桜満開の中の中学入学式

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

子どもとの親子喧嘩。

桜の写真がSNSで観ることが増えた今年、ちょうど入学式と桜が満開のタイミングが重なった。僕の息子も中学入学を迎えて、本日が入学式だった。入学式の前の週末に、近くの公園で小学生のときの友だち家族と花見をした。土曜日が入学式のところもあって、みんなから入学式の写真が送られてくる。それぞれ、中学入学までの間の宿題の話になった。

100ページくらいの問題集をやる学校、英語のアルファベットを書く練習をしてくる学校、漢字などを覚えてくる学校、様々な学校の中での中学に入るための準備も学校によって様々なことが分かった。僕の息子の学校の事前課題は、「自分の強みをや好きなことを整理して、3年間中学校生活でやり遂げたいことをまとめてくる。」という宿題だった。すごい素敵な課題を出しているな、と思って、息子と一緒に考えて、言葉にしていった。

1週間前に、その課題で事件が起きた。(事件というほどでもないが・・)息子が書き上げた宿題を見て、誤植はあるし、丁寧な字で書いていなかったのだ。僕は、もう少し丁寧に書きなさい、と伝えたら、一生懸命やったと言う。あなたの一生懸命がこのレベルか、と問いたくなって、受験が終わってからの生活において、心が緩んでいるように思えたのである。僕は息子と久しぶりに親子喧嘩をした。

あまりにも腹が立って、久しぶりに自分の感情をコントロールできない。僕は、洗濯機の中に、洗濯物を押し込んで、洗濯機のドアに蹴りを入れてドアに当たった。洗濯機は何も悪くないのに、洗濯機のドア部分が割れてしまって、洗濯ができなくなった。うちの家は、ただでさえ洗濯物が多いのに、洗濯機を壊してしまうなんて、僕はなんて愚かなことをしてしまったのだ、反省と共に瞬間接着剤をコンビニに買いに行き応急処置をした。幸い週末に修理に来てくれたので、洗濯機は何も文句を言わず、今は何もなかったように、我が家の洗濯をしてくれている。

そして、今日という入学式のハレの日。朝から、また息子と喧嘩になった。入学式にワクワクと緊張が混ざっているのかもしれないが、写真嫌いな息子は、はしゃぐ僕とは対照的に、ずっと無表情なのだ。人生に1回しかない中学入学式なんだから、もっと笑ってくれてもいいじゃないか。そんな想いは通じず、ずっと写真の表情は硬い。桜の前で撮っている写真もずっと無表情。僕は、入学式前にもだんだん腹が立ってきた。入学式前の写真は、僕と妻だけ笑っているもので、本人は面倒くさそうな顔の写真になった。親がはしゃいでいるのが、恥ずかしいのだろう。

子どもたちは、新たな出発をする。

入学式がはじまった。長女の中学校入学式はコロナ禍でZoomだったので、僕は上半身だけシャツとネクタイ、スーツを着て、下半身はパンツのまま。家の中で入学式をやった。それでも、在校生によるアカペラリレーがあったりして楽しかったのを覚えている。

息子の学校の入学式はリアルで面白かった。すべての生徒がひとりひとり名前を呼ばれて、事前課題だった「学校生活への抱負」を発表する。一人10秒程度のひとことコメントだが、自分がどういうことをしているときに楽しいかなど真剣に考えた言葉を紡いで、自分のことばでみんなの前で話すのだ。受け身ではなく、自分の意志をもって、自分で行動して欲しいという学校の生徒への教育方針が見える取り組みだった。僕は、最初の発表者の一生懸命に話しているのを聴いただけで、涙が出てきてしまった。息子から「入学式で泣く親なんていないよ。」と式が終わってから、からかわれたが、一生懸命未来に向かって何かを決意をもって動こうとする意志を聴くだけで感動する。

息子は、「思いやりを大切にして、お互いが想い、支えあえるような、一生涯の仲間を見つける。」と宣言していた。たくさんの仲間と出会い、そして何か新しい挑戦をやってほしい。たくさんの多様な価値観を受け入れ、自分と向き合って、学校をウェルビーイングな居場所にしてほしい。

校長先生のお話も良かった。子どもたちに5つのお願いということでお話くださった。

 毎日学校に来れるというのを、当たり前と思わないでください。
みんなとかけがえのない時間を生きているんだから、今やれることを全力でやってください。
過去の自分を否定することになっても、過去の自分を乗り越えてください。
④ 自分の気持ちを保つことが大切。辛くなったときこそ、挨拶をする、ゴミを拾うなどの小さな当たり前をやってください。
自分から進んで受け身ではなく、自分の意志で自分から進んでやってください。

子どもたちは、この日常に感謝の気持ちをもって、自分の意志をもって動くことで成長していく。その成長の過程で、つらいことがあっても自分で幸せになれる方法を見つけていってほしい。そんなメッセージが込められていた。

そして、松下幸之助さんの「道」を紹介してくださった。

自分には自分に与えられた道がある。
天与の尊い道がある。

どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。
 
広いときもある。
狭いときもある。
のぼりもあればくだりもある。
坦々としたときもあれば、かきわけかきわけ汗するときもある。
 
この道がはたしてよいのか悪いのか、思案に余るときもあろう。
慰めを求めたくなるときもあろう。
しかし、しょせんはこの道しかないのではないか。
 
あきらめろというのではない。
いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。

自分だけしか歩めない大事な道ではないか。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
 
他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道は少しもひらけない。
道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。
心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
 
それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。
深い喜びも生まれてくる。(松下幸之助 「道をひらく」より)

中学校の3年と高校の3年で、この「道」を自分で切り拓いていく子どもたちは、なんて可能性に満ち溢れているのだろうか? 桜が舞う入学式、新たな門出に素敵なことばをいただいた。夢をもって、なんでもできる。どんな道も自分で切り拓ける。僕自身も、大人になったけれども、息子と同じく「新たな出発に向かって『道』を拓こうと思う。そして、深い喜びをいっしょに感じられる仲間をつくっていこう。そんなことを感じさせていただく素晴らしい入学式だった。

息子との親子喧嘩なんか、どうでも良いと思える。そして自分自身もアンラーンをして、新たな体験を手に入れようではないか?

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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