでいられるだろうか? もっともっといろいろな人たちに寛容であり続けることができるだろうか? これからの生きる指針をいただいた1日でもあった。

おふたりには、これからもECOTONEとミライの事業室の応援団としてご一緒させていただく。僕も社会を変革する担い手になるべく動こうと思う。新規事業の担い手おふたりとの時間がウェルビーイングでした。どうもありがとうございました。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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