直島ウェルビーイング体験記

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

はじめての直島

今回、「直島芸術生態系Vol.0」の取材ということではじめて直島のあこがれの地を訪れた。後ほど「直島芸術生態系」の話は、Welluluの中できちんと記事にしていく予定だが、ここでは僕の目線で何を感じたかを備忘録として記しておきたいと思う。

高松港からフェリーで1時間。直島に到着した。有名な「赤かぼちゃ」が出迎えてくれる。9月中旬というのに、外は30度を超える夏日だ。僕は長袖の服を着ていったが、暑すぎたので白いTシャツに着替えた。

3連休ということもあり、観光客はすごい多かった。外国人と若い人たちが多いように感じた。家族連れは少ない。福武總一郎さんが「アートの島」として、島全体が美術館のようなものになっている小さな島は、日本を代表する観光地になっている。

まずは、Benesse House Museumに行く。そして、本村というところの「家プロジェクト」に行く。全部を体感する時間はなく、角屋(宮島達男:1998)と、南寺(ジェームズ・タレル:1999)だけを体感することができた。そして、李禹煥美術館に行った。島のいたるところに「アート作品」がある。これが「現代アートの聖地」と言われる所以か。

普通、美術館に行くと、その作品の解説がある。今まで、解説を読んで、アートを楽しむというので、頭で理解して、アートに触れて、納得する感じだったように思う。それか、興味あるアートを見て、その前で写真をとって終わりということが多かった。

ここは違う。自分で感じるままに感じて良いと言わんばかりだ。

一番印象に残ったのは、「家プロジェクト」の南寺、タレルの作品だ。僕らは、日常の中で、本来見えているはずのものが、見えなかったり、見ようとしていなかったりしている日常に気づかされる。暗闇の中、その優しい光に吸い込まれそうな時間は格別な体験だった。ここに来ただけで、直島の魅力にとりつかれる理由が分かったような気がした。

ひとつひとつの作品の感想というよりも、全体を通して感じたことを記しておく。僕らは、常に二律背反の世界で生きている。そして、そこに何かしら境界をつくって暮らしている。そんな普段の生活をぶち壊そうとしている感じがした。何かの対峙しているものや人、時間などをすべて「共生」という言葉で包み込んでいるような気がした。

生と死。
過去と今と未来。
海と陸と空。
光と影。
太陽と月。
自然と人間。
日常と非日常。
動と静。
大自然と現代アート。

この世界は、人工物と自然が調和して、島全体がアートであり、毎日変化し続けているのだ。島との対話を楽しむ。島が僕に問いを投げかけてくる。

「あなたは誰?」

いつ見るのか、いつ感じるのか、誰と来るのか、誰と対話するのか、どういう気持ちなのか、どういった過去があったのか、どういった希望を持っているのか、すべての変化によって、そのときそのときで感じ方が違うのだろう。

何度も訪れたくなる理由が分かった気がする。今回、僕が感じた直島は、明日また違うものに見えるだろう。僕は、直島が「生きている」ように感じた。

調和と共生。ひとり一人がウェルビーイングな生活を送るための絶対条件なのかもしれない。

直島の夜は、満天の星空があった。無になる時間。翌朝、僕は、日の出前に海に行き、1時間ずっと空を眺めていた。空の色は、真っ暗な星空から、だんだんと光が入ってきて、青白い空へ。そして、オレンジ色の空にゆっくりと変わっていく。波の音と、潮の香り、目をゆっくり閉じながら、自分が自然の中に調和していく時間を楽しんだ。

「僕は、生きている。」

自然と一体となった僕は、朝サウナに向かった。

SANA MANEでのサウナ体験

今回、SANA MANEというグランピング施設に宿泊させていただいた。

瀬戸内海の直島にあるグランピング型リゾート施設SANA MANE

ここでのサウナ体験がまた格別な時間だった。僕のまわりの友だちもサウナにはまっている人たちがたくさんいる。僕は、スーパー銭湯のサウナくらいしか体験したことがない。わざわざサウナ施設に行って時間を過ごすことに価値を見いだせていなかった。

けれども、今回の旅で、僕はサウナの魅力を知ることになる。

SANA MANEは、昨年の9月、art×sauna=「SAZAE」という名で、サウナを誕生させたそうだ。建築から照明などプロフェッショナルな人たちの思いが詰まった唯一無二のサウナだ。外から見たら、それ自体がアートだ。たまねぎのような形のSAZAEの中に入っていく。

まずは、外気を少し入れながら、大きなバスタオルで室内に風を送り込む。熱すぎず居心地の良い熱が身体を包んでくれる。ロウリュと呼でんいるサウナストーブにある石に水をかけ、そこから立ち上る蒸気を浴びる蒸気浴を体験する。水の中に少しだけ自然のハーブが入っているのか、とても良い香りがする。

火照った体のまま、外に出て、そのまま瀬戸内海の海の中に入っていく。海に浮かびながら、空を再び眺める。海に大の字になって浮かびながら、無になっている自分に気づく。目を閉じて、海に浮かぶ自分を空から眺めてみる。

シャワーを浴びて、近くの水風呂でゆっくりと時間を過ごす。ハーブ入りの冷たい水を身体の中に送り込む。

サウナを通して、心も身体も「ととのう」をはじめて味わった。サウナにはまる理由が分かった気がする。ウェルビーイングな時間を追求している人たちが、サウナにいきついた人がたくさんいることも分かった。

パンの焼きたての香りで朝ごはんをいただいた。SANA MANEは、直島の魅力をさらに引き上げてくれた場所だ。今度、家族で来てBBQをしたいと思う。オーナーの真田さん、最高の場所で、最高の時間、最高のサウナ体験をありがとうございます。

人口3000人ほどの島ながら「現代アートの聖地」になった誕生の経緯を綴った「直島誕生」(秋元雄史著)をこれから読む。「直島芸術生態系Vol.0」の詳細は、Wellulu記事の中で書く。直島の魅力にどっぷりはまった2日間だった。

ウェルビーイングな時間と島との対話から、また新たな生きるを見つけることができた。直島との出会いに感謝したい。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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