暇と退屈の先のウェルビーイング

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

自分の好きなことが分からない。

娘の高校の国語のテストで國分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」から出題されると聞いて、昔読んだ本を引っ張りだして、再度読んでみた。

資本主義の全面展開によって、少なくとも先進国の人々は裕福になった。そして、暇を得た。だが、暇を得た人々は、その暇をどう使ってよいのか分からない。何が楽しいのか分からない。自分の好きなことが何なのか分からない。「暇と退屈の倫理学」(新潮文庫:令和4年)

僕は広告会社に入って、企業の商品やサービスをより多くの人に使っていただく、買っていただくために広告(マーケティング)のプロデュースをさせていただいていた。世の中の「おすすめ」という思考を強いる物や出来事にあふれている社会をつくってきた。

國分さんの本を読んで(さらには、本文の途中に紹介される映画『ファイト・クラブ』(デヴィッド・フィンチャー監督:1999年)も観た)、広告屋の仕事を考え直す機会を得た。

人々がよりよい生活を送る(=ウェルビーイングな生活)のために、暇な時間に「好きなこと」ができる居心地の良い場所や時間を伝えることが、より豊かな社会を共創していくことにつながると感じた。

僕は、暇と退屈のメカニズムを理解すると同時に、自分と向き合い、自分で「退屈な時間」にするか、「暇を楽しむ」ことができるかは意識して変えることができる。それは、学びと意識の習慣化がポイントになるとも。

楽しむことを学び、思考の強制を体験することで、人はそれを受け取ることができるようになる。<人間であること>を楽しむことで、<動物になること>を待ち構えることができうようになる。國分功一郎

豊かな生活の先にある「暇」を消費で満たすのではなく、「自分の好きなもの」や「自分が熱中するもの」に出会うために、いろいろなことを体験できる機会をつくっていく。

僕は、何が好きなんだろう。暇な(贅沢な)時間に、何をしたいのだろう?

ウェルビーイングになるための自分の傾向が分かれば、自分が今、何を欲しているのか分かるかもしれない。今まで出会ったことのないものに出会うきっかけさえあれば、自分の好きなことに出会うかもしれない。

「暇」だな、と思ったときは、Welluluでオリジナルでつくった『ウェルビーイングいろいろ診断』をやってみてほしい。ウェルビーイングいろいろ診断 (wellulu.com)

ウェルビーイングいろいろ診断

今日、Welluluの編集会議で、『ウェルビーイングいろいろ診断』のバリエーションが何種類あって、どのような結果があるのか知りたい、という問い合わせをいただいた、という話があった。

僕らは、過去30年の博報堂の生活者データを分析して、人がウェルビーイングになるための因子を探った。いろいろなウェルビーイング関連の本からも引用させていただいた。

ひとり一人のウェルビーイングは違うという前提から導き出したのが「主観的ウェルビーイング21因子」だ。

主観的ウェルビーイング21因子は、基本はウェルネス・ニューネス・コミュニティの3大分類に分かれており、それぞれ7つの因子を入れた。ここにあえて入れなかったのが、金銭的なウェルビーイングと客観的なウェルビーイングだ。

『ウェルビーイングいろいろ診断』は、全部で10種類の色に分類されるように設計させていただいている。(もちろん、人間のウェルビーイングが10種類でおさまるはずはないことも理解しつつ。)

30問の3択に答えていくだけで、自分がどういうウェルビーイングな行動をすると良いかヒントになるようなものにした。(あくまでも、遊び感覚でやってもらって、という軽い感じだ)3択の中に、どれも当てはまらないという問い合わせもいただいたが、感覚で近い回答を選んでほしい。

こういう診断という遊びコンテンツで、「ウェルビーイングを意識する」ことができて、自分の好きなものを見つけることに貢献できたらうれしい。

10個の「いろいろ」をここで紹介しておく。

『桜色』のウェルビーイング
「新しいをはじめる」ことにワクワクしています。

『珊瑚色』のウェルビーイング
「誰かと何かをする」ことでウェルビーイングを感じます。

『牡丹色』のウェルビーイング
「日常の中でちょっとだけ良い」ことを発見してみてください。

『蜜柑色』のウェルビーイング
「ひとりの時間をつくる」ことでウェルビーイングが増します。

『蒲公英色』のウェルビーイング
「健康でい続ける」ことに努力しています。

『若草色』のウェルビーイング
「きれいになる」ことでウェルビーイングを感じています。

『翡翠色』のウェルビーイング
「頼りにできる」コミュニティを求めています。

『空色』のウェルビーイング
「家族の成長や安心な生活」が一番のウェルビーイングだと感じています。

『瑠璃色』のウェルビーイング
「ありがとう」と感謝されることにウェルビーイングを感じます。

『菖蒲色』のウェルビーイング
「夢をもつ」ことにワクワクしています。

いろいろ診断をやっていただいた人は、どの色になりましたか?

僕は、今日も『空色』だった。子どもたちとの時間をつくって、彼らが熱中できるものをいっしょに見つけたい。ひとりになりたいときは『蜜柑色』になる。日々、やっているうちに変わっていくのも楽しんでほしい。

体重は、80.2㎏まで来た。今週は会食が少ないので、いい感じなのかもしれない。ただ、脂肪率は変わらない。整食法は、効果があるのは分かったが、もう少し筋肉をつけたい。あと、今日歩いた歩数は、1161歩。。。少なすぎる。

僕の好きなことは、なんだろう。暇なときに一番何をしたいのだろう。そんなことを考える暇があるのも幸せな時間だ。

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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